大西洋連邦が、中立国家であったオーブ連合首長国への侵攻を開始した。このような戦端が開かれた原因は、大西洋連邦が出した以下の声明にある。
──オーブ連合首長国は、地球の国家のひとつでありながら、地球連合に組する姿勢を見せない。
たったこれだけの言葉を、言いがかりと糾弾した者は多いだろう。オーブは確かにコーディネイターを受け入れる数少ない国であり、それゆえに〝プラント〟とも一定の協定関係を保っていたが、かと云ってすっかり肩入れをしていたわけでもない。
そもそも、オーブの本質は中立である。
平和主義だが、非武装ではない。孤立主義だが、だからこそ自助努力を忘れない。地球連合とも〝プラント〟ととも一定の誼を結んでいたのは、その理念の特異性のためと云っていい。
だがいずれにせよ、大西洋連邦は、そういったオーブの在り方が気に入らなかったらしい。
火種は以前からあった。ハウメア山の地熱発電を軸に工業化を推し進めてきたオーブは、コーディネイターの移住──それに伴う彼らによる国内労働──を認めることによって、結果的に高い技術力を得た。そこから生み出される経済力を背景として、小国ながらに無視できない強大な軍事力を保有する国家ともなっていったのだ。
このことが、地球連合にとって愉快ではないのは明らかだった。だからこそマスドライバーの接収は、いわば侵略の口火としては絶好の口実でもあったのだろう。
そうして、実際に侵攻を開始した連合軍戦力の基盤は、おおむね
オーブは島国であることから上陸戦が繰り広げられ、侵攻するに差し当たって機動力のなさすぎる〝エクソリア〟等の大型モビルスーツは、今回ばかりは実戦投入が見送られていた。
しかし、だからと云って、絶対的な脅威が減ったわけではない。
地球連合は多くの〝ダガー〟の他、前期GATシリーズの開発・運用データを基に様々な性能を特化させた新型モビルスーツ部隊──通称「後期GATシリーズ」──を、オーブ解放戦線へと投入したのである。
GAT-X131〝カラミティ〟──
遠距離砲撃に特化したバスターの後継機。大火力砲を多数装備し、後方支援役として活躍。豊富な武装量に対し、徹底した機体の軽量化が図られている。
GAT-X235〝フォビドゥン〟
特殊兵装を搭載したブリッツの発展機。位相転移装甲とビーム偏屈装置を併用し、実弾・エネルギー兵器を問わない鉄壁の防御力を誇る。
GAT-X370〝レイダー〟
可変機構を実装したイージスの踏襲機。対MS戦を想定して開発され、変形による高機動を活かした強襲戦闘を得意とする。
これら新型のモビルスーツには、大西洋連邦が独自の研究で生み出した生体CPU、ブーステッドマンの少年が搭乗した。彼らの活躍は、いっとき防衛に徹したオーブ軍を徹底的に苦しめることとなる。
オーブが誇っていた悠久の平和は、ついに破られた。地球連合とオーブ──地上国家同士が争い合う、血みどろの解放戦線が始まったのであった。
漆黒の機生獣〝リジェネレイト〟を撃退することに成功したステラとラクスは、ラクスが控えさせていたクライン派の友人ら、マーチン・ダコスタらの無事を確認するため、機体ごと〝プラント〟まで戻っていた。
荒廃した土地、爆撃で灼け崩れた大屋敷。
変わり果てた邸宅の前まで戻ると、ステラ達はそこで、ダコスタと合流することができた。彼らの中では殆どの人員が無事だったようだが、特殊部隊に用いられた催涙ガスや重火器等の手痛い逆撃を被り、重症の者も中にはいた。ダコスタもまた負傷者のひとりであり、バズーカの衝撃に吹き飛ばされたのち、右腕を大きく火傷しているようだった。
「ラクス様!? 本当に良かった!」
だが、みずから怪我などどこ吹く風と云った様子で、赤髪の彼はラクスへと真っ先に駆け寄ってきた。頭を地に付けるような勢いで、その頭をラクスに下げる。
「申し訳ありませんでした! 我々がついていながら、このようなことに……!」
深々と謝られたラクスであるが、彼女もまた迂闊だったと反省を口にし、彼らには労いと相応の感謝を述べて返していた。元より、無理を承知で彼らを連れ出したのは彼女の方だったようでもある。
そうしてラクスとひと通りの会釈を済ませた後、ダコスタはその足をステラに向けた。先にラクスに見せたものと同様、心からの謝意を以て深々と頭を下げてくる。
「本当に面目次第もなかった。きみには、感謝の念でいっぱいだ」
「ん」
謝られたステラの方は困惑を露わにしたが、彼女はラクスと違って、こういうときに優しくなかった。悲しいことに、彼女の感覚はどこまでも兵士的だった。
「……護衛なら、護衛の仕事くらいちゃんとして。だって護衛でしょ……?」
可愛げのない物言いであったが、ステラとしては云わずにはいられなかった。自分がいなければ、今ごろラクスは間違いなく殺されていた──それを恩着せがましい物言いだと云わせない程度には、護衛を務めたダコスタ達は役に立たなかったからだ。
今、ステラの目の前で臨時の応急キャンプを作って、思い思いに傷を癒しているラクスの護衛達。俗に云うクライン派とやらが全体でどれほどの規模なのか、ステラは知らない。知らないが、仮にも正規軍を敵に回すのにモビルスーツ程度も用意できないのなら──ラクスにどれだけ可愛い顔で〝無茶なお願い〟をせがまれたとしても──そもそも彼女を外出させるべきではなかったし、それでラクスが止まらないなら羽交い締めにしてでも止めさせるのが、本来の護衛の役割であるはずなのだ。
「耳が痛いな」
「わかったなら、きっと次はだいじょうぶ」
「次なんて、ない方がいいさ」
「それは、そうだね」
不器用なりに、ステラは会話を終えてやる。
ダコスタから視線を外し、今度は真っ直ぐに、ラクスの方を見据えた。
「……これから、どうするの?」
委ねるように、ステラはラクスへと訊ねた。
ステラはザフトより〝クレイドル〟を授かった身でありながら、刺客として派遣されたザフトの特殊部隊を撃退した。全滅させていればともかく、アッシュという隊長格を取り逃したこともあって、今回のステラの独断は明確な背信行為としてザフトに一報されることになるだろう。
けれど、このときのステラの中には反省や後悔はなかったし、それどころか今、彼女にしては珍しく少女っぽい──子供っぽい──反抗心が芽生えていたのは事実である。
ラクスを無罪にしてくれる──確かに父はそう云った。いま考えれば虫が良すぎる話だし、当のラクスは最初から気付いていた風であったが、少なくともステラは信じていたのだ。それを先に裏切るような真似をして、自分への背信を先に働いたのは父の方だ。まさかステラを騙し、特殊部隊を人知れず尾行させていたなんて──。
いずれにせよ、父を裏切った立場にある以上、ステラは自分が何をどうして行けば良いのか、それを把握することができなかったのである。
「わたくし達はふたたび地下に潜って、多くの人に呼びかけます。この無益な戦争を止める術は、他にないのかと──」
云われ、ステラはハッとする。
そうなのだ──ラクス・クラインは結局、直接的に戦う力など持たない。平和の歌姫として、彼女がやることはいつだって種を撒くことだ。思考の種──と云ってもいい。
──戦争において、何が善で、何が悪なのか?
これを考えることを放棄した人間は、妄信に憑りつかれるままに、己と異なる信念を持つ者を滅ぼす道を選ぶだろう。それは実に一方的で、排他的な武断思想。今のパトリックやアスランを見てきたステラによく分かるものでもある。
「今の〝プラント〟は最早、完全に貴方の御父上の手の内にあります。──政策も、思想も」
保守派のトップであったクラインが〝プラント〟から失脚した今、ザラ派のトップであるパトリックは必然的に〝プラント〟の独裁者となった。
そうして彼の叫んだ『ナチュラル殲滅』の煽り文句のまま、アスランを筆頭とするザフトの義勇兵達──ひいては〝プラント〟国民すべてが思考放棄に陥れば、このさき〝プラント〟は破滅の道を突き進むことになるだろう。
「貴方の御父上の言葉には、多大なる影響力があります。求心力があります。多くの兵は民は、盲目的に彼を信じ──彼の思想こそが己の思想と同じなのだと……
ラクスは、彼らに疑問を投げかける気でいる。本当にナチュラルを滅ぼすことだけが正義なのか──人々が考えることを止めてしまう前に、世の中に訴えかけて行こうとしているのだ。しかし──
「でも。それを伝えるだけで、みんなは本当に変わるのかな」
ステラは純粋な顔で問うていた。ラクスがこれからやろうとしていることは、確かに良いことなのかもしれない。正しいことなのかも知れない。
──でも、それはあんまりにも
不思議とステラは、そう感じた。
「何が間違ってて、何が正しいかなんて、みんな分からないんだよ。それはステラも同じ……だから、人の言葉を聞くの。人に頼ろうとするの」
だからこそ民衆は、パトリック・ザラの言葉を信じる。あるいは穏健派のトップであった、シーゲル・クラインの言葉を信じた。そして、その中にはラクス・クラインの言葉を借りる者も現われるはずだ。
「みんながあの人を信じ切っているから、他の誰かが『他に道がある』ってことを、みんなに伝えなきゃいけないんだ──アスランにも……」
ただ批判するだけの虚しさを、人は知らなければならない。間違いを指摘するだけの愚かさを。
──間違いを喚き立てるのではなく、間違いに答えを示すこと。
たとえそれが、正解でなくても良い。しかし、それを行うには、曲がりなりにも資格が必要だ。確固たる発言力を持った人間が発信しなければ、たとえどんなに正しい意見も意味を持たない。
「
「わたくしがシーゲル・クラインの娘である以上、わたくしの答えを口にすれば、それが正解だとおっしゃる方も現れます。それではきっと、意味がないのです」
ラクスは、渋ったように続けた。
「ですからわたくしは、誘導はいたしません。ただ種を蒔くだけです、後はひとりひとりが芽吹き、葉を育て、花を開かせる」
「きっと、リーダーになれるのに」
「それは人身御供です。そういうものではありませんか?」
ラクスは渋面で返す。
彼女は、たとえ自分が居なくても人々が自発的に立ち上がる世界を見据えている。それは先を見据えたものであることは確かだが、しかし、同時にいささか遠すぎる話のように、このときのステラには思えた。
「でも、種が蒔かれた後にはね、水が。光が。栄養が必要だよ。何も与えず花開けなんて云ったって」
「──残酷、と?」
「成長するのに必要なものを与えることも、種を蒔いた人の責任だから」
「……」
「みんなを迷子にさせるくらいなら、ちゃんと導いてあげようよ」
傍らのダコスタは、唖然としたという。あのラクス・クラインが、このときばかりは返す言葉を失っていたというのだから。
──彼女は、いったい何者なんだ……?
兵士としての能力は──ザフトの特殊部隊をたったひとりで退けたのだ、もはや言及するまでもないだろうが──勿論、傍から見ても無垢にしか見えない少女。おおよそ論理的な人間とは程遠いはずなのに、その目は無垢で純朴であるがゆえに、本質を決して見逃さない目を光らせていた。
「随分と、お変わりになりましたのね……」
ラクスは改めて、目の前の少女の変貌に舌を巻いた。精神性において、一回り、二回りも飛躍的な成長を遂げた彼女を前にして、けれどステラの方こそ、ラクスにだけはそれを云われたくないと思ってしまった。
「ではすこしだけ、貴方に指示を出すことにしましょう」
ラクスは、決して誘導はしない。他者に対して求めることをしない。
だがステラに云われ、初めて彼女は、みずからの意志を口に出すのだった。
「──〝
ラクスが云い、唐突な言葉に、ステラはびくりと震える。
「……いえ、キラは地球へ向かいました。今は、オーブにいらっしゃいます」
ステラは虚を突かれていた。命を懸けたアッシュとの死闘を挟んで、今まですっかり忘れてしまっていた──あの〝フリーダム〟のパイロットが、キラ・ヤマトだという話を。もっともステラはいまだに信じられないし、どちらかと云えば思い出したい話題でもなかったが。
「貴方と同じく、新たな剣を携えたキラ・ヤマト──彼ともお話されてきたらいかがですか?
おともだち──?
云われ、ステラは混乱する。いや、違う。確かにそうだ──確かにキラ・ヤマトは、ステラにとって友人だ。大切な幼馴染だ。
──でも〝フリーダム〟のパイロットは、そうじゃない……。
──だってステラは、そいつのことなんて知らない……。
反射的に否定しようとしたステラであるが、そんな彼女とて、キラ・ヤマトという人物がモビルスーツを操縦できてしまうことを知っている。ただ操縦できるだけでなく、その上で人よりも上手く
「……」
ステラには分からないことが多すぎる。
──どうしてキラは、あんなにも強かったの?
──どうしてキラは、あの〝フリーダム〟なんかに乗ってるの?
──どうしてキラは、戦争なんか嫌だって云いながら、また戦場に戻ってきたの?
結局のところ、ステラは友人であるはずのキラ・ヤマトについて、このときは何ひとつ真意を知らないままだったのだ。
「
「……オーブへ?」
「はい。そこがきっと、貴方がいま向かうべき場所だから」
オーブ。名前は以前も聞いたことがある──それは国の名であり、以前アスラン達と一緒に潜入したことがあったはずだ。ステラにとって最も印象的だったのは、そのオーブという国が、シン・アスカの暮らしている故郷だったということだったが。
それからステラはラクスと別れ、今は〝クレイドル〟のコクピッドに坐していた。
闇に輝く星の海を抜け、真っ直ぐに地球への航路に立つ。たしか、オーブは赤道付近に位置してはずだ、ステラは機体を大気圏の降下ポイントまで転進させた後、独自に突入準備をはじめていた。
驚くべきことに〝クレイドル〟は、モビルスーツでありながら、それ単機で大気圏突入が可能なほどのスペックを持っていた。在来機では考えられなかったことであるが、さして意外に思えなかったのは何故だろうと考えたとき、アラスカで〝フリーダム〟と〝ジャスティス〟が、それぞれに宇宙から現れたのを見たことがあったからだ。
宇宙から見たオーブは、火山性の列島がさながら王冠のような環状円を描いて見えた。あそこに、今はキラがいる。
──おともだちに会いに行く。
ステラの目的は、言葉にすると簡単だった。けれど、現実的には問題がいくつもあった。それは当然に〝フリーダム〟という障害がキラ個人との間に存在していることもあるが、当面の問題はオーブへの入国審査だろうか。
ステラがザフト軍籍のモビルスーツを携えている以上、今のステラがすんなりとオーブに入国できるとは思えない。ラクスの話では、すでに〝フリーダム〟と〝アークエンジェル〟はオーブ国内に避難しているとのことだったが、これを愚直に追いかけたのでは、オーブ国軍という無用の『敵』を作ることになりかねない。いや──
なにより
精神的に無理もないことであるが、ステラにとって〝フリーダム〟は『敵』でしかないのだ。目的も明かさぬまま戦場に舞い降りて、誰彼構わず一方的に被害を加えて回った超然とした〝死の天使〟──ステラにとって、混沌とした恐怖の象徴だ。挑んでは蹴り飛ばされた記憶、仲間を奪われた記憶。そして──
──アイツの刃に、その身を灼かれた記憶……。
あれらはすべて、ステラのよく知るキラの行動だったのか? 仮に今のキラにそのことを訊ねたとしても、ステラの求める答えなど絶対に返って来ないだろう。しかし、それでもいい。
(キラがいま、何を思ってるのか)
他ならぬステラには、それを確かめる権利と意味があった。少なくとも、過去の因果に決着を付ける切欠になるかも知れないのは事実だった。
そうして大気圏を突入した〝クレイドル〟は、白色の美しい雲霞を突き破り、赤道直下に位置する南海洋上に舞い降りた。オーブ連合首長国の領海に隣接する接続水域である。
「────!?」
接続水域に舞い降りたステラは、そこで想定外の──想像を絶する光景を目の当たりにした。見慣れた海、彼女が好きだった海が、どういうわけか黒色に染まっていたのだ。
いや、正確には海が黒いのではない。
(地球連合軍艦隊!? どうして……!)
海上を覆っていたのは、地球連合が所有する水上艦艇だ。ステラはその艦影に見憶えがあった──彼女自身も乗艦したことのあるタラワ級強襲揚陸艦。モビルスーツを運搬する機能を持った、れっきとした軍用戦艦だ。
──何故こんなものが、オーブの海を埋め尽くしている?
疑念に駆られたステラは次に、オーブ領海内の方角へ視線を投げかける。するとやはり、そちらにはオーブ国軍の艦隊が広く展開していた。それはまるで両陣営の艦隊が、相互に睨み合っているという風だった。
そのときである。時刻が九時を指し、地球軍艦隊から無数の巡航ミサイルが打ち上げられた。高々と空へ舞い上がったミサイルは、空を駆ける猛禽のようにオーブ領土へと向かう。オーブ護衛艦は、これを狙い撃つようにして迎撃を開始し、対空砲火の火線が上空を切り刻んだ。一拍置いて、地球軍揚陸艇から無数の戦闘機やモビルアーマーが発進、対するオーブは地上に配備したM1〝アストレイ〟による防衛部隊を出動させた。
唖然とするステラの目下で、国家同士による開戦の火蓋が切って披かれたのだ。
「戦争をしてるのか……!?」
凝然とするステラの脳裏に、オーブ国内の平和な景色が蘇る。豊かな街並み、笑いながら自分の脇を通り過ぎてゆく人々の活気に溢れる笑顔。戦争など無縁の、何の憂いもない穏やかな人々の表情──
あれだけの平和を維持していたオーブで、どうして戦争が……?
唖然とするステラの耳に、やがてアラートが鳴り響く。地球軍艦隊が彼女の存在に気付いたらしく、巡航ミサイルを〝クレイドル〟に撃ち放ってきたのだ。我を取り戻したステラは即座に迎撃を行い、迫り来るミサイル群を全て叩き落す。ホッとする間もなく、それによって完全にこちらを敵性存在と看做した地球軍艦隊から激しい火線が飛んできた。
(オーブには、シンがいるのに……!)
地球軍とオーブが戦争する。ナチュラルとナチュラルが殺し合う。そういったこの状況が、どうした経緯から生まれたものなのかはステラには分からない。分からないが、現実にオーブが戦場になっているということは、その国で暮らしている国民は──?
『そこがきっと、貴方がいま向かうべき場所だから』
ラクスの言葉が脳裏に蘇る。彼女は、この現実さえ見越していたのか──だとすれば、ステラが今やるべきことは……。
そうしてステラは、機体のスロットルに手を掛けた。いま優先すべきことは、決して〝フリーダム〟と決着をつけることではない──何よりも先に、オーブの人民を『まもる』ことだ。
──どうして忘れていたのだろう?
元よりステラが戦う理由は、初めから変わっていない。ステラにとって、大切な人達を『まもる』ため──それこそが、今の彼女が戦う目的だ。
「まだ、消えちゃいけない命だってある!」
そうして〝クレイドル〟は、オーブ解放戦線に参入していった。