岸波白野の転生物語【ハイスクールD×D編】【完結】   作:雷鳥

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というわけでようやく合宿開始。



【合宿初日】

「フェニックスに喧嘩売るって、あんた馬鹿? いい、理解しなさいよ。あんたは人間なのよ? そりゃあ確かに普通の人間よりはやれるでしょうけど、限度があるわ。不死と名高いあのフェニックスを相手にするなんて、何? 英雄にでもなりたいの? つーかわたしも自動的に巻き込まれるじゃないの。どうしてくれるの? あんたが死んだらわたしもアザゼル様に殺されるかも知れないのよ。わたしの命も背負ってるんだから少しは自覚してくれる?」

 

「そうにゃそうにゃ。どうしてそう自分から首を突っ込むの? 馬鹿なの? 死ぬの? 死んじゃったらどうするの? わたしに悲しい思いさせたいの?」

 

 レイナーレと黒歌の説教と非難が止まりません。誰か助けてください。

 

 帰って二人に事情を説明した瞬間、正座させられてこの状況だ。

 

 そして二人の言葉を受けて、ある事に気付いた。

 

 リアス先輩が結婚したら管理者が変わるかもしれない。という事実にだ。

 

 そうなるとレイナーレは生き難くなるかもしれないし、黒歌は討伐されてしまうかもしれない。正直なところ今の自分達がこの町で平穏に暮らせているのはリアス先輩の存在が大きいと言える。

 

 そう考えると、今回巻き込まれたのは幸運だったのかもしれないな。

 

 少なくとも自分自身で足掻くチャンスは手に入れたのだから。

 

「……勝つしかない」

 

「は? ちょっとあんた、わたし達の話をちゃんと聞いてた!?」

 

「ああ、聞いてたよ。お陰で気付けた。リアス先輩を今失う訳には行かない」

 

「どういうことかしら御主人様?」

 

 自分が気付いた事実を二人に伝える。

 

「……確かに。あのお人好しのグレモリーがいなくなると厄介ね」

 

「そうね。御主人様の話だとシトリー家の娘もいるから、彼女が管理する事になる可能性もあるけど……典型的な悪魔至上主義な奴が管理者になったら間違い無くわたし達は生活し難くなる」

 

「うん。だから勝つしかない。ところで黒歌はレーティングゲームには参加した事はあるのか?」

 

 黒歌にそう尋ねると彼女は頷き首を傾げる。

 

「何回かは。それがどうかした?」

 

「実際のゲームがどんな感じか教えてくれると今度のゲームの作戦に役立つと思ってさ」

 

 どちらにしろ自分達は素人だ。ならば付け焼刃は多いに越した事はない。なんせ一太刀もてばいいのだから。

 

「分かったわ。わたしが覚えている限りの事は教えてあげる」

 

「ありがとう」

 

「ならお茶くらい淹れてあげるわ」

 

「レイナーレもありがとう」

 

「ふん」

 

 レイナーレがお茶を取りに行っている間に黒歌と一緒にレーティングゲームの資料を読みながら彼女の説明して貰い、ルールを頭に叩き込む。

 

 戦いはもう始まってる。明日からの合宿のためにも、やれることはやっておかないとな。

 

 結局寝る直前まで黒歌との話し合いは続いた。レイナーレもなんだかんだで付き合ってくれた。

 

 

 

 

「ひ~ひ~」

 

 一誠が死にそうな顔で巨大なリュックサックを背負って山道を登って行く。

 

「ふぅ。ふぅ。頑張れ、一誠」

 

 隣の一誠を励ましながら、一誠より少ないとはいえ、人間が持つにはいささか重量過多な荷物を背負いながら歩みを進める。

 

 合宿初日。一度学園に集まった自分達は、そこからグレモリー家が所有する山へと転移魔法で向かった。

 

 自分だけ眷属ではないので朱乃さんに手順を踏んで別の転移術式で送って貰った。

 

 試合には出られないが合宿にはレイナーレも誘おうとしたが、悪魔側にバレたら面倒だと言って断られた。

 

 別れ際に黒歌とレイナーレに『が、頑張りなさいよ』『頑張るにゃん御主人様』と激励してくれたのには純粋に嬉しかった。やっぱりレイナーレと黒歌は可愛い。

 

 そして現在、自分達は別荘へ向けて軽く整備された山道を重い荷物を背負ってひたすら登っていた。

 

 にしても、あの量が入るリュックサックがあることが不思議でならない。流石は悪魔や魔物が住む冥界。不思議アイテム盛りだくさんである。

 

 自分の三倍近い荷物を持った一誠の背中にある大きなリュックを眺めながら、そんな事を考えていると、誰かが軽快な足取りで自分達を抜き去った。

 

「部長。山菜を採ってきました」

 

「……お先」

 

 この山で採ったであろう山菜を抱えた一誠と同じ大きさのリュックを背負った祐斗と、一誠の数倍近い荷物を平然と担いでいる小猫ちゃんが悠然と通り過ぎる。き、規格外すぎる。これが悪魔と人間の差か。

 

「だああくっそ! 負けてたまるか!!」

 

 一誠が叫んで駆け出す。流石だ。ここでそれだけの元気があるとか、自分には到底真似できない。

 

「大丈夫ですか白野君? 汗が凄いですわ」

 

 隣を歩いていた朱乃さんが、タオルで自分の額の汗を拭いてくれる。

 

「ありがとうございます。それにしても、随分と荷物が多いですね」

 

「殆どは食料ですわ。良く食べ良く寝る事も強くなる為の秘訣です」

 

「確かに」

 

 でも多過ぎる気がするが、それとも悪魔はこれくらい平然と食べれてしまうのだろか? 

 

 そんな疑問を抱きながら、ようやく目的の別荘に到達する。私物の荷物を屋敷の中に入れ、それ以外は屋敷傍の倉庫らしき小屋に入れる……どうやって居れたとかは……やっぱ考えちゃ駄目なんだろうな。

 

「それじゃあ荷物も仕舞ったし、わたしと白野で考えた合宿の予定を伝えるわ」

 

 正直リアス先輩の立てた計画には無駄が多かった。悪魔や各陣営の要注意人物の暗記だとか、各種族の特色など、正直それらは今回のゲームが終わってからでもゆっくり覚えればいい。今は自分達がいかにして強くなるかを考えるべきだと彼女に進言したところ、以外にあっさり受け入れてくれた。彼女なりに何か思うことがあったのかもしれない。

 

 主な修行は基礎体力訓練と個人特訓。尚食事当番は料理が出来る者で特に上手い者をメインにローテーションし、サポートと要員に一人二人付けるという感じになった。

 

「個人特訓にはぞれぞれ課題を設けてあるわ。わたしは少しでも滅びの魔力を早く多く練れるようになる事。祐斗は状況にあった魔剣の素早い具現。小猫はパワー任せな所があるから素早さと気配察知の向上。朱乃は祐斗と同じ素早く状況にあった魔法を展開させる訓練。一誠は魔法の修得と基礎訓練による身体能力の向上。アーシアは魔法の習得と体力の向上。せめて身を守る術は覚えて頂戴。白野は光力と仙術の訓練。ただし組み手のときは光力は使用しないこと。仙術も大怪我させない範囲でお願いね」

 

 リアス先輩が全員がしっかりと頷くのを確認したあと、握り拳を掲げる。

 

「さて、それじゃあ今日は食事を摂ってさっそく基礎訓練よ!」

 

 全員が『おおー!』と声を上げて準備に取り掛かる。こうして自分達の合宿が始まった。

 




と言うわけで原作と訓練の内容が違います。いやだって、原作はなんか無駄が多かった気がするんですもん。


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