私が菊月(偽)だ。   作:ディム

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Hey!みんな元気で艦これやってる!?
こんばんはーっ!

結局間に合わなかったけど筆者は元気だよ!SHIT!

さて、今回のアップデートでも菊月にホワイトデー追加ボイスは無かったわけだけど……うん、悲しいね。悔しいね。

でも、そこで諦めていいのか?
―――否、断じて否である。

真の菊月好きはホワイトデーイベントすら創造するっ!!
これが私の、菊月愛だーーーっ!!!

菊月(偽)のホワイトデー(偽)だっ、くらってくたばれっ!!!!


特に時系列とか関係のないホワイトデー短編

目標は困難、しかし立ち止まるわけにはいかない。

既に準備は終えた、あとは『奴』を攻略するのみ。目標は――厨房にいる。

 

全霊の力を込めて、ばん、とドアを押し開け――ようとしたが、菊月()の力では片手で開けれなかった。仕方なく両手でドアノブを掴みうんしょと押し開ける。

 

「あら、菊月さんですか?一体どうし――」

 

「……間宮さんっ!……私に料理を……、『お菓子作り』を教えてくれっ!!」

 

 

菊月()の拙い言葉で説明すること数分、ようやく間宮さんに事の次第を説明しきることができた。ドアを開ける際に出ばなを挫かれたから、どうなることかと思っていたが心配は無用のようだ。

 

「はあ。それで、要するに菊月さんは『ホワイトデーにあげるお菓子を作りたいから手伝ってほしい』ということで間違いないですね?」

 

「……うむ。問題ない」

 

「それは分かりましたけど……正直、意外ですね。というか、菊月さんってバレンタインに鎮守府に居ましたっけ?」

 

「……そうだな、私も覚えておらぬ。だが、気持ちを渡すのに貰ったかどうかなど関係ないだろう……」

 

へえ、と言いたげな優しげな目線を俺に向けてくる間宮さん。菊月が可愛いのは分かる。が、俺には時間がないのだ。無論サプライズ、間宮さん以外に知られてもアウトだ。仕方ない、少し早いが奥の手を使う……!

 

「……いや、おかしいかもしれないな。卯月や三日月ならともかく、私に菓子作りなど似合わぬだろう……?すんっ、いや、忘れてくれ」

 

菊月()の身長が低いことを生かした『上目遣い』+『しょんぼりした仕草』+『捨てられた子犬のような表情』のコンボ。ついでに嘘泣きもセットで使う。効果は……説明する必要もない。なぜなら身を以て知っているからだ。

 

「……!?へ、あ、いやっ!そんなことはないですよっ!むしろ今の菊月さんの可愛らしさに絶句を……!って違います!お菓子作りの教導ですね、この『間宮』に任せてくださいっ!!」

 

ハートに直撃(critical!)。予想通り、いくら間宮さんといえど菊月の魅力の前には鎧袖一触である。

 

こうして、菊月()はお菓子作りへの第一歩を踏み出した。

 

―――――――――――――――――――――――

 

「はいっ!それでは、お菓子作りを一緒にはじめて行きましょう!」

 

「……うむ、よろしく頼む……!」

 

現在、菊月()と間宮さんは食堂の裏側の厨房にいる。普段は間宮さんが一人で切り盛りしているここに足を踏み入れたのは初めてだ。菊月()の姿はエプロンと三角巾、鏡で確認したがなんとも愛らしい菊月だった。そして同じく間宮さんもエプロン姿、こちらはやはり堂に入っている。

 

「さて、菊月さん。まず初めに聞きますが、何を作りたいのです?」

 

「……そうだな。定番のチョコレート、あとは……うむ、バームクーヘンだ……」

 

「ふふ、可愛らしいですね。でも、珍しいです。チョコレートはともかく、なぜバームクーヘンを?」

 

間宮さんの問いに一瞬だけ逡巡する。しかしまあ答えたところで減るものでも無い、少々恥ずかしいが白状するとしよう。

 

「……その、だな。……わ、私が好きだからだ……。おかしいか……?」

 

「ぐうっ、いえ、可愛らしいですね……!!」

 

一撃で轟沈する間宮さん。気持ちはわかる、『俺』も同じだからだ。

 

「ん、こほん。気を取り直して、チョコレートの方は簡単ですので後でささっと作ってしまいましょう。まずはバームクーヘンから、ですね」

 

「……ああ、よろしく頼む」

 

返事をして、厨房を見回す。目の前には間宮さんが事前に用意してくれていた材料がある。何かの粉やミルク、卵、バターetc。どれも菊月()にはあまり馴染みの無いものだ。

 

「はい、まずは材料を全部混ぜちゃいます。バターは私が溶かしておきますので、菊月さんは卵を割ってください」

 

「……了解した。菊月、全力で―――」

 

ばきぃっ、と音を立ててボウルのふちにぶつけた卵が砕け散る。ぐ、と堪えてもう一度試す。

こんこん、こんこん、ぐしゃぁっ。

 

「……済まない、間宮さん。任務は失敗のようだ……」

 

菊月()の小さな手が卵まみれになってしまった。それを我慢して間宮さんへ報告すれば、彼女は苦笑いしながら俺へと次なる指令を下す。

 

「うーん、そうですね。なら、菊月さんはそこのホットケーキミックスとミルクを混ぜ合わせてくれませんか?」

 

「……了解した。これならば、見事こなして見せる……っ!」

 

「あ、それと菊月さん。電動泡だて器はあまり力を入れすぎると――」

 

ボウルの中に電動泡だて器をぐいっと突っ込む、同時に跳ね上がるミルクと粉。菊月()俺の顔面に、エプロンに、服に容赦なく飛び散ってゆく。

 

「――中身がはねますよ、って」

 

時既に遅し、菊月()の小さな手からこぼれた鉄製のボウルがからん、と音を奏でる。

 

「………ぐすっ、ひっく……すんっ」

 

「って、き、菊月さんっ!?ああもう可愛いですけど泣き止んでくださいっ!!」

 

それから菊月()が落ち着き改めてお菓子作りを開始するまで、俺は間宮さんにあやされ続けた。

 

―――――――――――――――――――――――

 

そして、当日。菊月()は間宮さん直伝レシピにて作成したバームクーヘンを腕一杯にかかえて廊下を走っていた。時間がない、急がねば。

 

「む、あれは菊月ぴょん?おーい、菊月――」

 

「菊月か。うん?その大荷物はなんだ?」

 

「お菓子、ですか?わぁ、チョコレートにバームクーヘン!」

 

「あらあら、珍しいわね?」

 

「……む、いいところに居たな卯月。……みんなも一緒か、ちょうどいい。……その、ハッピーホワイトデーだ。……手作りだ、よく味わうがいい……」

 

廊下でばったりと出くわした姉妹たちに、それぞれ包装されたチョコとバームクーヘンを手渡す。なにやら皆一様にぽかんと呆けているが、気にしている時間がないのだ。

 

「……その、だな。改めて言うのも恥ずかしいが……よろしく、たのむ」

 

姉妹たちにすらめったに見せない満面の笑みでそう告げれば、間を抜けて俺は走り出す。川内教官たち、天龍たち、遠征や任務で組んだことのあるほかの艦娘達。渡すべき相手はたくさんいるのだ、と一つ頷く。

 

一人一人に出来る限りの笑顔と共に手渡していたら、結局相当遅い時間になってしまった。それでも後悔はしていない、足取り軽く自室へ帰りベッドに潜り込む。

 

――後日。駆逐艦を除いたホワイトデーのプレゼントをあげた艦娘のほとんどに、満面の笑みで頭を撫でられたり褒められたり、感極まった神通教官などには思い切り抱きしめられたりしたことをここに記しておくことにする。

 

 




はい、本編のドシリアスぶち壊しの短編でした。
時系列とか関係ないから三日月とかとも喧嘩してないよ。

前書きについては勘弁してやってください。

そして、これは本来3/14に投稿するものですので15日の更新分じゃありません。
今日も本編を書きますです。

それでは、よい菊月ライフを!

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