「ごめん!!遅くなったっ」
家まで必死に帰った当麻はドアを開け、真っ先にそこで座って顔を下げている少女に謝る。
「・・・・・」
しかし当麻にその少女はまったく反応をしなかった。
「ん・・・?」
不安に思った当麻が顔を覗き込むと、少女はスヤスヤと寝ていた。
「・・・・・・」
玄関でたった一人で自分のことを待っていてくれた少女と居間にあるテーブルに今だ並べられている、もう冷めてしまっただろう料理を見て当麻は無性にうれしくなりにっこりと笑う。
「待っててくれてありがとうな」
当麻は少女の頭を右手でやさしく撫でると、少女の膝の裏と背中に手を回し、起こさないようにゆっくりと抱き上げた。
「ま、ここで寝たら体痛くなりそうだし、さっさとベットに寝かせますか」
そして当麻はゆっくりと少女を起こさないように少女の部屋へ向かった。
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そして物語は少し前に遡る。
ある少女は学校が終わると騒がしい子供のお見舞いに行き、特売の時間に合わせて食材を買い占め
(同居人の青年はかなりの給料をもらっているのだが、
ある少女たちの為の治療代で底をついている為に切り詰めている)
家に帰るとちょうどいい時間帯になっていたので二人分の夕飯を手際よく作った。
「こンなもンでいいだろ」
自分用のエプロンを外し、料理を盛った皿をテーブルの上に並べる。
やることが無くなった少女はテレビを見るが、面白い番組がなかった為にテレビの電源を消し、ふと時計を見上げた。
「上条くン、遅ェなァ・・・・」
時計を見上げるともう二十時を回っており、本来なら青年がもう帰っている頃だった。
少女は玄関まで行くとしゃがみ込む。
「早く帰ってこねェかなァ・・・」
少女は玄関で待っている間に、そのまま眠ってしまった。