新刊見て仕組んだのがあいつというネタにしようと思っていましたがやめました(いろいろ出てき過ぎて設定が面倒くさいので関わるの止めた方がいい気がする)
……そうなるとやっぱ名もなきあいつが仕組んだことにするのが順当ですかね
side久遠飛鳥
収穫祭への参加を賭けたゲームで勝利し、私と耀さん。それに苦労詐欺(笑)と南側へ十六夜君とレティシアより先んじて向かい、そこで北側とは違う水と
自然の世界を楽しみながら、”ウィル・オ・ウィスプ”と合流した後に収穫祭を行うコミュニティのリーダーへ挨拶へと向かうと
「まったく。久々に出会ったというのになぜ逃げようとする?」
「こうやって腕を極めるからだよ!つか、逃げねえからやめろ!」
「そう言って逃げるだろ?」
「否定はしない」
「……」
「無言で締め上げんな!?」
サンドラの姉であるサラとサラに取り押さえられているゲントに出会った。
ていうか何してるのかしらこの二人は!?
「サラ様!?”サラマンドラ”から出て行ったと聞いていましたが、南側にいたのですか!?」
黒ウサギ。それより先に変な悲鳴あげている兄を心配すべきじゃないかしら?
「ああ、黒ウサギか。今までの活躍は聞いている一先ず座るといい。お茶でも出そう」
「俺はコーヒーで」
さっきまで悲鳴を上げていたのに余裕そうに応える。さっきまでのは演技だったのかしら?
「お茶菓子ある?」
春日部さんさっきチーズを食べたばかりでしょう?
「ふむ。待ってろ」
ボキリといい音をさせてからあっさりと「折りやがったこいつ!?」と騒ぐゲントを解放したと思ったらイスに座らせて、部屋の隅でお茶とコーヒーを淹れはじめる。
(ねえ黒ウサギ?)
「どうしたんですか飛鳥さん?」
(お兄さんがあんな目に遭っているのにどうしていつも通りなの?)
このブラコンウサギは兄があんな目に遭っていたら例え神であろうとも喧嘩を売るような性格だと思っていたけどなんでここまで落ち着いているのかしら?
ゲントの付き人の女性はキレてサラさんに不意打ちして返り討ちに遭っているというのに。
「お兄様とサラ様はいつもあんな感じですよ?よく問題を起こして箱庭中でマークされていたお兄様を捕まえて説教をしてましたし」
あなたのお兄さん子供のころから
箱庭すべてを敵に回して逃げ延びることが出来るって自慢してたのは耳にタコが出来るくらい聞いて覚えているわ。
「懐かしい話だな。今は流石に立場もあって追いかけまわすような事は出来ないがな」
「……盗み聞きとは趣味が良くないわ」
「目の前で話していたから聞こえてしまってね。すまなかった」
茶目っ気たっぷりにウィンクをしてお茶を渡された。
一口呑んでみると香りと味が広がるようにイライラしていた精神を落ち着かせる。悔しいけどお茶の最大限を引き出しているわ。
……何かしらこの敗北感は。これが大人の女性の余裕というものかしら?
「このバカを相手しているうちにいろいろ上達してね。そのせいか次期
そういえば”サラマンドラ”ではサンドラちゃんじゃなくて別の人がなるはずだったと小耳にはさんだわ。それがサラさんというわけかしら?確かにゲントを捕まえておけるなんてすごいわね。白夜叉は探し回っても逃げられたと言っていたし。もしかしたら白夜叉より有能なんじゃないかしら?
「誰がバカだ」
「妹のために一区画を焼き払ったのはお前くらいだ」
「あれはマイシスターを攫ったあいつらが悪い」
コーヒー片手に折られたはずの腕で黒ウサギを指差すゲントは……ちょっと待って?さらっととんでもない事を言わなかったかしら?
「黒ウサギが攫われたってどういう事?」
「私も気になるわ。いくら黒ウサギがポンコツでも攫われる――わね。そういえば最近もサーカスに騙されて攫われてたし、意外でも何でもなかったわ」
「飛鳥さん!?」
何でそこで不服な声が出せるのかしら?
反省してないのかしら?
「……お前らへの援護止めた瞬間にそれかよ。やっぱ” ”を潰して俺の所で全員預かろうか?」
たぶん善意なのでしょうけど答えは決まっているわ。
「お誘いはうれしいけどお断りするわ」
「そうだぞ(もっきゅもっきゅ」
そう言って同意する春日部さんは待って。何食べているのあなた?
「春日部さんその羊羹どこからだしたの?」
「うちの手土産ですね」
「兄貴について行くのもアリだと思いますよ姐御」
「一瞬で懐柔されないで。あと誰が姐御よ」
「お兄様は私のお兄様です!」
「ブラコンはちょっと黙ってなさい」
私はどちらかといえばボケ担当なのになんで突っ込みみたいなことしないといけないのよ!
そういうのは黒ウサギの担当でしょ!
「常識人ポジはマイシスターだと思ってたけどそうでもなかったか」
「お前の妹はお前関連だとポンコツ化するぞ」
「知ってる」
お兄さんが関わらなければ苦労人ポジなのにね。
本当にいい迷惑だわ。
「ん」
「ほら」
「おう」
コーヒーを飲み終えたら煙管を燻らせるお兄さんはいつも余裕そうね。ん?
「煙草は辞めたらどうだ?臭うぞ」
「バカヤロウー。男は酒とヤニと女さえあれば生きていけんだよ」
「ふむ。お前に女がいるとは知らなかったな」
「それお前が言うの?」
何かしらね。この二人には妙な縁というか腐れ縁というだけじゃ説明できない何かがあるわね。
そう言えばあの煙管に刻まれているのは――火龍?
「え?」(とあることに気がつく女の勘)
「ふむ」(気がつかれた事に気がつく女の勘)
「なんか面倒くさい事になってるな」(勘とか関係なしに洞察力で察する男)
「もっきゅもっきゅ」(今日の晩御飯なんだろう?)
い、意外すぎるわ。
この二人まさかそういう関係だなんて!
黒ウサギは!?
「確かに私はブラコンですがそれは別に恥じることじゃ――」
「ホントにポンコツね」
「飛鳥さん!?なんで罵倒されたのですか!?」
盲目的に信頼しているから逆に気がつかないのかしら?
「いつそういう御関係に?(モキュモキュ」
「ふむ。結構前だないろいろあって激しく燃え上がってな」
「物理的に燃やしに来たよな?燃える槍持参して」
「あれからちょくちょく関係を持っていてな」
「大体お前に襲われたけどな」
「結構強引だったぞ」
「寝てる時に頭を貫こうとされるとは思わねえよ」
「ちょっと待ってあなたたちどういう関係?」
どっちも真実と嘘を盛り込んでいる感じがするわね。
「そんな!?ではサラ様の事をお姉さまと呼ぶべきですか!?」
「ふむ。お姉さまはサンドラに呼ばれ慣れているからな。可愛らしくお姉ちゃんとかはどうだ?」
「お姉ちゃん……ですか?」
そこ乗るべき所じゃないわよ黒ウサギ。
というかいいの?あなた兄との結婚相手は認めないとか言ってたでしょうに。
「うちの妹を変な道に引き込むの止めてくれません?」
「将来の義妹だろ?変ではない」
「それは未来永劫あり得んから安心しろ」
「そうかな?少なくともお前次第だと思うぞ?そっちから抜け出せばな」
苦虫を噛み潰したように顔を逸らすお兄さんは何を企んでいるのかしら?
思ってたより何かを隠しているようね。
「かっ。女ってのはどうしてどいつもこいつも鋭いんかねえ?」
「女だからだ」
「……」
「はひ?どうしたのですかお兄様?」
「なんでもない」
それは一緒にしちゃダメだと思うわね。
天然で純粋という一番あてにならない類ですもの。
「それよりお前は
「そんな面倒なもの受けるわけねえだろ」
「そうか?お前の活動はそれに近いと思うぞ?上からのお墨付きでやるかどうかの違いだろう」
「あいつの要請とか断る一択だろ。そうじゃなくても断ってたがな」
あいつ?誰かしら?
どうやら本気で嫌っているようだけど飄々としたこの男が嫌っている存在なんているのかしら?
いたとしても妹の敵といった所でしょうけど。
「あいかわらずだな」
「変わらねえからこその俺だ」
「いや結構変わったぞ?昔なら要請すらあり得なかっただろう」
「そんなもんかね?」
「自覚なしか。お前は少し丸くなったよ」
「そうかね?」
燻らせる煙は余りにも濃い。
ていうか部屋が紫煙で見えないわね。
「ま、お祭りを楽しみにしてるよ。昔馴染みが結局
「楽しみに見ていろ」
「そうするよ」
そういって煙が晴れた頃にはいなくなっていた。
いつの間にいなくなったのかしら?全く分からなかったわ。
「相変わらずだなあいつは。さて、本題に入ろうか君たちを呼んだのは他でもない――」
飛鳥ちゃんは意外と他に突っ込み役がいないと突っ込みに回るイメージ。
勘違いしてはいけませんがあの二人の関係は腐れ縁です。揶揄ってるだけです(どうでもいいけどゲームだと幼馴染とは大体くっつく謎)
ちなみにゲントは基本的に人の料理などに手を付けません。飲み物にクスリを盛られて妹を攫われて↑みたいな事になりました。そのため心から信用してる人(ほとんど人はいない)以外が出したものは口にすらつけません。