「よう、ソラ!!元気してるか?」
「ダイチ……」
僕は高校へと復帰したが復帰早々回りからはひそひそ話や奇っ怪な目で見られた、それも無理もない、けど、ダイチだけは違った、僕は本当によい友達をもったと思った。
「はい、これがソラ君の手帳ね」
学校終わりに僕は対策部でミウラ部長から手帳を2つ渡された。
「なんのことって顔してるね……えぇとね、こっちが府中駅前警察署の警察手帳でマネキンマスクで撮影した顔だからマネキンマスクでいるときのみこの手帳を使うこと、名前だけどマネキンマスクしてるときの君の名前は『
「余多?」
「うん、せっかく、素顔隠してるのに本名使ったら意味ないでしょ、それで、もし、万が一本当の警察とかに警察手帳見られてヤバくなったらこっちの対策局の手帳を見せてね、例えば警察に「なんで警察手帳もってるんだぁ!!」とか言われたとき」
「はい……てか、アマタ ソラってアクエリオンですか?」
「お、知ってるのかい?パチンコしてからアニメは見たんだけどね」
「あー、パチンコ……」
「なんだ、その顔は……たしかアクエリオンはアマタが名前でソラが名字ですよね、きっと(アリシアがアマタって呼んどったし)」
「たぶん……」
警察手帳はよくドラマとかで見るのと同じもので対策局の手帳は折り畳み式で広げると丁度警察手帳4個分ぐらいで上面に『特務捜査官』の文字の下に『異空生物対策局
「その対策部手帳で向こうの世界への通行許可証の役割も担ってるよ、それから……」
ミウラ部長は僕に拳銃を渡したのである。
「拳銃!?」
「ああ、日本の警察が使ってるのと同じ拳銃だ、捜査官ではないが君の身の回りに何が起こるか予測できないから支給しておく一応
「ええ、了解です……」
「ん?どうした」
「この対策部の手帳って警官が見てもわかるもんなんですかね?こんな手帳があるなんて今まで聞いたことないし……」
「あー、たしかに対策部の存在は警察組織の上層部しか知らないからね、でも、手帳に隠語が記してあってその隠語は警察官なら誰でもわかる、そして、その隠語を見たら上司に報告することになってる、そして、最終的には上層部に繋がる仕組みだよ……あ、もう、こんな時間だ、シフトにおくれちゃうね、さぁ、行っておいで!!」
僕は対策部を後にして入り口を通り野村
「おや、ソラ君来たね、じゃ、ちょっと奥まできてね」
「はい」
店の奥まで行くと事務室のテーブルに恐らく嘔吐神経麻痺剤と水が置いてあったのだ。
「それ飲んだら制服に着替えてね、さっそく、喫茶スペースを手伝って貰うから、今日はフルダ君と私と一緒だよ」
「はい、よろしくお願いいたします」
「うん」
僕はフルダさんと店長と一緒に喫茶スペースの厨房に入った。
しかし、分からないことが多くできる限り邪魔にならないようにしたのだった。
「さぁ、ソラ君も
「はいぃ……」
お店のお客さんが大分いなくなりフルダさんひとりでも回せるようになった頃、僕は店長に教わりながら
「まずはゆっくりと中心らへんをのの字を描くように君の世界の500円分ぐらいを二巡して」
「はい」
「うん、そんな感じ、ほら、表面が膨らんできたでしょ、そしたら3~40秒ぐらいして膨らみが落ち着いたら先程のように中心でのの字を描いてお湯はドリッパーのだいたい8分目ぐらいまでを目安にね」
「はいぃっ!!」
何とか
「どうだい?」
「……なんか、店長に比べると深みがないっていいますか、なんと言うか……」
「
「はい!!」
そして、シフトが終わり事務所に戻るとすぐに店長も事務所に入ってきたのである。
「店長、お疲れさまです」
「うん、お疲れさま……どーだった?」
「……ちょっと大変でした…けど、初めてちゃんとした
「うん、その調子で頑張って」
「はい!!」
「ああ、それとね、明日の朝から僕がやってた人間の味覚の訓練をしてもらうよ」
「!!……はい」
「まず、第1段階は食パンを3枚分全て10回以上噛んで飲み込めるようにすること」
「?」
「まずはこれを明日の朝食の前と学校のお昼の前に食べなさい」
店長は僕に一口サイズの食パンの欠片を渡した。
「?」
「食パンを口にいれ10回以上噛んで飲み込むんだ、吐かないように堪えることができたら量を増やしていくんだよ」
「なるほど……」
「無論、嘔吐神経麻痺剤は使ったら意味がない、自力で頑張ってね」
「……わかりました」
そして、次の朝。
朝食は対策部の食堂で
「………よし!!」
僕は食パンの欠片を口へと入れたのである。
「ぬっ!?」
直ぐ様、トイレに行き吐き出したのだった。
「ダメか……」
その後、朝食を食べてお昼の弁当(弁当も対策部の支給である)の前にもトイレの近くで僕は欠片を口にいれた。
マズゥゥ……
「うぐぐぅぅ!!」
堪えろ…
「ぐっ!!」
僕は限界になりトイレへ吐き出したのだ。
また、その日の夜も飲み込めず吐いてしまったのだった。
「焦ることはないさ、けど、他の
「はい……店長、ありがとうございます」
「うん」
そして、次の日の昼。
「今度こそ!!」
僕は欠片を口にいれ噛んだのである。
やべぇ、 マズイ……マジで吐く……堪えろ……噛め!!噛むんだ!!
そして、
「ハァハァ……やったぁ……」
そして、僕は毎日それを繰り返しようやく目標のパン3枚までもうすぐのところまできていたのだった。
「順調のようだね」
「店長、えぇ、お陰様で」
「うん、でも、第2段階はもっときついよ」
「もっと?パン50枚とかですか?」
「ううん、量は少ないよ、まぁ、教えるのは3枚終わってからにしようか?」
「はい、そうします」
数日後、
「ハァハァ……やった!!3枚飲み込めたぞ」
「おめでとう、ソラ君、明日から第2段階だよ」
「はい!!」
「明日、渡すものを10回以上噛んで飲み込めたら成功だ、けど、それをやるときは野外でね、絶対に室内で開けちゃダメだよ」
「?はい」
次の日の朝、
「何ですか、これ……」
透明の密封容器に入れられた変な色の餅のような何かと僕は対面した。
「これを食べれたら終わりだよ」
「……たしかに一口で終わりそうですけど……これ?原料は何ですか?」
「……君の世界で言うとフィンランドという国のサルミアッキというものとシュールストレミングという物だ、その他にも色々はいっている」
「……!?」
世界一不味い飴に臭い缶詰……だと、しかも、他にも……
「絶対に屋内で開けないでね」
「はい……(だろうな)」
そして、次の日の朝、朝食前に僕は三浦部長に許可をもらって警察署の屋上で密封容器を開けてみたのだ。
「ぶっ!?」
口にするまでもなくその臭いだけで僕は嘔吐したのであった。
「これは……酷い」
シュールストレミングと言えば世界一臭い缶詰として有名である、人間にとっても耐え難い臭さを誇るもの……
「前にダイチが作りたてのゴムの味とか言ってたっけな……つーか、ゴム食ったのかあいつ……」
そんなこんなで口に入れることもできない日々が続き、そして、ようやく口に入れることができたのである。
しかし、
「!?」
直ぐ様、吐き出してしまった。
「ねぇ!!これはダメ……飲み込める気がしない!!」
そして、僕は来る日も来る日も
「ソラ君すごいよ、この訓練をこの速度でここまでやるなんて」
「そうなんですかね?」
「うん……はい、
「いただきます」
僕はシフト終わりに店長に呼び止められていたのである。
「あれを食べてると
「感じる……か……」
「あっ、店長、すいません、感じるだけじゃなくておいしいです」
「……そうじゃないよ、ソラ君」
「えっ?」
「ものは考えようだよ……あれだって不味いと思うから余計に不味くなるんだ、少し視点をずらしてみるといいよ」
「……」
「さぁ、明日も頑張ろう」
「はい……」
次の日の昼、
「視点を変えてか……朝はダメだったしな」
僕は昼の分のあれを口に入れた。
「!!……!!」
たえろ!たえろ!たえろ!飲み込め!
「……うっ……おえぇ……」
やはり、吐き出してしまったのだ。
「……やっぱり、飲める気がしない……」
まてよ……
「…………………………!!飲める気がしない?」
飲めないと思っているから飲めない……そうか!!
そして、夕飯前、僕は屋上であれと見つめあっていたのである。
「……美味しそう、飲みやすい、きっとすぐ喉を通る……!!よし」
僕は決心してあれを口に入れた。
「!!……うぐ……おいしいおいしい……ぐぐぐ……」
そして、僕はついに10回噛むことができたのだ。
「とろけて喉を通りそう……うぉぉぉぉ!!」
そして、無理矢理飲み込んだのである。
「ハァハァハァ……!!リバースしそう……たえろたえろぉぉ!!」
僕はなんとか持ちこたえたのだった。
そこへ、
「さぁ、お飲み」
店長が来ていて水の入ったコップを差し出してきた。
「ハァハァ……店長?……ありがとうございます」
僕はその水を飲み干したのだ。
「落ち着いたかい?」
「はい」
「ソラ君、おめでとう、これで訓練は終了だ」
「………」
「ん?どうかしたのかい?」
「いや、終了できたのは良かったんですが……なんか、実感わかなくて」
「そうか……よし、ついておいで」
「え?」
僕は店長に連れられ対策部のラウンジにやって来たのである。
「それじゃフルダ君、例のものを」
店長は
そして、すぐにラウンジによくレストランなどで料理にカバーをするためのドームカバーというやつが被せられたものが届けられた。
ドームカバーを外すとそこには特大のサンドウィッチがあったのだ。
「サンドウィッチ!?」
「さぁ、フルダ君特製のサンドウィッチだよ」
「……」
「不安かい?」
「えぇ……まぁ……」
僕は恐る恐るサンドウィッチを一口食べたのである。
「どうだい?」
「……おいしい……」
そして、僕の目から大粒の涙が零れた。
「店長、食事ってこんなにも素晴らしいことだったんですね」
「うん……」
僕はサンドウィッチを残さず平らげたのだった。
やっと投稿できた…しかし、今回まじグタグタ、それに題名がなんか汚くてごめんなさい。