そこで待っていたのは、因縁深き相手であるアリアであった……。
――拳が、嵐のように繰り出される。
「ぬはははははっ!!」
「ちっ……」
高笑いを放ちながらこちらを殺すつもりで拳を放つ男に、龍人は舌打ちしつつもその悉くを防ぎ、弾き、いなしていく。
一撃一撃は確かに強力であり、まともに受ければ致命傷になりうる。
だが龍人には届かず、一方の男は防がれているというのに口元には歓喜の笑みを浮かべていた。
「ぬうんっ!!」
顔面に繰り出される左腕による肘鉄、それを龍人は左手で真っ向から受け止める。
「!?」
額に衝撃、繰り出された肘鉄は確かに防いだものの、男は勢いそのままに上腕部を動かし裏拳を龍人の額に叩き込んだ。
僅かによろける龍人、その隙に男は追撃となる右の突きを繰り出した。
「しっ!!」
だが不発、龍人は突きを左手で弾きながら間合いを詰め、男の顎に掌底を叩き込む。
仰け反る男に更に踏み込み、腹部に左の突きを叩き込んでから、後ろに周り込みながら回転を加えた肘打ちを男の首目掛けて放った。
「ぬはっ!!」
「!!」
しかし龍人の肘は男の左手によって受け止められ、掴まれてしまう。
すかさず男は肘を掴んだ左手に力を込め――彼の身体を真上に掴み上げてしまった。
「こいつ!!」
「ぬおっ!!」
地面に叩きつけられる、そう思った龍人は投げ飛ばされる前に右足による蹴りを男の額に叩き込み難を逃れる。
渾身の一撃を叩き込まれた男は、そのまま後ろへとよろめき……ただそれだけ。
まともに叩き込んだというのに、男の身体にはさしたるダメージが負った様子は見られず龍人は苦々しい表情を浮かべてしまった。
「……頑丈だな。お前」
「当然よ。脆弱な人間が貴様等のような
「人間……? まさか、お前……」
龍人の目が見開かれ、顔には驚愕の色が浮かぶ。
目の前で対峙している男は、龍人にとって確かな強敵である。
だが彼は妖怪でもなければ、人外の類でもなかった。
「お前、人間なのか……?」
「――我が名は
「……成る程、誰の入れ知恵かは知らないが俺が狙いか」
「怪しい者の助言も聞いてみるものよ。見た目は小僧だが……楽しめる!!」
踏み込んでくる拳王、龍人も身構え直しながら真っ向から彼を迎え撃とうとして。
「天龍脚!!」
「ぬっ!?」
虹色の蹴りが拳王に襲い掛かり、防がれたものの両者の間合いは大きく引き離された。
「ぬぅ……誰だ!?」
「龍人さん、大丈夫ですか!?」
「美鈴……」
「小娘……? どうやら多少腕に覚えのある妖怪のようだが、貴様なんぞに用は無い。どけぃっ!!」
龍人の守るように前に出て構える美鈴に、拳王は覇気を込めて叫ぶ。
その威圧感に一瞬顔をしかめるものの、美鈴は真っ向からその威嚇を弾きながら更に一歩前に出た。
「龍人さん、ここは私に任せてくれませんか?」
「えっ?」
「この男……相当な“武”を持っています。同じ武術家として……戦ってみたいんです」
「腕に覚えがあるようだが、用があるのはそこの小僧よ! 小娘に用は無いと言った筈だ!!」
「…………」
右足で、地面を踏み抜く美鈴。
瞬間、周囲が揺れるほどの衝撃が響き渡り、同時に拳王の表情が変わる。
「……面白い。肩慣らしにはなるか?」
「龍人さん、いいですか?」
「……本当に危なくなったら、介入するぞ?」
そう言って、龍人は後ろへと退がる。
それと同時に、騒ぎを聞きつけたのか妖忌達が城から出てきたのを視界に捉えた。
「龍人、どうした!?」
「龍人様、一体何が……」
「ああ、いや……」
「――何者だ、貴様!!」
「カーミラの手の者だな、死ねえ!!」
駆け寄ってきた妖忌達に説明しようとした瞬間、武装したウェアウルフ達が拳王に向かっていく姿を見て、龍人は慌てて止めようとする。
だが一瞬遅く、ウェアウルフ達は拳王の身体を両断しようと剣を大きく振り上げ。
「――邪魔をするなあぁっ!!」
激昂した拳王によって、一瞬のうちに叩き潰されてしまった。
血反吐を吐き、身体の至る部分を拳や蹴りによって陥没させながら、ウェアウルフ達は宙に浮き……崖から落ちていく。
凄まじい破壊力と速さを兼ね備えた攻撃だ、本当にあの男は人間なのかと疑いたくなる強さだ。
「雑魚が……」
「そ、そこまでする事ないじゃないですか!!」
「ぬかせっ!! 立ち向かってくる以上は叩き潰す、邪魔者を潰す事の何がおかしい!?」
「っ、邪魔だと判断した者全てを力で叩き潰す、それが如何に業の深い事かわからないのか!!」
美鈴の瞳に凄まじい怒りが宿る。
刹那、彼女の身体から黄金色のオーラが噴き出し、その力を示すかのように周囲に突風が吹き荒れていった。
「藍、周囲に結界を張ってくれるか? そうしないと美鈴の“気”で紅魔城が壊れちまう」
「は、はい! ――それにしても、美鈴殿のあの力は」
「生きてる者なら誰でも持ってる生命エネルギー、それを自由に扱う力を美鈴は持っているんだ」
それだけではない、美鈴は妖怪でありながら“龍人族”としての力を持っている。
力だけならば彼女は藍よりも強いかもしれないが……美鈴自身の優しい気質が、それを抑え込んでいた。
妖怪でありながら争い事を望まず、ただひたすらに平穏を望み、己を鍛える事は好きだが手に入れた力を他者に振るう事は好まない。
それが紅美鈴という少女であり、けれど今の彼女に普段の優しい気質は微塵も感じられなかった。
「いいのか? 助太刀しなくて?」
「武術家として戦いたいって言ってるしな、美鈴の好きにやらせるさ。――ところで妖忌、妹紅達は?」
「知らん。適当に遊んでいるのではないか?」
そんなやり取りをしつつも、龍人達は2人から決して目を逸らさない。
これから始まる戦いは、それだけのレベルだと認識しているからだ。
「ただ闇雲にその力を振るい、他者を傷つけ命を奪う。それはとても悲しく……憐れな道なのよ!!」
「力とは振るうためのもの、それを善しとせぬ小娘が道を語るな!!」
美鈴に迫る拳王、大振りの手刀を彼女の脳天に叩き込もうと繰り出し。
「ちぇあっ!!」
それを、美鈴は右の蹴り上げで真っ向から弾き飛ばした。
「ぬははっ、楽しめそうよな!! 我が名は拳王、かかってこい小娘!!」
「――紅美鈴、参る!!」
■
――踏み込んだ。
秒も待たずに両手に持つ光魔と闇魔に全力の妖力を込め、紫は渾身の一撃をアリアへと叩き込む。
風切り音を響かせながら放たれたそれは、迷う事無くアリアの身体を左右二つに分けようとして。
「っ」
「その程度で、ワタシが殺せると?」
呆気なく、アリアがどこから取り出した長刀によって真っ向から防がれてしまった。
すぐさま後退する紫、けれどアリアは追撃はせず不敵な笑みを浮かべるのみであった。
お前程度など相手にもならない、アリアの態度が自身にそう告げているような気がして紫は顔をしかめるが……それが間違いだとすぐに気づく。
何故なら――アリアの視線は既に紫には向けられておらず、彼女の隣に立つ夜の女王。
――スピア・ザ・グングニルの切っ先をアリアに向けながら、ゼフィーリアが凄まじい魔力を全身から放出していたからだ。
ゼフィーリアのその絶大な力を前にして、アリアは紫を追撃する事ができなかったのだと理解する。
その力のなんと強大な事か、それを向けられていない紫ですら頬に冷や汗が伝うほどの暴力的な力を感じられた。
まるで台風のような圧倒的なパワーだ、けれどそれでもアリアの口からは不敵な笑みが消えない。
「――お前か? この紅魔館を汚らしく変えたのは?」
「そうだと言ったら、どうしますの?」
「質問にはきちんと答えて貰わねば困る、よもや意味が理解できぬほど頭が弱いわけではあるまい?」
小馬鹿にしながら、同時にゼフィーリアは先程以上の敵意をアリアへと向ける。
息苦しさすら感じるそのプレッシャーに、アリアの口から笑みが消えた。
「もう一度問うぞ。――ここに居た吸血鬼達は一体どうした?」
「……全員始末しましたわ、邪魔ですから」
「全員? それは可笑しな話よな、お前如きにカーミラが敗れるとは思えんが……」
「ゼフィーリア、油断しないで。あの妖怪は本当に得体が――」
「すまんな紫。――少し黙っていろ」
「――――」
静かで、優しく諭すようなゼフィーリアの声。
だというのに、その声が紫の耳に入った瞬間――言葉を忘れてしまったかのように喋れなくなってしまった。
これは“言霊”、声自体に力を込め相手に影響を与える精神的な術のようなものだ。
けれどゼフィーリアの放った“言霊”の強制力はありえないほどに重く、これではまるで呪いも同意であった。
「まあよい。では次の質問だが……何故このような事をした?」
「邪魔だったから、と言った筈ですが?」
「そう思った経緯を問うている、質問の意図が判っているのにわざわざ訊ねるとは……余程、殺されたいらしいな」
「まあ恐い。ワタシはキチンと質問に答えたつもりだというのに、酷いですわね」
くつくつと笑うアリア、その態度にゼフィーリアは僅かに眉を潜めるが、安い挑発に乗る彼女ではなかった。
一方、ゼフィーリアの“言霊”に影響されながらも、紫はいつでも相手を打倒できるように内側へと力を溜めていく。
今まで何度も対峙してきた得体の知れない女妖怪、そのくだらぬ因縁はここで断ち切らなければならないと……妖怪の本能とも言うべきものが先程からずっと訴えかけていた。
「……浅ましい。あなたのような未熟な女が、ワタシを倒せると?」
そんな紫の心中を悟ったのか、アリアは瞳に紫に対する憎悪の色を宿しながら彼女を睨み付ける。
その瞳から放たれる威圧感はゼフィーリアと同じく凄まじいものであり、紫はおもわず一歩後退してしまった。
しかし紫はそれ以上の後退はせず、負けるものかとアリアを厳しい目で睨み返す。
だが、彼女のその態度はアリアにとって……御しがたいものであった。
「ああ……本当に醜いですわ。勝てないとわかっていながら向かってくるその態度……彼ならばともかく、妖怪風情でしかないあなたがその目を宿すのは……本当に我慢なりませんわね」
丁寧な口調の中に、狂おしい程の怒りを宿すアリア。
冷静さを装っているように見えるが、隠し切れない激情をアリアは無意識の内に晒していた。
「……随分と紫を憎んでいるようだが、何かされたのか?」
「…………」
「正直、紫が誰かに憎まれるような事をするとは思えんが……まるで親の仇を見るかのようだな、貴様の紫を見る目は」
「親の仇? いいえ、そんな大層なものではありませんわ。ただワタシは――この女の存在が許せないだけ」
長刀の切っ先を紫に向けるアリア、彼女はそのまま独白を続けていく。
「妖怪の本分を忘れられないくせに、人と妖怪の共存を願う偽善者。本当は人間など家畜としか思っていないくせに、“彼”がその道を望むから便乗する哀れな女。この女の中途半端な生き方が……心底虫唾が走りますのよ!!」
空気が、震える。
初めて見せるアリアの激情を込めた声は、周囲の空気を震わせ衝撃となって紫達を襲った。
「……彼とは、龍人の事か? もしそうなら……貴様は本当に何者だ?」
「ただの妖怪ですわ。他者をおちょくるのが大好きで、胡散臭い哀れな女妖怪。それがワタシですわよ」
「では何故そこまで紫に拘る? いや紫だけではない、貴様の目は……龍人に対する明らかな“執着”の色が見え隠れしているぞ?」
「えっ……?」
ゼフィーリアの言葉を聞いて、おもわず紫は身構えるのを止めてしまう程の衝撃に襲われる。
「…………」
対するアリアは……先程までの笑みを消し、真顔のままゼフィーリアを見つめていた。
彼女の言葉を見当違いだと笑う事もせず、否定もせず、けれど肯定もしない。
「夜の一族である吸血鬼の余は淫魔を眷属にする事もある、故にそういった感情を読み取るのは得意でな。貴様はどうも龍人に対する執着や……“懺悔”といったものを向けているように見える」
「…………」
「そしてその感情をそのまま憎悪に変え紫に向けている、龍人の傍に居る紫に嫉妬しているのではないかと思ったが……どうやらそうでもないらしい。複雑すぎて貴様の感情を完全に読み取るのは無理そうだ、だが……貴様が龍人と紫にとって何かしらの“
(縁? この女は……私と龍人を、前から知っていたというの?)
だが、そう考えると思い当たる節は幾つか見つかる。
アリアは対峙する度に自分に対して今のような憎しみの念を送ってきたし、龍人に対しては何処か争いを避けるような態度を見せていた。
西行妖での時だって、彼女は結局龍人を殺さずに気絶させるだけに留めていた、あの龍哉の腕を簡単に斬り飛ばせる程の実力を持っていたのに、だ。
「まさか……アリア、あなたは龍人と血縁関係があるんじゃ……」
「? それはどういう意味だ?」
「龍人は両親を生まれてすぐに亡くしたのだけれど……もしかしたら、他に妖怪もしくは人間側に親族が居る可能性もあるのではないかって……」
「成る程、確かに妖怪の中では人間が作り上げた家系図のような関係を持つ者も居る。たとえばこの女は龍人にとって“叔母”もしくは――」
「――――囀るな」
「っ!!?」
「むっ……」
たった一言。
たった一言の声で、紫達の身体は緊張と恐怖で動けなくなってしまった。
ゼフィーリアはすぐにその拘束を解いたものの、紫とロックは身体の震えを止める事ができず、指先すら動かす事ができなくなっていた。
「ワタシが龍人と血縁関係を? ふふっ……もしそうなら、どんなに良かったのでしょうね……」
「アリア、あなたは……」
「黙りなさい八雲紫、あなたの……あなたの存在だけは許されない。あなたが龍人の傍に居る限り、彼は決して幸せになれないのよ」
「えっ……?」
「……その意味を全く理解できていない腑抜けた顔。彼に依存し共に生きようとする浅ましい想い、その全てがワタシにとって御しがたい!!」
激情を隠そうともしないアリアに、紫はただただ困惑した。
常に人を小馬鹿にしたような不敵な笑みを浮かべ、その心をまったく読ませなかったアリア。
だが今の彼女はまるで未熟な童女のように喚き、激昂し、同時に……言いようの無い近視感を覚えさせる。
「仮面が剥がれたなアリア、どうやら見た所かなり永い年月を生き続けてきたようだが……心はまだまだ若いらしい」
「黙りなさいゼフィーリア・スカーレット、よくもずけずけと遠慮もなしに人の感情を掻き乱して……本当に吸血鬼というのは子供ですわね!!」
「今のお前に子供と言われても痛くも痒くもないよ。それに余からすれば、今のお前の方が先程よりも魅力的だと思うがな?」
「黙れ!!」
左手を真横に翳すアリア、刹那――不可思議な空間が現れた。
今ある次元とは異なる異界の入口、それは彼女の不可思議な能力の一つだったが……。
何故だろうか、ここに来て紫は彼女の力に対して何処か懐かしさを覚えたような気がした。
自分は前にこの力を見た事がある、否、見た事があるというよりもこれは。
「呆けるのは勝手だが、死にたくなければ身構えよ」
「っ」
ゼフィーリアの声で我に帰り、言われた通りに紫は身構え直した。
そうしている間にも異界の穴は見る見る内に大きくなっていき……中から、異形の生物達が這い出るように現れた。
グールと呼ばれる動く骸、ゴブリン、ハーピーと呼ばれる西洋の妖怪達。
更には……虚ろな目をした吸血鬼達も姿を現し、その中には既に生気を感じられないカーミラの姿も存在していた。
「……どうやら、貴様がカーミラを討ったというのは間違いではなかったようだな。手間が省けた、礼を言うぞ?」
「それはどうも。ですが……たった3人で、戦うおつもりですの?」
「確かに些か不利な展開ではあるが……ロック、有象無象はそなたに任せる。余と紫でカーミラとアリアを討つ」
「わ、私1人でか!?」
「余の夫ならばそれくらいの事をしてもらわねば困る。それとも……自信が無いのか? この夜の女王であるゼフィーリア・スカーレットが愛し認めたお前が、有象無象の吸血鬼や下級生物に遅れをとるとは思えんがな」
「っ、わ、わかった……けれどゼフィー、君も無理をしてはいけないよ?」
すぐさま臨戦態勢へと入るロック、その姿を見て紫は内心苦笑した。
見事に尻に敷かれているではないか、とはいえゼフィーリアの性格からすれば当然の結果ではあるが。
「紫、少しの間だけでいい。アリアの相手をしてくれ。いくら愚妹とはいえ誇り高き吸血鬼があのような姿を晒しているのは忍びない、頼めるか?」
「……アリアは私が倒すわ、気にしないで」
「ふん……大きく出たな」
カーミラをおびき寄せるように、少しずつ横に移動していくゼフィーリア。
するとカーミラも移動を始め、標的をゼフィーリアへと決めながら両手に燃え盛る剣を生み出した。
「…………ワタシを倒す? 龍人が居なければ前に進めない女が!!」
「本当に私が憎いみたいね、今まで様々な敵意を向けられた事はあったけど……あなた程じゃなかったわ」
「当たり前でしょう? あなたの存在が龍人を苦しめる、だから今すぐに…………往ねっ!!」
長刀を横一文字に振るうアリア、けれど紫との間合いは開いており当然当たらない……。
当たらない、が――その一振りで、文字通り部屋全体が“斬り飛ばされた”。
爆撃めいた音を響かせながら、紅魔館が崩壊していく。
そのあまりに考えなしで無茶苦茶な戦法に驚きつつ、紫はすぐさま崩壊する部屋から飛び立ち外へと出た。
ゼフィーリアとロックの事は心配だが、あの吸血鬼夫婦が館の崩壊程度でどうにかなるわけでもないと自己完結。
というよりも……今すぐにでも飛び掛らんばかりの怒りを抱いたアリアを前にして、他者の事を気遣う余裕などないというのが本音であった。
「せっかく出したグール達が館の崩落に巻き込まれているじゃない、無駄な事をするのね?」
「……ええ、ワタシも内心驚いておりますわ。自分がここまで短絡的な事をするとは思いませんでしたから」
(口調が戻ってる……冷静さを取り戻してしまったようね)
先程のままならば付け入る隙はあったものの、今のアリアからはそれを感じ取れず紫は内心舌打ちをした。
とはいえ――負けるわけにはいかないのだ。
光魔と闇魔を構え、刀身に妖力を編み込んでいく。
紫のその姿を見て、アリアは小さく鼻を鳴らしながら。
「もう一度言いますわ八雲紫、今すぐこの世界から……往ねっ!!」
絶殺の意思を込めて、紫目掛けて突貫していった……。
To.Be.Continued...
楽しんでいただけたでしょうか?
もしそうなら幸いに思います。