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七月十八 その五
少年を乗せた護送車が去った後、セブンスミスト内の事件現場では数メートル離れたところで二人の男女が話をしていた。
「あの少年、これからどうするつもりじゃんねぇ」
「大丈夫ですよ、アイツは立ち直れます。まだ若いんですから」
「・・・・・それは私に対する挑戦と受け取っていいじゃんか?」
女は男の首に腕をまわし締め上げる。
「ちょ、黄泉川せんせっ、キマってる、キマってっから!!」
「うりうり、お姉さんと密着して嬉しいくせにっ」
「それでも頸動脈決められて嬉しがる変態
「またお前かっ!!」
「羨ましいぞっ」
「俺等に見えないところでやりやがれ!!」
「黄泉川さんの相手よろしく~」
当麻とシリアスをコミカルに解決する女、黄泉川愛穂がふざけている(半分本気)のを見ても事後処理をしているアンチスキル達は誰も助けに来なかった。
その間に当麻の顔色は青になり真っ赤になり紫になり、最後は真っ白になっていく。
「ちょ、マジでしn・・・・」
「あ・・・・、オチちゃったじゃん」
気絶した黄泉川はすごい軽くそう言うと、肩に担ぎアンチスキルの車両に運んで行く。
「あ、また声かけれなかった・・・・」
「私も・・・」
その頃、その光景をチラチラと見ていた女性アンチスキルは同時にため息をついていた。
あれから三十分位が経過し、車両の中で気絶していた当麻は自分の携帯の着信音で目が覚めた。
「ん・・・?はい、もしもし・・・・」
「早くかたずけてくれと言った筈なんだが?」
「あ~、今から行くわ」
当麻は明らかに怒っている上司からの電話を勝手に切ると、携帯の電源も落とす。
「さ、怒られに行ってきますかね?」
建物の間から見える異色なビルを見ながら当麻はゆっくりと歩を進めた。