パズドラがバーチャル化?   作:ぷーすけ

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お久しぶりです! 

パズドラのインフレ化が止まらない~泣


番外 夏といったら‼(終)

 

 

太陽も海の彼方に見える水平線に姿を隠し始めて、あたりもだんだんと暗くなり昼間の暑さからは少し涼しさを感じられるようになった頃。

 

「マスター、どこですかー?」

 

そろそろ帰ろうかということでヴァルキリーがマスターを探しに砂浜沿いを歩いていた。それは他の二人がだるい、疲れた、など口々に言うので仕方なく引き受けたのだ。断れない性格の持ち主の彼女だからこそである。

 

「あ、マスター…」

 

しばらく歩いていたヴァルキリーの足が止まる。その視線の先には木の陰で疲れて寝てしまったであろうマスターの姿があった。

 

「まったく…」

 

ヴァルキリーは微笑みながらマスターの元へ歩み寄る。

 

「こんな姿で寝ると風邪を引いてしまいますよ」

 

体を揺すってみるも起きる気配がない。どうやら相当疲れていたようだ。ヴァルキリーもそう解釈したらしく揺するのをやめてマスターの顔をまじまじと見つめる。

 

「マスター……」

 

すやすやと寝息を立てて眠る彼を見続けているヴァルキリーの頬が赤く染まっていく。

 

「マスター…?ほんとに寝ているんですよね…?」

 

なぜこんなにも彼女が照れているのか。それもそのはず、普段から彼女はマスターと会話をする時にしょっちゅう目線を横などに逸らすのである。それはヴァルキリーのシャイな性格からきているものであるが、そんな彼女にとって今のように割と長い時間顔を合わせることなどこの上ない状況なのだ。

 

「寝て…る…?大丈夫だよね…?」

 

この状況でマスターが目を覚まそうものなら顔から火が出るどころじゃ済まされないので念には念を入れて確認をする。

 

 

 

 

 

 

 

でもなぜヴァルキリーがそんなに警戒するのか。

 

「マスター……」

 

 

「……今からいうことは私の本心です。本来このような形で伝えるのは間違っていますが今の私にはこれが精いっぱいなんです……」

 

 

 

 

 

 

 

「マスター……私は………」

 

 

 

 

 

 

そう、この状況だからこそ伝えられること。

 

 

 

 

 

 

「私は………マスターのことを………」

 

 

 

 

 

 

 

「マスターのことを………とてもお慕いしていますっっ………」

 

顔を真っ赤に染めながら、喉から込み上げて来る声を押し殺すようになんとか発する。

 

 

 

 

 

 

「私は……」

 

 

 

 

 

そう、あともう一息。

 

 

 

 

 

 

 

 

「わた……しはっ………」

 

こんな方法でしか思いを伝えられない自分の情けなさを噛み締めながらも、次の言葉をヴァルキリーは必死に形にしようとする。

 

 

 

 

 

 

 

「マスターのことが………」

 

徐々に顔を近づけていく。ここで言っても返事がないのは十分承知している。それでも別にいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す……きっ!?!?」

 

その瞬間、近くの茂みが音を立てる。それに驚いたヴァルキリーは慌てて近づけていた顔を離した。

 

 

 

 

「ば、ばか!! 何やってんだよ! いいとこだったのに!」

 

「あんたが身を乗り出すからだろ! バレちゃったじゃないか!」

 

そこには盗み聞きをしていたであろうメタトロンとエキドナの姿があった。

 

「な、なな何やってるんですかぁ!!お二人とも!!」

 

「あ、ごめんね、お慕いしているマスターと一緒にいるのを邪魔しちゃって」

 

「やるじゃないあんたも〜このこの〜」

 

「あ、いえ!そういう訳じゃなくて! いえ!お慕いはしているのですよ!えっと…その……」

 

「うんうん、そういうことだったのね」

 

「違いますってばぁー!!」

 

ヴァルキリーが必死に弁解しようとするも今までの行動を全て見ていた二人はニヤニヤしながら聞いている。全部お見通しのようだった。

 

そんな中ヴァルキリーにさらなる追い討ちがかかる。

 

「う、う〜ん。ん?なんだ?騒がしいな」

 

「ま、マスター!?」

 

この騒がしい中起きてしまったマスターにさらに驚いてしまい声が思わず裏返ってしまうヴァルキリー。当然マスターも不思議そうに彼女を見る。

 

「ん?どうかしたのか?ヴァルキリー」

 

「い、いえ!なんでもありませんよ!ひ、日も暮れたことですし早く帰りましょう!」

 

「ん、ああそうだな。帰るとするか。どうしたんだ?そんなに慌てて」

 

「大丈夫ですから! さ、行きましょう!」

 

「あ、ああ。よし、じゃあエキドナとメタトロンも帰るぞー」

 

「ほーい」「わかったわ」

 

こうしてヴァルキリーにとってのイベントも無事?終わり、夏の短いひと時が幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~その帰り道

 

「ヴァルキリー」

 

「はい、なんでしょう」

 

やはり疲れて寝てしまったマスターをおぶって歩いているヴァルキリーにエキドナが話しかけた。

 

「さっきは、その、邪魔しちゃってごめんね…?」

 

「ああ、あれですか」

 

エキドナが申し訳なさそうな顔をしているのを見てヴァルキリーは笑いながら答える。

 

 

「私、思ったんです。やっぱりこういうことはしっかり向き合って伝えるものだと」

 

「だから改めて私の気持ちに整理がついたらそのときこそ……」

 

そう言いかけたところでヴァルキリーは肩に頭をもたれかけて寝ているマスターを横目で見た。

 

 

「そう……応援してるわ」

 

「ありがとうございますっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やっぱりあなたもだったのね………」

 

エキドナが最後に呟いた一言はヴァルキリーには聞こえなかった。

 

 

 




遂にヴァルキリーの本心が!?

ここからどうなっていくのか筆者にもわからない~??

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