「浜面、すぐに止まらないと手足がもげて芋虫になるにゃ~ん」
「可愛く言ってるつもりだろうけど恐怖しか伝わってこねぇっ!!」
所変わって茶髪の少年、浜面仕上が大人びた少女に追いかけられながら飛んでくるビームをギリギリでかわしながら悲鳴を上げていた。
いつも当麻の荒事に付き合っているうちに身に着いた直感スキルで頭を狙って放たれたビームを首が鞭打ちになりそうなほどの勢いで傾けて避ける。
頭のすぐ横をビームが通り過ぎ、頭を貫通されて赤い血をまき散らす花火となる代わりに髪の数本がジュッと音を立てて溶け、その嫌な臭いに浜面はゾッと顔を青くする。
一瞬思考が止まりかけるが不意に本能が警鐘を鳴らしたのでその通りに前にこけるように飛び込んだ。
すると浜面の靴底を掠るように車が降ってきて、衝撃にスプリングが耐えきれずグシャリと音を立てて大破した。
「邪魔すんじゃねえよ絹旗」
「麦野には悪いですが今日は統括理事長主催の超無礼講なゲームなんです。浜面を捕まえて一日中リードを着けて超犬として連れて回すんです」
「オイッ!!俺を社会的に抹殺する気か絹旗っ!!」
どっちに捕まってもバットエンド直行な浜面は次々と飛んでくるビームや車などの物体を必死に避け続ける。
しかし今日の大会では乗り物は使っては反則なために様々な兵器を使えるという浜面の長所がつぶれてしまっていた。
「浜面、いい加減捕まらねえとぶ・ち・殺・し・か・く・て・い・な」
「走って逃げるしかねェ無能力者が私から逃げれると思ってンですか?」
「うわーい。二人とも完全に本気モードだー」
「浜面、こっち」
絶体絶命だった浜面が路地裏から伸びてきた手に浮き上がるほどの力で引っ張られ、宙に浮いたままものすごい勢いでめまぐるしく後方に流れていく景色に思考が止まっていた浜面は手の持ち主が止まった時に勢い余って壁に叩き付けられた時にようやく思考が動き始めた。
「大丈夫はまづら?」
「あぁ。何とか助かったよ滝壺」
「はまづらは頑張った。えらいえらい」
ジャージ姿の少女はいつになく覇気を纏っており、浜面の手をがっちりと掴んでいた。
『浜面アウト~~』
そこにとてもやる気のない声でアナウンスが流れた。
「あ、大将ごめん」
「だめだった?」
少しすまなそうな顔をする滝壺に浜面は思いっきり笑った。
「いや助かった。お礼に次の休暇にはどっか遊びに行こうぜ」
「はまづらと一緒ならどこでもいい」
『イチャイチャするなそこっ!!それは当麻さんと一緒に居れない私への当てつけですかコラァッ!!』
幸せ空間を形成する二人にアナウンス役の陽夏がスピーカー越しに怒鳴るが二人はまったく気にせずに手を繋いでデートに行ってしまった。