【トリップ】それでも、私は生きている   作:月乃夜桜

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まだ夏休み中ですので、今のうちに更新!

ということで、8話目です!

まだまだ主人公の過去やらなんやらは全然ですがそのあたりも気長待っていてくだされば…!



今回はクオイの森~となります!


8戦目

森の入り口でややあったが先に進むが、エステルが呪いについて知っていることを話してくれるのだが、聞いていて、嘘だろうと思うものばかり。飛鳥は知っているので怖くも何もなかった。戦闘が上手くいくかが心配ではあったが、実際にやってみないとわからないので、考えても無駄かと思い直し、ユーリについていく。ふと気が付くと、相変わらずラピードは睨んでいた。しかし、最初のように常に睨んでいるわけではなくなったようだ。そのことに少し安心しつつも歩いていると、突然エステルが声を上げた。どうやら、何か音がするらしい。

 

「足元がひんやりします……まさか!これが呪い!?」

 

「どんな呪いだよ」

 

「木の下に埋められた死体から、呪いの声がじわじわと這い上がりわたしたちを道連れに……」

 

「……おいおい」

 

本気で呪いがあると信じ切っているエステルに呆れるユーリ。が、すぐに何か見つけたようで興味はそちらへ移ったようだ。

 

「お前は怖くねえのか?」

 

「はい。私は、自分の目で見たものしか信じません。まぁ、一部例外もありますけどね」

 

「ふーん…」

 

会話をしながらエステルが見つけたソレに近づいてみると、ソレは壊れた魔導器(ブラスティア)だった。それもかなり大き目のものである。だが、苔が生えているところを見るとかなり昔のものだとわかる。ユーリが休憩を提案したが、エステルは大丈夫だと言って先に進もうとする。が、壊れたソレが気になったのか、近づいた。その、瞬間。眩い光があたりに広がった。一瞬だけだったが、かなり強い光だったらしい。光がおさまったことで目を開けてみると、そこには倒れているエステルと膝をつく飛鳥の姿が。

 

「おいエステル!アスカ!」

 

「だいじょう、ぶ…です……少し、()てられただけ、です…」

 

飛鳥はそう言って立ち上がるが顔色はよくない。

 

―うちは、エアルを取り込んで銃の弾にしているはずやから、こういうのには強いはず、なんだけどな…でも、体を突き抜けたのはうちの体の許容量を超えるもんやった……なんでや?エステルがいたから…?

 

考え事をしていたせいで、返事が遅れた飛鳥はユーリに心配され、慌てて大丈夫だと答える。が、顔色がよろしくないので、説得力は皆無のようだ。ちょうど休憩も挟むから、と少し開けたところで腰を下ろした。エステルが横になっている間、ラピードは彼女の枕代わりになっているようで、じっと伏せをして動かない。

 

「なぁアスカ。今まででなんか記憶が戻るようなこと、あったか?」

 

「そう、ですね…ぼんやりと…家族、でしょうか。誰かと一緒に住んでいたような…そんな記憶と、誰かまではわかりません…が、大切な人がいた、という記憶が思い出せました。フラッシュバックだったので、本当にそうなのかは…わかりかねますが…」

 

「そうか。ぼんやりとでも戻ったんだな、記憶」

 

「はい。でも私は……っ!?」

 

「おい、アスカ!?」

 

何かを思い出そうとしたせいか、頭に激痛が走る。だが、飛鳥にはないはずなのだ。この世界で過ごした記憶など。当たり前である。なぜなら、飛鳥は現実世界から飛ばされてきたのだから。なのに何故か忘れている、と脳が主張する。その証拠に、この頭痛。

 

―なん、で…!?うちは、この世界でなんか過ごしたことないんやで!?なのに…!!どうして…!!!この、記憶は…何!?まさか…世界に、イレギュラーとして来た…はずなのに…ストーリーやらイベントやらに、組み込まれている…あの主要メンバーの中に、私も…入る、だから……過去を、“無理やり作った”!?だから、その記憶が、抜け落ちてる、って設定…なんか…!!!

 

飛鳥は納得はしていないが自身の頭痛の原因を突き止めた。が、それでも頭痛が治まってくれるわけではない。ズキン、ズキン、と脈を打つかのような痛みに思わず目をつぶる。

 

「だい…じょうぶ、です……思い出そうと、したら…少し、頭痛が…しただけ、ですから」

 

まだ痛む頭を軽く抑えつつも、ユーリには大丈夫と告げる。心配をかけたくない、と無表情を貫いたが、それでも頬に伝う汗や顔色まで変えることはできない。気が付くとユーリが顔を覗き込んでいた。

 

「!?」

 

「こんなに顔色が蒼白で冷汗も出てるってのに、本当に大丈夫なのか?」

 

「別に、動けって言われりゃ動けるよ。“こんな程度”の痛みなんて日常茶飯事だったし。それにもう、慣れた」

 

「――は?」

 

思わず素の方を出した挙句、軽く俯いた飛鳥。俯いてから、しまった、と思うがもう遅い。あれだけ無表情で、無口を装っていたのに、簡単に素を出してしまった。いや、顔は無表情のままなのだろうが、口調は完璧にアウトだ。

 

「アスカ…お前……」

 

「……すみません、お見苦しいところを。いずれ、すべて記憶が戻れば…その時は、きっと、〝本当の私〟でいられると、思います。ですから、今は……今はまだ、聞かないで、くれませんか…?」

 

「わかった。今は、聞かねえ」

 

「ありがとう、ございます」

 

飛鳥は咄嗟にそう言って何とか問われることを逃れる。しかし、一回素を出してしまった以上、この先いつ素を出してしまうとも限らない。何か、対策を打たねばと思う。だが、素は記憶が戻った時になればいいものと考えるならば。ならば、咄嗟に素が出てしまっても、記憶が戻って混乱している、という風を装えば大丈夫なはずだ。大丈夫、自分の演技力を信じろ。飛鳥はそう思って、ひとまず考えるのをやめた。




ということでしたが、全然進んでません…

すみません!

次はエステルが目覚めたところ~となります。

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