妖怪の賢者と龍の子と【完結】   作:マイマイ

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妖怪の山へと赴いた紫達は、鴉天狗の少女を助ける事になった。
治療と避難の為に一時幻想郷へと向かい、鴉天狗の少女――射命丸文に山で起きている事情を訊く事にしたのだが……。


第30話 ~介入~

「――五大妖の息子が、謀反の首謀者、ね」

 

 成る程、五大妖の息子ならば鬼の大頭にも逆らおうという気概を見せるかもしれないと、紫は自身が抱いた違和感が拭えるのを感じた。

 尤も、まだ解せない点はあるが……。

 

「私は私用があって里から離れていたから難を逃れたけど……今頃、奴等に制圧されているでしょうね」

「だが、何故謀反なんてものが起こった? その星熊絶鬼という鬼は、お前達を力で捩じ伏せるような輩なのか?」

「……確かに絶鬼様はとてつもない力を持っているけど、戦いが好きな鬼とは思えない程に穏やかで優しい御方よ」

 

 五大妖と呼ばれる程の力を持つ絶鬼、しかし彼はその力に溺れず驕らず、自分よりも遥かに格下である天狗や河童にすら対等に接してくれている。

 だからこそ彼は多くの者に慕われ、妖怪の山は外界との交流を殆ど閉ざした状態でも平和な時を刻んでいたのだ。

 

「成る程な。つまり……そんな考え方だからこそ、他の妖怪共は不満を募らせていったってわけか」

「っ、絶鬼様の考えは決して間違いじゃなかった! わざわざ周りに戦いの火種を撒き散らそうと考える方が間違いで野蛮なのよ!!」

「何言ってんだ。妖怪っていうのは人間を……いや、他者を襲うのが当たり前の生き物だろう?」

「そ、それは……!」

 

 それは違うという言葉が喉元まで出掛ったが、文は妖忌にその言葉を言い放つ事ができなかった。

 だってその言葉は、他ならぬ妖怪の存在意義すらも否定するような言葉で……。

 

「――妖忌、妖怪全部が誰かを襲いたいと思うなよ」

「…………」

「龍人……」

 

 妖忌に視線を向けず、龍人はそう言い放つ。

 いつも通りの口調、その言葉に何の感情も込められていない筈なのに……言いようのない迫力が込められているように思えた。

 おもわず妖忌は僅かに身体を震わせ、一瞬だけ龍人に対し恐怖感を抱いてしまう。

 

「文、妖怪は人間を……他者を襲わないといけないと思うか?」

「…………」

「正直に言ってくれ。文の本当の考えを聞かせてほしいんだ」

「…………」

 

 妖怪は、人間から恐れられる生き物。

 そして時に、同じ妖怪にすら恐れられる存在だ。

 妖怪は人間を襲い、妖怪すら糧とするために襲い掛かる。

 ……それが間違いだと、文は言えない。

 言えないが……文は、龍人の言葉に首を横に振って否定の意を示した。

 

「……へへっ、そっか」

 

 満足そうに、嬉しそうに文の反応を見て笑う龍人。

 その瞬間、彼の次の行動が決まった。

 

「よーし……紫、妖忌、文と一緒に妖怪の山に行くぞ!」

「は……?」

「はぁ……」

 

 間の抜けた声を出す文、紫は額に右手を添え呆れたような溜め息を吐き出した。

 否、呆れたようなではなく完全に呆れている。

 

「お前……正気か?」

「勿論。それに妖忌だって妖怪の山に用事があるのに、今のままじゃその用事も済ませられないだろ?」

「それはそうだが、な」

 

 理屈はわかる、だが今の妖怪の山に向かうという事は……。

 

「――龍人、今回の件に介入するという事なの?」

「ああ、だって文だって困ってるだろ?」

「でもね龍人、山の問題に部外者が介入するという事は、下手をすれば山の妖怪すべてと敵対する事になるかもしれないわ。

 そうなれば……きっとこの先生き残る事はできなくなる、何より――妖怪の中でも上位に位置する天狗や鬼を相手にしなければならないのよ?」

 

 生半可な決意で介入して良い問題ではない。

 龍人もそれもわかっているだろう、彼とてそこまで馬鹿ではない。

 尤も、彼の事をよく知ってしまっている紫は、次に彼が放つ言葉が何なのかわかってしまっているが。

 

 

「―――友達が困っているのに、何もしないわけにはいかねえよ」

 

 

「……そうだったわね」

 

 ほら予想通りと、紫は内心ほくそ笑んだ。

 だが――呆れると同時に、紫は嬉しいとも思った。

 妖怪の山という強大な存在を前にしても、彼は己の優しさや信念を変えたりしない。

 それが、紫には嬉しかった。

 

「……友達って、私とあなたが?」

「少なくとも、俺はもう文とは友達だと思ってる。文は……嫌か?」

「…………」

 

 真っ直ぐな瞳、真っ直ぐな言葉。

 それを見て彼の思いが真実だと理解して、文は理解できなかった。

 

「――とりあえず、今日はもう休んで夜明けと共に出発しましょう。もうすぐ夜になるわ」

 

 そう言って、紫は半ば強引に話を切り上げた。

 

「阿一、申し訳ないけど……」

「すぐに寝床の準備をさせましょう、それに紫さん達が気にする必要なんかないですよ。

 ここは人と妖怪が共に生きる幻想郷、そして幻想郷はあらゆるものを平等に受け入れる場所ですから」

「ありがとう、阿一」

 

 その言葉に、紫は心からの感謝の言葉を阿一に送る。

 とにかく今は休んで妖力を回復させなくては、文の傷を治療する際に妖力を大分消耗してしまった。

 

「…………」

「? 文、どうかしたのか?」

「……なんでもない」

 

 あからさまに龍人から視線を逸らす文、どう見てもなんでもないようには思えなかった。

 しかし龍人はそれ以上何も訊かなかった、文を早く休ませてあげたかったからだ。

 

 

 

 

「…………?」

 

 ふと、夜になり眠りに就いていた紫は目を醒ました。

 時はまだ草木も眠る深夜、夜明けには遠い時間だ。

 

(……誰か、居るわね……)

 

 縁側に感じる、僅かな妖力。

 だがその存在からは敵意は感じられない、そもそもこの妖力が誰のものか紫はすぐにわかった。

 布団から出て、縁側へと足を運ぶ紫。

 

「――何をしているのかしら? 文」

 

 そして、縁側に座り込みじっと空を眺めている文へと、声を掛けた。

 

「あ……紫、さん」

「? 紫さん?」

「あ、いえ……その、やはり目上の存在にはこういった呼び方がいいというか……先程は、どうもすみませんでした」

「…………」

 

 そういえば、天狗という種族は上下関係を気にする妖怪だという事を、紫は思い出した。

 先程は怪我と突然の状況に頭が上手く働かなかったのだろう、そして休む事で冷静となり……話し方が変わった、というよりも本来の状態へと戻ったというわけだろう。

 

「別に謝る必要なんかないわよ。私は気にしていないから」

「あ、ありがとうございます……」

 

 ほっとしたように、文の表情が緩んだ。

 その姿は先程のような肩肘張ったものではなく、見た目相応のやや弱々しい姿に映った。

 おそらくこれが彼女の本来の姿なのだろう、先程の態度は天狗として他の妖怪に嘗められない為のものだと理解する。

 そのまま紫は文の隣に座り込み、スキマを開く。

 

 左手をスキマの中へと突っ込み、彼女は取り出したのは――2人分の猪口と(かた)(くち)(酒器の一種)だった。

 猪口の1つを文へと手渡す紫、文はキョトンとしながらもおとなしく彼女から猪口を受け取った。

 そして紫は片口から猪口へと酒を注ぐ。

 

「天狗なのだから、酒は飲めるわよね?」

「え、ええ……大丈夫だと思います」

「大丈夫だと、思う?」

「じ、実はまだ酒を飲む事を禁止されていまして……飲むのはこれが初めてなんです」

「あらそうなの。ふふっ……なら今日は記念すべき日になるのかしら?」

「飲んでもいいんですか?」

「いいじゃない別に、その為に用意したんだから」

 

 そして、2人は互いの猪口を軽くぶつけ合い乾杯する。

 早速酒を口に含む紫と文、阿一の屋敷に保管されていたものを勝手に拝借したものだが、後で謝れば許してくれるだろう。

 程よい苦味と辛みが口に広がる、それをゆっくりと味わってから……こくんと喉に流し込む。

 

「っ、けほっ、こほっ……」

「あらあら……」

 

 しかし文には少々強かったのか、飲み込んだ瞬間咳き込んでしまった。

 だが強がるように笑みを浮かべる文を見て、紫はおもわず苦笑してしまう。

 

「なかなかですね。でもきっと天狗が作る酒の方が美味しいですよ」

「そういえば天狗は酒造りもできるのよね。少し飲んでみたいわ」

「ええ。きっと紫さんも気に入ると思いますよ!」

 

 ニコニコと楽しげな笑みを浮かべる文、だが……ふとその笑みが消えた。

 

「……山の仲間が、心配?」

「それもあります。天魔様も捕らえられているでしょうし……本当なら、今すぐにでも飛んでいきたい」

 

 だがそれはできない、そんな事をしても返り討ちに遭うと文とて理解している。

 焦るな、落ち着けと何度も己に言い聞かせなければ、すぐにでもここから飛び出していってしまいそうになる。

 

「大丈夫よ、なんて楽観的な事は言えないわね。相手が相手だもの」

 

 この件に介入する、それは即ち【鬼】とも一戦交えなければならないという事だ。

 数多く存在する妖怪の中でも、特に力の秀でた【鬼】。

 それと対峙して、果たして自分達は生き残れるのか……そう思いつつも、紫の心には不思議と不安や恐怖感といったものは浮かばなかった。

 

「でも龍人が居るわ。それにあなたのように謀反に加わらなかった者達も居る筈、まずはその者達と合流しましょう」

「……龍人さんは、どうして私の力になろうとしてくれたんでしょうか」

「…………」

「紫さんや妖忌はわかりますよ。あなた達は妖怪の山の内部に目的がある。

 でも龍人さんは、それとは別に単純にただ私の力になろうとしてくれている。それが……私にはどうしても理解できません」

 

 見返りを要求しているようにも、文には見えなかった。

 故に理解できない、文と龍人は今日初めて会ったばかりだというのに、何故心から力になろうとしてくれているのか……。

 

「……そうね。きっとそれは理解できないと思うわ。でも龍人が言っていたじゃない、「友達だから助ける」って」

「たった、それだけの理由で?」

「彼にはそれで充分過ぎる理由になるのよ。あの子は……他者に優し過ぎるから」

 

 良い意味でも、悪い意味でも、彼は優しいのだ。

 そして同時に、彼は他者との温もりを強く求めている。

 意識的なのか無意識的なのかはわからない、だが紫にはそう思えたのだ。

 だから彼は他者との繋がりを深めようとする、人間だろうが妖怪だろうが関係なしに、友達になる事を強く望んでいる。

 今回彼が文の力になろうとしたのも、ただ()()()()()助けるのだ。

 

――だが、その生き方は酷く脆く儚いもの。

 

 危険な生き方だ、いずれ彼自身の首を絞めかねないものだという事は明白。

 しかし紫に彼は止められない、何故なら……自分も他者との温もりを求めてしまっているから。

 だからせめて、そんな危うい生き方しかできぬ彼の傍から、片時も離れないようにしなければ。

 

「……本当に、龍人さんは優し過ぎるんですね」

「ええ。そのせいで私は何度も何度も面倒事に巻き込まれたわ」

「あはは。その割にはちっとも嫌そうな顔じゃないですね」

「…………」

「ちょ、そんなに殺気立たないでくださいよ!! ちょっとした冗談じゃないですか!」

「だったら、余計な事を言わない方が懸命よ。――出発は早いわ、少しでも身体を休めておきなさい」

 

 そう言って、紫は立ち上がり自身の割り当てられた部屋へと戻っていく。

 そして布団に入り目を閉じると、すぐさま意識が薄れていき、紫は眠りの世界へと旅立っていった………。

 

 

 

 

――朝霧が、妖怪の山を漂っている。

  

 その中を、紫達は気配を殺しつつ移動していた。

 

「それで、まずはどうするつもりだ?」

「私達だけで立ち向かっても無駄よ。だからまずは……謀反に関わらなかった者達を捜すわ」

 

 そして戦力を集めた後、真っ向から立ち向かい里を奪還する。

 このまま相手に悟られずに行動する事は不可能に近い、今はまだ幸い見つかってはいないが……それも時間の問題だ。

 だから見つかる前に、戦力となれる妖怪達と合流しなければ。

 

「なあ文、そいつらが居る場所ってわかるか?」

「いえ、残念ながら……」

「妖力で位置を特定しようにも、誰が敵で誰が味方かわからねえな……」

 

 闇雲に動いても、見つかってしまうだろう。

 かといって他に方法は無く、運良く見つけるしかない現状では……。

 

「っ、散れ!!」

「えっ――きゃっ!?」

 

 龍人の叫びと共に、文を除く全員が動いた。

 反応が遅れた文の手を掴んだ紫は、すかさずスキマを展開して彼女ごとその中に入る。

 妖忌は右手で桜観剣を抜き取り、龍人も左手に持っていた長剣を右手で抜き取った。

 

――瞬間、風が吹き荒れる。

 

「ぐ………!?」

「うおお……!?」

 

 その風は暴力となって、龍人と妖忌に襲い掛かった。

 どうにか反応が間に合い直撃は免れたものの、衝撃によって2人の身体は大きく吹き飛ばされてしまう。

 体勢を立て直しつつ、2人は同時に空を見上げると……。

 

「――チッ」

「あれは……」

 

 そこには、黒い羽根を背中に生やし、白を基調とした天狗衣装に身を包んだ鴉天狗が三羽、2人を見下すように君臨していた。

 

「もう見つかっちまったのか……」

「フン、こそこそと這いずり回っている鼠風情の気配を感知できないと思っているのか?」

「鼠風情とはよく言ったものだな、鴉風情が!」

「…………」

 

 妖忌の暴言を聞いて、鴉天狗達から殺気が溢れていく。

 ……どの道、この場から逃げて戦闘を回避する事はもうできない。

 ならば――増援を呼ばれる前に、目の前の存在を倒してしまうのが先決。

 そう判断した龍人達は、同時に動きを見せた。

 

「ぐおっ!?」

 

 まず悲鳴を上げたのは、鴉天狗の方からだった。

 龍人に一瞬で間合いを詰められると同時に上段からの斬撃を繰り出され、その速さに反応が遅れてしまい、上記の悲鳴を上げながら肩を斬り付けられる鴉天狗。

 ぐらりとバランスを崩した隙を逃さず、龍人は左足でその鴉天狗を蹴り飛ばした。

 

「貴様――」

「余所見をするとは、随分余裕だな」

 

 残り二羽の鴉天狗が龍人へと攻撃を仕掛けようとして、その前に妖忌が先手を打つ。

 風切り音を響かせながら、鴉天狗の胴を薙ごうと振るわれる桜観剣。

 しかしその一撃を、鴉天狗は翼を羽ばたかせ上空に逃げる事で回避。

 すかさず右手に持っていた天狗扇を振るい、妖忌に向かって風の刃を発射した。

 

「フン――」

 

 だが無意味、つまらなげに鼻を鳴らしつつ妖忌は左手で白楼剣を抜刀。

 ただの一振りで風の刃を霧散させる妖忌であったが、その時には既にもう一羽の鴉天狗が彼へと追撃を仕掛けて――

 

「――四重結界」

「なっ――ぐあっ!?」

 

 突如として妖忌の前に現れる青白い結界。

 それとぶつかった鴉天狗は大きく吹き飛ばされ――それで終わり。

 

「飛光虫ネスト」

 

 三羽の鴉天狗達の上空に現れる、都合二十五のスキマ。

 そこから一斉にレーザー光が撃ち放たれ、鴉天狗達を釣瓶打ちにする……!

 

「カ……ッ……!」

 

 身体から煙を発しながら、黒焦げになった鴉天狗達が地面に落ちていく。

 ……死んではいない、だが暫く動く事はできないだろう。

 

「ふぅ……」

 

 ほっと一息つきつつ、龍人は妖忌と共に地面に降り立つ。

 

「あいたっ!?」

 

 それと同時に再びスキマが出現、そこから文が飛び出し地面に落ちた。

 

「大丈夫か?」

「あたた……ええ、大丈夫――」

 

 龍人に向かって顔を上げた文の目が、大きく見開かれる。

 その視線の先にあるのは、倒れたまま動かない鴉天狗達の姿。

 

「…………」

 

 文の表情が曇っていく。

 同族のこんな姿を見てしまったのだ、無理からぬ事かもしれない。

 

「文、これからもこういった場面を否が応でも見てしまう事になる。耐えられないのなら……」

「――いいえ。私は行きます、行かないと……いけないんです」

「……そう」

 

 搾り出すようにそう返す文の様子は、無理をしていると一目でわかる程に弱々しいものだった。

 しかし、彼女の言葉の中に何か強い決意を感じ取れたので、紫はそれ以上何も言わない。

 

「それにしても、発見されるのが早かったな」

「天狗の索敵能力を甘く見ていたわ、とにかくここから一刻も早く離れましょう」

 

 一々相手にしてしまっては、いずれ消耗するのは目に見えている。

 とにかくすぐさまここから離れようとして――第三者の声が場に響き渡った。

 

「――見事なもんだ。こうもあっさり鴉天狗を打ち負かすとはね」

『っ!?』

 

 身構えると同時に、全員の視線が声の聞こえた方向へと向けられる。

 そこに居たのは――1人の女性。

 女性にしては長身の身体は無駄なく引き締まり、まるで鋼のような堅牢さを醸し出している。

 しかしその屈強そうな雰囲気とは対照的に、女性が身に纏っているのは胸元が大きく開かれた美しい着物であった。

 女性としての美しさを見せながらも、戦士としての力強さも感じられるその姿は、おもわず見惚れてしまうほどだ。

 そして何よりも、女性の額に生える一本の角が、女性の正体があの【鬼】であると物語っている。

 

「鬼……!」

「……チッ」

 

 妖忌はあからさまな舌打ちをし、紫は冷や汗を頬に伝わらせる。

 こんなにも早く鬼に遭遇してしまうなど、本来ならばあってはならない。

 しかもこの女性、並の鬼とは思えないほどの力強さを感じるのだ。

 

「……へぇ、鬼って本当に角が生えてるんだ」

 

 しかし、そのような緊迫した状況下でも龍人はいつもの調子を崩さなかった。

 そればかりか、鬼の女性の立派な角を見て瞳を輝かせる始末だ。

 

「ほ、星熊様……」

「? 文、こいつの事知ってんのか?」

「こ、この御方は【(ほし)(ぐま)(ゆう)()】様です。【山の四天王】と呼ばれる優れた力を持った鬼に送られる称号を持つ御方であり……」

「おい天狗、自分の名前ぐらい自分で名乗る。余計な事は言うな」

「っ、は、はい……」

 

 ビクッと身体を震わせ、一瞬で文の身体は萎縮した。

 天狗にとって鬼は決して逆らえない上司、それもこの女性はただの鬼ではない。

 文を黙らせてから、鬼の女性は一度咳払いをしてから――改めて、自らの名を明かした。

 

「――あたしは星熊勇儀。そこの天狗が言っていたように【山の四天王】の1人だ、そして鬼の大頭である星熊絶鬼の一人娘さ」

 

 

 

 

To.Be.Continued...




少しは楽しんでいただけたでしょうか?
もしそうなら幸いに思います。

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