どっちつかずの彼女(かれ)は行く   作:d.c.2隊長

6 / 54
大変長らくお待たせしました。まさかの文字数2万越え……我ながらびっくりです。

4/5時点で本作の情報確認したらお気に入り1000件突破、総合評価も1000pt突破……皆様本当にありがとうございます!

後書き部分を修正しました。


悪いが、死なせはしないぞ

 さっきから有り得ないことばかり起きている……大和は素直にそう思った。突然現れたイブキと名乗る輩は砲弾を殴り飛ばし、よく分からない理論で深海棲艦の姉になって守るといい、軍刀2本で38もの砲弾と2本の矢を凌ぎきり、今度はまるで陸にいるかのように跳んでこちらに向かって来るときた。その方向にいるのは……背中と両脇に連装砲ちゃん3体を抱えた島風。真っ先に向かったのは恐らく、島風が一番近い位置にいたからだろう。とは言っても、イブキからは数10mは離れているのだが……その近くには川内がいて、更に数m後方に大和達4人がいる。

 

 そして島風との数10mの距離を1秒と掛からず縮めたイブキは……右手の軍刀を縦に振るった。

 

 「わわっ! ぎぐぇっ!?」

 

 「しまか……がっ!?」

 

 咄嗟に右側に避けた島風だったが、その右わき腹にイブキの蹴りが突き刺さり、衝撃で連装砲ちゃん達を全て手放してしまう。そうして蹴っ飛ばされた島風は川内にぶつかり、大和達の近くまで纏めて海面を転がった……が、それでダウンするほど柔ではなかったようで2人はすぐに体勢を立て直す。

 

 「ゴホッ……いったぁい……」

 

 「こんのぉ……!」

 

 「2人共下がりなさい! 瑞鳳!」

 

 「うん!」

 

 島風と川内の前に出たのは瑞鶴と瑞鳳。2人は素早く矢をつがえ、可能な限り連続で放つ。無論、艦載機に変える為の最低限は残しておいて。その矢達は真っ直ぐイブキへ向かい……あっさりと、身体を左右に傾ける程度のことで避けられた。しかもそうしている間にも、イブキはこちらに近付いてきている。

 

 「2人はやらせん! ……なぁっ!?」

 

 そんなイブキの前に、2人を守るように日向が立ちふさがる。同時に、数mもない距離に当たることを確信したのか計8の主砲を一斉にイブキ目掛けて発射しようとする……だがここで、イブキは驚くことに左手に持った軍刀を日向の右肩部分の砲台目掛けて投げつけた。まさか武器を投げるとは思わなかった日向は動きを止めてしまい、それによって砲台に軍刀が突き刺さる。

 

 「まずは2つ、貰うぞ」

 

 「き……さま!!」

 

 突き刺さったことで日向が仰け反っている内に近付いていたイブキは刺さった軍刀の柄を左手で握り直し、力を込めて下に下ろす。すると軍刀は刺さった部分から、まるでバターを斬るような滑らかさで砲台を斬り裂き、ついでとばかりに右腰の主砲をも斬り裂いた。幸いだったのは、砲弾と砲台が爆発しなかったことだろう。

 

 「日向から離れて!」

 

 「……っ」

 

 大和の声が聞こえたと同時にイブキに向かって右側から砲弾が飛んでくるが、イブキは後方に跳ぶことで回避する。更に大和が追撃の為に主砲を放ち、日向も残った主砲で攻撃する……が、まるで一斉射の場面を繰り返すかのように砲弾は左手の軍刀によって斬り裂かれ、右手の軍刀によって弾かれた。

 

 「今です島風! 川内!!」

 

 「まっかせなさい!」

 

 「速きこと島風の如し! 私には誰も追い付けないよ!」

 

 砲弾の迎撃によって足を止めているイブキの横を復活した島風と川内が通り過ぎ、戦艦棲姫へと向かう。この短時間の間で、イブキが自分達よりも遥かに強いということは明らか。ならば彼女を倒すことには固執せず、元々の目的である戦艦棲姫を沈めることを大和達は決めたのだ。近付くのは、イブキからの横槍を警戒してのことである。そうして島風が身体を曲げて魚雷を発射する体制を取り、川内もまた後ろ腰にある魚雷発射管から左手の指に3つ挟んで抜き取る。

 

 「やっぱり夜戦はいいよね! 魚雷……」

 

 「おうっ! 5連装酸素魚雷……」

 

 「させんよ」

 

 「「発射……えっ? きゃああああっ!!」」

 

 島風の酸素魚雷が発射され、川内も魚雷を投げた直後に2人の真ん中を通り抜けたイブキがその全ての魚雷の中程から斬り裂いた。瞬間、魚雷が爆発。2人は自身の魚雷の威力をその身で味わうことに……なる前にイブキによって再び大和達の元に蹴り飛ばされ、直撃は免れる。イブキ自身も2人を蹴った反動で斬った体制のまま前方へと跳び、空中で体制を整えて戦艦棲姫の前に着水し、大和達に向き直る。位置関係は振り出しに戻った……が、その戦況はイブキが圧倒的に有利であることは明白であった。

 

 「ごっほげほ……なん、で」

 

 「大和さんと日向さんに……えほっ、足止めされてたんじゃ……?」

 

 「なに、防ぐせいで足止めされるなら避ければいい……最初のは彼女を守る為に防いでいただけで、俺を狙うなら避けることは難しくないからな」

 

 大和達には、イブキがさも簡単なことを言っているように聞こえた……だが、内容はぶっ飛んでいる。どこの世界にさほど離れていない距離からの戦艦の砲撃を軍刀2本で防ぎ、それだけでもおかしいのに途中から回避してみせ、反転して離れていたハズの2人に追いつき、魚雷が発射された直後に全て斬り裂き、無傷でいられるというのだろうか。それ以前に、跳んでいる時点でおかしいのだが。

 

 大和達は改めて思う……あの改flagshipは自分達の想像を遙かに越える化け物であると。

 

 「各艦、状況報告! 大和は損傷なし、燃料残り6割、弾薬は半分を切りました。帰りのことを考えれば、これ以上の発砲は控えねばなりません」

 

 「島風は小破。酸素魚雷も無くなっちゃった。燃料と弾薬はまだ7割くらいだけど……連装砲ちゃん落としちゃったから攻撃出来ないよ」

 

 「川内、同じく小破。魚雷は残り3発で、こっちも燃料と弾薬は7割かな……だけど、島風をぶつけられた時に砲台が4つ損壊。2つは健在だよ」

 

 「瑞鶴、損傷無し。だけど艦載機に変化させる矢を考えれば、もう射れないわ」

 

 「瑞鳳、損傷無し。右に同じです」

 

 「日向、ギリギリ中破と言ったところか。燃料はあるが、主砲を撃ちすぎた……弾薬はあまりない。艤装だけしかダメージがないのが幸いだな」

 

 「そうね、皆動けなくなるようなダメージを受けなくて良かっ……」

 

 大和の言葉が不自然に途切れる。それは、また新たな異常を見つけたからだ。

 

 先の攻防、時間にしてみれば5分にも満たない。その僅かな時間ですら相手が化け物であると再認識するのに充分な時間だったが、損害状況を見てみれば2度蹴りを入れられた島風と、島風を受け止めて後に同じようん蹴り飛ばされた川内、右側の主砲2つを斬り飛ばされた日向の3人のみが損傷。あの軍刀で身体を斬られた艦娘は1人もいない。最初に斬りかかられた島風の場合も、あれは斬るというより避けさせることが目的だったようにも思える。日向に投げた軍刀も、初めから艤装を狙ってのことだとするなら? 魚雷が爆発する前に2人を蹴って離脱したのが、2人を爆発に巻き込まない為だとするなら?

 

 「まさか……私達を沈めずに戦艦棲姫を守りきるつもり!?」

 

 「その通りだ。やれないことはない」

 

 「舐めるなぁっ!!」

 

 「日向!? 待って!」

 

 大和の言葉にあっさり返したイブキに怒声を上げた日向が大和の静止を聞かずに接近しつつ主砲を放つ。対するイブキも、移動しながら撃たれることでロクに狙っていない砲弾の中で当たりそうなものを斬り裂きながら日向に向かって接近した。そしてイブキの軍刀が届くまでもう少しという距離まで接近した時、日向は足を止めて狙い撃つ姿勢を取る。

 

 (まぁ、撃つ前に艤装をやられるかもしれんが。やれやれ……後部甲板は、盾ではないのだがな!)

 

 「……っ!?」

 

 主砲を撃つ前に、日向の読み通り左肩の主砲が右手の軍刀によって叩き斬られる……が、左手の装甲甲板も一緒に斬られることで軍刀を止めることに成功した。その事実に、初めてイブキの顔が驚愕に染まった。その表情を見た日向の顔がニヤリと笑みを浮かべる。

 

 (やはり、右の軍刀は左に比べて切れ味が悪い……そして、この距離なら外さん!)

 

 自身の後部甲板の中程にも達していない相手の軍刀を見て、日向はそう確信する……もし切れ味が良ければ左腕が斬り飛ばされていたが……と同時に唯一残った左腰の主砲二門がイブキに狙いを定める。この距離なら、軍刀で斬ることは出来ない。右の軍刀はこうして封じている。殺(と)った……そう日向は確信した。

 

 

 

 「甘い」

 

 

 

 「な……にぃ!?」

 

 グシャリと、砲身が無残に歪んだ……イブキの右足に正面から踏みつけられることによって。

 

 以前、艦娘は船であるが故にジャンプや真横への移動は出来ないと言った。それはつまり、必然的に自分から足を海から離すことが出来ないことになる。波によって船体が跳ねることはあろう。先の島風と川内のように無理矢理に吹っ飛ばされることもあろう。だが、自分から足を海から離すことは出来ない。それが艦娘と深海棲艦、人類の共通認識だった。だが目の前の存在は、その認識を覆す。常識は通じない。

 

 「ちっ……なら!」

 

 「ん?」

 

 舌打ち1つ打った後、日向は右手を伸ばしてイブキの左腕を掴む。足で砲身を潰したせいで片足で立っていたイブキは避けることが出来ず、そのままあっさり捕まってしまった。

 

 「大和! 私ごと撃て!」

 

 「「「「日向(さん)!?」」」」

 

 「何を言っているの日向!?」

 

 「こいつは危険だ! 倒せる時に倒さねば、今後どれほどの脅威になるか分からん……だから、早く!」

 

 普段声を荒げない日向の覚悟を決めた声に、大和達がグッと拳を握り締める。自分達は戦争をしている。勝つためには手段を選んではいられない。それを分かってはいても、道徳に反することや、犠牲を強いる方法など……矛盾していることだと分かっていても、したくはないのだ。

 

 「死ぬ気か?」

 

 「お前のような化け物を戦艦一隻と引き換えに沈められるんだ……安い犠牲だ」

 

 「安い命なんてないだろう」

 

 「あるさ。特に、私達みたいな……同じ存在が沢山いる命はな」

 

 「俺は、君以外の日向を知らない。君みたいに綺麗で……仲間の為に命を捨てる覚悟をした日向はな」

 

 「なんだ、口説いているのか? 生憎、私には伴侶がいる……もう会えなくなるが、いずれ違う“私”が会うだろうさ」

 

 まるで口説いているかのような物言いをするイブキに、日向は苦笑いを返す。盾にした後部甲板を持つ左手……その薬指にある指輪がキラリと光る。大和が日向が言ったように撃てば、もう2度と“自分”が同じ指輪をした伴侶と会うことは出来ないだろう。だが、いずれは“自分とは違う日向”が姿を現す。艦娘とはそういう存在だ。同じ艦船の記憶を持ち、同じ声と容姿を持ち、同じ名前を持つ存在が世界には数多いる、作り出せる……そういう存在なのだ。

 

 だから大丈夫。自分を失うのは一時の痛みだ……いずれ癒える。何よりも、己の伴侶はその痛みに負けるほど弱くはない……日向はそう信じていた。

 

 「それは君ではないだろう。その伴侶が愛したのは君だ。君以外の日向は別物に過ぎん」

 

 そう、信じているのに。

 

 「それとも、君が愛した伴侶とやらは……日向であれば誰でもいい尻軽なのか?」

 

 「黙れ……あいつへの侮辱は許さん」

 

 「君が言ったのはそういうことだ。違う日向が会うと……それはつまり、君を失っても別の日向がいれば問題ないということだろう?」

 

 目の前の存在の言葉を聞けば聞くほど、心がざわついた。自分に向いていた笑顔や泣き顔が違う相手に向けられることを想像するだけで、こんなにも苦しい。だが、これは生死の掛かった戦いなのだ、戦争なのだ。己の心を優先しては、勝てる戦いも勝てない。甘さが命取りとなる。

 

 「それでも……あいつが笑っているならそれでいい!! 大和ぉ!!」

 

 「く……ぅぅぅぅ!!」

 

 悩みに悩んだのであろう、泣くのを我慢しているかのような大和の声。その声を掻き消すように、超弩級戦艦の名に相応しい轟音が響く。そうだ……それでいい。日向はそう思いながら満足そうに目を閉じ、口元に笑みを浮かべる。そうして、最期に想い人の顔を思い浮かべた。

 

 「また、“私”として会えたらいいな……」

 

 

 

 

 

 

 「悪いが、死なせはしないぞ」

 

 

 

 

 

 

 爆発。それが起きるまでの戦闘の一部始終を見ていた戦艦棲姫は、思わず声を上げそうになった。自分を守ると言ったイブキと、決死の覚悟を持って相討とうとした日向。その決着は、彼女の叫び通りに大和が放った砲弾で……着かなかった。

 

 「ぐ……あぁ……」

 

 「日向! 大丈夫!?」

 

 爆発が起きる前に、まるで島風達のように飛んできた日向を大和は受け止めていた。そのせいで自分の身体と艤装に無視できない負荷がかかったが、仲間の為だと思えば小さなことだ。大和の腕の中で呻く日向……その状態は悪い。主砲は全損しているし、腹部には足跡のようなへこみがある……恐らくは蹴り飛ばされたのだろう。その際に抜けたのか、左肩の主砲と半ばまで裂けた後部甲板で受け止めていたハズの軍刀がない。

 

 (でも仮に身動きが出来るようになったとしても……流石に直撃したハズ……)

 

 少なくとも、放った砲弾が何かに当たった感覚はあった。爆発も起きているし、無傷であるハズがない。姫や鬼でさえも直撃を必死に避ける超弩級戦艦の砲撃……ならば、少なからずダメージは与えているハズだと、大和はそう思っていた。だが、全てを見ていた戦艦棲姫はそう思ってはいない。

 

 「……凄イ……」

 

 戦艦棲姫の目に映る、爆炎の“前”にいるイブキの威風堂々とした姿。日向を蹴り飛ばして右の軍刀を引き抜き、その護拳で大和の砲弾を真っ向から殴って慣性を完全に殺した上で爆発する前に後方に跳び退いた動きを、戦艦棲姫は見ていたのだ。早業、神業などという呼び方はあれど、それらでは言い表せられないだろう。“イブキにしか出来ない動き”……それが正しい。

 

 (コレが……私ヲ守るト言ッテくれた人の力……)

 

 イブキが左手の軍刀を薙払うように横一閃に振り、炎を切り裂くように掻き消す。大和達から見れば、炎に包まれていたイブキが無傷で現れたように見えたことだろう……浮かんだ表情は、皆絶望と言うに相応しいモノだった。

 

 「さて……まだ続けるのか?」

 

 (コレガ……私の……今この時だけの……)

 

 まるで意に関していないとばかりのイブキの態度に、大和達が一瞬激昂しそうになる。だが、状況を確認するまでもなく戦況は不利であることは分かっていたのだろう、皆が皆悔しそうに顔を歪めるだけだった。イブキは溜め息を1つ吐き、最初に島風が落とした連装砲ちゃんを拾いに行き、拾ったモノを島風に向かって軽く投げた。

 

 「わわっ……ちょっと! 連装砲ちゃん達投げないでよ! 可哀想じゃない!」

 

 「近付く訳にもいかないんでね。もう忘れ物もないだろう? このまま去るといい。去る者は追わん」

 

 「……次はこうは行きませんから。全艦反転……撤退します」

 

 大和が気絶している日向の腕を自分の首に回しながらそう言うと同時に、日向以外の全員が1度イブキを睨み付けた後に反転し、その場から離れていく。その姿を見届けたイブキは両手の軍刀を後ろ腰の鞘に納め、戦艦棲姫の元へと歩み寄る……その瞳は、金と青から鈍色へと戻っていた。あれだけの攻防があったにも関わらず、イブキは息一つ乱していなければ汗もかいていない。そもそも、イブキが現れてから10分も経っていない。まだまだ夜も深まっていく時間の中、月明かりだけがイブキを照らす。戦艦棲姫から見たイブキは、まるで月から現れた使者のようにも思えた。

 

 「どうだ? 君の姉は強いだろう」

 

 「……エエ……トっても」

 

 ニィ、とまるでいたずら小僧のような笑みを浮かべるイブキ。その姿はもう、扶桑とは重ならない。青空を愁いを帯びた目で不幸だと言いながら見上げていた愛しい姉とは、月に見下ろされながら月光を浴びる姿は似ても似つかない。だが……どこまでも美しく、自分の前に立つ長い髪を靡かせていたカッコイい背中は……よく似ていた。

 

 (これが一時の……私のもう1人の“姉様”……)

 

 

 

 ― 扶桑姉様……私に、もう1人……姉様が出来ました ―

 

 

 

 

 

 

 「……大和、自分で動ける」

 

 「ダメよ。このままこうされていなさい」

 

 島風を先頭に、川内を最後尾に、左右に瑞鶴と瑞鳳、中央に大和とその首に腕を回している日向という陣形を敷きながら所属鎮守府を目指す大和達。その途中で目覚めた日向が大和にそう言うが、彼女はピシャリと却下した。ならば力付くで離れて……と考えるが、自分と大和では力の差があるので仕方なくされるがままになる。

 

 「……負けたわね」

 

 「ああ……完膚無きまでに、な」

 

 先の攻略戦で逃がした戦艦棲姫への追撃部隊……念には念を入れて所属鎮守府の最高練度の艦娘で組んだ、最強と呼ぶに相応しい第一艦隊。それが、たった1人の謎の存在に完敗した。島風の速度、川内の技術、自分と大和の火力、その全てが活かせることなく負けた。戦う時間帯が昼間で、瑞鶴と瑞鳳の艦載機が使えていれば、結果は違うものになったのかも知れないが……所詮はたらればの話でしかない。

 

 「でもあのイブキって人、深海棲艦か艦娘かよくわかんなかったねー」

 

 「はあ? どうみても深海棲艦だったじゃない」

 

 「それは目の色が変わって改flagshipっぽくなったからでしょ? それに、なんか気配とかも……」

 

 瑞鳳と瑞鶴の掛け合いに、日向は最後のイブキと接触した時のことを思い出す。この艦隊の中でイブキに最も近い場所に最も長く居た日向は、イブキから感じる気配を1番感じていた。

 

 (それでも、深海棲艦か艦娘かは分からなかったが……)

 

 その日向でさえ、イブキがどちらかなのか最後まで分からなかった。両方の気配を感じながらも、どちらかに傾くことはない。だが、人間では決してないことは確かだ。結局のところ、イブキの正体は分からずじまいな訳である。だが、分かったこともある。

 

 今までの常識を覆す跳んだり蹴ったりという異常な行動、数10mの距離を一息で無くす速度、向かってくる砲弾を見切る動体視力、砲弾を斬り裂き弾きながら刃こぼれしない軍刀……そして、戦艦である日向を蹴り飛ばせる程の力。全てが高水準であり、命を賭けても傷1つ負わせることの出来なかったその戦闘力は正しく化け物と呼ぶに相応しいもの。だが、次は勝つ……日向はそう心に刻んだ。

 

 「ねぇ、日向」

 

 「なんだ?」

 

 「もう、あんなことは止めて頂戴。捨て身なんてことは、二度と」

 

 「大和……」

 

 「私を遺して、逝かないで」

 

 自分の体を支える大和の体が震えていることに、日向はようやく気付いた。大和に自分ごと撃てと言った時、日向はあの場所で沈むつもりだった。それが確実に今後の脅威を摘む最善の手であると考えたからだ……失敗に終わってしまったし、仮に成功したとしても沈んだのは自分だけであっただろうが。

 

 日向は、震える大和の左手を左手で握る。味方を撃ってしまったことに……否、“自分”を撃ってしまったことに震える大和の手は、血の気が引いている為か酷く冷たい。怖かったことだろう、味方を自らの手で撃つということは。大和は今このとき、初めて雷撃処分を担当する艦の気持ちを知った気がした。

 

 「お願い……日向」

 

 「……最強の弩級戦艦の名が泣くぞ?」

 

 「今泣きそうなのは私よ」

 

 「……やれやれ……君には勝てんな」

 

 「じゃあ、約束してくれるのね?」

 

 「まぁ……そうなるな」

 

 瞳を潤ませた大和が日向を見つめる。日向もまた、そんな大和を見つめ返す。そうする内に、元々近かった2人の顔の距離が更に近くなっていく。そうして、その距離が完全にゼロとなった時……“2人”の左手の指輪に月の光が反射してキラリと光った。

 

 ((((またやってる……))))

 

 ……人目の前であるにも関わらずに。

 

 

 

 

 

 

 大和達が去ってしばらく経った頃、戦艦棲姫とイブキは散らばった戦艦棲姫の艤装の破片を拾い集めていた。とは言っても、浮いている破片は僅かしかなく、全て集めるのに2分も掛からなかったが。

 

 「……それは、君の艤装か? それとも、姉か?」

 

 「……両方よ」

 

 イブキの問い掛けに、戦艦棲姫は破片を抱き締めながら答える。最後の最後まで姉と気付けず、最期の最期まで自分を守って逝った姉の亡骸とも呼ぶべきそれを抱き締めることで、今更になって再び姉を失った事実に心が軋む。もう1人姉が出来たなどと高揚していた気分は、すっかりどこかへと消え失せてしまった。

 

 「どういうことだ?」

 

 「私は、艦娘としての記憶を持っているの。艦娘だった頃の私は、山城という名前だったわ」

 

 「何……? じゃあ姉というのはまさか……扶桑か?」

 

 「ええ。そして扶桑姉様は私のように深海棲艦としてではなく、私の艤装として生まれ変わったの……そして、大和達の攻撃から私を庇って……姉様……」

 

 蘇ったというのか、それとも取り戻したというべきか。その艦娘だった頃の記憶が、扶桑の日常から最期の時までの風景を瞼の裏に投影する。自分も姉もよく不幸な目にあったものだと、静かに涙を流しながら戦艦棲姫は小さく笑う。失い、また出会い、また失った。馴染み深く、分かりやすい不幸だと自嘲する戦艦棲姫の姿は、誰が見ても痛々しいと感じるだろう。

 

 「……艤装なんだから、直せるんじゃないのか?」

 

 「……えっ?」

 

 イブキにサラリと言われたことを一瞬理解出来なかった戦艦棲姫が、思わずポカンとした表情を浮かべる。次に、そんな簡単に済むようなことなのかという疑問が浮かんでくる。そもそも、艦娘が艤装に生まれ変わるなど前例がない……少なくとも、戦艦棲姫は知らない。それに、ここまで原形がなくなってしまっては修理出来るかすらも危うい。仮に修理出来たとしても、それに扶桑が宿っているかも分からない。

 

 「それは……でも、きっと無理よ。私は……不幸だから」

 

 「そんなことはないさ」

 

 「どうしてそんなことが言えるの? 現に、私はこうして不幸な目にあってる……この体になって出来た部下の皆を失った。扶桑姉様を、2度も失った! そんな私が、どうして不幸じゃないなんて言えるのよ!!」

 

 イブキの知ったような物言いに、思わず戦艦棲姫の頭に血が昇る。不幸自慢をしている訳ではない、事実として不幸なのだと。2度も姉を失うことが不幸でなければなんなのだと。部下達を失ったのが不幸でなければなんなのだと。もう1人の姉だと思った相手からそのようなことを言われるのが不幸でなければなんなのだと、そう言いたくなった。しかし、それは言わず仕舞いに終わる。

 

 

 「君は不幸だけじゃなく、幸運なことも確かに体験してきたハズだからな」

 

 

 

 ― 嗚呼……私ハ言ウコトヲ聞カナイ最高(バカ)ナ部下ヲ持ッタ幸運(不幸)ナ深海棲艦ダヨ ―

 

 頭に上っていた血が一瞬の内に引き、自分を逃す為にその命を散らした、戦艦棲姫として生まれ変わってから少しずつ増えていった部下達の姿が彼女の脳裏に蘇る。

 

 ― えっ? 扶桑姉様が着任したの!? やった! ―

 

 先程思い出した山城としての記憶。その中にある、艦娘となって扶桑と再開した時の記憶が、昨日のことのように思い浮かぶ。

 

 ― どうだ? 君の姉は強いだろう ―

 

 目の前にいる、絶体絶命の窮地を助けてくれた今だけの姉の戦う様を思い返す。これらの最も印象に残っている幸運な出来事の他に……記憶を探れば、確かに大小様々な幸運が転がっていた。不幸だと言ってきた中の、それと同じくらいの幸運達が。嗚呼……イブキが言うように、自分の今まで過ごしてきた時間は不幸ばかりではなかった。

 

 「……直せると……また扶桑姉様に逢えると思う?」

 

 「分からん」

 

 「何よそれ……無責任じゃない」

 

 「だが、逢えるとは思うよ。君達はお互いに想い合っているんだから」

 

 それがただの励ましであることは、すぐに分かった。だが、なぜだろうか……戦艦棲姫には、その言葉の通りに行く気がした。いや、そうなればいいと、破片を抱き締めながら思った。

 

 「ところで、君はこれからどうする? 山城としての記憶を思い出した今、君は深海棲艦として生きられるのか?」

 

 イブキからのその質問には、戦艦棲姫は即答することが出来なかった。とは言っても、艦娘側に戻ることは出来ない。何人もの艦娘が今の自分の姿を見ているし、自分がした訳ではないが大和達を撃退してしまった以上それは不可能だ。ならば、はぐれとなるか……これも否。艤装の修理には専用の機材と多くの資材がいる。修理を目的としている以上、根無し草では都合が悪い。

 

 つまり、このまま深海棲艦として生きていくしかない。例え山城としての記憶が残っているとしてもこの身は既に深海棲艦……その事実は変わらない。それに……艦娘達に対する憎しみも確かに残っているのだ。

 

 「私は……深海棲艦だもの。今更それ以外の生き方は出来ないわ」

 

 「……そうか」

 

 「ええ……ねぇ。イブキね……貴女も一緒に」

 

 思わず“イブキ姉様”と言いかけるも、この関係が一時のモノであるということを思いだしてそう呼ぶのは自重し、一緒に行かないかと口にしようとする。だが、不意にイブキが戦艦棲姫から離れるように後方に跳び、次の瞬間には砲弾が一瞬前までイブキがいた場所を通り過ぎる。戦艦棲姫が砲弾が飛んできた方角を見てみれば、そこに居たのはボロボロになっている戦艦タ級。そして……黒いショーツに上半身裸、白い髪をツインテールにしているという見た目の深海棲艦……南方棲戦姫の姿があった。

 

 「戦艦棲姫カラ……離レナサイ!!」

 

 南方棲戦姫が言い放つと同時に、その巨大な艤装から大和を凌駕しかねない威力の砲弾が放たれる。が、イブキはあっさりとそれを回避し……しかし少しずつ戦艦棲姫から離れていく。

 

 (避ケタ!? ソレニナンダ、アノ動キハ!?)

 

 内心の驚愕を顔に出すことはなく、南方棲戦姫はイブキを狙い撃ち続ける。しかし、結果はイブキが背を向けてこの場から離れるまで掠り当たりすらしないという散々なモノとなり……僅かな攻防の中で、彼女の姫としてのプライドは酷く傷つけられることとなった。

 

 「……無事カ? 戦艦棲姫」

 

 「無事、とは言えないけれど……生きてはいるわ。貴女が撃ったあの人のおかげでね」

 

 「ア? エ? ソ、ソレハ……ゴメンナサイ」

 

 目の笑っていない戦艦棲姫ににっこりと笑いかけられ、まさか撃った相手が仲間の命の恩人だったとは……と内心冷や汗をかく南方棲戦姫。そんな彼女を尻目に、タ級は戦艦棲姫に涙ながらに抱き付いた。

 

 「姫様……良ク御無事デ……」

 

 「……貴女もね、タ級」

 

 今抱きついているタ級は、全滅したと思っていた戦艦棲姫を逃がすために尽力した部下の1人だった。詳しく話を聞くと、数百居た部下達の中で生き残ったのは、タ級を含めても20にも満たないらしい。それらは戦艦棲姫を逃した後、数日前から連絡の取れない戦艦棲姫に違和感を覚えて調査に向かっていた南方棲戦姫の部下達によって救助されたのだと言う。今ここにいるタ級は、戦艦棲姫を助けて欲しいと南方棲戦姫に頼み込み、その頼みを聞いた彼女に付いて来たのだとか。

 

 「そうなの……まだ生き残った子達がいるのね……良かった。本当に、良かった……」

 

 「今ハ私ノ拠点デ入渠サセテイルワ。貴女モ……傷ガ癒エルマデ拠点ニ来ナサイ。アイツモ、貴女ノ命ノ恩人ダト知ッテイレバ、招待シタノダケド……」

 

 例え少数であるとしても、生き残った部下達がいる事実と奇跡に戦艦棲姫は嬉し涙を流す。そんな彼女を優しい表情で見た後、南方棲戦姫はイブキが去っていった方角を見やる。だがそこにイブキの姿はない……勘違いからやらかしてしまったと後悔するも後の祭りだった。

 

 「過ぎてしまったことは仕方ないわ。その代わり……次に会った時は私が助ける側にならないといけないけれど」

 

 「私達ト敵対シテモカ?」

 

 「私と敵対しても、よ。それに、イブキ姉……あの人は、自分から敵になるような人じゃないわ。何せ……」

 

 

 

 ― 妹を守るのが姉だ。俺はそれになると言った……それ以外に理由がいるのか? ―

 

 

 

 (そんな理由で、あの大和達と戦うくらいに優しくて強くて綺麗で……カッコイいんだから)

 

 「何セ……ナンダ?」

 

 「何でもないわ。そろそろ連れていってくれない? 長居してまた艦娘達に見つかりたくないもの」

 

 「私ガ運ビマス」

 

 「ありがとう、タ級」

 

 南方棲戦姫の疑問には小さく首を振るだけにして答えず、戦艦棲姫はタ級に背負われる。南方棲戦姫は答えてくれなかったことを少し不満に思うが、拠点でじっくり聞けばいいかと思い、2人の先導をする為に前に出た。

 

 タ級の背に揺られながら、戦艦棲姫は右手でタ級にしがみつくように首に回し、左手で艤装の破片を抱きしめながら、イブキの去った方角に顔だけを向ける。

 

 (次は、扶桑姉様と一緒に会いに行くから……また会いましょう、私の……もう1人の姉様)

 

 月明かりの下で動く人影が2つと動かない人影が1つ。その動かない人影の後ろにうっすらと浮かぶ、優しく笑っている長い黒髪の女性の姿に……誰も気付くことはなかった。

 

 

 

 

 

 死に物狂いで艦娘相手に頑張ったら守っていた側の仲間にいきなり主砲ぶっ放され、そのまま再び海の上を迷うこととなってしまった俺は途方に暮れていた。問答無用で排除しに来られたのは……正直クるものがあった。しかし、仲間が来たからにはあの戦艦棲姫……山城の無事は約束されただろうから、その辺りは安心だな。そうして俺は先ほどまでな戦いのことを、月を見上げながら思い返すことにした。

 

 

 

 大和達に“姉として守る”などと啖呵を切ったはいいが、中身が元一般人の俺としては内心ガタガタと震えている。殺人の経験をしてしまったとは言え、そこに罪悪感などの思うことはなかった。だが、こうして戦闘を前にすると緊張感で体が震えそうになる……しかしそんな俺の内心とは関係なく、全く震えていない体パネェ。

 

 内心で自分に活を入れ、俺は1番近い場所にいた島風に向かって走……るつもりだったんだが、まだ体のスペックを把握しきれていなかった俺は一瞬の内に距離を詰めてしまった。思わず俺は立ち止まり、バランスを崩さないように手を前に出す。

 

 「わわっ!」

 

 その結果、俺は島風に斬りかかるような形になってしまったんだが……島風は避けてくれた。良かったー斬らなくて……と思ったがよく考えたら攻撃しなくてはいけないんだった。丁度いい感じで蹴りが入りそうだったので左足で蹴ってみたところ、島風のわき腹にクリーンヒット。痛いだろうなあ……。

 

 「ぎぐぇっ!?」

 

 「しまか……がっ!?」

 

 更に俺にとってはラッキーなことに、島風が飛んでった先に川内がいた。川内は島風とぶつかり、2人は大和達のところにまですっ飛んでいく……まだまだ距離は近いと言える。もっと引き離さないとダメだな。

 

 とかなんとか考えていたら、また矢が飛んできた。矢ということは、撃っているのは瑞鶴と瑞鳳か……まだ出てきてないが艦載機は邪魔だし、2人の弓の糸を斬るくらいはしようか。現在大和達は一カ所に固まっているし、懐に入れば仲間を気にして主砲も撃ちづらくなるだろう。そう考えた俺は、矢を避けながら大和達に近付いていく。

 

 「2人はやらせん!」

 

 目的の2人の前に日向が立ち塞がった……しかも主砲がこっち向いてるし。数mもないこの距離なら、流石に当たるかもしれない。どうしようかな……と考えた時、頭の中に某大総統の戦闘シーンが思い浮かぶ。その中には、軍刀を投げることで攻撃する場面もあった……なるほど、軍刀はこうやって使うのか。俺は左手の軍刀を持ったまま腕を引き、下投げというのか突き出すように投げつける。投げた軍刀は俺の狙い通り、日向の右肩の砲台に突き刺さってくれた。この体、本当にスペックが高いな……。

 

 「……なぁ!?」

 

 驚いているところ悪いが……その物騒な艤装はズバッといっちまいましょうかね。ついでにその下にある腰の砲台も。

 

 「まずは2つ、貰うぞ」

 

 「き……さま!!」

 

 日向に近付いて突き刺さっている軍刀の柄を再び左手で握り、そのまま下に下ろす……おお、力もそんなに入れてないのに右肩と腰の砲台がサックリと斬れた。ふーちゃん軍刀の特徴は、凄まじい程の切れ味らしいな。

 

 「日向から離れて!」

 

 「……っ」

 

 感動していたら大和の声が聞こえ、またあの時間が止まる感覚がする。声のした方角を目だけを向けて確認してみると、俺に向かって砲弾が飛んできていた。俺がすぐに後ろに向かって跳ぶと感覚は消え、俺がさっきまで居た場所を砲弾は通り過ぎていく……いやぁ、この感覚がなかったら今日だけで何回死んでるのかね。

 

 距離を取った瞬間、また大和と日向の砲弾の雨に晒される。まぁ、また感覚が始まったので左軍刀で斬り、右軍刀で弾くの繰り返し……なんだが、明らかに最初よりも弾数が少ない。矢も飛んで来ない。これはどういうことだ……?

 

 「今です島風! 川内!!」

 

 「まっかせなさい!」

 

 「速きこと島風の如し! 私には誰も追い付けないよ!」

 

 大和に応えながら砲弾の飛んでいない俺の横を通り過ぎていったのは島風と川内……なるほど、俺がこうして足止めされてる間に戦艦棲姫を沈めようってことか……しかしその考えは甘いの一言。このハイスペックボディに掛かれば、砲弾を避けながら接近するなど容易い(実績もあるし)。という訳で砲弾を捌くことを止めて回避しながら島風達に向かう。なるべくジグザグに動いて狙いづらくすることも忘れない。

 

 「やっぱり夜戦はいいよね! 魚雷……」

 

 「おう! 5連装酸素魚雷……」

 

 「させんよ」

 

 「発射……えっ?」

 

 島風が腰を曲げて魚雷を出し、川内がどこの忍者だと言いたくなるような投げ方で魚雷を投げた瞬間、2人に追い付いた俺に再びあの感覚。大活躍ですね感覚さん(敬称)。その感覚の中で俺は魚雷全部をスッパリと斬ってしまった訳なんだが……。

 

 (あれ? 魚雷って爆発するんじゃなかったっけ……?)

 

 ふとそんなことに気付いてしまった。しかも戦艦すら沈める程の威力、この至近距離で爆発の直撃を喰らおうモノなら大破轟沈は免れないかもしれない。

 

 (あ……ぶねええええっ!!)

 

 どうするか? と考える前に、俺は島風と川内の2人の腹を足場にして前へと跳んでいた。そうしてある程度跳んだところで感覚が消えて魚雷が爆発し、多少爆風に煽られたことで上手いこと体制を立て直すことが出来た……この体には感謝の念しか湧かないな、と考えた頃に着水し、大和の方へと向き直る……あ、島風と川内が腹を押さえてしゃがみこんでる。男が女の腹を蹴ったり踏み台にしたりするのは死を持って償うべき所業だが、今の俺は女なんでな。

 

 「ごっほげほ……なん、で」

 

 「大和さんと日向さんに……えほっ、足止めされてたんじゃ……?」

 

 「なに、防ぐせいで足止めされるなら避ければいい……最初のは彼女を守る為に防いでいただけで、俺を狙うなら避けることは難しくないからな」

 

 感覚様(崇拝)のおかげで、俺は某大総統閣下の如き見切りを実現出来る……内心かなりビビってはいるが、体に精神が引っ張られているのか動きが止まることもないし、常に冷静に物事を考えられている。元一般人の俺にとっては有り難いアドバンテージだが、決して慢心出来ない。何しろ某大総統閣下も神の如き目と人間を超えた身体能力を誇りながらも死角からの一撃を受けて瀕死の重傷を負い、最後には死んだのだから。世の中に絶対はないのだ。

 

 ところで、さっきから大和達は何をボソボソと言い合っているのか……あっ、大和がビックリしてる表情でこっち見てきた。

 

 「まさか……私達を沈めずに戦艦棲姫を守りきるつもり!?」

 

 「その通りだ」

 

 そもそも俺は艦娘を沈めたいなどと思ったことはないし、初めから撃退出来ればいいと考えていた。あの人間達は例外だが、殺しにしろ沈めるにしろ好き好んでやりたい訳でもない。何度も言うように、俺は(恐らく)平和な日本にいたしがない一般人だったのだから。それに、この身体なら……撃退くらい出来ると思える。

 

 「やれないことはない」

 

 「舐めるなぁっ!!」

 

 「日向!? 待って!」

 

 俺の言い方が気に喰わなかったんだろうか、日向が怒鳴りながらこっちに左側の砲を撃ちながら向かってきた。狙いが甘いのか幾つも外れているが、幾つか当たりそうな物もあるのでそれらは斬り捨て、あまり戦艦棲姫に近付かれるのも困るので俺からも接近する。すると、日向は足を止めて狙いを定めてきた……危ない砲台は破壊するに限ると、俺は右の軍刀で横一閃に左肩の砲台を斬りつけた。

 

 「……っ!?」

 

 砲台だけを斬るつもりだった俺の軍刀は、日向が左手に持っている盾も一緒に斬ってしまっている。このままでは日向の腕も斬ってしまうかもしれないと思った俺は、少し裂いたところで軍刀を止めた……んだが、左の軍刀と違って切れ味が鈍いのか、それとも砲台と盾で上下に力を入れているのか……ともかく、右の軍刀が抜くことも裂くことも出来なくなってしまっている。このことには驚いた……なんだ、丈夫な腹筋……じゃなくて盾だなとでも言えばいいのか。というかよく折れないなみーちゃん軍刀……折れない、というか頑丈なのが特徴か?

 

 と考えていたら、日向の残った左腰の砲台が俺に狙いを定めていた。視線を日向に向ければ、してやったりとでも言うような顔……なるほど、敢えて俺の攻撃を受け止めて身動きを封じ、斬ることも避けることも叶わない距離で撃つと……。

 

 「甘い」

 

 「な……にぃ!?」

 

 腕がダメなら足だ、という訳で右足で日向の砲台の砲身を踏みつけて潰す。何も斬る必要も避ける必要もない。撃つ前に潰せば済む話だからな。

 

 「ちっ……なら!」

 

 「ん?」

 

 今度は左手を掴まれた。流石に軍刀が抜けないわ砲身潰したばかりで片足立ちだわで避けられなかったが……今度はどうする気だ? この時、俺はこの戦闘を内心楽しんでいたと思う。今では分からんが。

 

 「大和! 私ごと撃て!」

 

 「「「「日向(さん)!?」」」」

 

 「何を言っているの日向!?」

 

 「こいつは危険だ! 倒せる時に倒さねば、今後どれほどの脅威になるか分からん……だから、早く!」

 

 お前はどこの宇宙猿だと言いたいが、素人目線だが俺のような高機動型を潰すには現状では最適解だと思う。波状攻撃が通じない以上、こうして動きを止めてから撃つのが1番だからだ。だが、自分ごとというのは困るな……俺は誰も沈めたくないのだから。というか危険て……俺そんな扱いを受ける程なのか。

 

 「(捨て身ねぇ……)死ぬ気か?」

 

 「お前のような化け物を戦艦一席と引き換えに沈められるんだ……安い犠牲だ」

 

 「(言い切ったよこの人……何とか心変わりしてくれないかな……)安い命なんてないだろう」

 

 「あるさ。特に私達みたいな……同じ存在が沢山いる命はな」

 

 あー、やっぱり同じ艦娘は何人も存在するのか。俺は1度も同じ艦娘を2人以上見かけなかったが、今後は会うかもしれないな……って今はそんなことはどうでもいい。ここは月並みではあるが……王道的なことを言ってみるか。

 

 「俺は、君以外の日向を知らない。君みたいに綺麗で……仲間の為に命を捨てる覚悟をした日向はな」

 

 こんな時に何を言っているんだ俺はと自分でツッコミたい。いや、記憶の中にある艦これの日向の絵は個人的にあまり好きではなかったのだ。だがこうして実際に出会って至近距離で見てみればどうだ? ついポロッとこぼしてしまうほどに美人さんじゃないか。それに、嘘はついていない。目の前の日向は、俺がこの世界で初めて会った日向なのだから。

 

 「なんだ、口説いているのか? 生憎、私には伴侶がいる……もう会えなくなるが、いずれ違う“私”が会うだろうさ」

 

 しかも付き合ってる人がいるかケッコンカッコカリかしてたよこの艦娘。そんな相手がいるにも関わらず、なぜ命を捨てることが出来るのか……元一般人である俺には理解出来ない。どれだけ某大総統の動きを真似しようが、中身は戦いのことなど知りもしない記憶喪失状態のパンピーでしかないのだから。だが、もし俺が日向の伴侶だとして、その相手が死んで別の日向が来たとしても……悲しみばかり感じて、その新たな日向を同じように愛することなんて出来ないと思う。

 

 だから言う。お前は間違っていると。

 

 「それは君ではないだろう。その伴侶が愛したのは君だ。君以外の日向は別物に過ぎん。それとも、君が愛した伴侶とやらは……日向であれば誰でもいい尻軽なのか?」

 

 「黙れ……あいつへの侮辱は許さん」

 

 「君が言ったのはそういうことだ。違う日向が会うと……それはつまり、君を失っても別の日向がいれば問題ないということだろう?」

 

 「それでも……あいつが笑っているならそれでいい!! 大和ぉ!!」

 

 「く……ぅぅぅぅ!!」

 

 俺の言葉は届かなかったようで、日向は決意を曲げなかった。大和も殆ど泣いているような声で俺達に主砲を向けているのが、日向の向こうに見える……笑えんよ、お前の伴侶は。日向から見えないだろうが……大和達は今にも泣きそうな顔をしている。ここで俺ごと沈んだとしても、世にも認知されていない無名で正体不明の存在を沈めたという結果が残るだけ……そんな結果の為に、未来の幸せを捨てるなんて不釣り合いにも程がある。だからこそ、俺は死ぬ訳にはいかない。そして、日向も死なせる訳にはいかない。

 

 「また、私として会えたらいいな……」

 

 そんな風に寂しそうに呟く彼女を見てしまったから。

 

 「悪いが、死なせはしないぞ」

 

  今日何度目かの腹への蹴りを日向に見舞う。抜けない軍刀を引き抜く為と、日向へのお仕置きを込めて島風達よりも強めに右足で。すると日向は声を漏らすことなく、大和達の方向へと吹っ飛んでいった。目論見通り軍刀も抜けた……が、既に感覚の中にいる俺の前には大和の放った砲弾がある。斬るにしても弾くにしても間に合わないだろう……だが、それは刃で行おうとするからだ。故に俺は、蹴った右足を後ろにやり、右の軍刀の護拳で砲弾を殴った。刃が間に合わないなら(護)拳を使えばいいじゃない。

 

 しかし、勢いのない拳では砲弾をひしゃげさせることには成功しても弾くには至らなかった。あ、やべと思った時には反射的に後ろに跳んでいた。直後、感覚が途切れて砲弾は爆発。俺の目の前は紅蓮に染まった……もう少し遅かった爆発に巻き込まれてたな。やはり油断も慢心も出来ん。

 

 (……これでは日向がどうなったのか分からんな)

 

 さて、どうするか。爆炎を迂回するのが1番楽だが、それは格好が付かないというか地味に恥ずかしい。ならばどうしようか……と思った時に浮かんだのは、よくアニメや漫画等である燃え盛る炎や海の水等を切り裂いて道を作るというものだ。もしもアレが出来たなら、素晴らしく格好良いだろう俺は。というかこの体なら出来そうな気がする。

 

 という訳で即実行。左の軍刀をしっかりと握り締め、右から左へと軽く払う。するとなんということでしょう、あれだけ燃え盛っていた炎がすっぱりと消えてしまったではありませんか……というか本当に出来ちゃったよ。正直我ながら引くわ。しかも炎が消えたことによって見えるようになった大和達の表情よ……ドン引きしてるじゃないか。これは傷つくわ。

 

 「さて……まだ続けるのか?」

 

 とは言うが、流石にもう向かってこないだろうとは思っていた。こちらは無傷で相手はボロボロ。数の差はあってないようなものだし、なぜか日向を大和が支えている以上は思うようには動けないだろうし。案の定彼女達は動かなかったが、戦意はまだまだあるようだった。

 

 (頼むから負けを認めてくれよっていうか帰ってくれよ……ああ、さっき島風を蹴り飛ばした時に連装砲ちゃんを落としたのか。そりゃあ回収するまで帰るに帰れんわな)

 

  何も動きを見せない大和達に早く撤退なりなんなりしろと思っていたが、島風の代名詞(?)の連装砲ちゃんがいないことに気付く。なるほど、あの艤装だか生物だかを落としたから撤退できないのか……そう考えた俺は溜め息を人吐き、ぷかぷか浮いている連装砲ちゃん達を拾いに行く。勿論警戒しながらだ……この体のスペックならすぐに距離を詰められるとはいえ、油断は出来ない。が、警戒はいらなかったようで大和達は特に動くことはなく、連装砲ちゃんは無事回収できた……ふむ、意外にも全く動かない。自立型の艤装なのかと思っていたが違うのか。等と思いながら、俺は島風に向かって連装砲ちゃん達を投げつけた。

 

 「わわっ……ちょっと! 連装砲ちゃん達投げないでよ! 可哀想じゃない!」

 

 「近付く訳にもいかないんでね。もう忘れ物もないだろう? このまま去るといい。去る者は追わん」

 

 「……次はこうは行きませんから。全艦反転……撤退します」

 

 日向以外から睨まれたものの、何とか撤退してくれた。美人や可愛い子から睨まれると心に大ダメージだな……特に大和が今にも殺さんばかりだったが、あれは仲間をやられたからだったんだろうか? 何か違うような……まあいいか。大和達の姿が遠くなったところで俺は両手の軍刀を元の鞘に収め、戦艦棲姫へと歩み寄った。

 

 戦艦棲姫は、俺が助けた時と変わらない状態だった。良くなってはいないが、悪化してもいない……当初の目標は達せたと見ていいだろう。一時とは言え、妹を守り切れたという事実は、俺に決して小さくない達成感を感じさせた。

 

 「どうだ? 君の姉は強いだろう」

 

 「……エエ……トっても」

 

 君のお姉ちゃんは強かっただろ? とつい声にしてしまい、また微妙な変換をした我が口の自信満々なこと。自分では分からないが、どや顔をしているに違いない。少し恥ずかしかったが、彼女が少しだけ笑って返してくれたので良しとしようか。

 

 

 

 少しした後、俺達は戦艦棲姫の前に浮いていた破片を拾い集めていた。俺が戦っている最中に幾つか沈んでしまったのか、最初に見た時よりも少なくなっていたのですぐに全部集められた。そこで俺は、気になったことを聞いてみることにする。

 

 「……それは、君の艤装か? それとも、姉か?」

 

 「……両方よ」

 

 「どういうことだ?」

 

 どういうことだってばよ、と口にしてしまいそうになったが謎変換によって事なきを得た。ありがとう俺の口。まあそれはともかく、戦艦棲姫が言うには、彼女は以前は山城という名の艦娘だったそうだ。そして、散らばった破片は……戦艦棲姫となった山城の艤装として生まれ変わった姉妹艦の扶桑だと言う。あの大和の砲撃から戦艦棲姫……山城を庇い、こうして物言わぬ姿になってしまったのだとか。なるほど、妖精ズが聞いた声は艤装となった扶桑のモノだったのか……。

 

 「艦娘の時に失って、戦艦棲姫となってまた出逢えて……また失った。艦娘の頃からある馴染み深い、分かりやすい不幸よね」

 

 そう言った山城は、今にも泣きそうな顔をしていて……目を逸らしてしまいそうな程に痛々しかった。だが、俺はふと思った。艤装に生まれ変わったのなら、妖精達や施設等で直せるんじゃないか? と。宿った魂やら生まれ変わりやらはよく分からないが、妖精達も深海棲艦も艦娘も未知の塊なんだから、あらゆる可能性を考慮出来るし、何事も0%の確率ということはないだろう。

 

 某大総統のご兄弟は言いました。有り得ないなんてことは有り得ない。世の中に絶対はないのだ。俺みたいな存在とか。とまぁそんなことを考えながら、直せるんじゃないかと言ってみたんだが、自分は不幸だから無理だと言われてしまった。

 

 「そんなことはないさ」

 

 「どうしてそんなことが言えるの? 限に、私はこうして不幸な目にあってる……この体になって出来た部下の皆を失った。扶桑姉様を、2度も失った! そんな私が、どうして不幸じゃないなんて言えるのよ!!」

 

 そこまで怒鳴られるとは思ってなかったからびっくりしたが、俺は彼女をそこまで不幸だとは思ってはいなかったりする。まぁ、艦娘の頃のことは知らないが……沈んだと思ったら深海棲艦とは言えまた世に出られたし(良いことか悪いことかは本人次第だが)、艤装とは言え再び姉と出逢えた。話を聞く限り部下にも恵まれたようだし、こうして沈む直前になりながらも生き長らえている。自分が不幸だと思う以上に、その過ごしてきた日々には小さくとも数多の幸せがある……それに気付いていないだけで。だから俺は言うのだ。

 

 「君は不幸だけじゃなく、幸運なことも確かに体験してきたハズだから」

 

 ……まあ、これは全て俺自身の個人的な考えだし人の思考は千差万別十人十色、俺の考え以外にも色々あるだろうが……幸不幸も捉え方次第。俺の今の境遇を誰かが不幸だと言い、誰かが幸運だと言うだろう。だが俺は幸せ者だ。前世があると分かっていてその記憶の大半がなくても、いつ死ぬか分からない世界に放り出されても、たった1日で妖精ズや雷に長門達、摩耶様と知り合うことが出来た。一時とはいえ妹まで出来た……充分に幸せなことだろう。それに、こうして生きているのだ。それが幸せなことだと……今の俺は思える。まあ俺のことはいいのだが……俺の言葉は、彼女に届いただろうか。

 

 「……直せると……また扶桑姉様に逢えると思う?」

 

 「分からん」

 

 「何よそれ……無責任じゃない」

 

 「だが、逢えるとは思うよ。君達はお互いに想い合っているんだから」

 

 こんなにも姉のことを想っている妹と、艤装となっても妹を守り、自らを顧みずに妹を助けてくれと叫んだ姉……この姉妹が再び出逢わないなんて、そんなのは悲しすぎる。また逢える……そう願わずにはいられなかった。

 

 「ところで、君はこれからどうする? 山城としての記憶を思い出した今、君は深海棲艦として生きられるのか?」

 

 「私は……深海棲艦だもの。今更それ以外の生き方は出来ないわ」

 

 「……そうか」

 

 正直、それが心配だったんだが……本人が言うなら、俺には出来ることはない。生き方に対してとやかく言うには、俺はあまりにこの世界のことを知らなさすぎる。ましてや俺自身どう動くかも決まっていないのだから。とりあえずは寝床探しだが……とここまで考えた瞬間、今更ながら彼女の肢体に目が行く。豊満な胸に半裸よりは全裸に近い色々とギリギリな格好、絶世の美女とも言うべき彼女のかような姿を見れば、男など皆前屈みになるだろう……この体が女で良かった。とは言えあまりに目に毒な為、視線を横へと向ける。

 

 

 

 瞬間、俺は反射的に後ろへと跳んだ。

 

 

 

 「戦艦棲姫カラ……離レナサイ!!」

 

 一瞬前に俺がいた場所を砲弾が通り過ぎていく……いやぁ危なかった。横を見た瞬間に何かが飛んできたことに気付かなかったら頭が吹っ飛んでいたな……まあ、感覚は発動していたが。その前には既に跳んでいたのは俺が体に少しでも慣れてきたからだろうか。

 

 それからも俺は狙い撃たれ続けるが、感覚が発動する必要もなく避け続ける。というかあの子、髪ブラとかなんという……おお、見え……見え……ちぃ、なんという髪装甲。見えそうで見えないのがまたイイ。もう1人の深海棲艦も……名前は分からんが、上はセーラー服なのに下の下着が丸見えとは。人型深海棲艦はどうしてこうも……いかん、さっきまでの真面目な考えがどっか行った。我ながらこの落差は酷いな……それはさておき、あの子は戦艦棲姫の仲間だろう……名前を呼んでいたしな。なら、俺がいなくても問題はないだろう……いや、割と頑張ったのにいきなり砲撃とかされたからちょっと傷付いて離れたいだけなんだがな。今近付いたら拗れそうだし、なんか殺意的なのが籠もってるし。そうした考えの下、俺は彼女達から離れることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 ようやく回想を終えたが、実際に経った時間は数秒程だろうか。月の位置もあまり動いていないし。

 

 「山城と扶桑か……今度会うときは、姉妹揃って会いたいものだな」

 

 

 

 ― ……ありがとう ―

 

 

 

 「……ん?」

 

 「イブキさん、今あの時に聞こえた声が……」

 

 「ああ、俺にも聞こえたよいーちゃん。ここは……そうだな。どういたしまして……と言っておこうか」

 

 前世で聞いたことのある声が耳に届くが、近くには誰もいない。それは、妖精ズが聞いたという声だという……律儀なものだと少しだけ笑いながら、俺はそう口にした。良いことをした後はやはり気分がいい。更に今回は運も向いてきたのか、島も見えてきた。これでようやく一息つける……そう、思っていたんだが。

 

 

 

 「……やれやれ、休むのはもう少しだけ先かな」

 

 

 

 なんか目を回しながら仰向けにぷかぷかと浮いている、今にも沈みそうな俺と似たような服装の艦娘を見つけました。




戦闘シーンはいかがでしたか? 無双タグに偽りなく書けていたか、某大総統閣下を幻視できたか心配です。もっと精進せねば。

まさかのGLタグ実行者は日向&大和のカップリングでした。この組み合わせを予想出来た者などおるまい……いたら私に大鯨が来ますように。

イブキと同じような服装をした艦娘とは誰なのか。イブキの服装については2話目3話目を参照。


今回のおさらい

ふーちゃんの宿っている軍刀は凄まじい斬れ味が特徴。零閃。みーちゃんの宿っている軍刀は艦娘パゥワーを持ってしても折れぬ欠けぬ砕け散らぬ! 抱腹絶刀。ごーちゃんの宿っている軍刀は抜く前に戦いが終わる。愉悦。

ごーちゃん「違いますー。えーん」

それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしておりますv(*^^*)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。