「そんな訳でスタート」
「おい、岸本さんこんなとこで寝てると風邪ひくぞ。」
「スゥ………へ?…キャァ!」
岸本は竜伍を見るなり驚き慌てて逃げようとしたが。
「落ち着け俺だ、有馬 竜伍だ。」
竜伍は岸本の肩を掴んで止めた。
「ハァ…ハァ…そ…そっか」
「取り敢えず話すため中に入ろう。」
「う…うん。」
落ち着いた岸本を竜伍は家に入れた。
家の中
「ほい、お茶」
そう言って竜伍はペットボトルのお茶を岸本に投げた。
「ありがーうわっ!…っと。」
ギリギリでキャッチは出来たが竜伍をジト目で見る岸本。
「それで要件は?」
そんな岸本を気にも留めず話を進める竜伍。
「ハァ…この生徒手帳を返しに来たの。」
岸本は無駄だと分かってポケットに入れていた竜伍の生徒手帳をテーブルに出した。
「道理で無いと思ったら…あの着替えの時か。」
「うん、家に落ちてて。」
「わざわざすまないな。他には?」
「え?な…何の事?」
「それだけの理由で学校も休んで親にも心配させて俺の家の前で寝ているなんて状況で何もないは無いだろう。」
「……………」
岸本は図星かのように押し黙る。
「図星か。ま、話したくなったらでいいから話してくれ。」
竜伍なりに気を遣った。
「…………もう一人居たの。」
ポツリと岸本は言い出した。
「もう一人?」
竜伍もさすがに予想外の言葉に聞き返した。
「あの後、家に帰ったらお母さんから電話が来てそれが自殺した筈の私が救急車で運ばれて息を吹き返したって。」
「なるほど、これなら辻褄が合うな。」
岸本の説明にわかったかのように言う竜伍。
「え?」
「やはり俺らは本当に死んでいる。多分、心臓が止まるか死亡と確定するような負傷をすればあの部屋に送られる。と言うことだ。」
「西の言うコピーもあながち間違いでは無いな。」
竜伍は冷静に考えて考察を述べる。
「なんで……なんでそんなに冷静でいられるの?死んだんだよ!」
岸本は冷静な竜伍に苛立ち大声を出した。
「俺が死んだのは自業自得。それがタイミングよくコピーとしてだが生き返った。結果、日常とは少しかけ離れてはいるが今は生きてる。俺にとってはそれだけの事だ。」
「そ…そんなの。」
竜伍の説明にたじろぐ岸本。
「まぁ、困惑するだろうな。けどいつかは受け入れなければいけない。俺はそれが早かった、あんたらはゆっくりと受け入れればいい。」
「…………うん、ごめん怒鳴っちゃって。」
岸本は自分の八つ当たりが分かり謝った。
「そう言えば家とかどうするんだ?」
「それは…………まだ。」
「うーん……岸本さんは家事出来る方か?」
「え?…一応ある程度なら。」
「岸本さんが良ければうちに家政婦として住み込みバイトしないか?」
まさかの竜伍の爆弾発言である。
「へ?………ええええええ!!!」
竜伍の提案に流石に驚く岸本。
「ふ…普通そんな提案する!?」
「ああ、安心してくれ家政婦とはいえR18のような展開にはならないから。」
「昨日今日の仲だけど貴方が絶対に手を出しそうに無いって心から思える事が今は不思議で仕方ないんだけど。」
確かに昨日、岸本が全裸であったにも関わらず竜伍は一切気にしてはいなかった。
「で?どうするの?」
「………うーんまぁ、家が無くて困ってるのは確かだからよろしくお願いします。」
「分かった、これからよろしく。」
次回からゆっくりと書いていきます。
自分から家政婦になってくれなんて普通言えないよね。