岸波白野の転生物語【ハイスクールD×D編】【完結】   作:雷鳥

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と言うわけで前々から言っていた打ち切りENDです。
続編の英雄派達との戦いを投稿する時はこの作品のタイトルに【一期目】と付けて、別枠で【二期目】として投稿する予定です。




【抑止の終わり。白野としての戦い】

アラヤ「うむ。どうやら人類の滅びはとりあえずは回避されたようだな」

 

ガイア「そうみたいだなぁ~」

 

プリンセス「にしても、あのアニメのせいで世界が滅ぶとか地球ヤバ過ぎww」

 

ガイア「いいやぁ。この場合は人間ヤバ過ぎだろう」

 

アヤラ「ははは確かに。まさか『おっぱいドラゴン』などというおかしな特撮ヒーローのせいで世界がヤバイなど、いったい誰が信じようか」

 

ガイア「ワロスww」

 

プリンス「ワロスにゃんww」

 

プリンス「ま、でもこれでこの子の抑止としての役割は終わりって訳ね」

 

アラヤ「ああ。彼の苦労する姿が見れぬのは残念だが致し方無い。我々は所詮そういう存在なのだから」

 

ガイア「アラヤは愉悦部の癖に仕事はきっちりするよねぇ。じゃあまた世界に破滅が迫る時にでも」

 

アラヤ「うむ。欲望の果てに滅びが迫りくるその時に」

 

プリンス「あらら、二人とも帰っちゃったわ。淡白よねぇ。さてさて、それじゃあ白野、バイバイにゃん。運が良ければどっかの『私』とまた会えるかもね。にゃははは!」

 

 

 

 

 夢を見た。三つの人影が好き勝手に言って去るいつもの悪夢だ。

 

 しかし今日はそれだけではなかった。

 

 三つの影が去ったあとに新しく二つの人影が現れた。

 

「ふむ。なんとかなったかのう?」

 

 恰幅の良い体格の老人のような喋り方をする影が、隣に立つ長髪の女性のような影に訪ねる。

 

「そうだねぇ~。少なくとも彼らが言うのだから『人の滅び』は回避されたんじゃないかな~」

 

 中性的な声色と間延びした喋り方で答えた女性は宙に浮くと体を横にしながら答える。

 

「しかしまだ油断は出来ぬな。わしが与えた『大釜』はなんとか使いこなしておるようで安心じゃが、今後も少年は狙われるじゃろうな」

 

「巻き込まれ体質だからね~。まあ死ぬまで見守ってあげるけどね~」

 

「乗りかかった船と言う奴じゃな」

 

 そこまで言って、陰がこちらに振り返る仕草を見せる。

 

「そういう訳でもう抑止としての役割は終わったんだから、あまり無茶しないでね~。人生程々が一番だよ~」

 

「うむ。嫁も出来たことだしのう。わしも若い頃は女の為にヤンチャしたもんじゃが、あまり泣かせるでないぞ」

 

 最後にこちらを心配するような言葉を投げかけ、二つの影は消えていった。

 

 

 

 

「……なんか良い夢を見たような。いつもの悪夢を見たような……?」

 

 頭痛は無いがどうにもモヤモヤとした感覚を覚えながらベッドの横を見る。

 

「にゃ~おはよう御主人様」

 

 そこには人型の黒歌がなんとも艶かしい姿で気だるげに目をこすっていた。

 

「ああ、おはよう黒歌。ほら、女性優先なんだから顔を洗いに行ってきな」

 

「にゃ~い」

 

 黒歌はシーツから体を起こす。その際に生まれたままの姿を見てしまったが、すぐに猫化するのを見て心の中で安堵の溜息を吐く。

 

 まだ若干フラフラしている黒歌を苦笑しながら抱き上げて一階へと向かい、黒歌を脱衣所の前まで連れていって降ろす。

 

「ありがとう御主人様」

 

 そう言って人型になって脱衣所に入って行く全裸の黒歌……中に入ると同時にレイナーレの声が響いた。

 

「ちょっと黒歌、あんたはまた裸でうろついて!」

 

「にゃ~これが私のニュートラルな姿なんだから勘弁して欲しいわぁ」

 

「あら黒歌、おはよう」

 

「おはよう朱乃。あ、シャワー先!」

 

「ちょっと! 順番守りなさいよ! 次は私よ!」

 

 そんな会話を背後で聞きながら自分はキッチンへと向かう。

 

「おはよう母さん、父さん」

 

「ああ、おはよう白野」

 

「おはよう白ちゃん」

 

 キッチンでは母さんが朝食の準備をし、父さんは椅子に座ってコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。

 

 これが今の自分の朝の光景だ。いっきに女性が三人も増えたので、朝のシャワーは先に女性が入ることになっている。父さんと自分はその後だ。

 

「そう言えば今日は終業式か」

 

「うん。明日から夏休みだね」

 

 テレビをつけてニュースを聞きながら父さんに返事をする。

 

 それにしてもそっか、もう一学期も終わりかぁ。

 

 これまであった色々な事件が走馬灯のように脳裏を過ぎる。何回か死にそうな目にあったけど、まだ三ヶ月ちょっとなんだよなぁ。

 

 そう考えると少しだけ気が滅入ったが、明日から夏休みなのだからここで気落ちしては勿体無いと、別の事を考える。

 

「そう言えば今年も旅行に行くの?」

 

「当たり前だろ。この毎年の家族旅行の為に僕は頑張っているようなものだからね」

 

 父さんが自慢気に胸を張る。

 

 うちの両親は早くに親を亡くしていて地方に実家があるわけでもないので地方に帰省することはない。だが父さんと母さんはイベント好きなため、自分が小さい頃から学校が長期休校するときは、いつも小旅行に連れて行ってくれる。

 

「それと白野、安心しなさい。今年はちゃんと海かリゾートプールのある場所にするから!」

 

 父さんがイイ笑顔でサムズアップする。それに対して息子の自分は……笑顔でサムズアップを返す。

 

 自分だって男だ。大好きな彼女達の水着が見たいという健全な青年的欲求だって普通にある。

 

 ……でもみんなの普段着を考えると間違いなく過激な水着を着そうなんだよなぁ。それを周りに見られるのは色々と不安だ。身内だけならどんな水着を着られても問題ないんだけどねぇ。

 

 そんな事に頭を悩ませていると、身支度を終えたレイナーレと朱乃が入って来た。

 

「おはようダーリン」

 

「おはようございます旦那様」

 

「……うん。おはよう二人共」

 

 慣れない。

 

 事件のあと、朱乃が正式に家に住む事が決まった日からレイナーレと朱乃は家では自分の事をそう呼ぶ事にしたらしい。

 

 一応外では今まで通りなのだが、それでもなかなか慣れない。因みに黒歌は『もう御主人様って特別な呼び名で呼んでるから問題無いにゃん』と言って今まで通りだ。

 

「う~んさっぱりにゃん!」

 

 黒歌もやって来たので父さんと一緒に洗面所に向かう。

 

「いや~しかし家も賑やかになったね」

 

「ごめん父さん。二階の空き部屋全部使っちゃって」

 

 朱乃が来た事で二階の空き部屋がついに全て埋まってしまった。

 

「いや構わないさ。それはそうと白野……孫を楽しみにしているよ。可愛い孫に可愛い衣装を沢山着させてあげるのが、父さんの夢の一つなんだ!!」

 

 ……そんな願望があったんだ。

 

 父親の願望を知り、なんとも微笑ましい気持ちのまま朝の準備をする。できれば叶えられるように努力するが、こればっかりは本当に神頼みだからなぁ。

 

 

 

 

「おはようお二人さん!」

 

「おはようございます白野さん、朱乃さん」

 

「あらおはよう白野、朱乃」

 

「おはようございます先輩方」

 

 学園に行く途中で一誠達と合流し、自分達も挨拶を交わす。

 

「おはようみんな」

 

「おはようございます」

 

 そのまま一緒にお喋りしながら進む。一誠とは元々家が近所だったから一緒に学園に行くことも多かったが、最近では完全にオカ研グループだ。まぁ全員一緒に暮らしているんだから、合流するのは当たり前なんだけど。

 

 とりあえず歩道を占領してはいけないので、いつものように自分と一誠を先頭に縦に並んでお喋りする。

 

 一誠とあれこれ雑談している内に学園に到着すると、同じく到着した祐斗、ギャスパー、イリナ、ゼノヴィアと一緒に門を潜る。

 

「なんかこうやって一緒に歩くのが普通になってきたわね。ちょっと前まで敵同士だったのに」

 

 イリナが駒王学園の制服を摘まみながら感慨深げに呟く。

 

「ああ、そうだな。まさかアーシアとこんなに仲良くなれるとは思わなかった……本当にあの時はすまなかった」

 

「そうね。ごめんなさいアーシア」

 

 イリナとゼノヴィアが申し訳ない表情で謝罪すると、アーシアが慌てて両手を振る。

 

「いいんですよ! 確かに辛かったですけど、そのお陰で大切な人と出会えました。それに、新しい友達が二人も出来て、わたしの方が申し訳ないくらいです」

 

「っ眩しい!」

 

「天使、いや女神は居たのか!」

 

 アーシアの悪意ZEROの照れを含んだ笑顔に、イリナとゼノヴィアがまるで仏様とでも出会ったかのような反応をする。気持ちは分かる。

 

「ギャスパー君はもう学園に慣れたかい?」

 

「は、はいぃ。女の子達とはよく話すようになりましたぁ」

 

 ……それはちょっと、いや、何も言うまい。

 

「ギャー君、クラスでは恥ずかしがって男子とはあまりお話しないんです。まぁ男子は男子で危ない目でギャー君を見るので自業自得ですが。更に言うと既にギャー君のファンクラブまであります」

 

「……因みに訊くけど、そのファンクラブの会員は女子がメインだよね?」

 

「男女比はフィフティーフィフティーです。宣伝頑張りました」

 

 そう言ってやり遂げた顔でVサインする小猫ちゃん。小猫ちゃんは相変わらずギャスパー君を弄っているようだ。まぁそれが彼女の友人としての気遣いなのだろう。彼女にとっても学園に来る前では唯一の同年代の友人なのだから。

 

 一年生組が一緒になり、アーシアと聖剣組が並び、リアス先輩と朱乃は何やらどっちがラブラブしているかで口論している。そして残った二年の三人で他愛無い会話を繰り広げる。

 

 これが今の自分の学園での日常だ。

 

 ……まあ大変だけど楽しいよな。

 

 これからもきっとドタバタの連続だろうけど、みんなが居ればきっと大丈夫。

 

 笑顔で空を仰げば、そこにはそんな自分の気持ちを代弁するように広がる快晴の青空が広がっていた。

 

「どうした白野、早く行こうぜ!」

 

「白野君どうかしたかい?」

 

「いや、なんでもないさ」

 

 傍で自分を待ってくれている親友二人に答えながら、自分は今日も笑って人外の友人達の輪へと加わるのだった。

 

 




と言うわけでハイスクール編。一応の完結です。ハイスクールの今後の予定は前書きで書いた通りです。

このあとにあとがき回で詳しい事を色々説明します(ヴァーリを退場させた理由や、世界の連中が抑止として具体的に白野に何をさせたかったのか、白野神器をそういう能力にした理由等)

一年近くも作品に御付き合い頂き、本当にありがとうございました。


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