パズドラがバーチャル化?   作:ぷーすけ

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新しい形で書いてみました。

ゴットフェスでいいのがでなくて泣いている筆者です。


ワルキューレの過去

チュンチュン

 

「んんー、……もう朝ですか……眠いですね…」

 

窓から差し込んでくる朝日で目覚めた私はソファにいた。

そうだった。私には新しいマスターができたのだった。

 

「マスター、起きてください……あれ?」

 

そういってベッドのほうに視線をやるとマスターはいなかった。

「マスター!」

 

どうやら小屋の中にはいないようだった。

きっと早く起きてしまって朝の散歩にでも出かけたのだろう。

 

「朝ごはんでも作って待つことにしましょう。 お腹が空いてるでしょうから」

 

私はそう言っていそいそとキッチンにむかった。

 

 

 

 

しかし西の空が真っ赤に染まり、もうすぐ日が暮れてしまいそうな時間になってもマスターは帰ってこなかった。

 

「遅いですね…」

 

私の頭の中でよからぬことがぐるぐるとまわり始める。

 

「まさか…またあのようなことが……」

 

そんな訳が無いと首を振るがそんな確信はあまりなかった。

なぜなら私は以前あのようなことを経験しているからであった。

 

それは、今のマスターと出会う前………

 

「はあ………」

 

私は次に引かれるのを卵の中で待っていた。

私達モンスターにとってガチャで引かれて、マスターとともに冒険をするというのはこの上ない喜びであり、またモンスターとしての誇りでもあった。

だがそんなモンスターは一部の強いものだけであった。

私は弱いモンスターのほうだ。

回復量には自信があったが、それでも圧倒的なバランスをもつ神タイプ、攻撃力がとてつもない攻撃タイプなどに比べると全然だった。

今までかなりの人が私を引き当てたが、すぐにリセットをしていった。いわゆる<はずれ>であった。

最初は落ち込んでいた私だったが、だんだん慣れていき自分の役割はこういうものなんだとさえ、思い始めていた。

 

ガチャン ゴロゴロゴロ ポン

 

私が入っている卵が外にでる。

はあっと、私はため息が出る。また卵から出た瞬間がっかりされた目で見られるのはもうこりごりだ。そう思いつつ卵からでる。

だが返ってきた答えは違った。

 

「うお、かわいい!! よっしゃー! あたりー!」

 

「ええっ!?」

 

自分の予想と反していたことに私はびっくりした。

 

「んっ? どうかした? 」

 

「い、いえ //よろしくお願いします!」

 

「おう!よろしくね!ワルキューレ」

 

私はすごく嬉しかった。だって自分を必要としてくれる人がようやくあらわれたのだから。

 

「それじゃあ、行きましょう!! マスター!」

 

ビクッ

「お、おお 行くけど…って、すげえ楽しそうだな」

 

「はい! 私は今とっても幸せです!」

 

こうして、私とこのマスターとの冒険が始まったのだが…

 

 

 

敵の攻撃! バンバンバーン!!

 

「きゃあ!」「うおっ!」

 

GAME OVER

 

「ごめんなさい…また失敗してしまいました…」

 

「いいっていいって、次頑張ろ」

 

「はい………」

 

プレイをし始めてから1ヶ月が経とうとしていた。

普通だったらもう結構進んでてもおかしくないのだが、私たちはまだ始めのほうのダンジョンで苦戦していた。

このマスターは今のマスターとは違って、パズルはすごくうまかった。なので毎ターン私は攻撃することができたが、何せそんなに攻撃力は高くないのでダメージはあまり与えられなかった。

だからいつも、長期戦になる。

そこは私の長所でもある回復力によってなんとかなっているのだがいずれは、回復が追いつかなくなってしまう。

そうしてやられてしまうのが定番だった。

 

仲間を増やせばいいといってもダンジョンをあまりクリアしてないのでガチャを回すために必要な魔法石がなかなか集まらない。

だから今だ私一人だった。

 

「次こそは絶対に!!」

 

「頑張るのはいいけど無理しちゃダメだからね」

 

マスターは優しかった。

ゲームオーバーになってもいつも「どんまいどんまい!」「次があるよ」と、励ましてくれて怒ったことなど一度もなかった。

そんな彼に私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。いつか絶対にお役にたつと誓ったものだった。

 

 

そんなある日

 

いつも通りダンジョンへ行く準備をしていると

 

「ワルキューレ」

 

「はい! いつでもダンジョンへいけます!」

 

「そのことなんだけどさ」

 

「どうしましたか?」

 

「…俺、現実世界に用事があるから戻るね…、すぐにここに戻るからさ…」

 

「全然構いませんよ」

 

普段、ここにほとんどいるマスターが帰るのは珍しかった。

 

「すまん、じゃあ」

 

シュン

 

マスターが現実の世界に戻る。その時マスターの顔が少し寂しげに見えた。

 

「……………少しの間でも、トレーニングをしてお役に立てるようにしなきゃ!」

 

そういって私は誰もいなくなった部屋で素振りを始めた。

だがマスターがここに戻ってくることはなかった。

 

…………………………………

 

「そうですよね…私みたいな立ち位置のモンスターがそういうことを高望みしてはいけなかったのですね……」

 

昔のことを思い出しているうちにすっかり外は暗くなり、部屋の隅で私はうずくまる。

 

「…せめて声ぐらいかけてくれてもいいじゃないですか……、何も言わずに行ってしまうなんて……」グスッ

 

目から涙がでて止まらない。

 

「…私はこれからどうすれば………」

 

もういっそモンスターなんてやめたい。そう思った時、

 

パチッ

暗かった部屋全体が明るくなり、びっくりした私は顔をあげる。

 

「ただいま〜、ってあれ? 何で泣いてるの?」

 

そこには帰って来ないと思っていたマスターの姿があった。

 

「……マスター?」

 

「なんだ寝てたのか? 怖い夢でもみたか? まったくかわ…「マスター!!」うお、どうしたどうした!?」

 

私はマスターに近づくやいなや抱きついた。

 

「ううう、何も言わずに出て行くからもう戻ってこないのかと…」

 

「ああ、そのことはごめん……朝早く起きたら用事があることに気づいてさ、言おうと思ったけど気持ちよさそうに寝てたからさ、起こすのは悪いと思ってね……心配かけて悪かった」

 

マスターが頭を撫でてくる。それがすごく気持ち良かった。

 

「さてと、お腹がへったなー、誰かさんのおいしい手料理が食べたいなー…」チラチラ

 

「はい! 今お作りしますね!!」

 

私は弾むようなステップでキッチンに向かった。

 




ワルキューレは弱くない!(確信)

次回から新キャラ出そうと思ってます。

要望などあったらコメントお願いします。

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