けれど彼女はそれ以上の事はせず、紫に対し意味深な言葉を残したまま消えてしまう。
――戦いは、終わった。
納得のいかぬ結果に終わったが、戦いは確かに終わりそして。
吸血鬼姉妹の確執も、ここで終わりを迎えようとしていた……。
――夜が、明けようとしていた。
闇の世界は一度終わりを迎え、生物にとって祝福の光である朝の日差しがもうすぐ訪れる。
けれど、闇の中で生きる者達にとってその光は歓迎できるものではない。
特に夜の一族と謳われる吸血鬼にとって、太陽の光は身体と心を蝕む毒と同じだ。
「ゼフィーリア、夜が明けるわ」
「わかっているよ紫、余は大丈夫だが……あまり気分の良いものではないのは確かだ」
言いながら、ゼフィーリアは己が魔力を編み込んでいく。
形成される術式は目ではっきりと見える程大きく、彼女を中心に一瞬で大きく展開された。
その範囲は瓦礫の山と化した紅魔城とその周辺の森を纏めて覆い尽くすまで広がり、ゼフィーリアは魔術を開放する。
瞬間、周囲に漂うのは――濃霧と呼べるほどに濃い霧であった。
ただの霧ではない、太陽の光を遮断する特殊な魔力を込めた霧であり、吸血鬼という種族を守る為の魔術である。
「さて……次はこちらだな」
両手を、瓦礫の山へと翳すゼフィーリア。
紅い魔力が彼女の両手から溢れ始めると同時に、少しずつ地面を覆い尽くしている瓦礫の山が浮かび上がっていく。
単純な、けれど城ほどの質量を持つ瓦礫をたった1人で浮かび上がらせるなど、並の魔力ではできない芸当だ。
大妖怪としての力をまざまざと見せ付けられながらも、紫は空に巨大なスキマを展開させる。
するとゼフィーリアは、浮かび上がらせた瓦礫をスキマの中へと放り込んでいく。
「便利な能力だな、本当に」
「……屈辱的な使い方だけどね」
「何を言う、他者の命を奪う使い方よりよっぽど理に適っているではないか」
「………………」
そう言われてしまうと、紫としては反論に困ってしまう。
確かにこの使い方のほうが自分には合っている、納得はあまりしたくないが。
紅魔城を形成していた全ての瓦礫がスキマの中へと収まり、城があった場所に残ったのは鬱蒼と生い茂る木々に囲まれた荒野と。
既に息絶えてしまっている、紅魔城の住人達だけであった――
「………………」
あの正体不明の女――神弧が去ってから、紫達はすぐさま紅魔城に取り残された者達の救助を行った。
住んでいる者達は低級とはいえ悪魔だったので、その殆どを救出する事ができた。
当然龍人達もだ、尤も彼以外は気を失ったままなので休ませている。
けれど――間に合わなかった者達とて、当然存在していた。
運悪く神弧の無差別な攻撃を受けてしまった者は、その半身を消滅させられ。
また彼女が最後に放ったという極光の光によって灰になった者も居た。
起きた事は戻せない、失った命を蘇らせるなんて奇跡は起こらない。
それは紫とてわかっている、わかっているが……彼女の胸には、棘で突かれているかのような痛みが走り続けていた。
……無意味な痛みだ、悔やみ続けるなど何の得にもなりはしないというのに。
それなのに、紫の心は小さな小さな悲鳴を上げている。
そしてそれは――彼女だけではない。
「紫」
「……龍人」
自分の両手を優しく握り締める龍人を見て、紫は曖昧に笑った。
彼も傷ついている、守れなかった者達を見て悲しんでいるのだ。
けれど、彼はただ悲しんでいるだけではない。
悲しみすら糧として、己が道を歩もうと新たな決意を抱いている。
――ああ、そうなのだ。
彼がそういう“強さ”を持っているから、紫は自分の心が折れないと確信できる。
胸に奔る痛みは今も続いているけれど、もうそれに押し潰される事はない。
もう一度龍人に向かって笑いかける紫、その笑みは先程のような曖昧なものではなく……強さと優しさを含んだ美しい笑みであった。
「――さて、これからどうしたものか」
ゼフィーリアの呟きを聞いて、紫は一度龍人から離れ彼女の元へ。
「ゼフィーリア、幻想郷に来たらどうかしら? あそこならあなた達を受け入れる事だって……」
「せっかくの申し出だが、断わらせてもらおう。別にその幻想郷とやらが気に食わないというわけではないぞ?」
「でも、紅魔城も紅魔館も崩壊してしまっているし、あなたの部下達だって……」
「それはわかっている。――なので少々不本意ではあるが、暫しの間“魔界”に行こうかと思ってな」
「魔界……」
魔界。
この地上とは異なる次元にある異界の一つ。
悪魔や魔族と呼ばれる存在が生まれ育つ世界であり、常に瘴気が漂う危険な世界である。
「余の部下達の殆どは悪魔だ。あそこならば地上よりも傷の治りも早いだろうし、何より……新たな問題が発生してしまった以上、余達とて何もしないわけにはいかなくなった」
「………………」
新たな問題、それは言うまでもなく突如として現れた脅威である神弧の事だろう。
いつか必ず彼女は再びこの地上に姿を現す、そして今度は――今回のように見逃してくれる事などありえない。
あれは生命の尊厳など考えもしない、ただただ機械的に他者の命を奪う殺戮者だ。
故に対抗策を用意しておかなければ、今度こそこの世に生きる生命体達は消滅する。
そんな確信めいた予感を抱いているのは、紫だけではなかった。
「かつて余も魔界で少々腕を磨いた事があってな、その際に“魔界神”と呼ばれる魔界の生命体全ての創造主と知り合った。魔界の神とは思えぬ昼行灯なヤツだがその身に宿す力と知恵は確かな女でな、力になってくれるだろう」
「そう……なら、一度ここでお別れになるのかしら?」
「そうなるな。衰弱している者も居るし、すぐに魔界の空気に触れさせてやった方がいいだろう」
言って、ゼフィーリアは口を小さく開き詠唱を開始した。
聴こえぬ声で彼女は言葉を紡ぎ、やがて身体から先程以上の濃密な紅い魔力が溢れ出していく。
ゼフィーリアの魔力が彼女の身体から離れていく。
やがてそれは渦となり、強い風を吹き荒らしながら地面に大穴を開けていった。
大穴に展開される赤い渦、それは魔界へと繋がる“門”へと変化する。
「では紫、龍人。色々と世話になったな、他の者達にもよろしく言っておいてくれ」
いつもと変わらぬ口調で、淡白な別れの言葉を放つゼフィーリア。
その口調からはまったく別れを惜しんでいないのが伝わってくる、なんとも彼女らしいものだと紫は苦笑した。
しかしだ、別れを惜しんでいないのは紫も同じであった。
いずれまた会える、そう確信しているからこそ惜しむ必要などあるわけがない。
だから紫はゼフィーリアに向けてただ笑みを返す、それ以上の言葉などいらないと示すために。
「――じゃあなゼフィーリア、あとロックは……気絶してるか」
「まったく……こういう情けない所を、いずれ生まれてくる子供達に受け継がれない事を祈らなければな」
「あらあら……」
3人は笑う。
そうこうしている内に、生き残った者達は続々と魔界へと続く“門”へと入っていき、最後にロックを掴み上げたゼフィーリアが入ろうとして。
「――お待ちなさい、お姉様」
紫達の前に、満身創痍といった状態のカーミラが立ち塞がった――
「…………今は見逃してやろうと思ったのだが、姉の心をまるで理解せぬ愚妹よな」
「見逃す? 何をおかしな事を……いつからそんなに反吐が出る甘さを持つようになりましたの?」
嘲笑するカーミラ。
だが今の彼女には殆ど力を感じられず、虚勢を張っているのは誰の目で見ても明らかであった。
だからこそゼフィーリアは敢えてカーミラを見逃そうと思った、しかしそれは決して妹を想う姉としての考えではない。
既にゼフィーリアにとってカーミラは明確な敵であり、家族と呼ぶ存在ではなくなっている。
では何故見逃すのか、それはゼフィーリアにとって今のカーミラは殺す価値もない存在だからだ。
力の殆どを失い、スカーレット家に伝わる宝具である“レーヴァテイン”を満足に扱えぬカーミラなど、討ったところで何の価値も意味もゼフィーリアの中では生まれない。
故に見逃す、“レーヴァテイン”を預けたままになるがいつでも彼女から取り返せるので焦る必要はない。
総てを失ったカーミラなど、ゼフィーリアにとって何の脅威にも感じない小物と化しており。
――けれど、ゼフィーリアの温情ともとれるその態度は。
カーミラにとって、死よりも屈辱的な現実であった。
「――私は誇り高き吸血鬼。夜を支配する一族の長になる者! 情けや優しさなど……不要なのです!!」
彼女の右手に現れる、炎の剣。
スカーレット家に代々受け継がれる魔剣、“レーヴァテイン”である。
しかしその炎の輝きは嘲笑を送りたくなるほどに弱々しく、それがそのままカーミラの状態を表していた。
今の“レーヴァテイン”ではゼフィーリアの命には決して届かない、それは場の居る全員がわかりきった事実であり、カーミラ自身すら気づいている事だ。
辛うじて原型を留めている程度の魔力しか注がれていない魔剣では、容易く一蹴されるは明白。
だが、それでも。
カーミラは退かず、瞳に絶殺の意志を込めてゼフィーリアを睨みつけていた。
「…………そうか。そうだったなカーミラ、退かないのは……道理であったか」
何かを納得したような呟きを零し、ゼフィーリアは魔力を開放する。
一瞬で場の空気が重くなり、その余波で彼女の周囲の地面に亀裂が走っていく。
「龍人」
「えっ――うわっ!?」
いきなり気絶しているロックを放り投げられ、驚きつつも龍人はしっかりと彼をキャッチした。
仮にも自分の伴侶だというのに容赦のないものだ、彼女らしいといえばそれまでだが。
紫達に視線を向けることはせず、ゼフィーリアは己が武器を呼び出した。
瞬時に彼女の右手に現れる深紅の大槍“スピア・ザ・グングニル”、その切っ先をカーミラに向けながら、ゼフィーリアは最後の問いかけを放つ。
「父上と母上の願い、共に果たすつもりはないか?」
「戯言を。お父様もお母様も牙を抜かれた憐れな愚か者に成り下がっただけ、吸血鬼の面汚しですわ」
「面汚し……そうだな、我等の歩んできた歴史を顧みればそう思うのは当然か」
強き力を持った吸血鬼は、常に弱者をその力で捻じ伏せ服従させてきた。
人間に対しても家畜程度の認識しか示さず、ゼフィーリアよりも前の世代の吸血鬼達もそのような生き方が当たり前だという認識しか持っていなかった。
それが間違いなどというつもりはない、だが……どんなものにも“変化”というものは訪れる。
「カーミラ、世界も時代も変わっていくのだ。……いずれ我々が家畜だと侮蔑してきた人間達は際限なくその数を増やし続け、やがて我等吸血鬼……否、妖怪と呼ばれる者達よりも多くなるだろう。
そうなればもはや支配などという選択肢を選ぶ事はできなくなる、そればかりか逆に支配される可能性とて見えてくるのだぞ?」
「だから、下等生物である人間に服従しろと?」
「服従ではない、共存だ。父上も母上もいずれ訪れる未来を見据えたからこそ、他の吸血鬼達とは違う生き方を選んだのだ」
尤も、その道は決して容易い道ではない。
今まで吸血鬼が人間に行ってきた非道は決して許されないだろう、共存などどんなに年月が過ぎ去ったとしても叶わぬ願いなのかもしれない。
それでもゼフィーリアとカーミラの両親はその道を選んだ、今までの生き方のままでは自分達に訪れる未来はないと理解したから。
そしてゼフィーリアもそれが理解できたからこそ、今は亡き父と母の意志を受け継ぐと決めた。
たとえ夢物語に過ぎない願いだとしても、そんな未来が訪れたらきっと今までとは違う生き方を選べると思ったから――
「所詮そんなものは誇りを失った愚か者の弁、くだらぬ妄言ですわ!!」
「………………」
この反応は、充分に予想できたものであった。
カーミラとは解り合えない、それは紫達と出会う前から確定していた事だ。
ただ、それでも――この選択を理解してほしかったと思うのは、我儘なのだろうか?
……もはや、後悔など不要。
目の前の存在は自分達にとっての敵、それ以上でもそれ以下でもないとゼフィーリアは改めて己に言い聞かせる。
そして敵である以上、このまま生かしておくわけにもいかなくなったとも言い聞かせた。
「――さらばだ。誰よりも吸血鬼の誇りを忘れなかった妹よ」
「さようなら。誰よりも強い力を持ちながら臆病者になったお姉様」
同時に動くゼフィーリアとカーミラ。
互いに互いの命を奪おうと、一片の躊躇いも後悔も抱かずにそれぞれの獲物を振るい。
――深紅の大槍が、カーミラの胸部を貫いた。
「ご、ぶっ…………!」
血を吐き出すカーミラ。
深紅の大槍は、妖怪の心臓とも呼ばれる“核”を砕いた。
妖怪の中でも高い生命力を持つ吸血鬼とて、“核”を砕かれれば死は免れない。
「……ふふっ、いつだってそうでしたわね。いつだって……お姉様には適わなかった」
「………………」
「力も、才能も、愛する夫も……私がどんなに願っても得られなかった者を、お姉様は手に入れてきた」
身体を震わせ、血を流しつつもカーミラは独白を続ける。
もうわかっているのだ、自分の命が尽きようとしているのが。
けれど彼女はゼフィーリアに対して恨み言は放たず、独白を語る口調は今までにない程に穏やかなものであった。
「ずっと、羨ましかった……同じ両親を持ちながら、こんなにも違うお姉様が本当に妬ましくて……恨めしくて、羨ましかった……」
「……言い残す言葉は、それだけか?」
「…………まったく、最期の最期まであなたという女は……腹立たしいものですわ、ね……」
ずるりと崩れ落ちるカーミラを、ゼフィーリアは左手で受け止める。
情けを掛ける言葉も、後悔も、謝罪だって今のカーミラに与えていいものではない。
だからゼフィーリアはあくまでカーミラの敵として、同時に姉としての言葉を放つ。
「いつか余もそちらに行く時が来るだろう。それまでに父上と母上の考えを理解する事を願うよ」
「ふ、ふふふ……そんな事、絶対、に……ありえま……せ……」
……消えた。
最期まで皮肉を込めた笑みを崩さぬまま、カーミラはゼフィーリアの腕の中で命の灯火を消し去った。
熱が喪われていくカーミラの骸を、ゼフィーリアは冷たい目で見下ろしている。
同情なんかしない。
後悔なんかできない。
悲しみなんて抱かない。
彼女は敵になった、そして倒さねば己の命と己の大切に想う者達の命が奪われていた。
だから殺した、その事実に目を背ける事も否定する事だって赦されない。
いつか肉体が滅び現世から消滅するその時まで、ゼフィーリアはその咎を忘れないと心に誓う。
「………………」
「……ありがとう龍人、止めようとしなくて」
その光景を見つめながら、隣で血が滴り落ちるまで拳を握り締めながらも何もしなかった龍人に、紫は感謝の言葉を告げた。
彼の事だ、姉妹で殺し合う光景を目の前で見せられた黙っている筈がない。
だからもしも彼が2人の間に介入しようとした瞬間、紫は能力を使ってでも彼を止めようと思っていた。
けれど彼は何もしなかった、止めたいと願う心はあったがそれ以上に――止めてはならないと理解したから。
あれは単なる殺し合いではない、互いに譲れない願いと想いを守る為の戦いだった。
その気持ちが龍人には痛いほど伝わったから、彼は介入しなかったのだろう。
それが紫には嬉しく、同時にほんの少しだけ哀しいとも思ってしまった。
「――では改めて。さらばだ2人とも」
骸となったカーミラを大槍と共に消し去るゼフィーリア。
変わらぬ口調、変わらぬ表情のままゼフィーリアは龍人からロックを受け取る。
告げる言葉はそれで終わり、彼女は2人に背を向け“門”に向かって歩き始めた。
「ゼフィーリア」
「何だ? 龍人」
「…………いつか、人と妖怪は共に歩める世界が来る。そう……思えるか?」
「………………」
それは、期待と不安が混ざり合った問いかけであった。
明確な答えが欲しい、そんな彼の心中を察したゼフィーリアは――あくまで自分が持つ答えだけを返す。
「そんなものわかるわけがないだろう。余はどんな運命でも視れるわけではない」
「そうじゃなくて……」
「他者から答えを貰うものではないぞ龍人。お前はただお前の信じた道を歩み、お前を信じる者達と共に生きればいい」
ではな、そう言い残してあっさりとゼフィーリアは“門”を通り――魔界へと旅立っていった。
あっさりとした別れだ、けれどそれも彼女らしい。
「………………そうだよな、うん」
一方、ゼフィーリアから何かしらの答えを貰ったのか、龍人の表情は晴れやかなものに変わっていた。
明確な答えは貰えなかった、けれど彼は彼なりに納得する事ができたようだ。
「紫、みんなを起こして帰ろうか?」
「ええ、そうね。――今回も色々な事があって疲れたわ」
懐かしい我が家に帰ってゆっくり寝たいものだ、今はそれしか考えられない。
龍人も同じ考えなのか、紫の言葉を聞いてうんうんと頷きを返してきた。
そんな彼に苦笑しながら……紫は横になっている藍の尻尾をおもいっきり掴み上げる。
「ひにゃああああああっ!?」
文字通り飛び起きる藍。
「藍、屋敷に繋がるスキマを開くから全員を運びなさい」
「ぜ、全員をですか……?」
「主が戦っていたというのにずっと寝ていたのだから、当然でしょう?」
「そ、それは……ですが私とてあの襲撃で混乱していた場を治めようとしていたわけでして……」
「そういう言い訳はいいから、早く」
ぴしゃりと容赦のない物言いに、藍は項垂れながらも頷きを返す。
厳しい事を言っているかもしれないが、式として最低限の仕事もしない未熟者にはちょうどいい厳しさだ。
「妖忌とチルノは俺が運ぶから、藍は美鈴達を頼むよ」
「りゅ、龍人様……」
「こら龍人、藍を甘やかすんじゃないの」
「紫は藍に厳し過ぎなんだよ、そんなんじゃ嫌われるぞ?」
「む……」
そんなに自分は厳しいのだろうか、思い返してみるが……主と式の関係としては至極普通だと紫は改めて認識する。
やはり龍人が甘いだけなのだ、そもそも彼は誰にだって優しいのだから自分が厳しいわけではない、ええ決して。
釈然としないながらも、紫は大きなスキマを展開する。
この先に続くのは八雲屋敷、懐かしき我が家だ。
そう思うと一刻も早く戻りたいという気持ちが湧き上がっていき、紫は龍人達を急かすようにスキマへと入らせる。
――慣れぬ土地を離れ、紫達は帰るべき場所へと帰っていく。
得られるものはあった、けれど……新たな脅威も生まれてしまった。
でも今は、戦いで傷ついた身体を休ませる事にしよう。
それだけを考え、紫は幻想郷へと帰還したのであった――
To.Be.Continued...
次回は第五章エピローグとなります。
ここまで読んでくださりありがとうございます。