生まれ変わったらめんどくさい種族になっていた   作:ラーカー

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あけましておめでとうございます

今年は良い年にする(決意)


二人は司会者

side黒ウサギ

 白夜叉様のセクハラ攻撃を撃退して依頼として『造物主達の決闘』の司会をすることになったのですが……。

 

「待たせたな野郎共に子猫ちゃん達!火龍誕生祭のメインギフトゲーム『造物主達の決闘』の決勝を始めるぜえ!進行はいつも箱庭に混沌を”黄昏”のリーダー、俺ちゃんことゲント様が勝手に進めさせて貰うぜ!」

 

 なぜかお兄様が隣に立ってノリノリで司会をやっています。

 さっきまで私一人だったはずなのにいつの間にか隣で勝手に始めてます。

 チラッと主催者席の方を見ると

 

 ・激怒しているマンドラ様

 ・爆笑している白夜叉様

 ・間に挟まれてオロオロしているサンドラ様

 

 ……見なかったことにしましょう。

 

「それでこっちが正式に依頼された審判のマイシスターだ!変な目で見てる奴は後で吊るすからな!」

 

 あ、目が本気だ。

 空気が変になる前に話を進めましょう。

 

「審判は『サウザンドアイズ』の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお務めさせていただきます♪」

 

『うおーーー!黒ウサギーーー!』『お前に会うためにここまで来たぞーーー!』『好きだーーー!結婚してくれーーー!』

 

 相変わらずこの声援には慣れません。

 ウサ耳がへにょってなってしまいます。

 

「うん。今叫んだ連中顔は覚えたからな。覚悟しとけ」

「お兄様。話が進みません」

「リトルシスターを変な目で見てるあいつらが悪い。うちの妹が箱庭一可愛いからと言って言っていいことと悪いことがある。特に最後」

「お兄様……」

 

 うぅ……。あまりそんな事言われると照れちゃいます……。

 

「マイシスターは相変わらず耐性0だな……。ピンクになってるし……」

 

 頭が痛そうにこめかみを抑えたかと思えば一転して笑顔で話し始める。

 

「それじゃあ選手入場だ。マイシスター」

「はい!それでは入場していただきましょう!第一ゲームのプレイヤー”ノーネーム”の春日部耀、”ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャ=イグニファトゥスです!」

 

私のアナウンスと同時にお二方が入場しますが、

 

「YAッFUFUFUUUUuuuuuuuu!!」

「わっ……!」

 

 アーシャ=イグニファトゥスが連れていた南瓜のオバケが耀さんを驚かせました。それに驚いた耀さんを見てアーシャさんが笑い転げています。これは注意しませんと!

 

「一応試合前だからあんまり挑発とかすんなよ?試合でやるならともかく試合前に空気が悪くなんのは困るんで。新人じゃねえんだからわきまえとけ」

「すいませーん」

 

 お兄様に注意されましたが反省する気はあるのでしょうか?

 いけませんね空気が悪くなる前にさっさと始めちゃいましょう。

 

「ほんじゃあ。箱庭アンケートでロリBBA部門で八回連続で第一位を獲得した白夜s……白BBAに『待たんか!なんじゃそのアンケートは!?しかもなんで悪い方に言い直した!?』——ステージを作って貰いましょう。皆さんご斉唱下さい。しろb『いい加減にせんか!』

「はいはい幼女萌えー」

『聞く気は無いんじゃな!?』

「いい加減にして下さいお兄様!」

 

 ひょいひょいと私のハリセンを躱す動きは一々キメポーズを取っていてカッコイイです。

 うぅ……。

 

『……こほん。黒ウサギたちがコントをしとるが無視して進めよう。手元の招待状を見て欲しい。そこに書かれているナンバーが我々のホスト出席外門”サウザンドアイズ”の三三四五番になってるものはおるかの?――お主じゃな。木霊の童よ。あとで記念品でも届けよう。それでは決勝の舞台が決定した。皆のものお手を拝借』

 

 白夜叉様が両手を前に出し、それに倣ってすべての観客が両手を前に出す。

 パン!と会場一致の柏手一つ。

 そして世界が一変した。

 

   ☆   ★   ☆

 

「勝者、アーシャ=イグニファトゥス!」

 

 私の宣言で観客席から歓声が上がります。

 耀さんには勝って欲しかったですけどジャックさんに勝つには知恵も経験も足りていません。今回の試合(ゲーム)をバネにして成長して欲しいです。

 

「いい試合だったけどちょっと物足りなかったかなあ。不死の南瓜がいないか”ノーネーム”側に相方がいればもっと面白い試合になっていただろうねえ。南瓜の過保護の勝利と言った所かな?」

「お兄様ならどうします?」

「俺?俺なら開幕で地獄の炎を召喚してフィールドを焼き尽くすけど?そして相手を炎の中に閉じ込めてから脱出する」

 

 そういえばお兄様は地獄道とも交流があると聞いたことがあります。きっとその関係でしょう。昔、地獄のお土産として魚とも草とも言えるような言えないような謎のモノを持ち帰って育てていましたし。

 でも

 

「それはジャックさんには効かないのでは?」

「不死なら不死で攻略法はあるんだけどね。この後の試合(ゲーム)もあるしまた今度な」

「気になりますけど仕方ないですね」

 

 そんな他愛無い会話をしていると。

 

「空気読まねえなあ……」

 

 お兄様は急に何かに気がついたように遠くを見て呟きました。

 その視線の先を見ると

 

 舞い散るようにばら撒かれた黒い契約書類(ギアスロール)……まさか!?

 

 

『【ギフトゲーム名:"The PIED PIPER of HAMELIN"】

 

1 プレイヤー一覧

現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の舞台区画に存在する参加者・主催者の全コミュニティ。

 

2 プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター

太陽の運行者・星霊 白夜叉。

 

3.ホストマスター側 勝利条件

全プレイヤーの屈服・及び殺害。

 

4.プレイヤー側 勝利条件

一、ゲームマスターを打倒。

二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスター名の下、ギフトゲームを開催します。

                      "グリムグリモワール・ハーメルン"印』

 

「魔王だ!魔王が出たぞーーーーーー!!」

 

 どこからともかく聞こえてきたその悲痛な叫びが状況を簡潔に示していました。

 

「お兄様は観客の誘導を――っていません!?どこに行ったのですかお兄様ー!?」

 

 そういえば魔王退治を任せると前にお兄様からの伝言がありました。

 ここは任せるという事ですね!お兄様の期待に応えて見せます!

 そうと決まれば一度、皆様と白夜叉様に合流しましょう。

 舞台へ飛ばされた方を助けながらお兄様の期待に応えるために気合を入れませんと!




その頃ゲント
「なんか勘違いされてる気がする」←安全かつ観客として楽しめそうな所へ移動中。

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