異空生物―喰種―イクーセイブツ―グール―   作:中2病人間M

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測定

「………こい」

「はい」

 

 

僕はフジという男に連れられて対策部のとある部屋に来た。

 

 

「……冨士 喜一(フジ キイチ)だ」

「南雲 颯です」

「……これから、マスクを作る」

 

 

この人、なんかあまり喋らなそう。

 

 

「マスク?」

「……我々は表では完全に素顔を隠す、でないと喰種(グール)に身元が知られたとき家族や友人に危害を加える可能性もなくもない、過去にもそういった例もある、まず、人の顔のマスクを作り、そのあとは喰種(グール)マスクを作る、ここで」

「なるほど」

 

 

違う、この人、よくしゃべる。

 

 

「……どうした?」

「いえ、どうやって作るんですか?」

「……あの機械で体のサイズを全て測定する」

「そう……ですか……あの、フジさん?」

「……なんだ?」

「フジさんって喰種(グール)ですか?」

「……そうだ、何故、わかった?」

「えっと、その臭いで……」

「……臭いか?」

「臭くはないんですけど……人じゃない感じです」

「……もし、獣臭ければそいつはヒトを喰い殺してる喰種(グール)だ」

「えっ」

「ヒトを喰うか否かで喰種(グール)の体臭はくっきりとわかれる、それと、ソラ、お前の臭いはヒトだ」

「えっ」

「……人間と喰種(グール)の違いは心臓に赫包があるかないか、それと、ここの調査で判明したのだが喰種(グール)は体内の血中に細胞クラスでRc細胞が流れているらしい、この肉を喰種(グール)が喰らうなり臭いを嗅ぐなりすればそいつの赫包が反応して味や臭いのように感じる、しかし、ソラは赫包だけ持っているからな、相手の臭いや味はわかっても自分はヒトの臭いか味しかしないんだろう」

「………………つまり、僕は相手が喰種(グール)かはわかるけど相手からは喰種(グール)だとはわからないということですか?」

「……たぶんな、いや、わからない、こんなケースは初めてだからな、今のことミウラ部長に相談しておく」

「ありがとうございます……それで、僕はこれからどうなるんでしょうか?」

「……おまえのことを店長に話しておいた」

「店長?」

「……そうだ」

 

 

そこへ、

 

 

「君の処遇は3つある、ひとつめは喰種(グール)の世界の喫茶店、野村珈琲店(ノムラコーヒーテン)で従業員として働く、ふたつめはここの我々と同じ捜査官として活動するか、3つめはその両方だ」

 

 

僕とフジさんが話しているとミウラ部長が部屋に入ってきたのだ。

 

 

「へ?」

「普通、喰種(グール)が捜査に加わる時は喰種(グール)登録しなきゃならないけど君はヒト扱いされるようだよ」

「……捜査官になりたくなければ喫茶店の従業員として働いてもらう」

「僕、普通に生活するんですか?」

「……それはお前次第だ」

「あっちの世界だと喰種(グール)みんな駆逐しちゃってるけどここ(喰種対策部)では、駆逐は抵抗された場合のみ、他は逮捕するんだ、そのあとに死刑になるなり元の世界に強制送還するなり決める」

「……どうする?」

「えぇと……」

「ああ、そうだ、君はたしか下宿してたよね?」

「……下宿?」

「あー、はい、してますけど……」

「うん、今日からはここに住んでね」

「えっ」

「いやね、君はヒト扱いなんだけど、なんというかさすがにいきなりは外へ帰せないよ、喰種(グール)の赫包って結構精神に干渉するみたいだし、あー、もちろん、快適に暮らせるだけの部屋を用意するよ」

「……わかりました」

「んで、どうすんの?」

「……えぇと」

「……ミウラ部長、その前にソラのレーティングをしたいのですが…」

「あー、そうだね、レート測定しないとね」

「レーティング?」

 

 

 

 

僕は機械で顔と体のサイズを計測するとジャージに着替え広い部屋に連れてこられたのである。

 

 

「……これから、レーティングを行う」

「……はい」

 

 

レーティングってなんだ?

 

 

「ソラ、フジは容赦ないから頑張って」

「ミウラ部長、容赦ないって?」

「……よそ見をするな……始めるぞ」

 

 

フジさんの眼は赫眼へと変わった。

 

 

「へっ?」

 

 

そして、フジさんは僕へと拳を振りかざしてきたのだ。

 

 

「わっ……」

「……何をしている、眼は……赫眼はどうした?赫子をを使え」

「そんなこと言われても……」

「フジ!!」

「……なんでしょう?ミウラ部長」

「もしかして赫眼を発眼できないじゃないのか?」

「……なるほど、まってろ」

 

 

そう言いフジさんは何処かへ消えて少ししたら戻ってきたのである。

 

 

「……食え」

「えっ…」

 

 

フジさんの手にはタッパーがありその中には血まみれの肉があった。

 

 

「……フジさん、これって、まさか……」

「……違う、イノシシだ」

「えっ」

「……イノシシの味はヒトに僅かににてる、食えば赫眼を発眼できるかもしれない」

「……わかりました」

 

 

僕は意を決してその肉を口の中に放り込んで噛んだのだ。

 

 

「…………………あれ、最初は不味かったのに途中から凄くおいしく感じる」

「……やはりな、赫眼を発眼したようだ」

「えっ」

「……左目が赫眼になっている、隻眼だ」

 

 

隻眼(セキガン)喰種(グール)……

 

 

「なるほど、赫眼になると味覚が変化するんですね」

「……こい、遠慮はなしだ」

「はい!!」

「……1発ぐらい入れてみろ」

 

 

僕はもてる力を全て使ってフジさんに攻撃をするも全て弾かれ、そして、腹にフジさんの一撃を喰らい僕はノックアウトしたのだった。

 

 

「……元々の力が強いが動きが素人以下だ」

「ハァハァ……」

「……レーティングとしてはレートなし……だ」

「レート……なし?」

「……ミウラ部長、喰種(グール)のレーティング終わりました」

「だな、レートなしってのは喰種(グール)としては要するに雑魚(ザコ)ってことだよ、まぁ、雑魚でもヒトの倍近くはあるけどね」

 

 

雑魚……

 

 

「……ところでソラ、お前の親はそう簡単にここに住むことを納得するのか?」

「……うちは親いません、叔父の家にいました」

「……すまない」

「いえ」

「なぜ、下宿したの?」

「親戚に迷惑かけたくなかったので」

「やっぱいい子だな」

「……それで、どーする?」

「あー、ちょっと捜査官は厳しいかなと……でも、喫茶店の従業員なら」

「……決まりだな」

「そうそう、ソラ、厳密に言うと君はヒトだけど一応喰種(グール)としての登録もされるからマスクができ次第喰種(グール)の名前決めるよ」

「わかりました」

 

 

フジさんは出口の近くの鞄を漁ると中から何か赤い透き通ったビー玉のようなものを取り出したのである。

 

 

「それは?」

「……Rc結晶だ」

「何に使うんですか?」

「……複数個加工して繋げて喰種(グール)用の拳銃、Rcバレットの弾丸にする、または俺たち(喰種)珈琲(コーヒー)に混ぜて接種する、これは、珈琲(コーヒー)にすぐ溶ける」

「飲むんですか!?」

「……そうだ、豚や牛を食ってるなら喰種(グール)の能力は下がる、これは下げさせないためのものだ」

「じゃ、原料は……」

「……ヒト……ではない、喰種(グール)から特別な方法でRc細胞のみを抽出し固めた、お前も飲むか?飲んでおけば腹は膨れないが喰種(グール)の空腹感も押さえることができる、それに無味無臭だ、珈琲(コーヒー)の味を狂わせない、きっとレートもCぐらいまでは上がるだろう」

「えっと……」

 

 

喰種(グール)から抽出した……なら、ヒトと同じだよ

 

 

「僕は遠慮しておきます」

「……そうか」

 

 

そういってフジさんは部屋を出てこうとしたが立ち止まった。

 

 

「……ソラ、明日、店に行くから準備しておくんだ」

「はい、わかりました」

 

 

 

 

ここはとある喰種(グール)の世界の路地裏。

 

 

「いやぁぁ!!やめてぇぇ……」

「何をやめてほしいんだろな、喰いもんの言ってることなんかわかんねぇー」

「アニキー、はやく、喰おうぜ」

「まぁまて、こんな綺麗な人なんだ、まってやれよ」

「!!み、見逃してくれるの……」

「見逃すの?アニキ」

「……綺麗に引き裂いてから骨まで全部喰おう、生きたまま新鮮なうちにな」

「いんやぁぁぁ!!」

「さてさて」

「アニキ、引き裂くなら手から足から?」

「……そうだな……」

 

 

アニキと呼ばれた喰種(グール)は女性に顔を近づけたのだ。

 

 

「……皮膚を全部引き剥がしてから目玉くりぬいてやろう、目玉は俺とお前で1個ずつな!!よし、皮膚だ!!」

「いやいやいやいんやぁぁぁぁ!!」

「剥がすか、人間も魚の皮とかこんな風に剥がすんだろ?」

 

 

アニキ喰種(グール)は女性の皮膚をつねったのである。

 

 

「いやぁぁぁぁだぁぁぁ!!」

「さぁいくよ、3…2…いっ……」

 

 

その時

 

 

「やめなさい……」

 

 

マスクをつけた喰種(グール)が彼らの後ろに立っていた。

 

 

「なんだてめぇは?」

「……何故、ヒトを喰らう」

「うなもん、うめぇからだし、おまけに赫子も強くなるしな、どーせ、喰いもんだし、このメスブタとかプリプリしてて召し上がれって言われてるみたいだぜぇ~ギャッハハ……ハハハ……」

 

 

笑いながらアニキ喰種(グール)の頭は地面に転がっていたのだ。

 

 

「アニキ?……!!アニキぃぃ!!」

 

 

そして、その直後に子分の喰種(グール)の頭も体と離されたのである。

 

 

その喰種(グール)は血が流れないように死体を大きな防水パックに入れてからパックごと大きな鞄に積めると暗闇へと消えたのだった。




ふぅーやっと書き終えたぜ、ソラっちは肉を食わないと赫眼も発眼できないし無論赫子もだせない、雑魚なのです。喰種の設定がわからないひとは聞いてね~

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