とある上条さんの年齢変換   作:亀さん

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七月二十四日

二十四日、当麻は浜面に車を飛ばさせ現場に向っていた。

 

「だぁ~っ、くそっくそっくそぉ~~~~~~!!ったく、勝手に木山に手を出しやがった馬鹿は一体どこのどいつだっ!!」

珍しく苛立ちを隠しもしない当麻に内心びくびくしながら浜面が後部座席でわめいている当麻に質問する。

 

「何が起きたんだ大将?」

「ああ、どっかの馬鹿が木山を追い詰めたせいで彼女が統括していた幻想御手のネットワークが暴走し始めたんだよっ。

「それってまずいのか?何時もって言えるくらい高確率で滝壺とのデート中に第一位と第ニ位の能力使用の喧嘩を見てるんだが?」

「当たり前だっ!!あいつらは喧嘩に没頭する程馬鹿じゃない。しっかり自分の能力を完全にコントロールして周りに被害が出ないように喧嘩してんだ。だが暴走してる物なんかにコントロールがきく訳がねえ、しかも最悪な事にすぐそばに爆弾があるからな・・・・・」

「あ、あの~大将?爆弾って一体・・・・・・・?」

「原子力発電所」

「ノォオオオオオオオオオオッ!!じゃあ何で暴走何かさせるんだよっ」

 

「だ~~か~~ら~~こっちはそれが起きないように穏便にやろうとしてたってのに!!本気で突って倒せば終わるなんて夢見てる幼い子供かよ最初に手を出した奴、もしくは奴等っ!!」

最近ずっと休みを返上してまで働き続けているのに当麻が手続きしなければいけない書類と、どこかで怪我をして病院に運び込まれた少女と少年のお見舞い、あげくの果てにこの度の事でようやく仕上げた正当な書類が水の泡になった事に不機嫌度100%で吼える。

 

「どうなるんだよっ」

「俺だって知らねえよ。後の被害結果がどうなるか予想してないでとりあえず急げ浜面っ」

「あいよっ!!」

これで間に合わなければ恐ろしいことになるのは理解できた浜面は全力でアクセルを踏んで表示されてる時速制限を越えるスピードで道を走りぬけた。

 

 

 

ブヨブヨとした肉塊の化け物はすでに両腕を失い、オレンジ色の光線に核を打ち抜かれ塵となっていく。

 

それを見ていた予期していなかったとは言え、化け物の生みの親がぽつりと呟いた。

「これで終わったか、いや終わってしまったな・・・・・」

木山がほっとしたような、でも無念そうに呟く。

「あんた・・・・・」

 

 

「やっぱりお前か御坂ぁああああああああああああっ!!!!」

しかしその哀愁漂う雰囲気は怒りを帯びた怒鳴り声で吹き飛ばされたが。

 

 

「「っ!?」」

その声に美琴と木山が弾かれたように振り向くとこちらへ猛スピードで向かってくる車から顔を出しているツンツン頭が目に入る。

 

 

その車は素晴らしいドライビングテクニックで二人の目の前に止まるとドアが吹き飛ぶ勢いで開いて、美琴に説教を始めようとする当麻を必死に押さえてる浜面が中にいた。

 

「え・・・・・・」

「てめっ、浜面離せっ!!こいつは何度言っても聞かねぇから今度こそはっ」

「ちょ、大将。今回の犯人捕まえなくてもいいのかよ?」

「あ~~~~~~。はぁ・・・・・そうだな、やっぱ説教するより先にやることがあるか」

男は茫然と立ってる美琴を躱して木山の前に立つ。

 

 

「木山春生だな?お前を幻想御手の頒布の容疑者、及び公務執行妨害の実行犯として拘束する。御同行願おうか」

当麻は懐から出した書類を木山に突きつけると、木山は諦めたように苦笑する。

 

「噂でしか聞いたことが無かったが・・・・・。子供らを悪質な事件に巻き込めば必ず潰されるというのは本当だったようだね。いや何、この道を選んだ時から消されるのは覚悟してたさ。ただ破滅して欲しい奴らが潰されるのを見たかったけどね」

 

「じゃあいいか?そこの車に乗り込め。ここじゃ余計なのがいるからな」

「ってちょっと待ちなさいよっ」

木山に手錠をかけた当麻に美琴が止めに入る。

 

「ん?」

「なんでアンタが捕まえてるのよ、普通はアンチスキルに引き渡すのが常識って物でしょうが」

「・・・・・なるほど、君の事はこの子は何も知らないのか」

少しばかり納得したような表情をした

 

「ま、その話は後だ。浜面急げっ、このままだと木山をアンチスキルに連れて行かれちまう、そうなったらお前にも釈放願いの為の書類を書かせんぞ!!」

「それだけは勘弁だっ」

遠めにアンチスキルの護送車が到着したのが見えたので当麻が浜面に合図して車を動かさせる。

 

「乗り込めっ」

「分かった・・・・・」

ダメージでまともに動けない木山を抱えて車の座席に座らせ、扉を閉める。

「大将も早く乗れっ」

「・・・・ああ、はやく逃げるか。あと御坂、今回の事件に一緒にかかわった奴の名前を全員分を後で俺に送れ。全員と話をしなくちゃな」

「・・・・・ってちょっとっ!!」

「浜面、もういいぞ」

「良いのか?嬢ちゃん騒いでるけど・・・」

「ああ、さっさと逃げんぞ」

「了解」

 

「じゃ、浜面。後は頼んだ」

「任せろっ、こちとら逃げるのには自信があるんでいっ!!」

勢い良く浜面がアクセルを踏み、一気にトップスピードを出す。

 

「ちっ・・・・。追うじゃんっ!!どこの馬鹿か知らないけど木山春生を逃がすなっ!!」

「は、はいっ」

アンチスキルが総動員で追い始めるが、当麻の権限で手に入れた学園都市の最高峰の技術を使って作られたその車の性能と、免許は取ってはいないが数えるのも億劫になるほど当麻の足として事件に巻き込まれ、そのたびに命からがら暗部の組織から乗り物の操縦技術で逃げ続けた浜面に勝るわけも無く、アンチスキルはとうとう当麻たちを見失ってしまった。

 

 

アンチスキルから逃げ切り、低速に落ち着くと当麻が浜面に防音効果があるシャッターを閉めるようにサインを出し、前後を完全に隔離した。

「・・・・・・で、君のような闇の中でも最深部にいる人間が私を直々に始末にでもしに来たのかい?」

「そんな勿体ない事誰がするか。俺はアンタがたった一人で幻想御手なんてシステムを効果が表れるまで形にした、知識、技術、閃き、何よりその学園都市の闇なんてものに消される可能性のある道を迷いなく進んだアンタの度胸を買ったんだ」

そう言うと目の前にいきなりごく薄の液晶が出たと思うと当麻は画面をタッチして自分のスケジュールを取りだした。

 

「そうだな・・・・・・。俺は忙しいし、あんたにある実験の被害者たちを助けるまとめ役をやって貰いたいんだが」

「そんな事、私にやらせて良いのか?これでも私は学園都市の学生を何人も昏倒させた事件の首謀者なんだが?」

「いいってほら、これがその申請書類」

男が手渡して来た書類を見た木山の衝撃は必死に繕っていた無表情の仮面を粉々になるまで砕き、感情をむき出しにさせる。

 

「な・・・・・。なんでこんなところまで君がする必要があるんだっ」

「だって当たりまえだろ?学園都市の科学者達(ばかやろう)の犠牲者の何人かだろ?」

なら助けるのは当たり前だと男がさも当たり前のように言うので木山は一気に目の前の男を警戒する。

こんなに旨い話しには裏があるのが学園都市の闇だった。

そこに身を置いた物ならこう反応するのは当たり前、

 

 

「何でこんな事をするんだ。君には何のメリットも無いはずだ!!」

だれが好んで知り合いでもない子供らを助けるために学園都市の闇を相手にするというのだ、

 

 

「俺は単にガキ達が不幸になるのが許せない、それだけだ」

「信じられないな」

「信じてもらわなくても構わないぜ。あんたが動かないんならほかの人間を使って助けるまでだ。あいにく俺は忙しいってだけで他の連中を使えばベストではないだろうが解決出来るからな」

「・・・・・・・・ふぅ、仕方が無い、か。まぁ信じてみるしかないか」

木山がため息をつく。

 

「俺が言うのもなんだがな。何で信じるんだ?」

「君は以前私が車の鍵を失くした時、一緒に探してくれただろう?」

「く、思い出したくない事を・・・・」

駐車場のあたりを大の大人(特に上条当麻という有名人)が車の下などを覗き込んでいたという話は瞬く間に広がりしばらく当麻は居心地が悪かったのを思い出し、渋面を作った。

 

それを見た木山は口を手で隠しながらクスクスと笑う。

「笑わないでくれよ。あれから結構周りの奴らの反応が可笑しくて大変だったんだからな」

「ふふ、いや悪かった。いやなに、出会ったばかりで赤の他人の私が無くした車の鍵を懸命に探してくれる君だから信じられたのかも知れないな」

ボールペンで署名欄にサインした木山は当麻に書類を手渡しつつ、謝る。

 

書類を再度確認し、不備がないかどうか確認し終わると書類から目を外す

「ったく・・・・・。俺は闇に落ちたガキを残さず全員引き釣りあげるって決めてんだ。早く隠居生活をしたいしな、さっさと全員を表に引きづり出してやる」

恥ずかしいのかわざとぶっきらぼうに言い放ち、外を見るように視線をはずした男に木山はクスリと笑う。

 

「・・・・・ああ、絶対にだ」

この男と近い未来にそれを成し遂げている自分の姿を予感しつつ、今は疲れきった体を休めるためにゆっくりと瞼を閉じた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

学園都市から遠く離れた土地に立つ宮殿の中で、女がふと気が付いたように窓の外を見た。

「・・・・・・」

「どうかなさいましたかキャーリサ様?」

「なに、夫がまた愛人を増やしたよーだし」

「・・・・・・(こんど上条当麻にイギリスに来た時は気をつけろとメールでも打つか)」

 

「当麻がまた妾を召したようなりね」

「私もなんだけどよ、なんで私達ってその事がわかるのかしら?」

 

世界各地でこの現象が起こっていたのは知る由もない。

 

 


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