鎖色の物語に彩られる100通りの生き方   作:夏からの扉

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これより先は『魔法少女まどか☆マギカ』のネタバレ要素が含まれています。




いつも何度でも繰り返す魔法少女まどか☆マギカ

 

 

 

 

 

 

 001

 

 

 死ぬかと思った。

 僕じゃなかったら見逃しちゃう速度の鉄骨が落ちてきたが、間一髪回避。ワザマエ!

 心臓をドキドキとときめかせながらふはははこの戦い我々の勝利だとかふざけてたら何か降ってきた。感触的に、多分鉄骨。

 僕は死んだ。スイーツ(笑)。

 

 

 

 

 

 002

 

 

 死んでなかった。死ぬかと思ったパート2。

 と思ってたら時間が巻き戻っていた。具体的に言うと三月まで。

 ん、ああ、これはあれですな。死に戻り。結局死んでんじゃねえか。死因はあれだな、死亡フラグ建てちゃったからだな。

 気を付けないと、とか気を引き締めてる内に通り魔に刺されたぜ。

 傷口超熱い。

 

 

 

 

 

 003

 

 

 油断してた。

 死に戻ったなら世の中は死亡フラグに溢れてるよな。世界線だって収束するさ。ダイバージェンスメーターはどこだ。

 とりあえずあれだな。

 死ぬ恐怖ってやべえのな。

 …………慣れておく必要があるな。

 あいきゃんふら。

 

 

 

 

 

 004

 

 

 最後まで言わせろよ、とか思った。

 ともあれ自殺練習。

 今回はお風呂に浸かりながらね。

 

 

 

 

 

 005

 

 

 お風呂は良い。痛みは少ないし恐怖もどんどん麻痺してくし、ちょっと時間がかかるのを除けば最高の自殺手段だと思う。

 ……次は練炭かな。

 

 

 

 

 

 006

 

 

 練炭は駄目だ。あれは駄目なやつだ。

 とりあえず窒息系は僕には合わないことがわかった。同じ理由で毒ガス系も駄目かな。

 今日はナイフを使ってみよう。

 

 

 

 

 

 007

 

 

 今回はどんな自殺しようかなとか手をぷるぷるさせながら考えてたら異世界に迷い込んだ。何を言っているかわからねーと思うが現実は非情であるってことだろ。

 何か鋏持ったプリングルスのおっさんが追いかけてくるし。

 これは死んだ。

 

 

 

 

 

 008

 

 

 現状整理。

 化け物って本当にいるんですね!終わり。

 しかも何かたくさんいたんだけど、え、何?ループしてんのってあれ倒せってこと?

 無理やろ。

 ……とりあえず実験、ホームセンターで武器っぽいもの買って乗り込もう。

 突撃ー。

 

 

 

 

 

 009

 

 

 予定通り無事死亡。

 敵が多すぎた。何匹か切り離してもこちとら素人よ、一対多なんてできるかよ。

 諦めて学校行こう、化け物なんかスルー安定だぜ。

 というかこれが正解なんだ、ただの高校生に世界救うのとか戦闘力とか期待するなよ。

 そういうのは最低でもかめはめ波撃てるようになってからじゃないと。

 学校で睡眠を取っていると、平和が身に染みる。

 ……何かテロリスト来たんですけど。

 どういうことなの……。

 

 

 

 

 

 010

 

 

 予定調和のように撃ち殺された僕惨状。誤字ではない。

 学校なんか占拠してテロリストは何がしたかったんだろうか。中学二年生な誰かの妄想を叶えてあげようとしたのならふざけんな死ねと言いたい。

 やはり化け物と戦わないと殺しに来るのか……。

 いや、まだ可能性はある。ずっと家に引きこもってれば……!

 ……。

 …………。

 ……………………あれ、何もない。

 よし、僕は運命(弱)に勝った────

 

 ……スーパーセルって何さ。

 

 

 

 

 

 011

 

 

 戦わなければ生き残れない……!

 なお、戦っても普通に死ぬ模様。

 仕方ないね、僕一般人だし。

 というか僕一人殺すのに自然現象まで総動員してくるなよ。

 くそうと愚痴りつつ散歩。

 そして流れるように異世界へ飲み込まれる。知ってた。

 今度の異世界は青い空と洗濯物を干したくなる紐。

 スカートと生足が降ってきた。

 あ、化け物ってプリングルスのおっさんだけじゃないんすね。

 

 

 

 

 

 012

 

 

 蹴り殺されるのって痛い。今度からあそこには近付かないようにしよう。

 しかしながらと戦わないわけにもいかないので、神殺しの兵器と名高いチェーンソーを装備。これさえあれば無敵だな!(慢心)

 プリングルスのおっさんを輪切りにしてチップスターかポテトチップスにでもしてやろうと出かける。

 どうでもいいけどチェーンソーって旅行鞄にも入んないのね。

 以前と同じポイントで待機してると、予想通り異世界に飲み込まれた。

 ……え、どこだよここ。

 

 

 

 

 

 013

 

 

 前回は真っ黒な場所で頭がマインスイーパな犬に殺された。

 どいつがどこに出てくるとかは割とランダムですかそうですか。世の中クソだな。

 愚痴ってても仕方ないので装備を整えて散歩に。

 宝石っぽい石を掌に乗せながら彷徨いている怪しい女の子(巨乳)がいたが訓練された僕は巨乳にも狼狽えない。

 どちらかと言うと貧乳派です、はい。

 

 

 うろうろしてるとそのまま異世界へボッシュート。

 やあ、プリングルスのおっさん、会いたかったぜ。

 神殺しの兵器でおっさんをばったばったと切り伏せる。

 強いな、この装備。

 しばらく行くと羽が生えたアイスクリームがチリンチリンとか無駄に良い音を鳴らしながら突撃してきた。

 体当たりで転びそうになって、チェーンソーで脚を少し斬った。痛い。

 だが所詮は体当たり。

 威力は五十。悪足掻きと同程度。

 プリングルスのおっさんの方が鋏持ってる分まだ強い。

 順当に倒していくと「この先ボス部屋だからセーブしとけよ」みたいな扉がある。

 開けたら頭がドロドロしたナメクジがいた。こいつがボスか。

 でもこいついるのって今僕がいる高台の下。

 ……飛び降りれるか?

 覚悟を決めて、じゃんぷ。

 ぐしゃ。

 

 

 

 

 

 014

 

 

 まさかボスまで到達できないとは思わなんだ。

 何だこの糞ゲー。

 気分転換にとご近所のタツヤ君と遊んでいたら猫と兎を合成したような白い生き物を見つけた気がした。

 何だあれ、UMAか。

 ちなみにタツヤ君の描いた絵は三歳の領域を天元突破したものでした。

 きっと彼は将来芸術家になる。

 ループしてるから将来なんてないけどな!

 あ、ちなみに今回の死因はバナナの皮でした。せつね。

 

 

 

 

 

 015

 

 

 学校行きたくない。

 間違えた、異世界行きたくない。

 いくら倒してもレベルは上がらないし、秘められた力にも目覚めないし、そもそもクリアさせる気がないだろあのステージ配置は。

 というわけで今回も僕は鹿目家にお邪魔しています。

 ここ居心地が良いんだよね。タツヤ君は癒し。

 知久さんは優しいし、まどかちゃんは気を遣ってお菓子を出してくれるし、平和を実感できる環境だ。

 だから窓の外から誰かが除いてた気がするのも気のせいだろう、きっと。

 突き刺して抉るような視線なんて僕は感じなかった。

 学校行ったらテロリストに出くわした。

 やっぱ学校行きたくないわ。

 

 

 

 

 

 016

 

 

 ある朝、学校へ行こうとしたら玄関に女子中学生が立っていた。

 その胸は平坦であった。

 この町に珍しく真っ黒な髪色をした女子中学生はほむらちゃんという名前で、どうやらまどかちゃんの知り合いらしい。

 まどかちゃんとの関係性を聞いてきたから、素直にご近所さんですと答えておいた。

 五秒後、興味を無くして出て行った。

 あれがレズビアンというものか、恐ろしや。

 

 

 長らく異世界に行ってないのでそろそろテロっちゃう頃合いかなと学校をサボり、うろうろと町を散策する。

 青髪の娘が病院に行くのが見えた。

 そういえば、親友の思い人が天才バイオリニストか何かで、そいつが事故ったみたいなことを言っていたのを思い出す。

 そして毎回恒例異世界突入。

 今回の怪物はネズミっぽいけど、著作権には配慮してある見た目。

 でもこいつ弱い。素早いけど蹴っただけで倒せる。ついでに耳はどっちかって言うとスティッチ。

 あと何か周りにケーキあるケーキ。

 男という性別を有していながら甘党である僕はホイホイと食べてしまうのであった。

 毒入り……だと……?

 

 

 

 

 

 017

 

 

 まさかの毒物であった。

 道に落ちてる物を無闇に食べてはいけませんってことなんだね。

 タツヤ君家にて再び猫兎を発見、捕獲したらいくらになるかとか考えてる内に逃げられた。次は逃がさんぞ。

 バナナの皮は僕に何の恨みがあるんだ。

 

 

 

 

 

 018

 

 

 色々と疲れたので今回はスーパーセルが来るまで休むことにする。

 何事にも休息は必要だ。

 そう思って、ネットをカタカタ、ゲームをカチカチ。

 母親が引きこもりに理解のある人であったことをこれほどありがたいと思ったことはない。

 ふふふ、まだスーパーセルまでは時間があるし、たまには高い買い物をし。

 

 

 

 

 

 019

 

 

 てみよ……?

 アイエエエ!マキモドッタ!?マキモドッタナンデ!?

 あるぇー?僕死んでないよな、何で巻き戻ったん?それとも気付かない内に死んでしまったのだろうか。凄い鈍感だ。

 まあきっと、「安心しろ、痛みを感じる暇はない……」みたいな奴に殺されたと考えるのが妥当だろう。ひゅう、仕事人。

 

 今回もほむらちゃんが来た。二回目だ。

 レアイベントだぜひゃっはーとか思っていると、彼女が若干やつれていることに気が付く。

 まどかに近付かない方がいいわとか何とか言ってきたけど、何かふらふらしてたので、栄養失調だと見て飯を食っていくことを条件にした。

 小声でお礼を言ってきたあたり、悪いレズビアンではないのかもしれない。

 

 はいはい異世界異世界。おのれディケイド。

 今回は生足の世界。

 生足は無駄に美脚で眼福ではあるが、蹴り殺されるのって痛いんだよなあ。

 消えていく意識の途中でコスプレ少女を見た。

 プリキュアかな?

 

 

 

 

 

 020

 

 

 プリキュア……そういうのもあるのか。

 何だ別に僕何も倒さなくてもいいじゃん!

 ……とはならない。何故なら戦わなければ世界規模で僕を殺しに来るから。

 やっぱ世の中クソだな。

 叫んでみたら戸棚の上の置物が落ちてきて僕は死んだ。

 マルグリットオオオオオオオ!

 

 

 

 

 

 021

 

 

 やっぱ世界を馬鹿にするのっていくないわ。

 ほら、こう、あれだよ。

 やり直しをさせてもらってる立場だからもう少し敬意を払おうとかそんな感じ。

 べ、別にギャグみたいな理由で死ぬのが怖いわけじゃないんだからねっ!

 ……いや、やっぱバナナの皮で死ぬのは怖いわ。

 

 そしてこのテロである。

 いやーもう慣れましたわ(笑)。

 今回もこれかよと思いながらぼーっとして縛られる。

 三十分後くらいかな、射殺されんの。

 窓の外から猫兎がこっちを見ているのが見えた。未確認生物を逃がさないという決意から思わず立ち上がる。

 ちょうどいいとばかりに人質にされた。

 これは新しいパターンですよ猿渡さん!結末は変わらんがな!

 と思ったらバナナの皮で御座ったか。

 猫兎はもしかしたらバナナの皮の精なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 022

 

 

 猫兎はもう駄目だ。

 あれは見てはいけないものだったんだ。見たら最後、バナナの皮で死ぬことになる。

 それはそれとして癒しを求めて鹿目家へ。

 キャータツヤクーン。

 お茶菓子を貪り食っていると、まどかちゃんの肩に猫兎が乗っているのが見えた。

 ────バナナの皮に殺される!?

 既に「覚悟」してきている僕は素早くポケットから果物ナイフを取り出し、戸惑うまどかちゃんをよそに、自害せよランサーとばかりに綺麗に喉を突いた。

 そして倒れるように絶命。

 ああ、僕は運命(バナナの皮)に勝ったんだ────!

 ────僕は一体何と戦っていたんだ……。

 

 

 

 

 

 023

 

 

 僕は正気に戻った。いやマジで。

 何回も死んでるから目的意識が曖昧になってきるのかもわからんね。

 そして颯爽とほむらちゃん参上。

 目に涙を溜めて、何か言いたげに唇を噛みながら無言でこちらを睨んできた。

 何か怖かったので、ご飯を食べさせてお帰り頂いた。

 ご飯食べてる時もこっちを恨みがましげに睨んできてた。

 何あれ超怖い。レズビアン超怖い。

 きっと「私のまどかに近付くんじゃねえよ」とか思ってる目だよあれは。

 

 

 久しぶりにプリングルスのおっさんの世界に行く。

 十三日の金曜日な武器を持ってけばボス部屋までは楽に行けるけど、ボスと戦うまでにやっぱり潰れて死ぬことが再確認できた。

 次は遠距離武器が欲しいなあ。

 

 

 

 

 

 024

 

 

 散歩をしている最中にまどかちゃんに出会ったのでそのまま一緒に行動してみた。

 そしてまどかちゃん共々異世界に飲み込まれる。ここまでテンプレ。

 まどかちゃんが結界だとか魔女が何だとか言いだした。

 ……うん、中学生だしね、これくらいはね。

 

 ちなみに今回の怪物は人の形。下書きっぽい線が色々描いてある。

 とりあえずチェーンソーを荷物から取り出してヒャッハー。

 あら弱いぞこいつら。バッサバッサと倒せるぜ。

 まどかちゃんがドン引きしているような気がするがきっと気のせいだろう。

 

 何か地面からバリバリって門が出てきた。こいつがボスか。

 こいつが出てきたからかはわからないが、少女の声が聞こえた。

 こいつ、頭の中に直接……!

 だからといってどうということはなく、普通に門にチェーンソーをバリバリする。あんま効いてない感じ?まあ門だしな、硬いわな。

 根気良くギャルグガガガガと削っていると、雑魚が門から登場。

 悪・即・斬。

 ひゃっはーこいつ弱いぜ、作業ゲーだぜ。

 暇なので床とか見てると気になる発見が。

 あ、ゲルニカじゃんこれ。

 門からロケットパンチが飛び出してきた件について。

 

 

 

 

 

 024

 

 

 甘かった。

 ボスが何の必殺技も用意してないわけがな……うん?

 ここどこだよ、僕の部屋じゃないぜ。

 まどかちゃん、何さそのコスプレ。プリキュア?

 そしてその足下にいるのはバナナの皮の精。

 躊躇無く自決を決行。

 やっぱ目撃者がいるならバナナより自決の方が栄えるよね。

 

 

 

 

 

 025

 

 

 まったく、さっきのは何だったんだ。バグ?

 まあ、ちゃんと僕の部屋に戻ってきたし、さっきのは気にしないどくか。まどかちゃんがプリキュアだったってのも、何かの勘違いだろきっと。

 前回僕が戦ってるのをドン引きしながら黙って見てるだけだったし、戦闘能力はないなきっと。きっとかっと。

 その点トッポってすげえよな最後までチョコたっぷりだもんとか言ってたらほむらちゃん襲来。

 レアイベントにしては最近頻度が多い気がする。

 運が向いてきたのかな?

 いつものように何かを堪えるように自己紹介をした後、「あなたがいなくなって悲しむ人もいるのよ」的なことを語り出した。

 よくわかんなかったからとりあえず、帰ろうとする彼女を引き留めて恒例行事となった飯食ってけを発動。

 居心地が悪そうに黙々とご飯を食べるほむらちゃんが可愛かったです。

 

 ある日散歩をしていると例の如く異世界に突入。

 マネキンがくるくる回ってたからもしかしたら異世界じゃなくブティックかもしれなかった。

 敵キャラが見つからない。

 仕方ないのでチェーンソーでマネキンを破壊しながら進む。

 ひゃっはー。

 

 

 しばらく行ったらピンクアフロな犬がいた。

 パッションに溢れている。

 でかいし、多分こいつがボスなんだろうけど、何か気になる。

 何だろ、すっげー気になる。

 やっべ、超気になる。

 何だろう……何ていうか……。

 そう、あえて言うなら、これが友情……?

 でも殺しちゃう。慈悲はない。

 チェーンソーでぶった斬ると、素直に真っ二つになった。

 え、終わり?

 

 初めて異世界から帰還した。スコア1である。

 なんか後ろには青髪のコスプレ少女がいた。きっとプリキュアだろう。

 あ、でもプリキュアって剣使うの?マジかよ幻滅しました那珂ちゃんのファンやめます。

 ……ん、何か精神ヤバげな感じ?

 とりあえず飯だな、飯。美味い飯食えばなんとかなるって名前を懸けたくなるほど名探偵だったじっちゃんも言ってた。

 抵抗する青髪の娘をうるせー飯食わせんぞと家に連れ込む。

 人助けのためだからきっと犯罪ではないはず。

 

 

 話を聞くと、彼女はさやかちゃんという名前で、何か尽くしてきた幼馴染みが親友に寝取られたらしい。

 いや、寝取られてない。付き合うどころか告白もしてないらしい。

 でも相手の男もアレだよね、王様なみに人の心がわかってない。

 そういう時は隠さず罵倒すればええんやで。

 言ったら見返りを期待してやったと思いたくないだの正しくないことはしたくないだのうるさかったので冷蔵庫から取り出した母親の酒を彼女の口内に投入した。

 度数を見ると三十ジャスト。

 愚痴や罵倒がうるさかったのでまどかちゃんに引き取ってもらった。

 というか、まどかちゃんの親友ってさやかちゃんだったのか。

 ちなみに、酒についてはなんとか誤魔化した。

 

 そして午前一時半タンスの角に指をぶつけてそこから華麗に決まる連撃に対応できず無事死亡。

 

 

 

 

 

 026

 

 

 ボス殺しても意味ねえじゃん。

 結局死ぬんじゃねえかよ。

 ……あれ、よくよく考えたら後で生き返るんだし死んでも良くない?

 だって擬似的な不老不死ですよプロデューサーさん。

 未来がないのだってぶっちゃけもう諦めは付くし。

 もう働かなくていいんですね、やったー!

 はい、ちゃんと異世界に出社しますからタンスはやめてください……。

 

 

 

 

 

 027

 

 

 世界の殺意がヤバすぎる。

 考えてみれば、タンスでもバナナでもテロリストでもスーパーセルでも殺しに来るって何だよ、意識(サツイ)高すぎるだろ。

 

 

 散歩をしていたら石を投げられている民家を発見。

 これこれやめておきなさいと小僧共に金を握らせて浦島な気持ちに浸った。

 問題は金を握らせても約一名抵抗したことだったが、レッツチェーンソー。

 やはり話すとわかってもらえるようだった。

 いいことをすると気持ちが良い。

 

 

 良い気分で帰ろうとしたら女の子の声に呼び止められた。

 黒髪ショートカットの……また女子中学生か。

 どうやらここは彼女の大事な人の家だったらしく、何か凄い感謝されてなし崩し的にお茶することになった。

 最近、女子中学生と食事を共にすることが多い。

 

 

 そして何かよくわからんうちに愛を語られた。

 よくわかんなかったので「うん、そうだね」と適当に合わせておいた。

 そしたら呼び名が恩人から友人になった。

 若干ランクダウンした気がしないでもない。

 ちなみに名前はキリカちゃんって言うらしい。

 今度夕食に誘ってみてもいいかもしれない。

 新しいメニューを考えておこう。

 

 懐かしのプリングルスのおっさんである。

 回数を重ねる毎に熟練していった僕のチェーンソー捌きを見るがいい!

 うん、調子に乗るのいくないね。

 

 

 

 

 

 028

 

 

 まさか雑魚キャラに殺られるとは……。

 慢心、ダメ、ゼッタイ。

 癒しを求めに鹿目家に行ったら猫兎と遭遇。こいついつでもここにいるのね。

 即座にポケットからナイフを取り出し自害せ……。

 自害が遅れた……だと……?

 

 

 

 

 

 029

 

 

 いや違う、自害が遅れたんじゃない、バナナが早くなったんだ。

 そっかーバナナの皮も進化するのかー。

 ……するのか?

 

 久しぶりのほむらちゃんイベント。

 飯を食わせていくまでがテンプレ。

 だがここで異常事態発生。

 ほむらちゃんが「泊まる場所がないから泊まっていってもいいか」なんて聞いてきやがった。

 思わずいいと答えてしまった。

 僕は一体何をやっているのだろうか……。

 

 寝てたら僕の布団に潜り込んできやがった。

 いや、まさかな……とか思ってたら寝顔には涙の跡が。

 ……うん、何か辛いことでもあったんだろ。

 女子中学生が泊まる場所ないなんだよく考えたら相当なことだし。

 とりあえず、寝てる彼女の頭を撫でておいた。

 

 そしてほむらちゃんが我が家に入り浸り、母親に見つかって生暖かい視線に晒された。そういう関係じゃないんだけどなあ。

 

 ちなみに今回の死因は鉄骨。

 何気に一回目以来じゃないかね。

 

 

 

 

 

 030

 

 

 ほむらちゃんイベント再び。

 周回で何らかのイベントフラグを建てたり周を重ねる毎に何らかの欠片が集まったりしてるからか、今回もほむらちゃんは泊まってくことになった。

 若干依存の兆候が見られるのが不安だけど、多分大丈夫だろう。

 死亡リセットもあるし。

 

 散歩にたまにほむらちゃんが付いてくるようになった。

 どうでもいいけど制服着たまま付いてくるのは通報されかねないからちょっとやめてほしい。

 

 

 ハロー異世界、グッバイ僕。

 よりにもよってプリングルス世界であった。

 僕がチェーンソーでアバレンジャーしているとほむらちゃんが瞬く間に変身、瞬間移動でおっさんに風穴を空けていく。

 ほむらちゃん、プリキュアだったのか。

 

 彼女が言うには、プリキュアじゃなくて魔法少女らしい。違いがわからん。

 そしてここは異世界ではなく魔女の結界らしい。

 ……女?

 

 チェーンソーバリバリー。

 拳銃ババババン。

 恐ろしいまでの効率に早くもボス部屋に到着。

 そしてほむらちゃん落下、着地、無傷。

 僕の今までの苦労は何だったのか。

 とろけるナメクジを弾けるパイナップルと機銃でボコる。

 アワレとろけるナメクジは反応できずにネギトロめいた死体となった。コワイ!

 ……最近の魔法少女って銃器メインなんだなあ……。

 

 今日も生き残ったと思ったら通り魔にバッサリ。

 ほむらちゃんの泣き顔が印象的でした。

 ドラゴンボールで生き返るんだからそんなに泣かなくてもいいんじゃよ?

 

 

 

 

 

 031

 

 

 ううむ、死なない方法ってないのか……。

 ないよな。

 やっぱ世界ってクソだわ。

 叫んでたら階段から落ちた。

 まるで成長していない……。

 

 

 

 

 

 032

 

 

 ほむらちゃんが来ない。

 フラグ建てて欠片集めたんじゃなかったのか池田ァ!

 まあ、ランダムイベントと思って諦めよう。

 そもそもこの世界線では面識すらないわけだし、まどかちゃんのお隣さんということで顔くらいは知っててもおかしくないけどさ。

 

 鹿目家突撃からの流れるような猫兎。

 だが今までの僕とはわけが違う。

 バナナで滑る前にジャンプして、空中でナイフを取り出し、殺られる前に突き刺すッ!

 勝ったッ!ループ完!

 もう一匹出てきたんですけど……。

 

 

 

 

 

 033

 

 

 あいつ何匹もいるのかよ……。

 勝てる気がしない。

 やっぱ戦いとか駄目だな、うん。

 平和主義に目覚めたということにしておいて引きこもろう。

 いや、ほんとごめんなさい。次は会社行きますんでタンスやめてもらえますか。

 

 

 

 

 

 034

 

 

 よくあるループものなら主人公はどんどん強化されてくのに、強化どころか成長さえしないって何だこれ壊れてんじゃねえの。

 世の中クソだなって言いそうになったが流石に学習する。

 

 ふと窓から外を見るとほむらちゃんが泣きそうな表情でこちらを凝視していた。

 そして逃げていった。何ぞ。

 ……ああ、まどかちゃんか。

 タツヤ君と遊びにたまに鹿目家には行ってるからな。

 盗られないか心配だったんだろう。

 んー、でも仲良くなった娘がこっちをほぼ知らないってのはわりと堪える。

 きっついなー。

 

 同じ理由でなんとなくキリカちゃんのとこも行きにくい。

 さやかちゃん?どこに住んでるのか知らん。

 だから鹿目家へ行く。

 猫兎に会うリスクがあろうとも、それでも求めたい癒しがあるんだ────!

 だからと言って猫兎に会いたいわけではない。

 だから出てくんな。

 

 

 

 

 

 035

 

 

 危なかった、バナナの皮に先を越される所だった。

 自害が間に合って良かった……いや良くないけどさ。

 

 鹿目家は危険だ。

 仕方がないからキリカちゃんのとこで浦島ごっこでもしよう。

 浦島ロールプレイをしてたら今度はキリカちゃんじゃなく白髪の女の子が出てきた。

 ……まあ、若いのに家に石とか投げられてたらストレスも溜まるよな。

 というか、何で石投げられてんだろ。いじめ?

 塀に書かれている落書きを見る。

 汚職議員……?なるほどなー。  

 

 女子中学生と食事を共にするのは運命なのかと思ってしまう今日このごろ。

 キリカちゃんとお茶した時よりもちょっとオサレな喫茶店。

 そこで僕は若白髪ちゃん、美国オリコちゃんと言うらしいが、彼女と通常の三倍くらいオサレな感じにお茶をした。

 フレンチトーストとか頼んでしまった。

 

 取り留めもないことを話した。

 あと、彼女は宗教に興味があるのか、世界の終わりがうんたらかんたら言ってた。

 八割聞き流した。

 よくわかんないけど慰めといたら決意を固めたっぽく目を伏せていた。

 なんだろね。

 

 テロが起きた。

 いや、僕の学校じゃなく。

 学校サボって散歩してる途中にほむらちゃんの通ってる中学校からちゅどんばきゅんと異音が聞こえるので寄ってみる。

 

 あら異世界。

 だがチェーンソーだ。

 障害を気にせず進んでいく。

 

 多分最奥に到達する。

 とりあえず見えるものを確認した。

 何か叫んでるほむらちゃんに。

 赤帽子とピッチリスーツの怪物に。

 

 

 ……オリコちゃん、殺人は駄目でしょうに。

 

 

 

 

 

 036

 

 

 うむう、知り合いがテトリストだったというのは些か気分が良くない。

 テロの被害者がお隣さんだったということも僕のテンションダウンに拍車をかけていた。

 ついでに言うと、新鮮な死体見たの初めてかもしれない。

 トイレで少しだけ胃液を戻した。

 

 鹿目家はバナナ。

 美国家はテロリスト。

 ほむらちゃんは来ない。

 こうなると心情的にも引きこもるしかないわけで。

 

 スーパーセルが来た。

 どうせなら大自然の雄大さを感じて死のうと思い、外に出る。

 

 ああ。

 

 周りには炎、回転する歯車。

 逆さの胴体、頭を廻る笑い声。

 

 そうか────あれがラスボスか。

 

 

 

 

 

 037

 

 

 倒せる気がしない。

 だってでかいし、巨大だし、ビッグだもん、あれ。

 だからといって現状を甘受するとタンスが飛んでくる。

 何これ無理ゲー。

 ちなみに今回の死因はテロリスト。

 気が動転してて引き際を間違えたね。

 

 

 

 

 

 038

 

 

 あーもー何もやる気が起きねひでぶ。

 

 

 

 

 

 039

 

 

 叫ばず小声で言っても反応するのか。

 ちょっとボーダー緩すぎじゃありませんかねえ……。

 落ち込んでたらインターホンの音。

 ほむらちゃんか!と喜び勇んで行ってみたらまどかちゃんだった。

 がっかりするわけじゃないけど、ついこの間殺されてた相手の顔見るってのは変な気分になる。

 ……立ち話も何だし、とりあえず、飯食ってく?

 

 話を聞くと、キュウべえとかいう喋る動物と契約すると魔法少女になるそうだ。

 魔法少女ってのは願いと引き替えに一生戦うらしい。

 戦いたくなきゃやめときゃいいんじゃないの?

 そう言ったら複雑な顔をされた。

 解せぬ。

 

 とか思ってたら猫兎出現。

 流れるように自殺を決行……できないだと!?止められた!?

 あ、ほむらちゃんちーっす。

 何でここにいんの?

 ほむらちゃんに泣きながら怒られた。

 どうしていつもいつも命を大事にしないのとか言われた。

 解せーぬ。

 

 足下確認、バナナ無し。どうなってやがる!?

 慌てる僕に猫兎が喋る。

 ようやく接触することができたよ。

 お前、喋れるんだ。

 でも不吉だからとりあえず殺しておくことにした。

 バナナの皮の精だからね、仕方ないね。

 

 殺したら増えた。

 何を言ってるのか以下略だと思うが以下略。

 そして二体目の猫兎は一体目の死体を食べ始めた。

 キモいので殺しておいた。

 そしたら増えた。

 以下略。

 

 気が付いたらまどかちゃんがドン引いていた。

 ほむらちゃんも冷めた目で見ていた。

 やめて、僕をそんな目で見ないで!

 と、別段マゾに目覚めるわけでもなく普通に羞恥が上回る。

 なんだかなー。

 真剣にドミノで遊んでたとこ見られた気分。

 

 なんかよくわかんないけどこの猫兎がキュウべえとかいう動物らしい。

 バナナの皮の精でもないらしい。

 じゃあ今までのバナナとは一体……?

 そうか、バナナの皮とは、つまり……!

 つまり、何だろう。

 

 詳しいことは外で話そうということになり、家を出るとバナナだった。

 まさか、時間差攻撃とは……。

 

 

 

 

 

 040

 

 

 もう面倒だから逃げることにした。

 電車に乗って心地良い揺れに眠くなる。

 事故った。

 知ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 何度でも繰り返す。

 きっと最良の終わり方があるはず。

 きっと最高の終わり方があるはず。

 何度でも繰り返した私の心は摩耗して擦り切れて消えてしまったけれど、ほんな一欠片くらいは残っているに違いない。

 だって、こんなにも愛しい。

 彼の心が欲しいと言わないし、彼に愛を伝えたいとも思わない。

 だから私は見ているだけでも構わない。

 「最良」があるのだと、「最高」が確かに存在するのだと、それさえ知ることができればいい。

 それを見る為だけに繰り返す。

 ああ、また駄目だった。

 心の中が絶望の色に彩られる。

 もう駄目なのではないかと諦めかけて、頭の中を怨嗟と呪詛が駆け巡る。

 けれども私はすぐにまた続きを見始める。

 微かに残る「私」の残滓から、きっと私が異常なのだろうということはわかる。

 だがそれも愛故にだ。

 私が気にするほどのことでもないだろう。

 私が例えどんな存在だったとして、私の彼への愛は変わらない。

 彼が私をどう思おうとも、私の彼への愛は変わらない。

 ああ、また駄目だった。

 もう一度。

 ああ、また駄目。

 もう一度。

 もう一度。

 もう一度。 

 もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。もう一度。

 

 ああ、また駄目だった。

 けれどもきっと「最良」の終わり方に近付いている。  

 そうだ、頑張っている彼に手紙を書いてみよう。

 そうと決まったら文面はいくらでも思い浮かぶ。

 でも、ここでは一言だけ。

 

 

「 また会う日を楽しみに

 

             From Homulilly 」

 

 

 いつか、彼が「最高」を見せてくれることを信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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