それによって紫は僅かながら人間に対する憎しみを和らげた矢先、彼女達の前に人狼族の狼達が現れる。
マミゾウの圧倒的な力で返り討ちにしたものの、次に現れたのは……五大妖と呼ばれる凄まじい力を持った人狼族の大長であった………。
――五大妖。
大妖怪と呼ばれる妖怪の中でも、更に強大な力を持った五人の妖怪の総称である。
その誰もが天地を左右する程の力を持ち、それらが動く時……世界が揺れると言われるほどの影響力を持つ者達だ。
出会えば命は無く、助かる術は存在しない。
それだけの力を持った妖怪が――今、自分達の目の前に居る。
身構えはしたものの、その事実が信じられず紫は完全に固まってしまっていた。
「何をしておる、紫!!」
「――っ」
マミゾウの怒声が、紫の硬直を解いた。
慌てて視線をマミゾウに向ける紫、見ると……彼女は凄まじい形相を浮かべていた。
その姿に恐ろしさすら覚え、別の意味で硬直してしまいそうになる紫に向かって、マミゾウは更に叫んだ。
「早く龍人を連れて龍哉の元へ急げ! わしが時間を稼ぐ!!」
「……そのデケエ尻尾。そうか……テメエが佐渡の二ッ岩と呼ばれる化け狸だな?」
「っ、何故じゃ……何故お前のような大妖怪がここに………!」
「テメエに話す必要は無い。いいから消えろ、邪魔をするなら――殺すぞ?」
「――――っ」
髪と同じ銀の瞳が、マミゾウを捉える。
たったそれだけで、ただ睨まれただけでマミゾウは戦意の殆どを削られてしまった。
足は震え出し、数秒後の死が脳裏に浮かび上がる。
恥も何もかも捨て去ってすぐに逃げ出してしまいたい衝動に駆られるがしかし、マミゾウは決して逃げる事はしなかった。
だってそうだろう? 今ここで自分が逃げれば、後ろに居る龍人と紫はどうなる?
2人の命を守るため、マミゾウは己の命すらも犠牲にしようとするが……刹那はそんな彼女の決意を鼻で笑う。
「無駄なんだよ。たとえテメエが今すぐオレに立ち向かってこようが結果は変わらねえ。
テメエは一瞬で殺され、数秒後には後ろのガキ達の命も尽きる。そんぐらい……テメエほどの妖怪ならわかんだろ? テメエが出来る事は今すぐここから逃げる事だけだ、そうすりゃあ命ぐらいは助かるからよ」
冷たく、無慈悲な言葉を吐き出す刹那。
だがそれは全て事実だ、刹那の言ったように未来は変わらない。
……それでも、マミゾウは自分の命可愛さに逃げるなどという選択肢は選ばなかった。
龍人は自分にとって孫も同じ、そして紫も守ってやらねば簡単にその命を散らしてしまう子供でしかない。
ならば守ってやらねば、たとえ敵わぬとも2人が逃げられる時間ぐらいは―――
「――不可能だって言ってるだろ。お前なんかにオレの時間稼ぎが勤まると思ってんのか?」
けれど。
まるでマミゾウの決意を踏み躙るかのように、刹那は変わらぬ口調で未来を言い放つ。
「お主こそ、わしの力を嘗めてもらっては困るな!!」
「……ったく、しょうがねえなあ」
面倒だが仕方ない、そう言わんばかりの口調と態度で……刹那は妖力を解放した。
瞬間、周囲の木々が激しく揺れ、森の動物達が一斉に逃げ去っていく。
空気はまるで重量感を持ったかのように重苦しくなり、息をする事すら難しくなった。
妖力を解放した、たったそれだけで周囲に影響を及ぼしていく。
改めて目の前の存在の強大さを思い知り、けれどマミゾウは一歩も退かない。
たった数秒でもいい、後ろの2人が逃げられるのならばそれで――
「――雷龍気、昇華!!」
「きゃっ!?」
「なっ――うおっ!?」
「……ああ?」
突然の衝撃と共に、マミゾウの身体が宙に浮く。
そしてそのまま刹那との距離が離れていき、そこでようやく彼女は――龍人に抱えられている事に気づいた。
しかも自分だけではない、反対側の腕には紫も抱きかかえられている。
「龍人……!?」
「ごめんばあちゃん、じっとしてて!!」
「たわけ、誰かが時間稼ぎをしなければ逃げられんぞ!?」
凄まじいスピードで移動している龍人だが、それでも相手からは逃げられないだろう。
それをわかっているからこそマミゾウはそう叫ぶが、龍人は聞く耳を持たない。
当たり前だ、あそこにマミゾウを残せば……間違いなく彼女は死ぬ。
それがわかっていてどうして残す事ができるというのか、だから龍人は“紫電”を展開して全速力で逃走する選択を選んだのだ。
龍気を用いるこの技は、既に彼の身体を蝕み始めているが、その痛みを無視して彼は走り続けた。
止まれば死ぬ、先程から加減なしの全力で逃げているというのに……死の気配が、消えてくれない。
振り向けば死ぬとわかっているから、龍人はただ前を見て逃げる事だけを考えて――
「――なかなか速いな。驚いたぞ」
「――――」
その声が耳に届いた時には、既に刹那の右足による回し蹴りが放たれていた。
「っ、が――っ!!?」
「あぐ……!?」
「ぐあ……!?」
瞬間、3人の身体に衝撃と激痛が走る。
更に3人はまるで大砲の弾のように吹き飛ばされ、各々大木に叩きつけられてしまった。
息が詰まり、動く事ができずにズルズルと地面に座り込んでしまう紫達。
「そ、んな……!」
「ぐっ、化物め……!」
たった一撃で、紫もマミゾウも身体を動かす事ができなくなる程のダメージを負ってしまった。
「すぐに逃げたのは褒めてやる。臆病は弱肉強食の世界において尤も重要なものだからな。――だがそれだけじゃ生き残れねえ、テメエらとオレとじゃ力が違い過ぎるんだよ」
冷たくそう告げながら、刹那はゆっくりと紫に向かって歩いていく。
無論、彼女の息の根を止めるためだ、元々の目的を果たそうとして……。
「はー、はー……はー……」
紫を守るように立ち上がった龍人が、刹那の前に立ち塞がった。
足は震え、先程の一撃で額から血を流し、息も絶え絶え。
はっきり言って相手にもならない、否、たとえ彼が全快であったとしても結果は変わらない。
所詮刹那にとって龍人は無力な子供同然、今のように立ち塞がろうが指一本でその命を奪える存在でしかないのだ。
それでも――刹那は表情にこそ出さないものの、龍人の行動に内心では驚いていた。
実力差など先程の一撃で理解した筈、だというのに立ち向かってくるなど……単なる馬鹿か、それとも大物か。
どちらにせよ、龍人の行動は刹那にとってなかなか楽しめる行動であり、彼は立ち止まり龍人へと声を掛けた。
「おい小僧、どかねえと……死ぬぞ?」
「はぁ、は……ど、どかねえ!!」
「テメエなんぞがオレに勝てるわけねえだろ。それがわかってんのにどうして邪魔をする?」
「りゅ、龍人逃げろ! 逃げるんじゃ!!」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
どうにか起き上がろうともがきながら逃げろと叫ぶマミゾウの声にも反応せず、ただただ刹那を睨みつける龍人。
……目を離したら、紫は殺される。
それがわかっているからこそ、龍人は立ち上がり真っ向から刹那と対峙していた。
打開策などあるわけがない、このまま見逃してくれるかもしれないなどという都合の良い事を考えているわけでもない。
ただ、今の自分にできる事などこれぐらいしかないから……だから龍人は決して逃げなかった。
「――その気概は認めてやる。だが……邪魔するなら本当に殺すぞ?」
「ここで、俺が逃げたら……お前、紫を殺すだろ!! 手下に命令したみたいに!!」
「…………」
「お前は、紫を殺そうと何度も何度も手下を使って襲ったんだろ!?
そんなヤツから、はぁ……目を、離すわけにはいかねえ!!」
「……その結果、お前が死んでもか?」
「友達を……はぁ、はぁ……見捨てるぐらいなら、死んだ方がマシだ!!!」
「――――」
その、言葉で。
紫の心が、「殺される」と覚悟し死を覚悟した心が再び動き出した。
絶対に勝てない、殺されると理解している相手にも龍人は立ち向かっている。
その理由が、自分を守る為だとわかって……紫は、己の弱さを心の底から憎んだ。
彼にここまでの覚悟を抱かせたというのに、自分は一体何をしている?
自身の命すら投げ打ってでも自分を守ろうとしている彼に、ただ縋っているだけ?
(……冗談じゃない)
そんな事は許されない、否、自分自身が許せない。
敵わない相手だろうが何だろうが関係ない。
ここで何もしないなどという選択を選ぶ事は、彼の全てを裏切る事と同意だ。
彼は自分を友達だと言ってくれた、だから守ると……強大な相手に立ち向かってくれている。
……ならば自分も、彼を守らなければ。
「ぐ、くっ……!」
「紫……!?」
「んん……?」
立ち上がろうとして、紫の全身に痛みが走る。
それだけではない、相手の圧倒的なまでの力を目の当たりにして、紫の身体が動く事を拒否している。
恐い、動くなと己の肉体がストライキを起こそうとして――紫は無理矢理それに蓋をした。
ここで立ち上がる事を諦めれば、自分は二度と彼に友達だと言ってもらう資格など無くなってしまう。
龍人が紫を大切な友人だと想うように、紫もまた龍人を大切な友だと想っているからこそ。
内なる恐怖をかなぐり捨て、紫は龍人と同じように刹那と対峙した。
「紫……」
「……ごめんなさい、龍人、マミゾウ。
私のせいで、こんな事に巻き込んでしまって……」
「何で謝るんだよ、悪いのはお前を殺そうとしてるコイツだ!
それに、紫は友達じゃねえか。友達を守るのに理由なんかいらねえだろ?」
「…………ありがとう」
ずっと、追われ続ける生き方を強いられてきた。
でも今は違う、自分を守ろうとしてくれる友が居てくれる。
それのなんて幸せな事が、絶望的なこの状況でも紫はそう思わずには居られない。
……だが、現実はそんな儚い幸せすら打ち砕く。
「――惜しいな、そっちの小僧は成長すりゃあそれなりの大物になれるぜ。
だが……オレの邪魔をする以上、生かしておくわけにはいかねえな!!」
「っ」
「――雷龍気、昇華!!」
龍人の身体が、再び雷に包まれる。
たとえ敵わぬ相手であろうと、抵抗する事は止めない。
自身の出せる全ての力を以って、最後の最後まで足掻こうと龍人は“紫電”を発動。
そして、その気概に気に入りつつもそれごと粉々に砕こうと、刹那は地を蹴って。
――己の浅はかさに、気づく事になる。
「――――!!?」
それは、突然の襲来であった。
紫と龍人、刹那にとってとるに足らない子供2人の命を奪うため、彼は地を蹴り彼女達に向かって右の拳を突き出し。
突然現れた第三者によって、真っ向からその拳を刀で受け止められてしまった。
「テメエ――!」
自分の邪魔をされ怒りに震える刹那だったが、自分の邪魔をした存在の正体を知るやいなや、自ら後方へ跳躍し距離を離す。
一方、自分達の命が助かった事に驚きながら、紫と龍人は自分達を助けてくれた存在を見て……二度目の驚きを放った。
「――龍哉!!」
「とうちゃん!!」
「ふぅ、あぶねえあぶねえ……なんとか間に合ったな」
割と本気の口調でそう呟きつつ――龍哉は紫達へと振り向き、安堵の表情を浮かべた。
「りゅ、龍哉……遅いぞ」
どうにか立ち上がり、右手で左肩を庇いつつ紫達の元へと近寄るマミゾウ。
「……お前ほどの妖怪がここまでやられるとはな。まあ――相手が相手だからしょうがねえな」
そう言いながら、手に持つ【妖黒刀・闇魔】の切っ先を刹那に向ける龍哉。
「そうか……テメエが八雲紫を匿っていたとはな」
「……龍哉、あなた彼と知り合いなの?」
「ん? ああ、ちょっと数百年前にやりあったんだよ。
――久しぶりだな刹那、だが五大妖ともあろう妖怪がこんな乳臭いガキを殺すためにわざわざ動くとは……人狼族の大長の名が泣くぞ?」
小馬鹿にしたような龍哉の言葉にも、刹那は意に介した様子を見せない。
そのような挑発などに反応する程、彼は小物ではないからだ。
「それでどうする? 次は俺が相手になってやるぞ?」
「…………」
「俺は一向に構わんが……どうする?」
試すような物言い。
しかしその姿に隙は無く、刹那は責めあぐね舌打ちを打つ。
……誤算であった。
紫達との戯れなど起こさずに命を奪っていれば、このような状況にならなかったというのに……刹那は己の浅はかさを今更に理解する。
だが理解しても状況が変わるわけではない、龍哉の実力を知っている彼の脳裏に紫の命を奪うという考えは、既に消えていた。
「……仕方ねえ、今日は退くとするか」
「逃がすか……!」
「よせ龍人、お前が行った所で勝てるわけねえだろうが。もっと現実を見ろ」
「くっ……!」
龍哉に制され、悔しげな表情を浮かべる龍人。
だが彼の言う通りだと自分に言い聞かせ、内側から溢れそうになる怒りを懸命に抑え込んだ。
「――そのガキは、テメエの息子か?」
「ああ、可愛いだろ? 自慢の息子だ」
「……成る程な。テメエの息子ならオレに立ち向かう事もできるかもしれねえ。
おい小僧、テメエ……名前はなんていうんだ?」
「…………龍人だ!!」
「龍人……覚えておくぞ。テメエがもう少し強くなったらまた遊んでやる」
そう告げた瞬間、刹那の姿が消える。
すぐさま森の雰囲気もいつものものに戻り、息苦しさから解放され紫達はおもわずほっと息を吐き。
「ぁ……ぐ……」
緊張の糸が切れ、更に“龍気”を使用した影響か、龍人は苦しげな声を上げながらその場で倒れ込んでしまった。
「龍人!!」
「心配すんな紫、力を使い過ぎただけだ。
ったく……あれだけ俺の許可なしに“紫電”を使うなって言ったのによ」
とはいえ、そうでもしなければ今頃3人の命は無かっただろう。
そう思うと龍人を責める事はできない、呆れはするが。
倒れた龍人を抱きかかえ、龍哉は紫達を連れて自分達の家へと戻っていく。
(……こりゃあ、もう無理そうだな)
ある懸念を、胸に抱きながら。
■
「――龍人は寝たわ。ぐっすりみたい」
「龍気を使ったからな。あいつの身体じゃ負担が大きいんだ」
無事に家へと戻り、疲労していた龍人を寝かせた時には既に日は沈み、夜になっていた。
紫とマミゾウのダメージは幸いにもたいした事はなく、マミゾウに至っては既にいつものように酒を飲み始めていた。
龍哉と向かい合うように座り込む紫、そして……彼女は突然2人に向かって頭を下げた。
「……ごめんなさい」
「何だ、一体何を謝ってんだ?」
「今回の事は、全て私の責任よ。
そのせいで龍人……そして龍哉達にも迷惑を掛けてしまったわ」
だから紫は頭を下げた、その程度で許してもらおうなどという虫の良い話はないが謝りたかったのだ。
すると――何故か龍哉とマミゾウは、そんな紫を見て笑い始めてしまった。
「ははははっ! なんじゃ、可愛い所もあるではないか!!」
「お前、意外と真面目な所があるんだな!」
「えっ……」
「構わぬ構わぬ、それに簡単に頭を下げるなとわしは言った筈じゃぞ?」
「紫、俺はいつかお前の命を狙ってる輩が現れる事は最初からわかってた。わかっていてお前を受け入れたんだ。
今更お前が責任を感じる必要なんてないし、ましてやお前のせいじゃない。だから謝るな」
「龍哉、マミゾウ……」
「責はお前ではなくお前の命を狙う側にある、故にお前がわし達に謝る必要など何処にも存在せん。
そして龍人もわし達と同じ事を思っている筈じゃ、だから龍人に謝るなどという事はするなよ?」
逆にお前を守ろうとした龍人の顔に泥を塗る結果になるからな、そう言って酒を煽るマミゾウ。
龍哉も同意するように頷きを見せ、マミゾウと同じように酒を飲んだ。
その反応が、紫の中から罪悪感を拭っていく。
軽い調子で紫の謝罪を受け流したのも、彼女がいらぬ責任を背負わない為だ。
それに気づき、紫はもう一度2人に向かって感謝の言葉を放つ。
尤も、今度は心の中でだが。
「――さて、問題はここからだ」
「そうじゃな。――いずれ、また紫の命を狙う輩がここにやってくるじゃろう」
「…………」
「紫、だからといってここから1人で居なくなったりしたら許さねえからな?
ここまで来た以上たとえお前が俺達から離れたとしても、俺達も同様に狙われるだろうさ」
人狼族は、妖怪の中でも珍しい群れを作る種族だ。
故に同じ種族の命を奪った存在を、人狼族は許さない。
紫だけでなく既に龍哉とマミゾウ、そして龍人も人狼族から狙われる事になる。
そうなると、もうこの山で暮らしていくのは難しくなるだろう。
――だから、龍哉はある決断を下す。
「しょうがねえ……ちょっとばかり早いが、この山を出るしかねえな。
俺としてはあと二十年……いや十年は龍人をここで鍛えてやりたかったが、人狼族に目を付けられた以上は仕方ねえ」
「わしも共に行くぞ」
「悪いな、マミゾウ」
「気にするな。わしが自分で言い出したことじゃからな」
「…………」
龍哉もマミゾウも、自分を責めるなと言ってくれた。
だがそれでも、紫は自分自身を責めてしまう。
自分が弱いせいで、未熟なせいで……自分を受け入れてくれた者達に迷惑が掛かってしまっている。
その事実は紫の心を乱し傷つけ、彼女にある決意を抱かせる。
「……龍哉、マミゾウ」
「ん?」
「なんじゃ?」
「――私、もっと強くなるわ。誰にも負けないくらいに……強く」
そうすれば、守られる側から守る側に変わる事ができる。
そうすれば――自分を守ってくれた龍人達を、今度は自分が守ることができる。
だから紫は誓った、皆を守れる程に強くなるという誓いを建てた。
「――おう。強くなれ強くなれ」
「お前ならばいずれわしと同じ大妖怪と呼ばれる時も来るじゃろう。だが焦りは禁物じゃぞ?」
「ええ、わかっているわ」
「よし――じゃあ、龍人が目覚め次第出発するか。ちょうど行きたい場所があったからな」
「行きたい場所?」
「ああ。どうせ旅立つなら世界を楽しく見て回った方が良いだろう?」
「……楽観的ね、あなたは」
「それで、何処に行きたいんじゃ?」
「ああ、それはな――」
――旅立ちの時が、遂にやってきた。
物語がようやく動きを見せる。
この広い世界で、彼等は多くの出会いを別れを果たし……そして、世界というものを知っていく。
その結末がどうなるのかは。
「――――都だ」
――まだ、誰にもわからない。
To.Be.Continued...
これにて序章は終わりです。
次回からは「都編」になります。
古代で都、わかる方はこのキーワードで次に出てくるキャラクターがわかるかもしれませんね。