こちらでもとある高校の制服を着たアルビノ少女が十人近くの同じ顔の少女たちから走って逃げていた。
「ついてねェなオイ・・・・。いきなり当麻くンに呼ばれたと思うと、メルヘンや馬鹿面やあのグラサンや青い変態もいるし、メルヘンはいきなり飛ンできた火の玉に当たって吹っ飛ぶしよォ。そンでいきなり鬼ごっこだァ?頭ン中腐ってンじゃねェだろォな」
文句を言おうと思うが誰に怒りの矛先を向ければよいのか分からず独り言のように呟くが、彼女を追いかけている少女たちも犠牲者と言えた。
「早く捕まえさせろ、とミカサはあの人を追いかけたいのにクソ生意気な上司の命令で白もやしを追いかけさせられているいらつきを前面に押し出します」
「さっさと捕まって上位個体のおもちゃにでもなってろ、とミカサは逃げる白もやしの背中を狙い撃ちます」
「クソッたれがァ!!」
能力で少女が持ったエアーガンから発射されたBB弾を能力で跳ね返しながら逃げ続けると、前方からも数人の少女たちが現れた。
「止まりなさい白もやし、とミカサは一斉に目標に向かって引き金を引きます」
「白もやし言うンじゃねェ!!」
プラスチック製の弾の雨を跳ね返した少女は重力ベクトルを操って宙を舞い、建物の屋上に逃げた。
高い建物の屋上に立ってようやく一息つけた少女はいつもよりも騒がしい街にしかめ面を作る。
「ったく、なンだってンだァ?今日は至る所で爆発音が聞こえてくンぞ」
下から数人が駆け昇ってくる足音が聞こえてきたので、少女は屋上から再度空中に身を躍らせて空を音速を超えた速度で飛んでいく。
「当麻くンにはあれから連絡が通じねェし。クソメルヘンは・・・・・・まァいいか」
百合子は時間でも潰そうとひそかに気に入っている喫茶店の前に降り立つとドアを押し開けて中に入る。
百合子がカウンターの椅子に座った時、ドアに付けられている鈴が鳴り、次の来店者を知らせる。
何気なしに百合子がそちらを向くとピョコッとアホ毛がはねている十歳くらいの少女が空中遊泳をしながら百合子に向かってきていた。
「うげっ!?」
「獲ったどーッ!!ってミカサはミカサは某芸人の真似をして高らかに宣言してみるっ!!」
椅子から転がり落ちて床に後頭部を叩き付けた百合子は眉間にしわを寄せながら腹の上で喜んでいる少女を見上げる。
「びっくりさせンじゃねェぞ打ち止め」
そう百合子が小言を言うが少女には馬耳東風、どこ吹く風で手を掴んだまま引きずるように走り出した。
「それじゃあ今から一緒に買い物に行くぞー、ってミカサはミカサは百合子の手を引っ張って猛ダーッシュッ!!」
「ちょ、オイ、待てって言ってンだろォが打ち止めァっ!!」
『一方通行アウトー』
カランカランと鈴が鳴り二人が出て行ったあと、学園都市内の鬼ごっこの実況を流しているラジオからそう聞こえてきたのだった。