「行くぞヴァンパイア!! お前の非道な行為を見逃す訳にはいかない!」
そう叫んで俺はパズルを回す。 火を含めた5コンボ。
まずはこれでもくらえ!
「はあーー!」
エキドナが無数の炎の玉を飛ばす。 だがそれをヴァンパイアは訳もないかのように華麗にかわす。
「!?」
「何!?」
俺は驚いて思わず声が出る。 エキドナも驚いた顔をしている。
あいつ、攻撃をかわすことまでできるのか。
「何するんですか。いきなり危ないじゃないですかー」
ヴァンパイアはのんびりとした口調で話す。どうやら全然余裕のようだ。
「私はただ…「ならこれならどうだ!!」」
ヴァンパイアが続けて何か言おうとしたのを遮って俺は再びパズルを揃える。 光と火を消したコンボ。
2人同時なら当たるだろう。
「いきます!!」「いくわよ!!」
ワルキューレが剣を構えて突撃していき、その後にエキドナも続く。
「くらいなさい!」
ワルキューレとエキドナの攻撃が連続してヒットする。 流石によけれなかったみたいだ。
「どうだ、くらったか?」
俺は攻撃を受けて飛ばされたヴァンパイアの方を見る。
…しかし
「痛いじゃないですかまったく」
ヴァンパイアは余裕だった。
攻撃を受けたのにもかかわらず目立ったダメージは見られず、飛ばされた時に服についた埃を落としていた。
「まじか」
今のコンボでこの程度のダメージか。やはりボスとなると強さが段違いだ。 これは苦戦を強いられそうだな。
俺は再び気を引き締める。
「よし!次だ!」
俺がそう言ってパズルを回そうとするとヴァンパイアが言った。
「しつこいですね、そろそろ私も攻撃していいですか?」
「「!!」」
その言葉を聞いたエキドナとワルキューレは慌てて防御の姿勢を取る。 俺も彼女達がヴァンパイアの攻撃を耐えれるかどうか不安になりながら見守ろうとした。
「…………」
ヴァンパイアはしまったサーベルをもう一度取り出す。
そしてサーベルを構えて走り出した。
「き、きなさい!」「耐えてみせます!」
しかしヴァンパイアはそんな2人を目にもかけず俺の方向に向かってきた。
「な、!?」
そんなこと思ってもなかった俺は慌てる。
「お、おい! 彼女達はあっちだぞ!」
するとヴァンパイアは言う。
「なに言ってるんですか。さっき言ったでしょう? 最初から狙いは貴方だけだって」
その言葉と表情から俺は確信した。 こいつ、マジで殺しにきてると。
俺はパズルを回そうとしたがさっき攻撃した時に俺と彼女たちとの距離が離れてしまったので間に合いそうにない。
その間にもヴァンパイアは俺との距離をどんどん詰めてくる。
為す術もないと感じた俺は腕を降ろして呆然とする。
「マスター!!」 「避けて下さい!!」
ヴァンパイアの後方から2人の声が聞こえる。
すまんエキドナ、ワルキューレ。 お前達を撫でてあげることは出来そうにないや。
ヴァンパイアはもう目の前まで来ていた。
「おしまいです」
ヴァンパイアはニヤリと笑い武器を振り上げた。
。
「いやあああぁぁぁ!!!!」
ワルキューレの悲鳴が聞こえる。
俺は覚悟を決め目を閉じた。
……………………………………
んっ? 意識がまだあるぞ。 無事だったのか? 辺りも静かになったし何があったんだ?
俺が恐る恐る目を開くとそこには武器を振り上げたまま硬直しているヴァンパイアの姿があった。
「き、貴様何をした!!」
ヴァンパイアは動けないようだった。 俺も何が起きたのか分からずキョトンとする。
「ふう、どうやら間に合ったようね」
ヴァンパイアの後方にいたエキドナとワルキューレが近づいてくる。
「エキドナ、何をしたんだ?」
おれがそう尋ねるとエキドナは呆れたような顔をする。
「やっぱり忘れてたのね。私のスキルを使ったのよ! 以前あなたにも見せてあげたじゃない」
「あっ…」
すっかり忘れていた。 ついパズルを揃えることだけに意識が行き過ぎていたようだ。
始めからスキルを使っていればこんな危険に遭うことなどなかったはずだ。
「本来はマスターが指示するものだけど、今回は止むを得ない状況だったから私から使わせてもらったわ。 次からはこんなことがないようにしてほしいものね」
「もう! マスターったら心配させないでください!」
「ごめん、悪かった」
俺はひとまず2人に謝り、ヴァンパイアの方に向き直す。
「さてヴァンパイア。 こんなわけで形勢が逆転してしまったな」
するとヴァンパイアはフッと笑って言う。
「何を言っている。 たとえ俺がこうして動けない状態でも貴様らの攻撃など効かぬわ。 さっきのを見てわかったろう」
「さあそれはどうかな」
「なに?」
「まあみていろ。 …ワルキューレ…いけるな?」
俺はワルキューレの方を向いた。 ワルキューレは黙って頷く。
「…俺もこれを使うのは初めてだ。 【攻撃態勢・光】 発動!!」
その瞬間パズルの画面が黄色に染まり、ワルキューレの持っている剣が光を帯びる。
「!!」
ヴァンパイアはその光に目を背ける。
「くらえヴァンパイア!!」
俺はそう叫んでパズルを揃える。今までの比ではないくらいに光のコンボが決まった。
「やあああーーー!!!!」
ワルキューレは身動きが取れず無防備なヴァンパイアの体に怒涛の攻撃を浴びせる。
「ぐわぁぁぁぁーー 、こんな奴らにぃぃぃ……」
さすがのヴァンパイアもそれには耐えきれず最後は断末魔を残し消滅していった。 再び城は静寂に包まれた。
「や、やったか」
俺は安心したのかへなへなとその場に座り込む。
「やりました!!」 「やったわね!!」
駆けつけてきた2人が俺に抱きついてくる。
「ああ、よくやってくれた!」
俺も2人を抱きしめる。
「それじゃあ」「マスター」
そういって2人は頭を前に出す。
「ああ、わかってるよ。 約束だもんな」
この後2人の気が済むまでめっちゃ撫でてあげた。
戦闘シーン書くの難しい汗
なのでそこら辺はご勘弁を笑