「こ、これでいいか・・・・?」
よれよれの白衣を着た上条当麻は全部の始末書を書き上げ、上司の下に持ってきた。
「ふむ、じゃあそれを全部あそこにある機械に入れてくれ」
指差されたほうにあったのは書類を処分する機械。
「っておい、あれシュレッダーじゃねえか!!さてはテメェ、人に書かせるだけ書かせておいて読むきまったくねぇな!!」
「それに山ほどの始末書を書かせたのは単なる君をここに引き留めておくための嫌がらせだからね」
「なあ、久々にキレちまったよ・・・。表に出ようか?」
この真っ暗な部屋の壁を指してその上司を引きずり出そうとする。
「まてまて、さすがに50年以上もかけて作った箱庭を壊されるのは勘弁だ」
上司は赤い弱アルカリ性の液体で満たされた試験管のようなものの中で逆様に漂いながら余裕そうに言う。
「ったく、この街を本気でぶっ壊そうかと思ったぞ?」
「ふふっ、君にはできないよ。だからこそ君に教師職を押し付けたのだからね」
「・・・・・・ま、てめぇがそんなことを計算してない訳が無いよな」
当麻はその試験管内で不敵に笑っている『人間』を見上げる。
「なぁ、『学園都市統括理事長』アレイスター=クロウリー?」
「君がここに残ってくれるとはね。なんたって君をスカウトに来た国や組織は山ほどいただろう?」
「その話を聞く前に、俺にあのガキの世話係を押し付けたのはお前だろうが・・・・」
「ふむ、そうだったかな?」
アレイスターはとぼけたようにごまかすとある画像を当麻に見せる。
そこにはしょんぼりと時計を見上げながら二人分の夕食を前にしてまっている少女が写っていた。
「そのガキが君を待ってるのでは無いか?ここでは分かり難いと思うがもう二十時時を回るぞ」
「げっ、だからここに時計を付けろっ言っただろうが!!」
「だが帰りが遅くなったのは君の落ち度だろう?」
遅くなった原因は間違いなく当麻の始末書のせいだろう。
「そうだけど・・・・。ああ、もう不幸だーーーーーー!!」
当麻が脱兎のごとく、当麻用に作られたゆういつの階段を叫びながら駆け下りていく。
「これから私に見せ続けてやる、だったっけ・・・・」
七年前、地面に転がったアレイスターに自分を殴り倒した男が言った宣言。
それを思い出し、ほんのわずかアレイスターが女の優しげな雰囲気をまとう。
「ふふふ、これからも私に世界の可能性を見せてくれよ。なぁ上条『統括理事長補佐』?」
聞こえないと分かっていても、アレイスターは呟く。
ここは核爆弾さえも通じない、通称『窓の無いビル』の部屋の一室。
数人しか出入りを許されていないそこはさまざまな機器に埋め尽くされている。
そんな部屋でアレイスターはかすかに微笑み、画面内で大通りを疾走している当麻を眺めわらっていた。
これから原作キャラ(と言っていいかはかなり微妙なの)がバンバンフライングして出てきますがご容赦をお願いします。