orzごめんなさい。
だって、一番キャラ崩れても自然なの今のところ垣根君しかいないんだもんっ!!
と泣きごとを言いながらも、帝督君が好きな人ごめんなさい。
作者は彼の事を馬鹿をやりながら百合子を元気にする悪友だと思っていますので、たぶん二人の関係はそこら辺を行ったり来たりするのではないでしょうか。
「クソッタレ・・・・・」
体を起こし、病室の一室で寝ていた少女は小さく自分へ対する怒りを口にする。
どこからか自身の情報が漏れていたとはいえ、敗北した自分となにより敗北を招いた自身の能力への驕りを戒めるように手に血が滲むほど強く握り締める。
そうしているうちにノックも無しに体中に包帯を巻いた少年が入ってきた。
「わりぃな百合子。お前の足を引っ張っちまった」
「オマエのせいじゃねェよ。オレがあの女に勝てなかったのが敗因なンだからな」
「・・・・ったく、調子狂うぜ。いい加減切り替えろよ、今回は敗北したけどな、相手の能力は大体把握しただろ?なら次は負けねえ、学園都市の第一位と第二位に勝てる奴なんざ俺は当麻君以外で知らねえからな」
「・・・・・・ちっ、クソメルヘンに言われるなンてなァ・・・・。オレも落ちたもンだ」
「って、俺の地位って百合子の中でどこらへんなわけっ!?」
「ぶっちぎりの最下位」
「がぁあああああん・・・・・・」
大げさすぎるアクションでがっくりとうなだれた帝督を
即座にゴミを見るような目で見た百合子にカエル顔の医者が笑う。
「本当に君たちは仲がいいね?」
「ンな訳ねェだろォが」
否定した百合子に対し、帝督は起き上がると声を張り上げる。
「俺等の仲は世界一ぃいいいいいいいい!!」
「ふざけてンじゃねェぞクソメルヘンッ。ご近所様の迷惑だろォがァ!!」
「ブベラッ!?」
「また古そうな叫び方を選んだね?」
いつの間にか居た冥土帰しの言葉に調子に乗った帝督は百合子に殴り飛ばされ病室の白い壁に赤い染みを作った。
そんな状態になってもにこやかに立ち上がった帝督に二人がある種の尊敬の念を籠めた視線を向ける。
「さて、僕は他の患者さんを見てくるからね、おとなしくしておくんだよ?」
「どうすっかな・・・・・」
「・・・・・なァクソメルヘン・・・・」
「どうした?」
「オレの能力の破り方をお前は気が付いて居たか?」
「あぁ・・・・。お前の能力を知ればある程度はな。大方、それを突かれて負けたってとこだろ?」
「チッ・・・・・・」
「・・・・・ま、いいか。もし百合子と殺し合う時の為に黙っとこうと思ったんだけどな」
帝督はやれやれと頭を振り、紙に百合子の能力を破る数パターンを書き出した。
「当麻くンの右手やキャパシティダウンによる能力そのものの阻害、あの女がやったよォにオレのベクトル操作を利用してオレ自身に引き寄せさせる、あとオレが操れねェレベルの巨大なエネルギー量で反射を超えるとかか・・・・・」
「ま、今俺が考え付く物の中じゃそれらかな」
「一番最初のは当麻くンじゃねェ限り、完璧には阻害できねェしな。地球の自転レベルのベクトルも操れっからほぼあり得ねェな」
「ただ問題はその二番目。これは空想上誰でも可能だ、反射膜に触れてから引くぶん体重が乗った攻撃と比べると格段威力が下がる分、普通の奴ならまずダメージは入らねえけどな」
「だが、オレのこのひょろい体じゃそれだけでイっちまうっつーことか」
百合子は自身の細い体を見て舌打ちする。
「だが俺は無乳な百合子が大好きだっ!!」
「無乳言うんじゃねェッ!!あとオマエ、常識で考えて頭ン中のネジ十本単位で吹き飛ンでンじゃねェか?」
百合子が呆れつつ言うと、帝督は女なら十人中九人を落とせるだろう笑みを浮かべながら胸を張る。
「俺に常識は通用しねぇ!!」
「やっぱ死ねよオマエ」
帝督がそう堂々と決め台詞を叫んだ瞬間、百合子から飛び出した黒い何かによって病院の壁を音速の数倍の速さで突き破り、流星となった。
慌てて病室に飛び込んできたカエル顔の医者は病室にぽっかりと空いている壁を見て首をかしげた。
「どうしたんだい?」
「クソ野郎を一匹吹き飛ばした所だァ」
「・・・・なるほどね、次はキャパシティダウンを数台設置した病室に括りつけとくかな?」
「そォしてくれ。その方が全人類のためになるだろォ」
布団にもぐりこむ少女にカエル顔の医者はため息をつく。
「まったく、そんなに暴れるんなら上条君に来て貰うよ?」
「ちっ、あのクソメルヘンを別室に閉じ込めろ、そォすりゃオレは暴れねェよ」
「わかったよ。じゃあ、そうしておくからね?」
「さっさと出て行けこのカエル」
「じゃ、お大事にね?」
カエル顔の医者の足音が遠のいて行くのを聞き取ると百合子は警戒しつつそっとベットの下にもぐりこみ、ベットの下を能力を使って正確に叩き隠れ収納スペースを開けた。
「誰もいねェよな?」
ベクトル能力で空気の流れを観測して誰も居ない事を確認すると、中から妙に某ツンツン頭の青年に似ている猫にサイズを合わせた白衣を着せた明らかに誰をモデルにしたか解る人形をゆっくりと取りだしてそれをギュッと抱きしめる。
「当麻くン、早く帰ってこねェかなァ・・・・・・・・・・・」
シーツに囲まれた薄暗いベッドの下で鏡を見なくとも真っ赤になっているのが分かる程に熱くなった顔を隠すように人形に押し付けながら呟かれた言葉は外に漏れることは無く、病室は無音を保ち続けていた。