異空生物―喰種―イクーセイブツ―グール―   作:中2病人間M

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日々

「いただきます」

 

 

僕は学校で対策部から支給された喰種(グール)用の弁当を食べていた。

 

 

「しっかし、本当に肉と卵しかないんだな」

「うん、焼くときもラードとかじゃなきゃ駄目らしいしね」

「なるほどね、飽きねぇか?ソラ」

「どーだろうね、ダイチ、味見してみる?」

「いや、遠慮しとくわ、つーか、お前食いもんの訓練してたんじゃないのかよ?」

「ああ、それなら終わったよ、今なら普通の食事も平気さ」

「じゃなんでんなもん食ってんだよ?」

「栄養にならないから」

「ふーん……」

「あと、他の喰種(グール)の人たちと一緒の時は僕だけなんか悪いなぁって」

 

 

たしかに今いったことは嘘じゃない、でも、一番の理由としてはまず普通の食事は食べても栄養にならない、普通の食事をして栄養をとるには喰種(グール)から抽出されたRc結晶が必要になるけど、喰種(グール)から抽出されたものを飲みたくはないから僕は肉で栄養をとることにした、別に強い喰種(グール)になりたいわけでもないしな。

 

 

そんなこんなで僕はだんだん落ち着いた日々を取り戻していったのであった。

 

 

 

 

「ブレンド珈琲(コーヒー)、お待たせいたしました」

「ソラ君、だいぶ慣れたようだね」

「店長!!……いやぁ、僕なんてまだまだですよ」

「フフ、そうかい?」

 

 

 

その後、お店が終わり後片付けもだいたい終わった頃、

 

 

「ソラ君、珈琲(コーヒー)でもどうだい?」

「よ、よろしいんですか?」

「もちろん!!」

 

 

僕はカウンターに座り店長に珈琲(コーヒー)をごちそうになったのだ。

 

 

「美味しいです」

「そう、よかった……あ、そうそう」

「はい?」

 

 

店長は何か包みを取りだし僕に渡したのである。

 

 

「これは?」

「お給料、2ヶ月分のね、先月はバタバタして渡せなかったからね、今月と合わせて」

「でも……」

「躊躇うことはないさ、君の生活を対策部が見ているけどここの賃金の話とそれは別だよ」

「……はい」

「この世界の通過について説明するよ、理由はわからないけどこっちの世界も君らの世界も昭和や平成という記号を使いどういうわけだが1円から500円まで同じ形の硬貨なんだ、対策部が調べたら材質にも全く違いがなくてあっちとこっちの硬貨を混ぜられたら国でも区別がつかないぐらいらしい」

「え……」

「不思議だよね、だから500円まではこっちでも君らの世界でも使える、けど、1000円や5000円、10000円は札はこっちに存在がなく金銀とかの硬貨であるから気をつけて」

「なるほど、すごいなぁ、あー、でも、金貨とかじゃ僕の世界じゃ使えませんね」

「まぁね、金貨は金として売ればお金になるけどそれは対策部が禁止してるし変な金は売れにくいし違う世界にお金を移動するときはある程度500円までにしてた方がいいね」

「なるほど、因みにドルは?」

「フフ、あるわけないよ」

「やっぱり、じゃあ日本円の一部で統一なんて不思議ですね」

「たしかにね……さてと、明日の仕事……………あ、そうそう明日はお店じゃなくてフジくんと一緒に買い出しに行ってくれるかな?」

「買い出し?」

「うん、珈琲(コーヒー)豆とか食料とかね」

「食料……ってまさか!?」

「Rc結晶の材料は私が揃えるからソラくんは店で使う物や喰種(グール)用の食料をよろしくね」

「……わかりました」

 

 

 

 

 

そして、次の日、学校から対策部に戻るとフジさんがいた。

 

 

「……学校は終わったのか?」

「はい」

「……店長から聞いているな?」

「買い出しでしたっけ?」

「……そうだ、行くぞ」

「はい……ってこっち側で買うんですか?」

「野村ブレンドはこっちとあっちの豆を何種類かブレンドしてできている」

「あー、なるほど」

 

 

 

 

そして、フジさんと僕は電車を乗り継ぎ板橋区の大山駅の近くにある 珈琲(コーヒー)の専門店にやって来たのだ。

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 

店内は落ち着いていて奥には珈琲(コーヒー)を焙煎する機械もあり、また、カウンターから見える位置に色んな種類の珈琲(コーヒー)カップが置いてありすごく楽しげだった。

 

 

「何だかすごいですね」

「……俺はこっちの世界の珈琲(コーヒー)ではここが一番だと思っている」

 

 

豆を買う前に一杯飲むことになったのである。

 

 

「わぁ、ブレンドが3種類もあるんですね」

 

 

僕は中深煎りのブレンドを注文した。

 

 

「わぁ、おいしい……」

 

 

そして、珈琲(コーヒー)を飲み終えた頃、

 

 

「はい、お待たせしました」

「……ありがとうございます」

 

 

フジさんは注文していた何種類かの珈琲(コーヒー)豆を受け取り代金を支払ったのだ。

 

 

「……行くぞ、ごちそうさまです」

「はい、ごちそうさまでした!!」

「ありがとうございました」

 

 

そして、その後は一度、対策部に戻り喰種(グール)の世界に入って19区にある農場を訪れたのである。

 

 

この世界は東京しか存在せず僕らの世界よりも東京は遥かに広大で区によっては砂漠や荒野もあった。

 

 

特に19区は珈琲(コーヒー)の栽培に適しているらしく結構な数な珈琲(コーヒー)農場があるのだ。

 

 

高橋珈琲農場(タカハシコーヒーノウジョウ)?」

「……ここの豆はお前たちの世界でいうマンデリンとかとかなり似ている」

「そうなんですね」

 

 

そこへ、

 

 

「いや、僕はね色んな豆を研究しようやく君たちの世界のマンデリンができたのだよ、けど、ここでも喫茶スペースをもうけてるけど君たちの所の珈琲(コーヒー)が一番だと思っているよ」

 

 

ここでは焦がす前の豆を買っていたのである。

 

 

店長は高槁農場の豆をベースに大山の専門店の豆を配合して野村ブレンドを作るらしい。

 

 

その後も色んな種類の農場で豆を購入しあとは人間用の食べ物や喰種(グール)用の肉などを買ってお店に帰って来た。

 

 

 

「2人ともご苦労様」

 

 

その後、店長は高槁農場をはじめとする農場の豆を焙煎し高槁農場の豆と大山の専門店の豆をブレンドして野村ブレンドを作ったりしていたのであった。

 

 

「焙煎、いい香りですね」

「そうかい?今度やらせてあげるよ」

「本当ですか?ありがとうございます」

 

 

 

 

その後、僕は対策部へと戻るとスマホの電波が入りダイチからメッセージが届いていたのだ。

 

 

「あ、そーか、あっちじゃ電波ないもんな、て、充電が……あー、圏外だからか、あっちの世界いるときは機内モードにしとくか、あ、そうだ、ダイチダイチ」

『ソラ、春が来るぞ!!ひゃー』

「…………」

 

 

メッセージの内容がよくわからなかったので電話してみたのである。

 

 

『よう、ソラァァ』

「どうしたの?」

『聞いてくれよ、隣のクラスの佳奈(カナ)ちゃんと遊びに行くことになったのさ!!』

「へぇ……よかったじゃん」

『遊園地に行くんだけどソラも来いよ』

「は?お前ばかなのデートだろ?2人で行けし」

『わかってるけどさ、2人とか俺、女の子への免疫ないし無理無理無理!!』

「君の心臓はノミ以下かい?」

『カナちゃんも了承してるし、いい雰囲気になったら最後だけ姿消してくれよ、なぁ』

「ちゃっかり僕を利用しようとしてるな?」

『ギクッ!?』

「いや、わかりやすくギクとか言うなし」

『頼むよ、ソラ、俺が入学してからカナちゃん狙ってるの知ってんだろ、遊園地了解してくれたの奇跡だ、そうまじで奇跡だぜ、頼むぅぅ!!』

「ハァ……フフ、わかったよ、いつ?」

『ありがとう!!今週の日曜日だけどいい?』

「了解、またな」

『おう!!』

 

 

電話が終わるとミウラ部長がやって来た。

 

 

「楽しそうだね」

「部長!!いやぁ、友達と遊園地に行くことに、ちょーどシフトもありませんし」

「女の子かい?」

「両方ですよ」

「両方?」

「友達の狙ってる子でその友達がノミ以下の心臓でその付き添いですよ」

「ああ、なるほどね、若いねぇ」

「そうですかね」

「うん、あ、引き止めて悪かったね、おゆき」

「はい、失礼します」

「うん」

 

 

遊園地か久しぶりだな。

 

 

しかし、この遊園地での出来事が僕の日々を崩壊させ後に喰種(グール)たちの運命を大きく揺るがすことになるとは僕は知るよしもなかったのだ……




次回、ソラがついに赫子を…お楽しみに笑、因みに大山の専門店は知る人ぞ知るです!!

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