住み慣れた山を離れ、一向は龍哉の要望により都へと足を運ぶ……。
第8話 ~都~
「…………おお~」
感嘆の声が放たれると同時に、龍人の瞳が輝いた。
彼の瞳の先には――沢山の人間達の姿があった。
忙しなく荷車を走らせる者、商いの声を放つ者、他愛ない話をする者。
様々な人間が、都の中で生活している。
その光景が、人間を殆ど見ていない龍人にとっては物珍しく映り、彼はすぐさま後ろに居る紫達に声を掛けた。
「紫、とうちゃん、ばあちゃん、人間が沢山居る!!」
「そんなの見ればわかるだろう。はしゃぎ過ぎだ龍人」
いくら人間を殆ど見た事がないといっても、彼の様子を見ると龍哉は苦笑せざるおえない。
マミゾウも龍人のはしゃぎっぷりを見て同じく苦笑いを浮かべており、龍哉と同意見だった。
一方、そんな2人とは違い紫の表情はやや強張っていた。
……当たり前だ、紫は都に赴く意味がないと思っているからだ。
人狼族――それも五大妖の1人に狙われているというのに、何故都に行かなくてはならないのか。
紫は視線を、この都に来ようと提案した元凶である龍哉を軽く睨んだ。
それに気づいていないのかそれとも気づいていて受け流しているのか、龍哉は視線を龍人に向けながら口を開く。
「それじゃあ各自自由に行動するぞー。
ここに来た目的はいつでも果たせるからな、お前だって都の中を見てみたいだろ?」
「いいの!?」
「おお。但しちゃんと光魔は持っておけよ?」
「わかった!!」
言うやいなや、光魔を右手で持って人ごみの中に吶喊していく龍人。
「ちょっと、龍人!?」
「よし、じゃあ俺達は一杯引っ掛けていくか。マミ、良い店知っているなら案内してくれよ?」
「昼間では開いている店も限られているが……まあよい、案内してやる」
「ちょっと待ちなさい!!」
さあ行くかと、酒を飲むために移動しようとした2人を、紫が制した。
2人を睨むように視線を向ける紫、まるで怒りを抱いているようで…事実、彼女は今龍哉達に怒りを向けていた。
「何だよ?」
「何だよ、じゃないわ。この都で龍人を1人にするなんて何を考えているの!?」
都は沢山の人間が住んでいる。
それと同時に……妖怪退治ができる陰陽師や祓い屋も、数多く存在しているのだ。
そんな中を、龍人1人にするなど紫には理解できなかった。
「大丈夫だっての。今はマミの術で姿形は変わっているし妖力だって抑えてるだろ?」
そう、現在紫達はマミゾウの変化の術により人間の姿に変わっている。
全員の髪と瞳は黒に変化しているし、妖力も抑えているため並の退治屋ではまず紫達が妖怪だと気づけないだろう。
それは紫とてわかっているし、彼女自身もマミゾウの術に対して信頼を置いている。
とはいえ完全に安心できないのもまた事実、だというのに何故彼を自由に行動させるというのか……。
「光魔を持っているなら龍人の居場所はいつだってわかるし、好奇心旺盛なアイツを止めてたら大変だぞ?」
「そういう問題ではないわ。もし腕の立つ祓い屋が現れたら……」
「だったら、お前が傍に居てやればいいだろ?」
「っ、もういいわ。最低ね!!」
嫌悪感を露わにした表情で龍哉を睨んでから、紫はすぐさま龍人の後を追った。
その後ろ姿を見つめつつ、ポリポリと頭を掻きつつ苦笑する龍哉。
「ったく……龍人に関してだと過保護だよなあ」
「紫の言い分の方が正しいぞ? わしも正直龍人の傍を片時も離れたくないしのう」
「だったらお前も龍人についていけばよかったんじゃないのか?」
「おぬしを1人にしておきたくないという思いもあるからのう、それに……ここなら騒ぎさえ起こさなければ妖怪とて生きていける。
――都の“歪み”を知っているからこそ、自由行動を許したのではないか?」
「……まあな」
肩を竦める龍哉。
……この都には、人間だけが暮らしているわけではない。
多くの人間はそれに気づかないが、ここには人間が恐れるような妖怪も生息しているのだ。
そして――その事実を、一部の人間達は
だから龍人が騒ぎを起こさない限りは祓い屋も動かない、それがわかっているから龍哉は敢えて彼に自由に行動する事を許した。
尤もそれは建前であり、愛する息子の願いをかなえてやりたいという親心が理由の大半を占めているのだが。
「それよかマミ、さっさと飲みに行くぞ? 都に着くまでの間、旨い酒にありつけなかったんだからな」
「……お主、まさかその為に龍人と別行動をとったのではあるまいな?」
ジト目で睨むマミゾウにも、「んなわけねえだろ」と返し歩を進めていく龍哉。
その姿を眺めつつ、それも理由の内に入るのだろうと直感したマミゾウは、呆れたように龍哉へと溜め息を吐き出したのだった。
■
「――龍人!!!」
「あっ、紫、お前も一緒に都を見て回るか?」
先に走っていった龍人だったが、すぐに追いつく事ができた。
というのも、彼が周りの人間達や店をキョロキョロと忙しなく眺めているために、歩が止まっていたからだ。
すぐに追いつけた事にほっとしつつ、紫は龍人の右手を掴んで隅の方へと移動する。
「龍人、1人になっては駄目よ」
「なんで?」
「ここは都、私達妖怪を退治しようとする祓い屋も多く存在しているの。
だというのに、迂闊に1人になったりしたら危険なのよ」
まるで子供に言い聞かせるように、龍人へそう告げる紫。
しかし、龍人の表情は紫が予想したように、不満げであった。
好奇心旺盛で、人間を殆ど見た事がない彼にとってここは魅力的な場所に見えるのだろう。
それがわかっているから紫も半ば無駄だと思いつつも忠告したのだが、やはりというか彼は全然聞き入れるつもりはないらしい。
だがこのまま彼を1人にしておくわけにもいかない、龍哉達があてにならない以上彼の手綱は自分が握っていなければ……。
「…………」
「? 龍人、どうかしたの?」
頬を膨らませて自分に向かって不満げな視線を向けていた龍人が、いきなり明後日の方向へと視線を向けたので、紫はおもわず首を傾げ彼の名を呼んだ。
しかし龍人からの返答は無く、その場で立ち尽くしたままある一点――路地裏へと視線を向けている。
その先に何か彼が興味を引くものがあったのか、そう思った紫は彼と同じ場所へと視線を向けるが、あるのは路地裏へと続く道だけ。
人はおろか動物の姿も無く、たとえその中に赴いたとしても目に付くものはないだろう。
では何故彼は突然そちらへと視線を向けたのか、紫が疑問に思った事を彼に訊ねようとして……気がついた。
(これは……妖怪の気配?)
ここでようやく気がついたのだが、視線を向けている先から…妖怪の気配を感じ取ったのだ。
あまりにも微弱で気づくのに時間が掛かったが、確かにこの気配は人ならざるものの気配。
……しかし本当に弱い、だがかといって死にかけの妖怪が路地裏の中に居るわけではない。
これは“
「龍人……?」
龍人が、その路地裏へと向けて走り出した。
慌ててその後を追う紫、入り組んだ道を暫く走り……通りの声も微かに聞こえる程度になった頃。
紫は、彼をここに辿り着く前に止めなかった事を後悔した。
「…………」
「あれ? 妖怪の気配があったのに……」
辿り着いた先は、策に囲まれた袋小路。
雑草が無造作に生えるだけの、来る目的など無い場所。
だが――今この瞬間、何の変哲もないこの袋小路は、顔をしかめる醜悪さを残していた。
「――龍人、もう行きましょう」
「えっ、ああ……そうだな……?」
紫の声に従い、この場を後にしようとした龍人だったが……彼の視線が、あるモノを見つけてしまう。
それは地面に落ちた、小さな物体。
……何かの肉のようだ、まだ新鮮で乾いていない血も付着している。
なんだろうと龍人はその肉片に手を伸ばそうとして。
「――やめなさい、龍人!!」
紫の怒声が、彼の動きを完全に止めた。
「きゅ、急に大声出すなよ紫……」
「いいから、それに触れるのはやめて」
「わ、わかった……でも、これって……」
「貴方は気にしなくていいわ。それより早くここから出ましょう」
強めの口調で龍人の言葉を遮って、彼の右手を強く握りしめる紫。
……嫌なものを見てしまったと、彼女はその端正な顔を歪める。
だがそれも仕方がないだろう、龍人が見つけてしまった肉片は――
「…………」
「紫……?」
自分の手を掴んでいた紫の足が止まった。
不審に思い、龍人は紫に声を掛けたが彼女からの返答は返ってこない。
一方の紫はその顔を先程以上に歪め、怒りを孕んだ視線を曲がり角の先へと向けていた。
そして――その曲がり角から、歓迎したくない第三者が姿を現す。
第三者の正体は3人の男、どの男もみすぼらしい格好をしている。
無造作に伸びた無精髭と不衛生な見た目に、嫌悪感を露わにする紫。
だがそれ以上に不快なのは、男達が自分達を見てニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべている事だ。
3人の内の2人は両手に荒縄を持っており、最後の1人は自分達に向けて両手を突き出しながら近づいてきている。
……人攫い、それも人身売買を生業にしている人間だと、紫はすぐに理解した。
おそらく自分達の姿を見て売り物になると判断したのだろう、そして自ら人の居ない路地裏に入ったので行動に移ったと容易に想像できた。
だがその行動はあまりにも浅はかだ。
男達は自分達が何の力もない非力な子供だと思っているのだろう、憐れといえば憐れである。
(――殺せば、面倒な事になりそうね)
本音を言えば殺してやりたいが、都の中でそのような行動に出れば迂闊に動けなくなる。
男達の吐き気を催すような笑みに苛立ちながらも、紫はすぐに黙らせようと力を解放しようとして。
「――おい」
まるで肌を切り裂くような殺気が込められた青年の声が、男達の更に後ろから聞こえてきた。
後ろに振り向く男達、紫と龍人もそちらへと視線を向けた。
そこに居たのは、まだ若い青年であった。
白に近い長めの銀髪を後ろで1つに束ね、緑を基調にした袴で身を包んでいる。
背中には長さの違う二丁の刀を背負い、その姿はまごうことなき“剣豪”の姿であった。
青年は無言のまま男達を睨む、その眼光はただ鋭く見ているだけで精神を切り裂かれるかのような錯覚すら覚えた。
直接向けられていない紫ですら息苦しさを覚えるその殺気を真っ向から受け、男達は短く情けない悲鳴を上げながらその場でへたり込んだ。
「……斬られたいならそこで座ってろ。死にたくねえなら……すぐに消えろ」
再び声を放つ青年だが、その声は低く重いもの。
瞬間、男達は我先にと悲鳴を上げながらその場を走り去っていった。
その姿を心底見下すような視線で暫し見つめながら、青年は紫と龍人に視線を向けた。
だがその視線は先程の男達ほどではないにしろ、冷たく鋭いものであった。
「お前、凄いなー! 助けてくれてありがと!!」
身構えそうになった紫であったが、その前に龍人が動きを見せた。
いつもの警戒心のなさで青年に近寄り、感謝の言葉を告げるその姿におもわず紫はつんのめりそうになってしまう。
青年の視線が龍人に向けられる、相変わらず刺すような視線だが龍人は構う事無く青年へと自分の名を名乗った。
「俺、龍人っていうんだ。お前の名前は?」
「…………妖忌。
「妖忌? なんか変な名前だな」
「…………」
「まあいいや。よろしくな妖忌!!」
握手をしようと、右手を妖忌の前に差し出す龍人。
しかし妖忌はそれに応じず、視線を龍人……ではなく、彼の持っている光魔へと向けながら問いかける。
「この刀、お前のか?」
「これ? 今はとうちゃんのだけど、俺が一人前になったら譲ってくれるって言ってた」
「……そうか」
何故か龍人の言葉を聞いて、妖忌は口元に笑みを浮かべる。
キョトンとする龍人だったが、いち早く妖忌の様子に気がついた紫は。
「っ、龍人――!!」
「おわあっ!?」
叫びながら龍人の腕を掴み、強引に彼を自分へと引き寄せて。
瞬間――先程まで彼が居た場所に、銀光が奔った。
「なっ……!?」
「……どういうつもりかしら?」
龍人を守るように前へ出ながら、紫は――刀を持った妖忌を睨みつけた。
――今、妖忌は本気で龍人を斬ろうとした。
事実、紫が龍人を引き寄せなければ彼の首と胴は離れていただろう。
だが何故? 龍人と妖忌は初対面のはず。
自分達を狙う妖怪かとも思ったが、妖忌からは人間の匂いがする。
もしや祓い屋かと思案する紫だが、それどころではないと己に言い聞かせ思考を切り替えた。
とにかく今はこの状況を打破しなければならない。
……だが、自分達の置かれた状況は芳しくはなかった。
後ろは壁、正面には刀を持った妖忌。
互いの距離は僅か三メートルほど、先程の剣戟で妖忌は並の剣士ではないとわかった以上、この程度の距離など無いと同意だ。
(スキマを使って……いえ、その前に斬られてしまうわ……)
妖忌ならば、スキマの中に入る前に自分達を斬る事など造作もないだろう。
かといって戦うという選択肢も、賢い選択ではない。
剣という獲物を持っている以上素手では戦えないし、このような狭い場所では妖力弾を撃てば自分達に飛び火する危険性もある。
「お前……どうして光魔を欲しがるんだ?」
「お前に話す必要は無い。死にたくなければ渡してもらうぞ」
「それは無理だ。これはまだ俺のじゃないし、たとえ俺のだとしてもお前なんかには渡さない!」
「……そうか、ならばやはり力ずくだ」
「――――っ」
考えている暇は、与えてはくれないらしい。
とにかく龍人は守らなければ、紫は素早く懐に手を伸ばし――その前に、龍人が動いた。
地を蹴り、光魔を抜くと同時に上段からの斬撃を繰り出す龍人。
初撃の速度は申し分ない、大太刀の攻撃力も合わせてまともに受けるのは得策ではない剣戟だ。
――鋼のぶつかり合う甲高い音が響く。
「くっ……!?」
「し――!」
龍人の上段からの一撃は妖忌の右の剣によって容易く弾かれた。
間髪入れずに妖忌から繰り出されるのは左の短刀による横薙ぎの一撃。
弾かれ体勢を崩された龍人では受けられず、彼は回避の選択を選び上体をできる限り逸らした。
風切り音と共に、妖忌の剣が虚しく空を切る。
「っ!?」
だが、回避に成功したはずの龍人の首筋に決して浅くはない裂傷が刻まれた。
凄まじい速度で振るわれた剣戟の剣圧による傷である、やはり妖忌は並の剣士ではない。
「くそ……!!」
傷は浅い、動きに支障は現れない。
なので龍人はもう一度踏み込み、今度は下段から掬い上げるような一撃を繰り出した。
それを妖忌は刀を交差させ受け止める。
龍人の渾身の一撃は真っ向から受け止められ、鍔迫り合いに陥る両者。
「ぐ、く……っ」
「……ぬんっ!!」
「ぐっ!?」
裂帛の気合と共に妖忌から繰り出されたのは、右足の蹴り。
刀にだけ目を向けていた龍人は反応できず、まともに受け後ろの壁に叩きつけられてしまった。
息が詰まり、蹴りの衝撃によって刀を落としてしまう龍人。
すかさず妖忌は地を蹴り、右の剣を振り下ろそうとして。
「っ、チィ――!」
真横から放たれた一撃を察知し、後方へと跳躍した。
「ゲホッ、うっ……」
「龍人、大丈夫?」
「ご、ごめん紫……助かった……」
「礼はいいから、立って」
咳き込む龍人に視線を合わせないままそう言って、紫は右手に持った扇――“八雲扇”の先を妖忌に向ける。
この武器は紫の血と妖力を硬度の高い鉱石に混ぜ、数日の儀式によって完成した彼女特製の扇子だ。
無論ただの扇子ではなく、彼女が振るえば名刀すら霞む切れ味と強度を誇り、その一撃は鉄塊すら砕く。
本来妖力弾による遠距離を得意とする紫が、近距離での戦いを強いられる時の為に作ったものである。
……しかし、それでも紫は自分達の状況が変わらない事を自覚していた。
(駄目だわ……接近戦では相手に分がありすぎる)
状況も相手も、自分達にとっては悪すぎる。
……最悪の結果も考えなくては、紫の頬に冷や汗が伝った。
「――雷龍気、昇華!!」
「っ、龍人……!?」
雷の【龍気】が発動し、龍人の周りに電気が使う。
既に彼は“紫電”を発動させ――更に、
「――――」
(なに、これ……!? 龍人の右手に……何かが)
紫も妖忌さえも、龍人の変化に気づきその顔に驚愕の色を宿す。
――彼の右腕に、力が集まっていく。
霊力でも妖力でもない、けれど濃密で膨大な力が右腕一点に集まっている。
そして彼は左手で自身の右手首を掴んでから、右手をまるで牙のような形に広げた。
「妖忌、受けてみろ!!」
「くっ……!?」
すぐさま妖忌も、右の剣に霊力を集めていく。
だが遅い、その前に龍人の技が完成し。
「――そこまでだ龍人、
聞き慣れた声が場に響き。
「がっ!?」
爆撃めいた音と共に、妖忌の身体が真横の壁に吹き飛んだ。
「っ、とうちゃん!!」
「マミゾウ……」
2人の前に現れたのは、龍哉とマミゾウ。
先程妖忌を吹き飛ばしたのは、龍哉が繰り出した蹴りだったようだ。
「すまんな2人とも、ちょいと遅くなった」
「おい龍人、お前厄介事に巻き込まれるの早すぎだ、おかげで一杯しか飲めなかったじゃねえか」
そんな文句を垂れる龍哉に、マミゾウは背後から彼の頭に拳骨を落とした。
妖力を込めてのものだったのでその破壊力は高く、拳骨とは思えない音を響かせ龍哉が顔面から地面に倒れこむ。
「たわけ、わし達が来るのが遅すぎたんじゃ!」
「いってー……おいマミ、もう少し手加減しろよ!!」
「やかましい!!」
一喝しつつ、マミゾウは紫達の元へ。
そして2人が軽傷で済んでいた事を確認して、安堵の溜め息を漏らした。
と、龍哉に蹴り飛ばされた妖忌が破片を撒き散らしながら這い出てくる。
「ほう、まともに受けてまだ立ち上がれるか。まあ……それも当然かもな」
「いきなり何しやがる……!」
「それはこっちの台詞じゃ阿呆が。わしの可愛い龍人と紫に手を出しおって、ただで済むと……んん?」
一気に戦闘態勢に入ろうとしたマミゾウであったが、何故かいきなりその動きを止めてしまった。
「……お主、まさか」
「そのまさかだマミ。ったく……その刀に選ばれる程のヤツが、何やってんだか」
「? とうちゃん、ばあちゃん、妖忌の事知ってんの?」
龍人の問いにマミゾウは頷きを返し、龍哉は――妖忌の正体を明かした。
「――コイツは魂魄妖忌。“半人半霊”の家系である【魂魄家】の人間だ」
To.Be.Continued...
ここに出てきた妖忌は所謂“若妖忌”になります。
他の二次創作に出てくるのとは違いかなり粗暴ですが、そこらは追々わかってきますのでご了承ください。