私が菊月(偽)だ。   作:ディム

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とってもフェティィィィィィッシュ!!!!

最近は真っ向から菊月愛を叫ぶ事が減っていたのでね。
つい本気を出してしまった。


番外編!海の日なんだから海と菊月(偽)、まさかの前編!

ぎらぎらと照りつける太陽が灼熱の光を落とし、それを反射した青い海がきらきらと輝く。海はいつも見ているものよりも遥かに澄んでいて、吹き付ける甘い潮風がテントを軍旗を撫で――

 

「うーー!!」

 

「みぃーーーっ!!!」

 

「だぁぁぁぁぁぁぁあっぴょん!!」

 

――絶叫に近い歓声を上げた水着姿の艦娘達が、砂浜の白い砂を蹴り立て。パーカーやTシャツ、日除けに被っていた衣服を全て乱雑に脱ぎ捨て。我先に、一目散に海へと駆け出した。

 

「……ふぅ」

 

見渡す限り人、人、人。いや、正確には提督を除いた全てが艦娘なのだが、ともかく何処もかしこも全て水着姿の艦娘で溢れたプライベートビーチ。右を見れば、艶かしい肢体を小さな布切れに押し込んだ戦艦や空母がビーチバレーに熱中し、左を見れば健やかで可愛らしい駆逐艦達が水際を走り回り、水を掛け合っている。

 

――そう。菊月()達鎮守府のメンバーは、海に来ていたのだった。

 

「…………それにしても。誰も彼も元気なものだ……」

 

朝早い時分から全員でバスに乗り、海へと出てきて早数時間。日は既に高く、ちょうど日差しが一番強くなる時間だ。午前中は一人釣りを楽しんでいた菊月()は、今は唯一の日陰であるテントの中に座り込み海岸を一望している。岩場で阻まれたそれなりに広いビーチ、そこに止まった何台かの物々しいトラック。それらを除けば、正に楽園と言って差し支えない光景が広がっていた。

 

「……しかし、ふむ……」

 

そして、楽園と言うならばそれに相応しいものが一つ。そう、菊月()である。正確には『菊月』の身体で、もっと正確に言えば『俺』が本能のままに見繕ったビーチサイド服を身に纏った『菊月』の身体なのだが。

 

――そう、今の菊月()の服は、『俺』が手ずからチョイスしたもの。全霊を込めて選んだ、珠玉の逸品揃いだ。此の所抑え気味だった『俺』の菊月への愛とフェティッシュを存分に詰め込み、完成させた一つの極致。なお、『菊月』には、半ば拝み倒すように許可を貰った。赤面した菊月のイメージが浮かんだことすら『俺』にとってはご褒美だったという事を付記しておく。

 

ともかく、菊月()の姿だ。

まず、水着の上に着ているのは半袖・ヘソ出しの小さな白い薄手のパーカー、それの前ジッパーを閉じている。ジッパーを閉じることで水着と肌を隠し、秘めた妖しさを演出し、腕はお腹の前のポケットに突っ込み、気だるさを醸し出す。そして何より、腕をポケットに突っ込んでパーカーを伸びさせることで菊月の小ぶりな、それでいて形の良い(バスト)を慎ましやかに強調させるという離れ業を成功させた。

フードはパーカーについているが、それとは別に黒い野球帽のようなキャップを被る。キャップには、『睦月型九番艦』と刺繍がしてある特製だ。白いパーカーと髪色、それと黒いキャップのコントラストがさっぱりとした印象を与えてくれるだろう。キャップ自体が、『菊月』のボーイッシュな見た目にばっちりだという理由もある。

そしてボトムスは、デニム生地のホットパンツ。そう、ホットパンツだ。菊月のすらりとした、透き通るような白い脚を惜しげもなく晒し、なおかつ小振りな尻の可愛らしさをこれでもかと強調している。極彩色のビーチサンダルと合わせれば、下半身だけで菊月の魅力と魔力を十二分に伝えられるだろう。

インナーとして着ている水着こそ三日月が選んだものだが、今ではそれすらも一つの要素。『菊月』を輝かせるための要因となった。

 

「…………ふむ」

 

何度も繰り返した動作をもう一度。菊月()が休憩しているテントに備え付けられた、全身を映せるサイズの鏡を覗き込み――

 

「……っ!?ぐ、がふっ……」

 

轟沈。あっけなく『俺』は参ってしまい、シートの上にへたり込んだ。そのまま呆然。女の子座りでへたり込む菊月の姿に、更に追い討ちを受ける。菊月(天使)のあまりの可愛らしさに言葉を失っていると、視界の端、遠くにピンク色の髪をした姿が映る。

 

「お〜〜〜い、菊月ぃ〜〜っ!!なにしてるっぴょぉ〜〜ん!!」

 

声に振り向く。

視線の先、全身から塩水を滴らせながら此方に手を振るのは卯月。髪色と同じ鮮やかなピンクのビキニに肢体を押し込んでいる。本人の笑顔と快活さも相まって、健康美を真っ先に感じさせる出で立ちだ。そして、その卯月は菊月()を太陽の下へと引き摺り出そうと全力で引っ張ってくる。

 

「……見れば分かるだろう。休憩だ……」

 

「休憩って、菊月ずっと遊んでないぴょん!ほら、そんなんじゃ駄目っぴょん!!」

 

「ええい、別に構わないだろう……!」

 

「――あら、卯月ちゃん?無理やり引っ張っちゃ駄目よ。服が伸びちゃうわ?」

 

そんな菊月()と卯月の間に入ってきたのは、同じくビキニを身に付けた如月。同じ出で立ちとは言っても、此方は卯月よりも遥かに妖艶な美しさをしている。先程も提督の腕にしがみ付き、じゃれながら誘惑していたのを見た。

 

「えー。そうは言っても、うーちゃんはみんなで遊びたいぴょん!ほら、あっちで三日月と長月も待ってるぴょん」

 

指を指す卯月、その先に視線を遣ると――確かに、ビーチボールを抱えながら此方へ歩いてくる二人の姿。片方は三日月、片方は長月。どちらも、自分の髪色と同じ色をしたフリル付きチューブトップの水着を着ている。

 

「ほら。菊月もみんなで遊ぶっぴょん。次の変則ビーチバレーは敵が一航戦と大和武蔵だから、ちょっとでも戦力が要るっぴょん、ほらっ!」

 

そう言って、ぐいぐいと菊月()の半袖パーカーの裾を引っ張る卯月。自分でも分かる胡乱げな表情の顔を動かせば、確かに遠くのバレーコートでは戦艦と正規空母がその馬鹿力を存分に振るっているようだ。武蔵のアタックで、天龍と龍田、そして六駆の面々が纏めて吹き飛ばされるのが見える。残った吹雪型の表情が面白い。

 

「……はぁ、仕方がない。私が加わったところで、どうなるとも知れぬがな……」

 

「おお、やってくれるぴょん?なら、準備するっぴょん!」

 

「……出来れば、脱ぎたくは無かったのだがな……」

 

小さくつぶやき、『俺』厳選の短いパーカーとホットパンツを――泣く泣く――脱ぎ捨てる。そこから現れたのは、

 

「……っ、恥ずかしい……!」

 

ビキニタイプの水着。しかし、卯月や如月のそれとは違い菊月()が着ているのはホルターネックタイプのもの。三日月が選んだこの水着は、菊月()によく似合っている。『菊月』こそ恥ずかしがっているが、『俺』に満ちるのは歓喜だ。がらんと空いた背中が、潮風に吹かれすっと涼しさを感じる。

 

「大丈夫よ、菊月ちゃん。よく似合っているわ?ほら、行きましょう」

 

「そうぴょん。だいたい、菊月はアイドルとかやってるのに今更ぴょん。菊月が可愛いのは、うーちゃんが保証するぴょん」

 

如月と卯月に手を引かれ、日差しの下へ。照りつける強い日差しが、何故だか心地よく思えたのだった。




海の日特別編がまさかの続くという事態に。

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