パズドラがバーチャル化?   作:ぷーすけ

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水着ガチャ全然水着出ないじゃん‼︎

なんなのもうこれ‼︎ 訴えるぞ‼︎(泣)


メタトロンの思惑

 

 

「おーい、2人ともどこ行くんだー」

 

スタスタと歩いていくメタトロンとヴァルキリーを追いかけながら俺は尋ねる。

 

しかし2人とも黙ったままだった。

 

 

「なあ本当に大丈夫なのか?」

 

「平気、平気♪」

 

ますます不安になる俺とは反対にエキドナはこの状況を楽しんでいた。

 

 

「ヴァルキリーに勝ってもらってあの女をぎゃふんと言わせてあげるわ」

 

しまいにはこんなことまで言っている。

 

 

「いやいや仲間同士で傷つけあうのは良くないって言ったのヴァルキリーだろ!? それなのに言い出しっぺがこんなことやっちゃ駄目でしょーが!」

 

俺がそう言うとエキドナはあきれた顔になる。

 

 

「何言ってるのよ。 別に本当にお互いが戦う訳じゃないわよ。 あんたがパズルするに決まってるでしょう」

 

「あっ、そうなの?」

 

「当たり前じゃない。 本当に戦ってどうするのよ」

 

 

「そうだよな………」

 

「そうよ」

 

「ふーん………」

 

「………………」

 

 

「……んっ⁉︎ってことは俺に全てがかかってるってわけ⁉︎」

 

「そうよ。頑張ってね」

 

 

いやいや頑張ってねって! 俺そんなパズル上手くないんですけど!

つーか聞いてねーぞ! そんなこと!

 

そんなことをぶつぶつ呟きながらしばらく後をついていくと2人があるところで立ち止まった。

 

 

「ここでどうでしょうか」

 

「いいわよ」

 

 

どうやらダンジョンが決まったようだ。

 

えっ、ここ新しい所じゃんとか思っているとヴァルキリーとメタトロンが俺らのとこに来る。

 

 

「それではお願いします。 まずは私からで」

 

そうヴァルキリーが言う。

真剣な顔をしていたがそんな彼女の武器を持つ手は震えていた。

 

 

うん。緊張してるんだろうけど、一番震えたいのはこっちだから。

 

 

 

ええい‼︎ もうどうにでもなれ‼︎

 

 

 

そんな訳でメタトロンvsヴァルキリー(被害者俺)が始まった。

 

 

ルールはヴァルキリーとメタトロンそれぞれをリーダーにしたパーティでダンジョンに挑戦してどれぐらい行ける、もしくはクリアー出来るかというものだった。

 

当然勝てばしばらく勝者がリーダーをやれる訳だ。

 

 

 

まずは俺らはヴァルキリーをリーダーにしたパーティでダンジョンに入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わった。

 

 

結果から申し上げるにヴァルキリーの圧勝だった。

 

 

 

「やるじゃないマスター。 ひょっとしてヴァルキリーにひいきでもした?」

 

エキドナが小声で話しかけてくる。

 

「…いや、そういう訳では……」

 

俺はそう言いかけてメタトロンの方を見る。

 

 

「……………」

 

 

メタトロンは黙ったまま俯いていた。

 

うん……やっぱりわざとやったって思っているのかな……。

 

「いいわよ。 分かってるって」

 

エキドナがニヤニヤして俺の肩を叩いてくる。

 

 

 

いや、そうじゃないんだ。

あれはわざとなんかじゃなく俺の実力。

ましてやヴァルキリーをひいきにするなんてことは絶対にしていない。

 

 

俺はそうメタトロンに言いたかったがあんな事をして、信じてもらえそうになかったので言わなかった。

 

 

 

結果の詳細はこういうものだった。

 

 

まずヴァルキリーをリーダーにしたパーティでダンジョンに挑戦した。

 

 

まあ俺がヴァルキリーをリーダーとして使い慣れていることもあって、危なげなく進んでいった。

 

でもやはり初めてのダンジョンというのもあり、ボス直前というところで思わぬ攻撃に合いリタイアとなってしまった。

 

 

 

この時点でメタトロンがボスまで行けばたとえそこで失敗してもヴァルキリーとの戦いには勝利することになる。

 

 

そしてリーダーが入れ替わりメタトロンの番。

 

当たり前のことだが俺はあらかじめメタトロンのリーダースキルを確認しておいた。

 

 

しかしそれが問題だった。

 

 

 

 

〜1フロア〜

 

 

バン‼︎

 

 

「きゃあ」「…‼︎」「くっ‼︎」

 

 

彼女達が攻撃を受ける。

 

倒されるまではいかなかったがHPの半分ぐらいは減ってしまったようだった。

 

これは俺のパズルミスから生じたものだ。

まあでもこういうことはよくあるのでそんなに焦っていなかった。

 

 

盤面に回復は無かったが、光はあったので問題ない………と思っていた。

 

俺は光を揃える。

 

「(よし、とりあえず突破‼︎)」

 

と、心の中でガッツポーズをして彼女達の攻撃が敵に当たっていくのを見ていた。

 

 

 

 

 

 

しかし敵は倒れなかった。彼女達の攻撃はそんなにダメージを与えられなかったようだった。

 

「あれ?」とか思っていたら今度は敵が攻撃をしてきた。

 

回復をしていなかった俺らはその攻撃に耐えきれず、こうしてまさかの1フロアであえなくリタイアになってしまったのだ。

 

 

〜〜〜〜

 

 

こうなってしまったのは俺が彼女のリーダースキルをしっかり見ていなかったことが原因だった。

 

メタトロンのスキルはヴァルキリーと同じく味方の攻撃力を上げるものだったが、メタトロンの方が強い。

 

俺はその事ばかりに気がいってしまい、肝心のその後の情報を見落としていた。

 

メタトロンのスキルはヴァルキリーと違い、一定のHPがないと発動しないというもので今回のケースは一定のHPに届いていなかったことから生じたものだったのだ。

 

 

メタトロンが俯いたままなので、勝者のヴァルキリーもどう反応したらいいか分からないらしく黙ったままだ。

 

おかげで今の雰囲気は最悪。

 

うん…ここは責任者である俺が何とかしなければ……

 

 

 

ここはあえて明るくいくべきか?

 

 

 

 

 

「よーし‼︎ 皆! おつかれちゃん‼︎ あれ⁉︎ なんでショボンとしちゃってるの?? 元気ないゾ⁉︎ もっとはりきっていこー☆☆」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 

 

 

………うん、ダメだなこの案は。

言った瞬間2秒でぶん殴られる気がする。

 

 

じゃあどうするか、と俺が考えていると

 

「マスター」

 

細く鋭い声が俺を呼ぶ。 えっとこの声は………

 

「な、なんでしょうかメタトロンさん」

 

俺は恐る恐るメタトロンの方を見る。

 

「なんで敬語なんですか。 それよりいつまでここにいるつもりですか? 用は済んだことですし戻らないのですか?」

 

「あ…ああ。戻るとも」

 

うわー、絶対怒ってるだろこれ。

 

 

こうして俺らは小屋に戻り始めた。

 

 

そして歩いている最中、俺はメタトロンに話しかける。

 

 

「…メタトロン」

 

「なんですか?」

 

「……あの、その…ゴメン……俺…」

 

「分かってます」

 

「へ?」

 

 

「貴方がヴァルキリーをひいきにしていなかったことは分かってます。 それに私の時は私のリーダースキルをよく見ていなかったからでしょう」

 

ああ、何もかもお見通しだ。 鋭すぎるだろこの人。

 

 

「でも俺の不手際で……」

 

「いいんです。 もう十分分かりましたから」

 

ああー、やっぱり怒ってるな。

 

 

「貴方達の絆がどれくらいのものかが」

 

「えっ?」

 

「ヴァルキリーがリーダーの時に見させてもらいました。 貴方がどれくらいモンスターを信頼しているのかを」

 

「…で、どうだったんですか?」

 

 

「貴方はパズルが下手です」

 

 

…結局そういうことかい‼︎

俺はハハハと苦笑いを浮かべる。

 

 

「でも」とメタトロンが付け加える。

 

「貴方がモンスターを思う気持ちは凄く感じました」

 

 

 

 

「合格です」

 

「え、何が?」

 

「貴方を正式なマスターとして認めます」

 

「え、どういうこと?」

 

状況がうまく掴めないけどそれってもしかして……

 

「別に私はリーダーになる欲はありませんよ」

 

「貴方を試しただけです」

 

クスッとメタトロンは笑う。

 

そういうことかよーーーー‼︎

さっきまで俺が心配してた分を返せよ‼︎

 

「でも、一回ぐらいは私のリーダースキルを発動させてもらいたかったものね」

 

「それは本当にすみませんでした」

 

「いいのよ、もう」

 

深々と頭を下げる俺を見てメタトロンはまた笑う。

 

 

「それじゃあ私はあの2人にも事情を話してくるわ」

 

「おう」

 

そういってメタトロンは前の方を歩いているエキドナとヴァルキリーの方に向かって走っていった。

 

 

 

「試されたのは俺って訳か」

 

 

ふっと俺は笑って前で盛り上がっている3人を見ながら呟いた。

 

 

 

 


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