ここは東京都西部に位置する学生の街、学園都市。
ここは科学が他より二十年から三十年以上進んでいる街で、超能力を科学的に開発する街でもある。
「あ~、AIM拡散力場ってのはお前等も知ってる通り・・・・・・」
その街の学校の教壇で教鞭をとっているのは髪をツンツンに立てている二十代前半の青年。
彼は教科書を見ていた目をふと上げ、そしてその彼を見つめている三十人程の生徒達に向かって言い放つ。
「って、これ俺がお前等に教える必要無くねえか?」
仮にも教師である彼がそう言ったのには訳がある。
彼の専攻は種類問わずの超能力に対してで、もちろんそれの教鞭をとっている。
そこに問題は無い、問題があるとすれば・・・・・・、
「あ・ん・たは~。いい加減、まじめに教える気あんのかコラーッ!!」
一人の女子生徒がいきなり立ち上がり、彼に向かって電撃を放つ。
十億ボルトを誇るその電撃の槍は青年めがけてまっすぐ飛んで行き、直撃する。
普通なら黒焦げの死体が転がっているだろうそこには青年が右手を前に突き出して立っていただけだった。
「やれやれ」
青年は少女を見て首を振る。
「はぁ・・・・・」
小学生の高学年になる位まではトウマお兄ちゃん、トウマお兄ちゃんって可愛く後ろをついて来てたのにな~、と青年がぼやいていると恥ずかしさからか少女が顔を真っ赤にして電撃の槍を次々と放り投げてくる。
「ちょ、止めろって美琴っ!!マジ、マジで死ぬっ!!」
「うるさいっ!!過去の事を話したアンタが悪いのよっ!!」
「いいですわね~御坂様・・・・」
「ええ、本当に羨ましいですわ」
「これは私達も参加して良いのでしょうか?」
「参加すんなよ、お前等、絶対に参加すんなよ!!これ以上増えると流石の上条さんも即バットエンド直行だからな!?」
二人が一方的な電撃キャッチボールをしているのを見て、周りの少女達が参加しようとしたのを青年が一生懸命釘をさす。
ひとえに超能力と言ってもこの学園都市は現在六つのランクに強度を分けていて、約百八十四万人の六割は無能力者とされ、頭の血管が千切れるほど頑張ってやっとスプーン位を曲げれるレベルなのだ。
しかしそれはレベル0だった場合の話。
総力を挙げればホワイトハウス位なら攻め落とせる程の能力者達の集まりであるこの学校の一員である彼女らが一斉に青年を狙えばオーバーキルレベルでは済まないだろう。
「てか最初にも言った通り、全員がレベル3以上のこの学校で俺が教える意味あんまねえだろ!!」
「それでもアンタは教師でしょうが!!」
「そうですわ、私は上条さんに毎日会う為にこの学校を選んだんですもの」
「私は上条さんの御声を聞く為に・・・」
「私は・・・・」
以下(ry)
「はあ、じゃあしょうがねえから授業再開するぞ~」
青年はけだるそうに教科書を開き、授業を始めようとした時だった。
「失礼します、上条先生にお客様がお見えになられてますけど」
「あ、ありがとな」
「い、いえ、ただ私は連絡を任されただけで・・・・」
「いや、それでも伝えてくれただけで嬉しいよ」
当麻がにっこり笑いながらその頭を撫ぜると、その少女は赤面して固まってしまう。
「お~い、じゃあ俺はちょっくら行って来るから自習しとけよ~」
そう言って当麻が来賓室に向かい、見えなくなったと同時にそのクラスは直ぐに行動を開始した。
ある念動力系統の能力の持ち主はその少女の動きを封じ、
ある身体強化系能力者は直ぐに扉の鍵を閉め、
透視系統の能力者はドアの外で当麻が戻ってこないか見張る。
そして少女達はその伝令を伝えに来た少女を囲む。
「ちょろっと~、アイツ宛の電話があったんだよねぇ。どんな感じの人
満面の笑みで電撃を放っていた少女に話しかける。
周りを囲んでいる少女達も真剣に少女をみつめている。
「真っ黒な神父服を着た、長身の男性と・・・・・」
「と?」
「長身で美人の女性でしたぁ」
少女は周りからの重圧で半分泣きかけで答える。
「へぇ・・・・」
それを聞いたシャンパンゴールドの綺麗な髪を持った少女から電撃が漏れ始める。
「全員、出撃準備!!あの馬鹿をぶっ飛ばしに行くわよ」
「「「「「はい!!」」」」」
この学園都市内でも五本指に入る常盤台中学、その名門校はある秘密がある。
それは数年前から勤務しているある先生を生徒、それに教師陣の女性全員が慕っている事。
彼女達は主に妬みを当麻にぶつけようとする男達を撃退する親衛隊同然で有り、
また彼を狙うハンター達でもあった。
「いくわよ・・・・。アイツを私のゲフンゲフン、アイツの犠牲者をこれ以上増やさない為に!!」
この名門校のエースとして君臨するにたりえるカリスマを発揮し、学校の生徒を率いて進軍する。
それを見送りにでた生徒、教師一同(おいこら、授業はどうした?)。
目標は無限に恋愛フラグを立てていく上に無視して行く青年。
その瞬間、彼女たちの心は一つになった。