岸波白野の転生物語【ハイスクールD×D編】【完結】   作:雷鳥

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という訳で白野の初戦闘回。



【祐斗VS白野】

「とりあえず白野、あなたの実力を知りたいわ」

 

 全員で軽い運動を済ませ広い場所に集まると、リアス先輩がそう提案した。

 

「まぁ当然か。それで、何をすれば?」

 

 実際自分も今のみんなの実力は知りたい。

 

「決闘方式で祐斗と戦ってみて。アーシアもいるしわたし達が作った魔弾を、あなたの神器で食べ物に変えれば体力も回復できるでしょ」

 

 確かにそうだけど、いきなり真剣勝負とは。

 

「祐斗は木刀を持たせるけど、あなたはどうする?」

 

「素手でいいですよ」

 

 そもそも徒手空拳しか黒歌には倣っていない。先日手に入れた剣や銃はあくまで戦術の幅を広げるだけの武器だ。そしてあれは光力でしか使えないから悪魔のみんなには正直使用しずらい。

 

「そう言えば、君とこんな事をするのは初めてだね」

 

「普通に生きてたら無いと思うぞ。こんな状況」

 

 祐斗の対面に立って構える。祐斗も木刀を正眼に構える。

 

「それじゃあ、始め!」

 

 リアス先輩の合図と当時に祐斗がこちらに駆け寄る。それをじっと構えたまま待ち受ける。

 

 祐斗の間合いになり、祐斗が木刀を左斜めに袈裟に振り下ろす。

 

 その攻撃を左足を引いて姿勢を低くして回避する。

 

 頭上を通り過ぎる木刀を感じながら、そのまま祐斗木刀を握る祐斗の腕を掴み、右足を軸に身体を反転させて一本背負いの要領で投げ飛ばす。

 

「くっ!」

 

 顔をすぐに上げる。祐斗が空中で姿勢を直すのを確認しながら先程と同じ構えを取る。決して自分からは攻撃しない。

 

『いいにゃん御主人様、人間と人外が戦う時にまずすべき事は『(けん)』にゃん。例えば人間同士なら突っ込んでくる相手に攻撃を合わせる所謂カウンターが決まれば、相手に何倍ものダメージを与えられるにゃん。でも基本悪魔の方が肉体の強度は上にゃん。極端に言っちゃえば突っ込んでくる車を殴るようなものね。その場合タイミングが合っていようが、ダメージを受けるのは攻撃した方って訳にゃん。だから兎に角『見』にまわるにゃん。そして相手の攻撃を避けたりいなしたりしながら、衝撃を透すキツイ一撃を当てて行くにゃん』

 

 格闘術を教えて貰う時に黒歌が最初に言った言葉だ。元々視覚性能が良かった自分には、この戦術は性に合っていた。

 

 黒歌との特訓で素早い動きへの反応が上がっている自分には、祐斗の今の速度なら『見てから』でも十分に避けられるレベルだ。

 

 対処された祐斗が少し驚いた表情をしたあと、どこか嬉しそうに笑って再度木刀を構えた。どうやら祐斗には意外にもバトルマニアな一面があったみたいだ。

 

「凄いよ白野君、まさか回避されるとは思わなかった」

 

「攻撃力が無い分、防御の技術を磨いているんだよ」

 

「じゃあ今後はもっと速く!」

 

 祐斗が更に加速する。

 

 彼の姿がブレる。が、まだ『視認』できる。

 

 その場で深く屈んで左足を軸に大きく弧を描くように回転して祐斗の突きを回避して彼の背後に回りそのまま肘で彼の頚椎に一撃入れる。

 

「ぐあ!?」

 

 祐斗が軽く前のめりになり、慌てて振り返る。その間に、彼の懐に潜り込む。

 

「はっ!!」

 

「がっ!?」

 

 祐斗が振り返る途中で、無防備な脇腹目掛けてオーラを纏った掌底を叩きつける。すると祐斗がその場から数歩吹き飛ばされる。

 

 衝撃による攻撃。

 

 中国武術の一つであり、仙術格闘術の基礎だ。

 

 物理的接触だけではなく。接触時の衝撃すら相手に与えて体内から破壊する。さらにオーラを一緒に叩きつけることで物理・衝撃両面の威力が増す上に相手のオーラの流れを乱せる。

 

 もっとも、オーラの流れを乱せるかは自分や相手の技量、それにオーラ量によるから絶対に出来る訳じゃないけど。

 

「凄い一撃だったよ。肉体の内側から破壊されるかと思った」

 

「普通はもっと苦しむモンらしい。やっぱり人間と悪魔だと基本のスペックが違うせいで威力が落ちるみたいだ」

 

 祐斗を観測する限り、本当に思いの外大きなダメージを負った程度のものらしい。普通に木刀構えてるし。

 

 確かにオーラの流れを断つ程の威力は込めなかったが、同じ人間なら多分今ので片膝着くくらいはしていたと思うんだけどなぁ。

 

「さ、まだまだ行くよ白野君!」

 

「やれやれ。人間相手に本気になるなよ!」

 

 その後、結局祐斗の攻撃を捌き続ける体力を無くした自分が徐々に祐斗の一撃を受けて気絶した。

 

 

 

 

「はあ、はあ」

 

 額に汗を流す木場がその場座る。その正面には傷付いた全身汗まみれの白野が倒れ、今はアーシアが回復して朱乃先輩が膝枕している。うらやまけしからん!

 

 にしても二人共凄かったな。

 

 木場は兎に角速かった。姿が常にブレブレで、何をしてるのか解からなかった。あれで騎士の駒の恩恵を使っていないのだから、恩恵を使ったらどうなるのか。

 

「ありがとう祐斗。でもわざと白野と攻防してくれなくても良かったのよ。数回攻撃を受けてもらって、あとは一撃で沈めてあげた方がお互いの体力や怪我も少なく済すんだだろうし」

 

「あ、そうだぞ木場! あんまり人間の白野を苛めるなよ。お前なら一撃で倒せただろう」

 

 リアス先輩と一緒に木場近寄ってそう注意する。すると、木場は珍しく少しだけ怒った様な顔で俺達二人へと振り返った。

 

「わざと? とんでもない。僕は全力だったよ。凄いのは白野君だ。手でいなされ、足でかわされ。攻撃が当たるようになっても急所にだけは絶対当たらない。それどころか攻撃が当たった事でこちらの動きが遅れると向こうの攻撃を叩き込まれる。それに彼の攻撃は一撃一撃が重くて痛い。正直、彼が悪魔で同じ肉体スペックだったら……多分立場は逆だったよ」

 

 祐斗の言葉に部長と一緒に口を噤む。

 

 確かに白野の全体の動きは俺でも見えていた。でも、偶に腕や足といった箇所がブレる時があった。多分あのブレているときに白野は木場の攻撃を捌いていたのだろう。それこそ全身から汗が出るほどに集中して。

 

「……祐斗、率直に聞くけど。白野は戦力になりそう?」

 

「……駒の特性にもよりますが、多分魔法専門の僧侶、それと兵士なら、彼でも十分に叩けると思います。正直あの衝撃を透す技で体内に光力を叩き込まれたらと思うと、正直ゾッとしますね」

 

 ああそっか。仙術には相手の体内にオーラを叩き込んで内側から技がある。その叩き込むのをオーラじゃなくて光力にされたら……怖っ!!

 

「ですが……」

 

 俺が自分の想像で顔を青くしていると、祐斗は残念そうな顔で白野の方へと振り返った。

 

「耐久力や物理的な攻撃力そのものはやはり人間である以上、凄く脆いし弱いです。恩恵全開の騎士や戦車だと、少し厳しいかもしれません。白野君もそのあたりは理解しているのか、掴まれたりしないように常に僕と一定の距離を保っていましたし、自分から攻め込むことはほとんどありませんでした」

 

 なるほど。確かに祐斗が攻めている事が多かったな。所謂カウンタータイプという奴だろうか?

 

「そう。一誠、合宿中は白野と出来るだけ戦いなさい。あなたも基本素手なのだから」

 

「はい!」

 

 よし。俺も白野に負けないように頑張るぜ!

 




という訳で白野は悪魔には勝てなかったよ。
まぁ本気出せない条件付けだとこんな感じですね。

一応原作読んだ上での、この時点での自分が考えている現在の純粋な肉弾戦の強さはこんな感じ↓

黒歌>>>>祐斗>白野>小猫>朱乃=一誠=リアス=レイナーレ

朱乃先輩以降は種族スペックによるので似たり寄ったりって感じです。
小猫も駒の恩恵が無ければ技術不足な感じ。でも当たれば白野には勝てる(一撃が重いので)
白野と祐斗は肉体スペックの差で白野が劣っている感じ。
黒歌は天才な上に白野に付き合って稽古もサボっていないので、衰え知らずな上に強くなっている感じです。(遠近で戦えるとか、ますますキャス狐に似てきた……)


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