生まれ変わったらめんどくさい種族になっていた   作:ラーカー

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下見というなの暇つぶし

sideゲント

 火龍誕生祭のメインイベントはまだだとはいえ中々盛況である。

 そんな騒がしい街並みを御伴二人をつけてぶらついていた。

 

「……もうお腹いっぱい」

「おぅん?」

 

 連れのユーちゃんが食べ過ぎで動けないので2mぐらいあるだいちゃんが背負っている。

 めっちゃ揺れてるけど酔わないのかな?

 

「なかなか盛り上がっているようだねえ。あ、おっさんその肉3人前頂戴」

「まいど!」

「私はお腹いっぱいなのですが……」

「ほれ。だいちゃん落とすなよ?」

「おぅん」

 

 だいちゃんはよく食べるなあ。それに美味そうに食うからついつい奢ってしまう。今日だけで俺の20倍は食べてるのに(ユーちゃんが食べきれない分を食べてるのも含めて)底なしってぐらいよく食べる。

 やっぱり身体が大きいとたくさん食べるんだろうなあ。

 

「もぐもぐ。見た所気づいてる奴はいないみたいだな~」

 

 飾られている価値ある美術品(・・・・・・・)を見ながら言う。うわっ!?これとかサラ姉ちゃん(年下)の作品じゃん!?こんなとこに飾ってていいのか!?

 

「……ここは7桁なのですから仕方ないのでは?」

「どっちにしろ質が落ちてるのは間違いないねえ。というか東側との共同とはいえ7桁で階層支配者《フロアマスター》の交代を祝うとか信じられねえよ。本拠のある階層でやらないってのが他の階層支配者《フロアマスター》に舐められる理由なんじゃねえの?」

「おぅん」

 

 7桁で階層支配者《フロアマスター》の就任式をやるとなると隠し玉があるとはいえ、力を誇示するという目的にはそぐはないと思う。

 最もアレを用意したの俺じゃないから難易度の方は知らないけど、下手すれば詰んで返り討ちになるという大失態になりかねない。

 サラマンドラがどうなろうと知ったことではないが”もう一本の角”が失われるのはよろしくない。”失われた角”の在処もわかってねえのに。

 

「この後はどうするんです?」

「特に予定なんかねえけど?」

「……え?じゃあなぜこの外門(ここ)へ?」

「暇つぶしとよさげなコミュニティを探すためかな」

 

 ブローカー業としては大きな祭りで実力を発揮できるコミュニティとのコネは是非とも作っておきたいものである。下層とはいえ伸びしろのあるコミュニティを発掘できれば、金の卵を産むガチョウを飼う様なものだ。

 

「トーナメントは見ないので?」

「決勝ならともかくあんな余興なんぞ見た所で役に立たねえよ」

 

 それにしても何か騒がしいな?何かあったのか?

 

「ウサギだ!」「月の兎が誰かと戦ってるぞ!」「いいぞやれやれ!」「人間もやるなあ!」

 

 ・・・・・・。

 無言で上を見上げると高速移動をしながら鬼ごっこをしている妹とクソガキの姿が見えた。

 何やってんだあいつら?

 

 

side黒ウサギ

 白夜叉様の招待を受けたとはいえ勝手に飛び出して北側へ行ってしまった御三人方を捕まえるべく怒りのままに北側へ向かった私は、呑気に北側を楽しんでいる御三方を見て冷静になりかけていた頭がヒートアップ。少し乱暴になってしまいました。

 怒りで冷静な判断が出来ていなかったとはいえ十六夜さんの口車に乗ってお互いがお互いを捕まえるなんてギフトゲームをするんじゃありませんでした。

 

「うぅ・・・。まさかお兄様まで共犯として捕まるなんて」

「いやいやリトルシスター?それサラマンドラの私怨だから関係ないと思うよ?」

「そうなのですか?」

 

 明らかに嘘ついているような口調でホントホントと言うお兄様の様子を見ると気にしているわけではないようなのでよしとしましょう。

 そんな様子を見ていたのか白夜叉様が口を開く。

 

「相変わらずじゃのう。それにしても随分と派手にやったようじゃの、おんしら」

「ああ。ご要望通り祭りを盛り上げてやったぜ」

「胸を張って言わないで下さいこのおバカ様!!」

 

 スパァーン!

 

 ここ最近で使う頻度の上がったハリセンが良い音が出る。

 うぅ。使い慣れてきたことに悲しいのです・・・。

 

「仲いいなあ」

「なぜ貴様がここに居る」

 

 ケタケタ笑うお兄様がマンドラ様に睨みつけられている。

 十六夜さんのせいでお兄様たちも犯人扱いされてたようですし。うぅ・・・。迷惑ばかりかけてます・・・。

 

「おいおい。俺の部下がそこのクソガキがぶっ壊した破片が被害出ないように身を挺したんじゃないですかー。何が不満なんですかー?」

「そういう所だ!」

 

 お兄様は気にしていないようですが、なぜかお兄様が異様に生き生きとしているのが気になります。

 

「あやつの事はほうっておけ。嫌がらせの時だけ全力を出す男だからの」

「それは違います!」

「その異議は却下する。それより話を進めるぞ。ほれサンドラ」

「はい」

 

 私の全力の異議をすげなく却下して、笑いをかみ殺している白夜叉様が比較的真面目な姿勢で今回の大暴れの件を主賓兼主催者のサンドラ様に先を促す。

 

「箱庭の貴族とその盟友の方。此度は火龍生誕祭に足を運んでいただきありがとうございます。今回の件で貴方達が破壊した建造物は、白夜叉様のご厚意で修繕して頂きました。負傷者も奇跡的になかったようなので、私からは不問とさせていただきます」

「へぇ、太っ腹な事だな」

「なんで俺を見て箱庭の貴族って言ったん?今は違うよ?」

「うむ。おんしらは私が直々に協力を要請したうえ、怪我人も出なかったからのう。まぁ、路銀ろ修繕は報酬の前金だと思っておくが良い。....ふむ。いい機会だから昼間の続きでもしておこうかの」

「なんで無視するん?」

 

 ほっ・・・。どうやら問題なしという事のようですね。

 マンドラ様の怒りようから”サラマンドラ”の旗印に泥をかけたとしてコミュニティ解体の上に牢屋行なんてことにならなくてよかったです。

 

「それじゃ妹よまたねー」

「おんしは逃げようとするな」

 

 人払いをしている最中に自然に出て行こうとしたお兄様たちを白夜叉様が止めます。

 あれ?お兄様も関係あるのでしょうか?




執筆速度落ちてますねえ
平行して進めようとするもんじゃないなあ

あと本家の新作は失敗した後の世界っぽいですね
つまりラストエンブリオは最後に失敗する・・・?

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