日曜日、ダイチとの約束で僕は隣のクラスのカナさんと遊園地に来ていた。
「うわぁ~ニシヤマ君、ナグモ君いっぱい乗り物があるよ!!」
「うぉぉ!!まわりきれるかなぁ!!」
「ダイチ、テンションが…」
ダイチは小声で、
「あったりめぇーだろ、カナちゃんだぜ、カ・ナ・ちゃん、これがテンションあがらずにいられますか~」
「はいはい」
しかし、カナさんの体臭ってなんていうか普通じゃない……クセのある匂い?食べ物に例えるとブルーチーズとか?
「!!いけないいけない、食べ物に例えるな」
「どうした、ソラ?」
「いや、何でもない」
あのカナ?って子、クセのある体臭だな、ありゃ肉の好みで好き嫌いか
「!!」
久しぶりにあの
それよりもさ、あのダイチっての喰おうぜ。
「…………」
僕は無視することにしたのだった。
その後、僕とダイチとカナさんは遊園地を一回りし昼時になるとフードコートで昼食をとっていたのである。
今日は朝にいつもの倍以上の肉を接種して昼は普通の食事を食べていた。
「ニシヤマ君とナグモ君ってそんなに仲いいんだ」
「そんなに仲いいのかな、ソラ?」
「そうなんじゃない?」
僕が空腹で狂った時もお前だけは普通に接してくれたよな。
「なんか羨ましぃな、そうゆう友達……私はなんかさ、まわりの女子からは男子に色目使ってるとか、ヤリマンとか」
「………」
「………」
「ま、経験はおろか、高校になってから誰かと付き合ったことないけどね、処女でーす」
「………」
「………」
カナさんって以外とドライなんだな。
「………でも、俺も童t」
「ダイチ、シャラップ」
「はい、すいません」
「まってウケる!!ふたり超絶息ぴったりじゃない?」
「まぁな、ソラ」
「毎日のように遊んでるもんな」
その後も僕たちは遊園地を回りあっという間に辺りも暗くなったのだった。
「ふたりともそろそろ帰る?」
「ソラ、夕飯はどうする?」
「夕飯か……と、その前にトイレ行ってくるわ」
最後に僕がいなくなりダイチとカナさんをふたりきりにさせる約束だ、頑張れよ、ダイチ。
「あのさ、カナちゃん……」
「どうしたの?」
「俺さ今日1日カナちゃんと遊んですげぇ楽しかった」
「……うん、私も楽しかったです」
「……でな、俺な…………入学した時から……………カナちゃんのことが………」
「………」
「……す………」
その時
「きゃ!!」
カナの身体が何者かに片手で持ち上げられたのだ。
「カナちゃん!?」
「……この匂い、珍味だ、うまそーだ!!」
カナを掴んだ男の目は白目が黒く瞳孔が紅く変化したのである……そう、赫眼へと……
「こんなとこで俺の大好きな珍味に会えるとは……この臭みがたまらねぇんだよな、もう、我慢できねぇ頂こう!!」
その時
「離しやがれ!!」
ダイチはカナを救おうと
「あん?邪魔なんだよ」
ダイチはもう片方の手で顔面を捕まれ腹に膝けりをくらった。
「がっ……」
「ニシヤマ君!!」
ダイチは地面に転がり意識はあったものの動けない状態だった。
「カナ……ちゃん……」
「おうおう、可愛そうに、それじゃ遠慮なく喰うか」
「やめて!!」
「やめませーん!!」
「俺の大切な人に手を出すなぁぁぁ!!」
ダイチは力を振り絞りもう一度飛びかかったのだ。
「君さ飛びかかる力も残ってないじゃない」
ダイチは力及ばず再びその場に転がったのである。
「てか、マジでお前邪魔……………死ねよ」
そして、
「………」
「ニシヤマ君!!」
その時
「は?」
「なんだ?」
その銃弾を撃ったのは眼帯のマスクを装着したソラだった。
どうすれば、この銃であいつに抵抗することはできるのか…
「……
僕は
「んなもんきかねぇんだよ、指名手配中の
「うぷっ……」
「ほらよ!!」
「弱々しいな、ほんとに捜査官か?……まぁいい、さてとこっちの女を頂くか…」
「まずは腕から味見だ」
「いやぁぁぁぁぁ!!」
「!!カナちゃん、やめてくれ……」
「なんとか……しなくちゃ」
どうしたらいいんだ。
ひとまず俺を使ってみる?
けど、それじゃあ……
友達死んじゃうよ、さぁ、俺の力使うなら近くの人間食べればきっと使える。
「……人間を……そんなこと……」
どうすれば……………………………!!………人間……人肉……ここにあるじゃないか…………これしかない。
僕は自分の腕に噛みつき肉を噛みちぎり飲み込んだのだ。
これで
ほう、そうきたか、やるな、自分喰い、その発想は俺にはなかったよ。
「!!はぁ……あああ!!」
僕は今まで感じたことのない感覚に陥ったのである。
そして、ソラの左目は赫眼を発眼していた。
「!!うぉぉぉぉ……」
僕は心臓が高鳴るのを感じ僕の腰辺りから血が吹き出すとの同時に2本の鱗赫の赫子が現れたのだ。
「は?あいつやっぱ
「うおぉぉぉぉ!!」
僕は勝手に動きまくる鱗赫をできる限り奴に向けて突っ込んだのである。
しかし、
「えっ…」
「あのさ、知ってるかどうかは知らないけどね、人の肉を殆ど食べてない
「おらおら!!」
僕は
そして、僕のマスクが外れ僕の素顔がさらけ出されたのである。
「!!隻眼………隻眼の
「!!うんめぇ、こんなうめぇの初めてだ……隻眼、こいつは面白い!!」
「これなんだと思う?」
「…………」
「正解はシンナー!!」
「え?」
「うごっおごっ!!」
「飲め飲めぇ!!」
僕はシンナーを飲んでしまった。
「ハァ、ハァ、ハァァ!?」
僕は腹の中が熱くなるのを感じたのだ。
「うわぁぁぁぁ!?」
僕は体の傷が異常に痛くなったのである。
「痛いでしょ?シンナーってね、
そして、
「!!うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
今度は噛みつき肉を引きちぎったのだ。
「あっ…あっ…」
それからも何度も何度も僕の体を食べたり傷つけたりしていたのであった。
「1000-7=993、986……」
「?あ、なんかそんなこと言うキャラいたよな、そいつの真似か?」
怪物人間のアニメで相手に数を数えさせて拷問するキャラクターがいた、そいつは相手が自我を失う時間を先延ばしにするため引き算させていた、僕は拷問されているキャラお同じように数字を数えた……でなければすぐに自我を失ってしまいそうだったのだ。
「979、972、965……」
そして、
『1000-7=?』
僕は次第に狂いまるで本当にそのキャラに拷問されている幻覚を見ていたのである。
『1000-7=?』
そいつは拷問時指を鳴らすクセがあり、指を鳴らしながらどんどん僕の体をどんどん傷つけていく……
「あっひゃゃひゃひゃひゃゃ、1000-1000-1000-!!」
「あーあ、白目向いちゃってる……こいつはほっといて先に珍味の方を食べるか」
僕は何もない灰色のみの空間に横になりながら特に何かするわけではなくただ浮いていたのだ。
「言ったろ、人の肉を食べなきゃどうしょうもないのよ、君が拒否るから君の友達はこれから奴に喰い殺されるよ」
僕の目の前に僕の今の心臓の持ち主の
ここは僕の精神世界なのだ。
「しかし、やばい
「…………………………………………そうだな……」
「お!!やっと俺を受け入れる気になったか?」
「…………………………………受け入れる?笑わせるな」
灰色の空間から柱のような物が伸びて奴を串刺しにしたのだ。
「な!?なんで……」
「いやいや、なんでじゃないでしょう?ここ僕の精神だし、てめぇが好き勝手できるわけねぇだろ」
「お前じゃ何もできねぇだろ、人の肉を喰わなきゃこの肉体はすぐに生命活動停止するぜ」
「あっそ、ま、とにかくお前の力は欲しいけどお前の意思とかいらねぇし」
灰色の空間に人より大きい球体が伸びてきたのである。
「安心して、お前の力は僕が全部貰うから、だから、ここで僕の精神に喰われて消えてくださいな」
球体に亀裂が入りギザギザの歯をもった口のようになった。
「や、やめろ……」
「へぇ、赫包の精神でも命乞いってするんだ」
「頼む、やめてくれ!!」
僕はヤモリのように指を鳴らしたのだ。
「バイバイ~」
「やめ……」
奴は球体に喰われ僕の精神に吸収されたのだった。
僕の心臓には折れた骨の破片が刺さっており心臓が停止するのは時間の問題だ、そして、口の中の血が喉を通り胃の中へと流れていたのである。
「やめてぇぇ!!」
その時
「ん?」
「なんだ?」
再起不能まで傷つけたソラの全身から大量の赫子が出現しており、その赫子はソラの欠損した場所を補完するかのように形成してゆき残っている肉体と赫子によってできたまるで不細工な継ぎはぎのような肉体になり腰からは鱗赫が2本出ていたのである。
「おいおい、どーゆうことだよ……」
僕は指を鳴らすと鱗赫を構え
「!!っと」
「さっきとは赫子の強度がまるっきり違う、どうなってんだ!!」
僕は向かってくる尾赫を避けるため上へ跳躍したのである。
「へっ、もらったぁぁぁ!!」
「なっ!!」
そして、僕はその尾赫を僕の鱗赫で掴んだのだ。
「この野郎!!このまま押し通してミンチにしてやる」
僕は
「俺の勝ちだ!!」
しかし、僕は更に2本の鱗赫を出現させ計4本の鱗赫になった。
「なんなんだよ!!」
そして、ギギギという音を立てながら
「なにぃぃ!?」
僕はそのまま
「うごっ……」
僕は指を鳴らしながら転がっている
「うぉ!!まってくれ、なぁ、まってくれさ、話し合わないか?ちょ、まじまって!!」
「………話すことなんてないだろ」
「いやいやいや、てか、マジで命だけは勘弁してください、あなたの友達には手を出しません!!」
「……友達には……か……」
僕は4本の鱗赫を奴の両手両足に突き刺した。
「うがぁぁぁぁ!!」
「腹立つ、僕、お前のことここで殺す」
「やめて、やめてくれぇ……どうにか……どうにか……」
「じゃあ、ひとつ教えてくれる?教えてくれたらお礼に生かしといてあげるよ」
「はい!!」
「
「赫者?あー、それは共食いを繰り返した
「共食いってただ
「いえ、たしか自分の肉体の損傷が殆どないときに相手の肉を一定量、それと心臓と心臓についている赫包を食べればよかった筈です」
「一定量?」
「たしか、約1㎏らしいです、一定量を喰うと舌が数秒痺れてわかるらしいです」
「他には?」
「えっと、赫者の赫根を使うには10人分の
「そうか、ありがとう……」
僕は赫子を
「た、助かった……」
そしてら僕は
「ぐわぁぁぁ!!貴様、話したら見逃してくれるんじゃなかったのか!!」
「……………………ウ・ソッ」
「なんだと……」
「第一お前みたいな危険なの生かしておくわけないでしょう、馬鹿なの?つーか、なんでお前らみたいの生きてるの?人喰う
僕は
「シンナー御馳走様!!おかわり欲しいなー、次はお前ね」
「俺はやめてくれ!!」
「いやいや、おかしいだろ?僕の体をこんなにしたやつから再生するための栄養貰わないと」
「共食いは精神壊れるぞ」
「安心してください、もう壊れてますよ、てかてか、君のおかげで精神の抑え込み方マスターしたしな、さてと、お別れの時間だ、僕はもう腹ペコだよ」
「やめてくれぇ!!」
「るせぇんだよクズ」
僕は
「まずいな、腐った肉みたいだ」
「やめてくれ……」
「あのさ、てめぇが今まで喰ってきた人間も同じ事いったんじゃないの?」
「わかってます!!わかったから心入れ替えます!!」
「心だぁ?てめぇら人喰いに心なんてねぇ、存在価値もねぇ、てめぇみたいな
「何人いると思ってんだ、あんたの一生終わっちまうよ」
「とりま、てめぇがその長い長い戦いの第一歩ってことで」
僕は更に
「や、やめてくれぇ!!人を……近くの人を喰ってくれ!!」
「僕の身体こんなのにしたの君だよ、だったら君を使って治すのは当たり前でしょ?」
「許してください!!」
「………」
僕は指を鳴らした。
「もう、遅ぇんだよ、大人しく喰われろ、クズめ……」
その後、遊園地に対策部のヘリコプターが到着したのだ。
「この先のはずだ」
マスクを着けクインケ、シニガミを持ったミトにマスクを着けRcバレットを構えた捜査員が複数人いたのである。
「シニガミさん、あれ……」
捜査員が指す先には倒れている死体にむさぼりつく
「構えろっ!!」
ひとりの捜査員の掛け声で一斉に捜査員たちが
「まて!!……これは……」
ミトは転がっていたマスクを見つけそれを拾ったのである。
「眼帯マスク、これはソラの……」
ミトはもう一度
「…………!!ソ……ラ…なのか……」
「はい、ミトさん」
「……それは、
「……すいません、この
「……もう傷もない、やめたらどうだ?」
「……いえ、折角なので舌が痺れるまでとそれから心臓と赫包も頂こうと思います」
「舌が痺れて心臓と赫包……!!お前まさか共食いを……よせ、精神に異常をきたすぞ」
「僕は自分の中の
「しかし……」
「ミトさん、もし、僕が狂って人を襲いはじめたらその時は駆逐してくださいね」
「ソラ……」
そして、僕は更に肉を食べ続けたのである。
「舌が……」
そうして舌が痺れたのであった。
「あとは心臓と赫包を……」
僕は死体をバキバキと音を立てさせながら心臓を掴み死体から引き抜いた。
「ソラ!!」
「これで1人目」
僕は心臓と赫包を喰ったのだった。
「!!」
そして、僕は心臓と赫子が激しく鼓動するのを全身で感じたのだ。
「ハァハァ……」
病院にて、
「ニシヤマ君、ありがとう助けようとしてくれて」
「俺なんか何にも、ソラがいなかったら今頃」
「ナグモ君、大丈夫かな」
「……ソラ………カナちゃんも腕痛かったよな」
「うん、でも、骨折ですんで良かったよ、ナグモ君にもお礼言わないと」
「なぁ、カナちゃん、カナちゃんはソラのあの姿見てなんとも思わない?」
「……ニシヤマ君はどうなの?」
「……そんなの決まってる、ソラはソラは俺の大事な友達だ」
「うん、ナグモ君は私の命の恩人だもん!!どんな姿になっても平気だよ」
「カナちゃん……」
「所でさ、ニシヤマ君さ、あの人に襲われる前に何て言おうとしたの私に?」
「えっ?……えっと……」
「なになに~?」
「………………………………………カナちゃん、好きです」
「……ありがとう、ダイチ君……」
僕はヘリコプターで対策部へ戻って来ていたのである。
「ソラ、すぐにミウラ部長が来るから、そしたらシャワー入って体洗いな」
「はい、ミトさん、ご迷惑をおかけしました」
「いや、お前のせいじゃない、ソラ、体はホントに平気か?」
「えぇ」
「……そうか」
ミトさんがいなくなるとスマホにダイチから着信があった。
「もしもし?」
『ソラ、生きてるか!?』
「生きてるに決まってるでしょ?つか、そっちは?」
『俺は軽傷でカナちゃんはあ~と骨折』
『ちょっとダイチ君!!代わって』
『カナちゃん!?』
『ねぇ、ナグモ君、助けてくれてありがとう!!ナグモ君は怪我してない?』
「もう治ってるよ」
『そっかぁ、よかったぁ!!』
『てことで俺たちも学校ちゃんと行くからソラも来いよ!!』
『ナグモ君、待ってるよ~!!』
電話が切れるとダイチからメッセージがあったのだ。
『追伸、俺、カナちゃんにコクったわ、結果は学校でな、あばよ!!』
「それでダイチ君か、聞くまでもないな」
そこへ、
「おかえり」
ミウラ部長がやって来たのである。
「ミウラ部長、ご迷惑をおかけしました」
「君が責任を感じることじゃないよ、でも、すごい汚れてるね、少しだけ今日の話を聞こうと思ったけど明日にしよう、はやく、シャワーに入っておやすみ」
「……はい」
「それじゃ」
「ミウラ部長、ひとつお願いがあります」
「なんだい?」
「………………………………………僕を捜査官にしてください」
僕に訪れていた日々はこうして崩壊したのだった。
ついにソラ覚醒!!髪は白くなってませんよ