【トリップ】それでも、私は生きている   作:月乃夜桜

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前回でやっとこさ主人公のヴェスペリアでの設定、が少し出てきたかと。

描写がへたくそなので、年にカットしてたり、漢字変換してたりと色々ありますが、大目に見てくださるとうれしいです。

今回はエステルが目覚めたところ~となります。


9戦目

・・・

 

しばらくして、エステルが体を起こす。まだ少しぼうっとするようだが、それ以外は特にどこが悪いというのはなさそうだ。

 

「大丈夫か?」

 

「うっ……少し頭が……。でも、平気です。わたし、いったい…」

 

「突然倒れたんだよ。何か身に覚えはないか?」

 

「もしかしたら、エアルに酔ったのかも知れません」

 

「エアルって魔導器(ブラスティア)動かす燃料みたいなもんだろ?目に見えないけど大気中に紛れてるってやつ」

 

「はい、そのエアルです。濃いエアルは人体に悪い影響を与える、と前に本で読みました」

 

飛鳥は2人の会話を聞きながらここも大丈夫だ、と思う。やはり自分が会話に加わらないのであれば、基本的に原作通りに進むらしい。それがわかったので少しだけ安心する飛鳥。しかし、それでも、自分が加わることで本来なかった出来事がある、というのをわかっているだけに飛鳥は警戒をしていた。もし、その出来事が原因で誰かに危険が及ぶのであれば全力でそれを阻止せねばならないからだ。かといって途中で自分が死ぬことは許されないだろうこともわかっている。ここに飛ばされた理由が「この世界を救うこと」だからである。さらにここに飛ばした声の主曰く「飛鳥だから」とも言っていたことから、自分は何が何でも最後まで生き残らなければならない。いったんそういうことを考えだしてしまうと、周りの声が聞こえなくなるほど考え込んでしまう飛鳥。だから、いきなりユーリに声をかけられ、返事をした。が。

 

「これ、エステルと一緒に食ってみろ」

 

と差し出されたものを受け取り、指示通りエステルと同時に一口かじる。考え事をしていなければソレに気付いたのだろうが、もう遅い。かじった途端、木の実独特の苦さが口いっぱいに広がる。これは流石に無表情でいることはできなかった。苦すぎて素が出てしまった。エステルはやはり貴族だけあって飛鳥のようにリアクションは大きくはなかった。

 

「っ~~!にっが!!」「……うっ」

 

「はははっ、これで腹ごしらえはやっぱ無理か」

 

未だ苦さのために震えている飛鳥と、無理をして食べようとするエステルを見たユーリは簡単なものなら作れる、と言って作ってくれた。その手際の良さに飛鳥はすごい、と思ったのだが。まず、そういうものが作れるならあんなものを食べさせないでほしい、と未だ口に残る苦さにため息をついた。

 

・・・

 

料理をするたえに起こした火の傍に腰を下ろしてもう少し休憩をしていた3人と1匹。飛鳥は相変わらず2人の会話を聞きながらぼーっと火を見つめる。だが、ふと、エステルの言葉が耳に入る。

 

「うらやましいな……わたしには、そういう人、誰もいないから」

 

「いても口うるさいだけだぞ」

 

「……いる方が、いいよ。私も、そんな幼馴染みなんて、もうおらへんから…」

 

「え?」「アスカ…?」

 

会話を聞いてるだけのはずが、思わず口に出していた。そして、現実の記憶がフラッシュバックしたせいで、俯く。

 

「喧嘩したって、何やっても勝てなくたって。それでも、傍にいてくれる人が、自分を気にかけてくれる人がいるだけで……随分と、違うもんやで」

 

「アスカ、記憶が戻ったんです?」

 

エステルにそう聞かれて、ハッとする。本当ならここで全部この気持ちを吐き出してしまいたい。そう思うがそんなことしたら、この先がどうなるかわからない。だけど。ほんの少しだけなら。

 

「……うん。ほんの、少し…な。でも、この記憶は忘れていたかった…!こんな記憶がなんで今…!こんなの…―――やんか…!」

 

一度あふれた想いは、中々止まらない。なぜ、今この記憶が。今はそれしか考えられない。その記憶は、飛鳥にとって1、2を争うほどのトラウマの記憶。ユーリ達は今まで無表情で無口で、どこか距離を取っていた飛鳥がこれほど、と言っても比較対象がないが取り乱している姿を見て驚いた。そしてユーリは飛鳥には何か抱えている闇があると確信したのだった。

 

「アスカ!落ち着いてください…!」

 

「………っ」

 

「大丈夫か?」

 

「………すみません、もう大丈夫です」

 

「その様子だと、随分堪える記憶だったんだな」

 

「えぇ。本当っっっに今、自分を殴りたい気分です…!!」

 

いつもの調子に戻った飛鳥だが、無表情のはずが何故か声に感情が出ているようだ。自分に腹が立っているようで、握りこぶしを作っている。とりあえず、ひと段落した所でユーリがサンドイッチを作ってくれたのでそれを口に運ぶ。そうしていると、エステルが声をかけてきた。

 

「アスカは料理できるです?」

 

「私ですか?そうですね…作れますが…味は最悪らしいので、料理には全っっっっく自信がないですね」

 

「そんなに不味いのかよ…」

 

「えぇ、残念ながら」

 

そういった飛鳥だが、不味い、と言われたことが不満というように聞こえる。特に、残念ながら、と言ったとき一瞬だがいかにも不満です、という顔をした気がするのだ。ユーリとエステルはその顔をばっちり見ていたので、ユーリは飛鳥が味音痴なのか、と思ったがエステルは首をかしげただけだった。

 




ぜんっぜん進んでなくてすみません…

次こそはカロル先生が仲間になるところまでかけたらいいなぁ…と思います。

次回は休憩が終わって~になります。

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