とある上条さんの年齢変換   作:亀さん

36 / 47
病院で その四

 

「やあ上条当麻。久しぶりだな」

アジトのドアを開けると十二歳ぐらいの少女が尊大な雰囲気を纏いながら当麻に挨拶をする。

見た目は幼いが、やはり魔術結社の中でも最大級の勢力を誇る『明け色の陽射し』を束ねるボスにふさわしい覇気を纏っていた。

 

 

「そういいながらも、わずか数週間前に俺の家を訪ねてきたお子様が何偉そうにしてんだか・・・・・・」

まあ、そんな尊大な雰囲気も当麻の一言で霧散してしまった。

 

「ば、馬鹿なことを言うな。私はあの時お前に用事があって来たのだ。間違っても私的にお前に会いに来たわけでは」

「そう言ってますが。学園都市に来る前からソワソワと落ち着きがありませんでしたよ」

「黙れマークッ!!この前拾ってきた玩具でまた悪戯されたいのかっ!!」

当麻の耳元でボソッと教えてくれたマークに彼の上司であるレイヴィニア=バードウェイが恥ずかしさを爆発させて怒鳴る。

その兄弟げんかの様な光景を見ていると一日が終わってしまいそうだったので当麻が間に割り込んだ。

「はいはい。で、今回はなんの用だ?また『明け色の陽射し』に入ってお前の部下になれとでもいうのか?」

「ふんっ。いつもならそう言いたいところだが、今回はお前が怪我をしたと聞いたのでな、見舞いに来たんだ。ありがたく思え」

「おお、ありがとな。お前が寄越してくれたマークのおかげであの修羅場から脱出できたよ」

当麻がバードウェイの頭を撫でてやると一瞬気持ちよさそうに目を細めたが、はたと子ども扱いされている(実際子供なのだが)ことに気が付いた彼女は目を吊り上げて怒り出す。

 

「何をしているんだっ!!いきなりレディの頭を撫でるとは・・・・・お前は一応紳士の国で数年過ごしたこともあるはずだっ」

「わかったわかった。もう撫でないから怒るな。そうだ・・・・・恋人でもない男がレディに会うのはあまり体裁も良くないな。こんな形でも会いに来るのは控えることにする。バードウェイだってこんなに可愛いんだからこれから先、いい人が見つかるかも知れないしな」

「えっ・・・・・・・」

当麻が少しだけ意地悪で言った言葉は何やらバードウェイにとって苦渋の決断を強いることなったようだ。

頭の中で子ども扱いされることと、当麻と会えなくなる事の間で揺れているバードウェイの微笑ましい光景にまるで親のような表情を浮かべてるマークは隣に立っている当麻に耳打ちをする。

 

 

「ボスをお願いします」

「馬鹿言うな。バードウェイに手を出したら俺は土御門を超えたロリコンとシスコンになっちまう」

軽口を叩く当麻はふっと表情を真剣な物にしてマークの方を向かずに喋る。

 

「で、それだけじゃないだろ?」

「ええ。今向こうで少し魔術師たちが騒ぎ始めていましてね。ロンドンで暴れようとしているんです。それは私たちとしても利益が無いので遠慮したいのですが、私たちのような組織が必要悪の教会に協力を求めれないので今回は王家と教会どちらにもつながりのある上条さんにお願いしたいと。ボスはすごく迷っていましたけどね」

「わかった。飛行機はあるな?」

「私の直属の部下に案内させます。こちらへ」

マークの部下に連れられて秘密ルートで学園都市を出ると当麻は飛行機に乗り込んだ。

超音速旅客機に乗り込んだ当麻が、いつの間にかいなくなっていたことに激怒してマークにお仕置きフルコースを叩きこんでいるバードウェイが幻視できたが当麻はいつもの事だと気にせずこの後来るであろう鉄の板を前後からゆっくりと押し付けられるような圧迫感をどうやって軽減するかを悩み続けていた。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。