今年もゆっくりと更新していきますのでどうかよろしくお願いします。
「あ~何にも無かったな~」
あれから探し続けるもたいした情報も無く、いい時間になったので近くにあったファミレスに入った。
「ん~、やっぱ現物がないと話にならないな・・・。おっ、この新発売の商品を頼んでみるか」
「え~っと、すみませ・・・・」
メニューにあった新商品を頼もうとして回りを見回したとき、見慣れたシャンパンゴールドの髪を見つける。
「ん・・・?」
当麻が隠れて観察しているとその髪の少女の周りには自慢げに何かを話している不良。
「ん~、なんだろうな・・・」
一応、少女の親から頼まれている身としてはあの男の存在をはっきりさせておきたいために聴覚を強化し盗み聞きする。
「でさぁ、俺ってばチョースゲェ力を手に入れた訳よ」
「幻想御手のおかげでさぁ」
「ラッキー♪」
当麻は立ち上がりその席のほうに向って歩き始める。
「なんならその幻想御手を売ってや「じゃあ俺に売ってくれるか?」あぁ?なんだテメェ・・・・・」
その不良は当麻の顔を見てその場に固まる。
「な、なんで上条がここにいるんだよ・・・・」
不良は恐怖に顔をゆがめながらゆっくりと後ずさりながらトイレのほうに向う。
おそらく仲間がそこにいるのだろう。
が、それを待つ程に当麻は良心的ではない。
「ま、ちょっとこっちに来てくれるかな~?」
「ひぃっ!?」
当麻に肩を掴まれた不良は当麻と一緒に店を出て行くと近くの目立たない路地裏に引き面れて行く。
「さあ、か弱い女子中学生相手になんで詰め寄ってたのかな?」
「れ、幻想御手の事を聞かれてっ、それで・・・・」
あの少女がまた事件に首を突っ込んでいる事に当麻は一瞬苦笑いをする。
「・・・・なるほど。ま、それでももう少しで手を出そうとしてたしな。このまま黄泉川先生達に通報しても良いんだが?」
よくドラマなどに出てくる悪代官のような笑顔でそう言うと不良は怯え、当麻に助けを求める。
「何でもするっ、何でもするから助けてくれよっ」
「じゃあ、幻想御手の事を話して貰おうか?」
その言葉を待っていたと言わんばかりに当麻はその不良に詰め寄りながらニヤッと笑う。
「話す、話すから」
この不良とその仲間たちは以前から問題を起こしては当麻と黄泉川先生率いるアンチスキル軍団に痛い目にあわされている為、もはやトラウマに近い存在になっているのだ。
「なら、それは何処で手に入れた?」
「そ、それは・・・・」
「はぁ・・・・・」
不良が口を開く前に当麻はため息をする。
否、口を開けなかったのだ。
「今回も駄目だったか・・・・・」
当麻が下を見ると当麻の足元にさっきまで当麻に情報を喋りだそうとしていた不良が白目を剥いて倒れている。
「これは厄介だよなぁ・・・・」
当麻は頭を掻きながら倒れている不良のために救急車を呼ぶ。
救急車が不良を病院に連れて行くと、入れ替わりに先ほどの少女が当麻に詰め寄ってきた。
「ったく、なんでアンタと一緒に居た不良が運ばれてんのよ」
「いきなり倒れたから仕方ねえだろ」
そういって当麻はそっぽを向いた。
「また倒れたのね・・・」
そんな当麻にその少女は憂い顔でそう呟いた。
近頃、頻繁に学生だけに起きる突然昏睡するという現象。
特に今回はこの青年の目の前で倒れたのだ、誰かに狙われて倒れたという訳ではないだろう。
「ああ、これで・・・・もう数え切れねえや・・・」
美琴以外は気が付いて居なかったが、向こうを向きながらそう呟いた青年は手から血がにじむ程に強く握りしめていた。
「これはアンタの所為じゃないでしょ?」
「・・・・・いや、もっと早く止めるべきだったんだ。情けをかける暇も無くな・・・・」
「な・・・・・・」
美琴は何時もと正反対の、まるで氷のように冷たく暗い当麻の表情を見て凍りついた。
そんな美琴を気にもせず当麻は立ち上がるとそのままその場を後にする。
「アンタの境遇に同情してたが・・・・、覚悟しろよ?これから俺は本気でアンタを潰すぞ」
当麻はここにはいない、黒幕に宣告する。
「木山先生」
当麻にとってあの不良も、あの少女もこれからまた倒れるだろう子供たちも自分が守るべき対象で、不幸な事件に巻き込んだ原因の人物の名を静かに怒りを込めて呟くと用意させてた車に乗り込む。
「駒場に連絡、幻想御手の回収に入れ」
「了解。リーダー、幻想御手の回収を始めてください」
当麻の指示どうり運転しているスキルアウトの少年はそう連絡すると当麻の持っているアジトの一つに向かって車が走り始めた。