やはり俺に理解者がいるのは間違っている。(未完)   作:remi

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やはり石炭を作り出すのはまちがっている

 

 

 

  調理室はクッキーの甘い香りに包まれている・・・・・

 

  と思っていた時期が俺にもありました。なんで炭鉱の匂いがするんだ。いや、炭鉱の匂いなんてわかんないけどさ・・・

 

 

 「でさ、雪ノ下・・・・・食べなきゃダメ?」

 

 「そ、そうね。味見をしてもらわないとどう手直しすればいいかわからないものね」

 

 

  手直しなんてもので済めばいいけどな・・・

 

 

 「じゃあ、食べるぞ?」アム・・・

 

 

  硬っ!苦い・・・なんでクッキーがこんな苦いんだ。クッキーもコーヒーも甘いほうがいい。

 

 

 「苦すぎる。あと硬い。硬すぎる。それと苦い。帰っていい?」

 

 「味は見た目通りと言うことね。それと最後のはダメよ」

 

 「なぁ雪ノ下、お前料理できるよな?」

 

 「えぇもちろん」

 

  だったら

 

 「なら、口直し じゃなくてお手本を作ってやれないのか?」

 

 「ちょっと!待って。あの、クッキーは・・・」

 

 

 

  ・・・・・・・・・・

 

 

 

 「まだやるのか?別のものっていうのじゃダメなのか?」

 

 「それは最後の手段よ、比企谷くん」

 

 「あ、あれぇ~?雪ノ下さんどうしよう・・・やっぱい才能がないのかな・・・」

 

 

  才能ねぇ・・・才能をもって生まれるやつなんて本当にいるのかね。雪ノ下のように生まれた家が大きく裕福であって何も困らない血筋もいい。それが才能なのか運なのか。

 

  そこに生まれたのはまぁ運なのだろう。だがそこから料理ができるようになったり楽器が演奏できるようになったりするのはその人自身の努力なんじゃないのか。

 

  もし、生まれ持っての才能があるのなら俺はコミュニケーション能力と言う才能が欲しかった・・・

 

  と、1年くらい前までは思っていたな。

 

 

 「いいえ、由比ヶ浜さん。才能なんて存在しないわ。人間結局努力して成長するのよ。その努力が実らなかったならそれは向いてなかった。ただそれだけよ。努力もしないのに諦めるなんて目の腐っている負け組よ」

 

 

  あっれぇ?おかしいなぁ・・・途中まで同意見だったのに最後の一言はなんだったのかな?

 

  負け組ね・・・否定はしないけど

 

 

 「うん!そうだよね!よし。頑張ろう!」

 

 「とりあえずお手本を見せるから良く見てるのよ?」

 

 

 

  雪ノ下は手際よくクッキーを作りだす。レシピを見てレシピ通りに手を動かす。まぁそれが当たり前だけどな。

 

  途中でコーヒーの粉とか山ほど入れるのはまちがっている。

 

 

 

 

 「うまい。さっきのと比べると石と砂糖だな。いやむしろあんなのと比べるなんてこれに失礼だ」

 

 「うっ・・・本当に美味しいから否定できない・・・」

 

 「別にレシピ通り作っただけよ」

 

 

  レシピ通り作れない奴がそこにいるから褒めてんだろうが・・・

 

 「あたしにもできるのかな?」

 

 「大丈夫、できるわよ。レシピ通りに作れば。そんな難しいことじゃないんだから、レシピ通り作れば」

 

 

  雪ノ下、大事なことだからって2回言ったぞ・・・余程不安なんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 「由比ヶ浜さん、違うわ。粉をふるうときはもっと円を描くようにね。円よ?習ったでしょう?」

 

 

 「待ちなさい、由比ヶ浜さん。隠し味なんて入れないでいいの。まともに作れてないのだから変に手を加えなくていいのよ。それにその量は隠し味にならないわ」

 

 

  ご苦労様です。雪ノ下、すごい顔だぞ・・・

 

 

 

 

 

 

 「なんか違う・・・」

 

 

  確かにさっきの雪ノ下のに比べてしまうと色や形が歪だがクッキーと言えないこともないだろう。

 

 

 「どうして伝わらないのかしら・・・?」

 

  雪ノ下、その発言は少しドキッとくるものがあるぞ?・・・俺はこないけど。

 

 

 「やっぱり違うなぁ・・・雪ノ下さんのと」

 

 「そりゃそうだろ。もしお前が雪ノ下と同じものが作れたら引くぞ。そもそもお前らなんでうまいクッキー作ろうとしてんの?」

 

 「はぁ?」

 

  何言ってんの?目だけじゃなくて頭も腐ってんの?みたいな目で見られてんすが・・・

 

 「さっきの反応から察するにプレゼントってどうせ男にやるんだろ?」

 

 「そ、そうだけど・・・」

 

 

  頬染めるなよ、ビッチ。

 

 

 「ビッチの癖に男心わかってないねぇ・・・」

 

 「なっ!ビッチじゃない!」

 

 「はぁ、どういうことなのかしら?比企谷くん」

 

 「どうやらお前らは本当の手作りクッキー(・・・・・・・・・・)を食べたことがないみたいだな。少し待ってろ、俺が食べさせてやる」

 

 

  ここで雪ノ下達を追い出した。さて、どうするか・・・

 

  まぁ、男心を教えるだけなら普通のやり方で問題ないか。

 

 

 

 

  そうして俺は彼女らに教えた。俺の手作りを自称した由比ヶ浜のクッキーで。

 

  男とは甘い生き物である。ちょっとしたことで意識して、感情一つ過信して

 

  甘い感情一つでトラウマがいくつも出来る。そんな世界。

 

  そんな世界だと足早に気付けていたら腐った人生は歩まない。

 

  こんな世界に無関係な出来た人間も腐った目にはならない。

 

  俺が気付けたのは去年のことだった。今でもこう話題に出してるのはやはり悔やんでいるのだろう。

 

  後悔したところで何も変わらないというのに。いや、

 

  変わるつもりすら、変わろうとする気持ちすら失った。

 

  理解しようとしてくれた彼女を突き放した俺にはもう望むことさえ許されない。

 

  彼女は今どうしているのか、俺のことを恨んでいるのか、もはや無関心なのか。

 

  それを知ることさえ許されないと、これが俺自身で俺自身に付けた枷だ。だから、

 

 

  やはり俺に理解者がいるのはまちがっている。

  

 

 

 

 

 

 




なんか最後の方シリアスっぽかったですね・・・

あ!最終回じゃないですよ?
ちゃんと次回あります!   未定ですけど・・・
材なんとかくんはごめんなさいします。
天使とブラコンさんを書いて文化祭って流れですかねぇ・・・


え?折本出せって?  んふふ(ノ∀`)

自分でもいつ出そうか困ってます・・・(-_-;)

それではまたごきげんよう☆ミ

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