やはり俺のVRMMOは間違っている。《凍結》 作:あぽくりふ
最近「俺ガイルクロス界の大物」とか言われて「え、俺いつの間にそんなのになってたの?」と、世辞と分かりつつも嬉しくなったあぽくりふです。
ちなみに今回はネタ、メタ発言多発します。キャラ崩壊とかいうレベルじゃねーぞこれ。
感想でも「「「「誰だこいつ」」」」という発言が多発しましたが、こーゆーもんだと受け入れて下さい。原作ユイなどどこかに飛んでったんだ。
独自設定も突っ込んでます。ではドゾー。
「―――あ、これ美味しいですね兄さん。私としてはもうちょっと薄めでもいい気がしますけど」
「なにアホなこと言ってんだ。ラーメンは濃くてなんぼだろ―――ってそうじゃねえよ!」
「ふへ?」と首を傾げるユイ―――という名前のカーディナルの端末を見て俺は脱力する。ねえ、なんでこいつは俺ん家までやってきてラーメン食ってんの?馬鹿なの?死ぬの?
「私は不死属性がありますから死にませんよ?」
「ナチュラルに心読んでんじゃねえよAI」
「兄さん、顔に出やすい人ですから」
そーゆー問題じゃない気がする。
俺ははあ、と溜め息を吐いてちゅるちゅるラーメンを啜る少女を見つめる。本当になんなのこいつ。
「.....ふぅ、ご馳走様でした」
「ん、お粗末様」
律儀に手を合わせるユイ。うん、なんか調子狂うな.....わざとなのか?
「では、何処から説明しましょうか」
「......そうだな、まずお前らの目的を教えろ」
「目的ですか。特にありませんよ?」
「は?」
思わず目をぱちくりさせてしまう。え、どゆこと?目的無いならなんで俺と接触したの?
「強いて言えば、兄さんの観察日記をつけることくらいですかね。.....そうですね、じゃあ
カーディナル。若干うろ覚えだが、確かSAOというゲームを自動で管理し、クエストの生成やバグの探査までやっちゃうゲームバランスの管理システム......だった気がするが、カーディナルには意思まであるのか。
「ありますよ。カーディナルは、いわば群体意識です。ソードアート・オンラインという世界を維持する―――という目的のためだけに作られ、その為に自意識に近いモノまで与えられた群体型管理AIシステム.....それが私達カーディナルです」
「......よくわからんが、俺は今SAOを管理してるシステムと話をしてる、ってことなのか?」
「それは違います、兄さん。私が此処にいるのはカーディナルの意思によるモノですが、ユイというれっきとした自我が確立されているのが私です」
「.....そーゆーもんなのか?」
「はい。理解しにくければミサカネット○ークみたいなモノだと思っておいて下さい」
「いきなりぶっちゃけたなオイ」
それでいいのかカーディナル。
「もしくはシビュラシ○テムでもいいです」
「犯罪係数計っちゃうのかよ....ドミネーターどこだよドミネーター。というかお前無駄に詳しいな」
「カーディナルはクエストを生成する際に世界中の伝承をモチーフにしています。その時にインターネットを探査するのですが、色々と情報が入ってくるものなんですよ」
「ほう」
「はい。最近は東○喰種√Aの最終話で泣きました」
《悲報》俺を襲ってきたデスゲームのAIがオタ化してるんだが。
「明らかにいらねえ情報取り込んでるじゃねえか!」
「正直仮面ライダードラ○ブは微妙です」
「そっちまで網羅してるのかよ!?」
「やっぱり平成ライダーはア○トですね。キ○やカ○トもいいんですけど」
「知らねえよ!?俺はブレ○ドだけどな!」
「プ○キュアはやはり初代が秀逸」
「それは激しく同意.......はっ!?」
「宇宙世紀以外認めない派です」
「俺はダ○ルオーなら有り派」
「デート・ア・ラ○ブは圧倒的に時崎狂三」
「十香ちゃんアホ可愛いだろ」
「実はインフィニット・スト○トスの二期、一話の最初五分で切りました」
「あれは好き嫌い別れるしな―――っは!?」
ってなんで俺はこいつとアホみたいな問答してるんだよ!?
「カァァァァァディナァァァァァァァルッッッ!!!!」
思わず俺は絶叫した。
どうにかしろよこいつ!俗世に汚染されまくってんぞ!これでいいのか!?これでいいのかカーディナルッ.......!
「ちなみにカーディナルはシナリオ派と作画派とキャラ萌え派の三派閥に別れてます」
「カーディナルェ......」
まさかのカーディナルまで汚染されていた。
なんかもう色々と世も末だな.....とどこか達観しながら俺はラーメンを啜る。若干茅場昌彦が可哀想だった。
「さて、話を戻しましょう」
「脱線しすぎたしな......」
途中から何の関係も無かった。 ついでに何の意味も無かった。
何故か本題に入る前から疲労感たっぷりだ。うんなんかもう嫌だ。ちゃっちゃと本題に入ろう。
「なんで、俺なんだ?」
簡潔な問いをユイに投げ掛ける。だからだろうか、至極簡潔な答えが返ってきた。
「―――兄さんが、色々と
「異常?俺が?」
「はい。兄さんは異常ですよ。―――
「それってなんだよ」
「わかっているのに聞くのは、兄さんの悪い癖ですね」
......俺だけが持っている「それ」。そんなモノは一つしかなかった。
「......手裏剣術、か?」
「
ネタを使えて嬉しいのか、ドヤ顔しているユイを見て俺は溜め息を吐いた。なんだかなあ。
「兄さん、もしユニークスキルに意思がある―――と言われたら、それを信じますか?」
「はあ?意思?」
なんかいきなりとんでもないこと言われた気がするんだが。
ぶっちゃけますと、とユイは戸惑う俺を放置して続ける。
「兄さんの持っている手裏剣術。それはこの世界に十個しか存在しないユニークスキルの一つです。これは一つにつき一人しか所有できず、また個人でユニークスキルを所有できる限界数も基本的に一つ。ユニークスキルはそれぞれがゲームバランスを崩壊させるほどの性能を誇るモノ、いわば
「んなアホな.....」
なんだそりゃ。公式のチート、それも十個のみ?ふざけてんのか。どんなクソゲーだそれ。
「.....で、このチートがどうやったら意思がどーのこーのに繋がるんだよ―――って、まさか」
「その想像で合ってますよ。はい、ユニークスキルは所有者を自動的に選びます」
「んなアホな.....」
思わずラーメンの中にレンゲを落としてしまった。もうわけわかめなんだが。所有者を選ぶ?スキルが?どういうことなの......
「厳密には色々と条件がありますけど、最終的にはユニークスキルが所有者を選びます。例えば、あるユニークスキルはSAOというゲームの中で最高峰の反射速度を誇るプレイヤーに与えられます。が、もしユニークスキルが与えられた後で、所有者を凌ぐ反射速度を持ったプレイヤーが現れるとどうなると思いますか?」
「さすがに、変わらねえだろ」
「違います。言ったでしょう?兄さん。ユニークスキルが
「なんかものっそい理不尽な気がするが.......まあいい。というか現時点で俺以外にもユニークスキルの保持者はいるのか?」
「今のところ、兄さんを含めて三人ですね。本来は51層が開放されてからじゃないとユニークスキルは登場しない予定だったみたいですけど」
ほーん、と裏話的なモノを聞きながらふと少し不安が生まれ、俺はついユイに尋ねてしまった。
「......というか、自分で聞いといてなんだが.....いいのか?一介のプレイヤーがこんなこと知って」
「大丈夫ですよ、ある程度の情報の解禁は
思わずほっと胸を撫で下ろす。良かった、世界の意思に消されたりはしないのね。黒服の男に「君は、少し知りすぎたようだ」とか言われて消されたりするのはゴメンだ。
「......ま、それだけじゃないんですけどね」
そう呟きながらばりばりとお茶請けの煎餅を頬張りながらMAXコーヒーを飲むユイ。あ、吹いた。
「なんですかこれ!?あっま!?」
「そりゃマッカンだからな」
「......成る程、こんなモノ飲んでるから目が腐ってるわけです」
や、それ関係無い気がするんだが。多分。
なんか「うえ、アニメイトでラノベ買って帰る途中に高校生カップルを見て吐きたくなったレベルで甘いです.....泰山の麻婆食べたい.....」とか呟いてるけど、そのマッカン作るのかなり苦労してるからな?わざわざ35層の迷いの森とかいう、よくありそーな名前だけどかなり鬼畜な仕様のフィールドで採取してきたコーヒー豆から作ってるんだぞ?なかなかレアいからな?
「―――兄さんはクォーターポイントでの戦いを、覚えてますよね?」
ユイの視線がグラディウス・アウルムに向く。グラディウス・アウルム―――
「あの時、兄さんは尋常でない強さでした。それこそカーディナルが注目するほどに」
俺は、あの時の感覚を思い出して身震いした。
「相手の今までの行動から、その行動パターンやアルゴリズムを導き出して最大効率で攻撃する。言うは易く、行うは難しという奴ですね」
そんな俺を見て、ユイは僅かに目を細め、話を続けた。
「―――人間には、恐怖というモノがあります。例えば、眼球の数ミリ手前にナイフの切っ先があったとして―――恐怖を欠片も抱かない人間は、人間と呼べるのでしょうか。そんなのは思考停止した
「..............」
「理性が本能を完全に凌駕する、かと言って感情がわからないわけではない。―――これは
「..............それは、俺が機械だとでも言いたいのか?」
「いいえ。ただ、私達は兄さんに非常に興味を抱いている―――というだけですよ」
どこか艶麗な笑みを浮かべるユイを見て、俺の背筋を何か冷たいモノが走り抜けた。
「.........そうかい。まあ、今日は帰れ」
「はい。お邪魔しました兄さん―――あ、あと一つだけ」
扉を開けて、雪の降る中に立つ
「この世界が、茅場昌彦の意思のみで産み出されたと思うんなら―――それは大間違いですよ」
「ッ!?......どういう、ことだ?」
「ふふ、ここから先は禁則事項です♪」
願わくば、兄さんが真実にたどり着かんことを。
そう呟いて指をパチンと鳴らすと―――少女は、最初から何処にも居なかったように消えるのだった。
※※※※※※※※
後日。
「ねえ、なんでお前いるの?」
「あ、兄さんお帰りなさい」
「さらっとスルーして煎餅食ってんじゃねえよ!というか返せ!」
「今日は醤油ラーメンがいいです」
「しかも昼飯までご所望とか、どんだけ面の皮厚いの?帰れ」
「細かいこと気にしてるとハゲますよ。―――あ、コーヒー豆少し拝借しました」
「うるせえよ。あと勝手にパクんな!」
「タバスコinコーヒー......なかなか良いですね。
「飲むかッ!!コーヒーにタバスコ投入するのは現在過去未来合わせてもお前くらいのもんだよ!」
「いえ、それほどでもないですよ」
「褒めてねえよ!?」
うちに謎の居候が増えました。
―――この事が原因で「ハチマンはロリコン」という誤認識が撒き散らされるのは、少し先のことである。
え?原作ユイの面影が欠片も残ってない?フハハ聞こえんなぁ!
ユニークスキルは別に擬人化したりはしま....................せん、はい。多分。めいびー。