東方雷神鳥   作:鬼いちゃん
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どんだけ放置してたんだろうなぁ……(遠い目)


吸血鬼異変・中

 門が鉄の軋む音と共に閉まった。刹那はその瞬間に目を瞑り、笑みを浮かべた。先程戦った紅 美鈴のことを思い出していたのだ。鬼ほどの力がなくとも、それを補うことのできる技量を持ち合わせる技巧者。同じ拳法で戦っていた彼のものには劣るだろうが、それでも十分に組手などでは楽しめるだろうと彼は踏んでいた。
 異変が終わった後にまた出向くのも一興かと思いながら彼は思考を戻し、目を開ける。そこには噴水が設置されていたり観賞植物が植えられている中庭で、丁度最後の妖怪を倒し終わった博麗の巫女の姿があった。
 博麗の巫女の服装は代が変わってもあまり変化していない。紅と白の脇を出した巫女服だ。そして現代の博麗の巫女は口数が少ない。だが、殺しの才能に関しては今までの博麗の巫女の中で最高という、紫のお墨付きだ。当の本人はそれをあまり好んではいないが。

「そっちは片付いたのか?」

「......粗方片付いている
 あとは紅魔館の連中だけだ」

 そういう彼女の周りには気絶しているであろう妖怪が多数見受けられた。しかし、中には抵抗が激しかった所為で致し方なく殺してしまったであろう妖怪もいた。
 気絶している妖怪の多くは顔が腫れていたり、青痣になっていたりしている者が多く、少数ではあるが部位欠損になっている者もいた。無理やり動きを封じるためにやったのだろう。
 死んでいる妖怪の殆どは退魔性のある針、封魔針で頭を貫かれていた。

「お前が派手に動いてくれたおかげでこちらもうまく行動できたが、存外派手すぎはしなかったか?」

「そうね。流石にあの轟音には驚いたわ」

 刹那が門前の妖怪たちを掃討した時に武器を爆破させたことを言っているのだろう。八雲 藍が九尾の狐の象徴ともいえる九つの尻尾を揺らしながら彼にそう言った。そしてその主である八雲 紫がそれに続く。とは言え、あの轟音のおかげで助かったのも事実なので、彼女たちは皮肉げに言う他無かった。
 彼としてはあの行動が苛立ちから来たものだったとは今更言えず、肩を竦めて苦笑するしかなかった。

「......休憩中悪いが、どうやら来たようだ」

 博麗の巫女がそう言うのと同時に中庭が緊迫感に近しい重圧に包まれた。
 刹那たちは重圧の発生源へと目を向ける。そこには紅い月を背景に両腕を広げる紳士服のような服を着た背丈の高い中老の片眼鏡をした紫色の髪の男と、丈の長いスカートを履いた金髪の女性が浮かんでいた。
 恐らくあの二人がスカーレット夫妻であることを、他の者たちとは桁の違う重圧でこの場の全員が理解した。そして異変攻略組がスカーレット夫妻の元に向かおうとした瞬間、中庭に巨大な魔方陣が現れ、彼らはそれに驚愕して足を止める。
 彼らが魔方陣の先に視線を送ると、紫色のネグリジェらしきものを着た少女が指先にナイフを当てて血を捧げながら呪文を唱えているのが見えた。何かを召喚する儀式であることは魔法に疎い彼らにも理解できた。詠唱を止めようにも魔力の奔流が凄まじく、手を付けられない状態だった。
 彼女が詠唱を終えた瞬間、中庭に描かれた魔方陣の中心部から闇としか形容できないものが溢れ出る。それが魔方陣を埋め尽くすと、鱗に覆われた巨大な腕が魔方陣の中から這い出てくる。次に後頭部に二本、鼻に一本の角の生えた巨大な頭が現れ、続いて胴体が抜け出てくる。胴体には巨大な蝙蝠のような翼がついており、魔方陣から抜け出でた後にそれを悠然とはためかせた。次第に太長くしなやかな尻尾が現れ、体全体が露わになる。
 縦に割れた瞳孔が刹那たちを捉えると、敵と認識したのか巨大な顎を開き咆哮した。大気を震動させるほどの咆哮に刹那たちは顔を顰める。

「これは......ドラゴンね」

「ドラゴン?」

 蜥蜴らしきものが咆哮をやめると紫がそう呟いた。
 そして聞いたことのない言葉に刹那が疑問符をつけて投げ返す。蜥蜴らしきもののことを言っているのだということは理解していたが、存在を知らないために彼女に聞いたのだ。
 そんな刹那の様子を横目で見つつ、紫はドラゴンに関する説明を手短に始める。

「ドラゴンって言うのは、まあ此方で言う龍のようなものよ。違うことといえば悪魔か神かの違い位かしら。」

 西洋のドラゴンは悪魔などの悪役として語られることが多いが、東洋の龍は水神などとして祀られていることが多い。どちらが神格化されているのかは言うまでもないだろう。
 ちなみにこの幻想郷にも龍神が最高神にされている。

「成程ッ!?」

 刹那は先程の説明で理解したのか納得の声を出そうとするが、ドラゴンのとった行動によって阻まれてしまう。ドラゴンのとった行動は火球を口から放ったというものだった。しかし火球といってもその威力は馬鹿に出来るものでは無かった。彼らもその脅威を察知して空に逃げたのだから。
 大きさも直径二メートルほどの大きさなのだが速度が尋常ではないほどに早く、それに加えて鉄を溶かすほどの高熱だった。彼らがそれを知っていたかはわからないが、受け止めることをしなかったのはいい判断だったと言えるだろう。

「......不味いな」

「ああ、これではあいつらの元にたどり着けない」

 博麗の巫女と藍が悪態をついた。
 ドラゴンが息をつく間も与えないように攻撃を続けているのだ。彼女たちが言うようにスカーレット夫妻には近づくことは愚か、反撃の糸口すら見つけられないでいる。紫のスキマを使って移動するという手段もあるのだが、スキマを通ろうとすればその間に攻撃をされかねないほどにドラゴンの攻撃は絶え間なく行われていた。
 紫も火球をスキマを利用してドラゴンに返しているが、効果を見いだせていない。

「紫、隙を作ればあいつらの所に行けるか?」

「? ええ、一瞬でも不意を衝いてくれるのなら行けるわよ。」

 刹那の発した言葉に疑問に思ったが、その意図に気付いた紫はそう返した。
 刹那はそれを聞くと腰にさしてある黒い刀を鞘に入れたまま左手に取り、腰を低くする。そして一瞬目を細めた後に、姿勢を低くしたままドラゴンに向かって加速した。
 その速さにドラゴンも驚愕を隠せず目を見開くが、鉄をも溶かす火球を刹那に向かって放つ。だが刹那はそれに動じることなく黒い刀の鍔を親指で押し上げ、右手で刀を持ち火球を切り上げる。すると火球は刹那に届くことは愚か、刀を溶かすことも出来ずに霧散していく。この刀の銘を黒陽という。
 そしてドラゴンが二度目の驚愕を顔に表している間に、紫たちはスカーレット夫妻の所に移動していた。

「そちらは一人だけで大丈夫かしら?
 何なら藍を手伝わせるけど......」

「不要だ」

 紫は刹那の身を案じて藍との共闘を申し出るが、刹那は不要の二文字だけで切って捨てる。
 八雲 藍は妖怪の中でも上位に位置する存在だ。傾国の二つ名まで得ているし、白面金毛九尾の代表格。決して弱くはない。しかし、それでも刹那は必要ないとまで言って見せた。
 ドラゴンは人知を超えるほどの知能があると言われる。このドラゴンにもそれは当てはまるのか、それを聞いた瞬間に舐めるなと言わんばかりに目を血走らせて咆哮した。
 その咆哮に刹那は顔を顰めるとドラゴンの目前から消えた。少なくともドラゴンの目にはそう映ったのだろう。ドラゴンは顔を動かし周りを確認する。そして上空からの気配を感じて上を向くが、時すでに遅く黒い刀が目前、鼻頭の角に迫ってきていた。
 刹那は刀を一閃すると地面に着地し、刀を払ってから刀身を鞘に納める。鍔と鞘があたり独特な音を発するのと同時に、ドラゴンの鼻にあった角が半ばから斜めに切り離された。切られていたとしてもかなりの重さを誇るそれは地面に落ちると同時に埃と共に重い音を立てる。
 ドラゴンの角は一見痛覚が通っていないようにも見えるが、実際は通っている。血は通っていないようだが、激痛がドラゴンを襲っていることは今悲痛の咆哮を上げたことで容易に想像がつく。咆哮というよりも叫びに近しいものだったが。
 ドラゴンは叫びを上げながら腕や尾を振り回して暴れまわった。周りの花壇や噴水を暴君のように荒らし、壊し続ける。口からは溶岩のような粘った液体が漏れだしており正気を保っているかもわからない状態である。
 そして時間が経つと痛みが引いたのか暴れるのをやめて刹那へと向き直る。彼を見る目は先程の侮られたことへの怒りの色はなく、只々角を切られたことに対する怒りと憎悪だけが映されている。高温の粘液は常に漏れ続け、息をするたびに空間が熱せられて歪んでいた。

「かなりキレてるな......」

 そう呟いた刹那にドラゴンの鉤爪が迫る。それを刹那は後方に大きく宙返りすることで距離を離しながらそれを回避する。そして着地と同時にドラゴンの元へ一直線に向かっていく。だがドラゴンとて馬鹿ではない。向かってくる刹那に対し火球を放つ。しかし狙いは刹那ではない。走ってくる刹那の足元に当たるように調整して撃っている。黒い刀のことを考慮し、着弾時の爆発によるダメージを狙ったのだ。怒りながらも冷静にこちらを分析し対処してくる存在には、刹那も舌を巻かざるを得ない。だが刹那にもドラゴンに見せていないものがある。
 彼は火球が地面に着弾する前に大きく前に跳躍して火球を飛び越えると、自分の後方に具現化で盾を創ってそれに乗る。そして盾を足場にしながら爆発を推進力に使い、走るときよりもはるかに速い速度でドラゴンに肉薄する。この時にはもう黒陽の柄を掴んでいた。

「落ちろ」

 刹那がドラゴンにそう吐いた瞬間に腕は振りぬかれていた。ドラゴンが痛みを感じるより先に固い鱗で覆われていた筈のドラゴンの腕に深い裂傷を刻む。それに対してドラゴンが呻きを上げる間に、刹那は巨大なドラゴンの腕を登って行く。それに気付いたドラゴンは振り払おうとするが、その直前に刹那はドラゴンの顔目がけて跳躍した。今度は比喩ではなく本当に黒陽がドラゴンの目に迫り、切り裂く。夥しい量の血が目から吹き出し、刹那の着物に咲く桜の花弁を紅く染めていった。しかし刹那はそれを気にも留めずにさらにドラゴンの額に数回裂傷を刻む。
 だがドラゴンとてそこまでされて黙っている訳もなく、体を半回転させて尾を鞭のように撓らせて刹那に当てる。尾は刹那に直撃したようにも見られたが、具現化で盾を作り尚且つそれが破壊されることを見越して、それを蹴って後ろに跳ぶことで尾から受ける衝撃を減らした。それでも衝撃を完全に殺すことは出来ないため外壁の方まで吹き飛ばされ、崩れた瓦礫に埋まる。

「半端者風情がァァァァァ!!」

 荘厳な声が辺りに響いた。ドラゴンが声を上げたのだ。唸り、咆哮していただけのものが急に言語を口にしたのだ。これには瓦礫から抜け出てきた刹那も驚きを隠せない。
 だがそれに驚いている暇はなかった。何故ならドラゴンが今までの赤い炎とは違う青と黒の混じったような色をした魔力を口に溜めながら空高くへと飛び立っていったからだ。その炎は今まで放ってきた火球とは訳が違った。ただ体内の器官を使い火球を放つのではなく、炎を生成しながら魔力を際限なく溜めんで放つ、必殺と言ってもいいほどの威力がある一撃だ。
 その姿を見た刹那はそれを対処するという考えよりも先に、紅魔館ごと自分を消し去ろうとしていることに疑問を感じた。紅魔館ごと消し去るということは、召喚者やその主をも巻き込むということだからだ。
 実際、刹那が疑問に思った通りドラゴンはただ召喚されただけであり、召喚者を気遣うなどという考えは持っていない。刹那を狙ったのは真っ先に目についたからに過ぎなかった。

「消え去れ!」

 ドラゴンはそう叫ぶと口内から莫大な魔力を纏った爆炎を放つ。
 紅魔館を消し去るのにも過剰の一言に尽きるそれは、たった一つの命を奪うためだけに放たれた。
 刹那は状況を飲み込むと、ドラゴンに感じた疑問を頭の隅に追いやった。考えるのは後だと自分に言い聞かせた刹那は、黒陽を一度横に薙いだ後にドラゴンの放った爆炎に向かって跳躍した。そして数秒の後に、迫りくる業火の中に身を投じた。
 そしてその業火の中で刹那が感じたのは自分の存在が消えてなくなるような感覚だった。やがて視界が白くなり、顔はよく見えないが白い髪を腰まで伸ばした女性が、自分に向かって手を伸ばしていた。それを刹那が無意識のうちに掴んだ瞬間、辛うじて見えた女性の口が開いたのを見た。

「まだこちらに来るのは早すぎますよ?」

 そして次の瞬間には魔力の業火を抜けていた。刹那はそれを認識すると同時に背後を振り返る。そこには霧散しながら紅魔館に落ちていく火球があった。地面に落ちる頃には消えて無くなるほどの速さで霧散していくので地上にいる紫たちへの被害はないだろう。
 それを確信した刹那は再度ドラゴンに視線を戻す。

「これで終いだ」

「おのれぇぇぇッ!!」

 小さく、だが確かに聞こえるような声量で呟いた刹那に、ドラゴンは叫びながら鉤爪を振り下ろした。悪足掻きで放ったその一撃を、刹那は足場を作り跳躍することで回避した。
 そして宙返りをしながらドラゴンの背中に着地し、黒陽を突き立てた。

「はぁぁぁぁぁッ!!」

 刹那は背中に突き立てた黒陽を両手で掴むと、そこから尾の末端まで走り抜けながら切り裂いた。そして切り裂かれたドラゴンは力尽き、黒い粒子を体中から撒き散らしながら中庭へと落ちていった。

「......カェ...ワラ...の......ラを......」

 中庭に重い音を響かせて落ちたドラゴンは、落ちたことによって舞い上がった土埃が消える頃には姿が見えなくなっていた。
 そしてドラゴンが落ちたであろう場所に刹那が着地した。

「消えたか?
 こっちは終わったが......」

「こっちも終わったわ」

「.....こちらも問題ない」

 刹那の声に紫と博麗の巫女が答えた。
 それを聞いた刹那は周りを見るが、スカーレット夫妻と思わしき遺体は見られなかった。

「死体なら灰になって消えたぞ。風に吹かれて跡形もなく、な」

 刹那の行動を見かねた藍はそう言った。
 確かにスカーレット夫妻は藍の言う通り灰になって消えたのだ。
 紅い月の魔力により、不死能力の増したスカーレット夫妻は確かに圧倒的だった。いくら攻撃しても決定打を与えられず、ただ疲労を重ねるだけで不利な状況に追い込まれていた。これには博麗の巫女だけでなく、大妖怪に喩えられる紫や藍までもが苦戦を強いられるのは必至だった。
 だが決着はあっけないもので、スカーレット夫妻からすれば運が悪かったとしか言いようがない。刹那がドラゴンを追い詰め、ドラゴンが紅魔館ごと爆炎で紅魔館ごと消し飛ばそうとした一定時間、スカーレット夫妻の不死能力が弱まったのだ。
 その原因はドラゴンが月をバックにしたせいで、月の魔力が届かなかったことだ。そのせいでスカーレット夫妻の不死能力が弱まり、その隙に紫の用意した吸血鬼の弱点であるである大量の流水で動きを封じてから、純銀製の鉄の処女(アイアンメイデン)で止めを刺した。
 いくら純銀と言えども、衰弱した状態では壊すことが出来なかったらしい。後から聞いた話だが、鉄の処女の中には十字架まで入っていたようだ。これには刹那も敵である吸血鬼に同情をせざるを得なかった。

「にしても、これはいつにも増して酷いわね」

 そう言って周りを見渡す紫の目前に広がるのは、もはや館とは言えないほどに荒れ果てた紅魔館の姿だった。
 庭の地面は捲り上がり、外壁も砕けて周辺に散らばっている。綺麗に手入れの施されていた庭園の面影はなく、噴水は壊れて池は決壊して水が漏れ出ていた。だがどうやら本館にはダメージはないようだ。

「全くです。
 刹那、お前はもっと上手く戦えないのか?」

「無茶を言うな。
 あの巨体で暴れられたんだ」

 藍が紫の言葉に同調して刹那にじろりと目を向けた。だが刹那は向けられた黄金の瞳をどこ吹く風と受け流す。
 刹那からしてみればとばっちりもいい所だ。事実刹那の言った通りこの庭園の被害は殆どドラゴンが出したものであり、刹那は殆ど危害を加えていない。
 とは言え藍が愚痴るのもまた仕方のないことだった。何故なら異変の後始末の殆どは藍がることになっているからだ。それならば紫にやらせろという話だが、紫にも賢者としての仕事がある。主に異変の主導者との会談、及び異変によって結界に綻びが出来てないかを確認することだ。どちらも紫にしかできない仕事になっているため、必然的に藍が後始末を任される羽目になるのだ。

「まったく、片付ける私の身にもなって欲しいものだ」

 そう独り言ちる藍は腰に手を当てながらやれやれと首を振った。そしてそれを尻目に博麗の巫女が薄く微笑む。
 今までの会話は予定調和のようなもので、異変が終わると大概この会話が行われるのだ。これが如何に彼らの付き合いが長いかを示していた。

「まあいいわ
 片付けるのはどうせ藍なのだし、別に大した問題ではないわね」

「紫様!?」

 藍はいきなりの紫の手のひら返しに驚きと抗議の声を上げるも、紫はそれを無視してスキマを展開してその中に入っていった。
 恐らく異変の中心人物に近しい人物を探しに行ったのだろう。これで異変は解決したのだ、これ以上の戦闘行為は無意味だろう。

「!?」

 瞬間、刹那の背中に寒気が走る。
 それは意外にも刹那にとって身近にあるものだった。

「キャハハッ!」

「博麗ッ!」

 叫んだ時にはもう刹那の体は動いていた。
 刹那は博麗の体を突き飛ばし、何かの範囲外へと無理やり押しやった。だがそれでも刹那と博麗の巫女の間には距離があり、その範囲外へ完全に押し出すことは出来なかった。
 そして次の瞬間、博麗の右腕と刹那の左わき腹が弾け飛ぶ。それはまるで無理やり押しつぶされたかのように破壊された。

「何だ!? 刹那、博麗、何があった!?」

 いきなりの出来事に藍が動転するが、それを気にせずに刹那は抉られた脇腹を抑えて悪寒の正体を発する存在を見据えた。
 齢10歳ほどの外見をした金髪の少女が、刹那の方を血のように紅い瞳で笑いながら見つめていた。そして刹那と目が合うと嬉しそうに頬を釣り上げる。そしてその幼く可愛らしい外見からは似合わないほどに、狂気にあふれていた。

「すごいすごーいッ!
 今の避けちゃうんだ~」

 その少女は無邪気に手を叩きながらそう言った。まるでよくできましたと言わんばかりに。
 そして刹那はその彼女の行動に戦慄した。それは、これら一連の流れの中に殺意どころか悪意すら感じなかったからだ。
 そしてその本人はまるで邪気がなく、それはまるで子供が悪戯をした時のように笑っている。だが刹那を映すその瞳には狂気と愉悦で染まっていた。

「......何だ? お前は?」

 それを見た刹那は無意識のうちに口を開いていた。
 彼女のことについては、髪色、瞳の色から恐らくスカーレット夫妻の娘だということは見当がついていた。
 だが、それでも彼女の中にあるものが自分に酷似していたことに驚いていた。

「私? 私はね、フランドールって言うの。
 何でかわからないけど、封印が弱まったから久しぶりに外に出てきたの」

 紅い目を煌々と輝かせる。

「そしたらね、ワタシと似てるモノがいたから壊したくなっちゃった」

 そして少女の口が三日月の形に歪んだ。



一昨年の自分はこんなに文書いてたんですねぇ
一昨年に書いた奴に少し手を加えただけです……
酷い出来だなぁ……






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