異世界転生─誓った約束を今度こそ   作:レイハさん

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初めてのオリジナルなんで、生暖かく見守ってくれると嬉しいです


一話 この世との別れ

「はぁ……はぁ…」

 

俺は今、床に敷いた布団の上で大汗をかきながら息を乱す。

今の年齢は16歳、俗に言う花の高校生と言ったところか、まあ実際の俺はそんなに良いものでもなく、せっかく入学した学校も、一年生の二学期の始めに引きこもり始めた………まあ、簡潔にいうと学生の引きこもりだ。

 

引きこもりの言い訳をするわけではないが、俺は生まれた時に親に捨てられ、学校でも虐められ、引き取って貰った孤児院でも白い目で見られたり、学校と同じように虐められた……

 

親に捨てられた時の言葉を、赤ん坊のころだったというのに未だに覚えている…たった一つの言葉…『悪魔の子』と…

そう言われた理由はひどく単純な物で、ただ俺の目が赤いという理由からだった、親だって他国の人どうしで結婚したのだから青い目や、黒い目位なら普通に受け入れてくれただろう、だが、赤い目だけはダメだったのだ…俺の母親の国は、赤い目は悪魔の象徴として恐れられていたのだ、だから母親は俺を見た即座に捨てようと言い出した。

父親も赤い目の子供というのには多少ながら抵抗もあったようで、この子供を育てると言って母親との関係が崩れる位なら捨てた方が良いと判断したのだろう、父親は母親に反対する事は無く、ゴミ捨て場に俺を置いていった。

 

その後、ゴミ捨て場で泣いている俺を見つけ、孤児院に引き取ってくれたのはアリスさんと言う金髪の綺麗な女性だった。

もちろん孤児院の方も反対したが、アリスさんがすべて私がやると言ったため、渋々俺を預かった。

 

アリスさんはとても優しい人だった、孤児院や学校の人に辛いことを言われても、頭をなでて慰めてくれたし、俺が辛い時は必ずそばにいてくれた。

小さい頃の俺は、アリスさんアリスさんと子犬のように後ろからついていっていたのを覚えている。

まあ、小学校5年生にもなって、アリスさんに手を握ってもらっていないと、眠れないというのもどうかと思うが……

 

そして、中学校を卒業した…つまり、義務教育を終えたのだ。そうなれば孤児院が俺を預かっている理由はなく、卒業すると同時に孤児院から出ていけと言われた。

アリスさんはこのまま俺を社会に出すと、また虐められたりするのではないかと心配し、反対したが、元々院長も俺を孤児院で預かるのはよく思ってなかったらしく、俺を孤児院に預かるとアリスさんが言ったときのようにはいかず、なんと言おうときっぱりと反対された。

 

その後、孤児院から出ていく前日にアリスさんと一つの約束をした。

今の今まで俺が生きていられたのは、アリスさんと交わしたこの約束があったからだろう。

約束と言うのは簡単なもので、ただ「頑張る」と約束しただけだ。

 

俺はその約束通り高校に入学し、いつも通り赤い目ということで虐められたとしても挫ける事なく頑張ることを続けた。

ただアリスさんと交わした約束を守るためだけに…

 

だけど、俺も人間だったようで、今まで耐えてきた虐めに耐えられなくなり、とうとう折れてしまった、そこからは引きこもりの道一直線だ。

学校にもいかなくなり、生活保護として受け取っていた金を節約しながら使い、外に出ることもなく布団の中で泣いて、寝て、起きて、飯食っての繰り返しだった。

 

まあ、ずっと外に出ず、太陽の光も浴びず、栄養価の偏った飯ばっかり食べていたせいだろう…遂に体にガタが来た

 

そっからは体が悪いというのに病院にいく気力もなくなり、どっちかって言うと、「やっと死ねるのか」と言った感じの感情の方が強かった。

元々親に捨てられ、孤児院や学校でも味方はアリスさんひとりしか居らず虐められ続けていたため、別に未練なんて一つも無かった……

…いや、未練がないというのは語弊だろう、一応未練はある。

それは、たった一つの約束すら守れずに死ぬという事だろう、大好きだったアリスさんと「頑張る」と約束したというのに、折れて、諦めて、死を受け入れようとしている……なんだかアリスさんを裏切ったようで、胸の辺りがぎゅうと締め付けられるような感じがした。

 

そして、今はもう完全に体は衰弱し、手を動かすことすら叶わない

 

「ごめんなさい……」

 

その言葉は間違いなくアリスさんに充てられたらものだろう、俺は目の奥から溢れてくる涙を、誰も見ていないことをいいことに恥ずかしげもなく流す

 

もっと頑張れたのではないだろうか、もっと努力すれば誰かに受け入れて貰えたのではないか?と言った後悔の念が頭の中でぐるぐると回る。

 

そしてとうとう体の感覚も消えていき、ゆっくりと視界が暗くなる

 

「ああ……神様、いるならお願いします……」

 

消えていく視界の中、俺は強く願う…

 

「生まれ変われるのなら……少しでいい…愛が……欲しいです………」

 

そう言い切ると遂に俺の視界は完全に黒く染まった…


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