異空生物―喰種―イクーセイブツ―グール―   作:中2病人間M

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老人

「上等、ここが」

「ああ、ナンブ、NIタワーだ」

「この中にも生屍(ゾンビ)がいるのか……」

「ええ、キリタニさん、しかも生存者がいるみたいですね」

「本当ですか!?」

「ええ、キリタニさん、あそこ」

 

 

僕が指を指す方には生屍(ゾンビ)ではない生きた人々がいた。

 

 

「何とか助け出すぞ」

「はい、上等」

「しかし、皆さん、どうやって中に入りますか?そのまま入り口から入りますか?」

「いえ、キリタニさん、恐らく正規の入り口は瓦礫や生存者の作ったバリケードで入れないかと思います、まぁ、あの喰種(グール)が僕を呼び出しました、きっと奴の所へ向かえる場所があるはずです」

「ああ、眼帯、早急にこの事態をすぐに何とかしなければ……」

「上等、しかし……」

「上等さん、ナンブさん、皆さんの気持ちは分かります、あの喰種(グール)を止めても生屍(ゾンビ)は止まらない、タワーに避難してる人々は死んでしまうかもしれない……だから、先に避難してる人々を助けましょう」

「……眼帯、お前、本当に喰種(グール)か?」

「上等さん、喰種(グール)ですよ、まぁ、半分ですけど」

「ん?半分だと」

「何でもないです」

「あそこの瓦礫から入れませんか?」

「ナンブ、少し崩せば入れると思うぞ、けど、開けたら中に生屍(ゾンビ)が入っちゃうな」

 

 

その時

 

 

「!!生屍(ゾンビ)だ」

 

 

キリタニが周囲に集まってきた生屍(ゾンビ)に拳銃で発砲したのだ。

 

 

「くそっ」

「この数だと救助の前に僕らも危ないっ」

 

 

続いて上等とナンブも生屍(ゾンビ)に発砲したのである。

 

 

しかし、数が多く追い詰められていた。

 

 

「………!!あれなら」

 

 

僕は赫子を出してバリケードに穴を開けたのだ。

 

 

「何してる眼帯!?」

「皆さん、ここから中へ、生屍(ゾンビ)は僕が何とかします」

「上等、急ぎましょう」

「しかし……」

「大丈夫ですよ、彼は喰種(グール)ですから……先に入りますよ」

 

 

キリタニは生屍(ゾンビ)に発砲しながら中へと入っていったのである。

 

 

「上等!!」

「……頼んだぞ、眼帯」

 

 

そして、上等とナンブも中へと入っていった。

 

 

僕は近くの建物の一部を破壊しその瓦礫で穴を塞いだ。

 

 

「…………」

 

 

そして、僕は生屍(ゾンビ)に囲まれたのである。

 

 

「……皆さん、ご無事で……」

 

 

 

 

 

タワーの中に入っていった上等たちは階段を登り避難してる人々のいる場所にたどり着いた。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

上等はぐったりしている人々に寄っていったのだ。

 

 

「上等、何だが様子が……」

「ナンブさん、避難して恐怖してることもありますが、それだけじゃなさそうですね」

 

 

その時

 

 

「また人間が来たぜ」

「これで食料には困んねぇな」

 

 

上等たちの前にマスクを着けた喰種(グール)がやって来たのである。

 

 

「お前ら喰種(グール)か」

「上等、まさかここで人間を……」

「こんな状況で何をしている、信じられない」

 

 

3人は喰種(グール)を睨み付けた。

 

 

「こんな状況?何言ってやがる俺らならあんな化け物たちどうとでもなる、こんな状況だからこそ人間の肉を食べるんだぜ」

「……なぁ、こいつらもしかして捜査官だぜ」

「なにっ!?なら、こいつらさっさと殺して喰おうぜっ!!」

「まずいっ、ナンブ」

「はいっ!!」

喰種(グール)用の銃弾を……」

 

 

その時

 

 

「「!?」」

 

 

壁から赫子が出てきて喰種(グール)たちを殺したのだ。

 

 

「眼帯!!」

「上等さん、以外と早くたどり着けましたよ」

 

 

僕の登場に周囲の人間は怯えていたのである。

 

 

その時

 

 

この場にあったエレベーターが光った。

 

 

「ん?僕がここに来る前に下で触ったときには反応しなかったのに」

「眼帯、つまり誰かが操作をしているってことか?」

「恐らく僕を呼んでいるのでしょう」

 

 

僕は動き出したエレベーターに乗ろうとしたのだ。

 

 

「眼帯、喰種(グール)が犯人である以上俺も行く」

「もちろん、僕もです」

「警備局の捜査官として私も」

「………命を保証はしませんよ」

 

 

僕たちはエレベーターに乗ったのだった。

 

 

 

 

 

そして、エレベーターはタワーの最上階にたどり着いたのである。

 

 

そこにいたのはヘリコプターで僕を呼び出した喰種(グール)とあのクローだった。

 

 

「!!お前ぇぇ!!」

 

 

僕はクローの姿を見た途端に赫子を出して向かっていった。

 

 

その時

 

 

「!!」

 

 

マスクを着けたシオンが僕からクローを守ったのだ。

 

 

「……なにっ…」

「流石の性能だな」

「さて、貴方はどうしますか?あなたの大事な方はこうなりましたけど」

「こうなりましただと……いったい何を……」

「ええ、生屍(ゾンビ)に使用した菌を改良し半喰種(グール)である彼女に投与させていただきました」

「……はっ?」

「他の不良品とは違って制御可能、身体能力も格段に向上し生屍(ゾンビ)としては最強クラスですよ」

 

 

僕は指を鳴らしたのである。

 

 

「…………殺す殺す殺す殺す殺す」

 

 

僕は赫者になるとクローとその喰種(グール)に向かっていくがシオンに阻まれた。

 

 

「クロー!!てめぇはいつもいつもこんなことばかりしやがって、ケイさんまで殺しやがって」

「………たしかに殺した、だが、あの大阪にいた喰種(グール)たちを殲滅していったのお前とあの人間だ」

「うるせぇぇ!!」

「それに彼女を生屍(ゾンビ)にするために菌を改良したのは私ではない」

「なに」

 

 

その時

 

 

「わしじゃ」

 

 

僕の前に老人が現れたのだ。

 

 

「………人間?」

 

 

その老人は人間だった。

 

 

「爺さん、どうよ、データは?」

「ああ、貴重なデータが山ほど採取できとるぞ、まさか、彼女の血液にこんな能力があるとは」

 

 

その時

 

 

クローと老人の前に天井から巨人のような生屍(ゾンビ)が降りてきたのである。

 

 

「この彼女の血液を人間の生屍(ゾンビ)に与えたらこのように細胞が巨大化したのじゃ」

 

 

再び僕は指を鳴らした。

 

 

「あんた、何がしたいんだ」

「わしはデータを取りたいだけじゃよ」

「そのために人の命を……」

 

 

この老人、もはや喰種(グール)異常の化け物だ、どうする、こんな人間殺した方が……けど、人殺しは……でも、僕は生屍(ゾンビ)を殺してる、生屍(ゾンビ)は元々は人間……殺す?殺さない?

 

 

「言っておくがこの爺さんは俺たちの恩人だ、お前らを含めてな、特に半喰種(グール)、お前はな」

「その通りですよ、だからこの実検は許された……」

 

 

そう言いかけたクローの部下の喰種(グール)を僕は殺したのだ。

 

 

「……意味不明だ」

「お前も俺の部下を殺した、同じだな」

「うるせぇぇ!!」

「さて、最後のデータじゃ」

 

 

老人が機械を操作すると巨人生屍(ゾンビ)とシオンが襲いかかってきたのである。

 

 

「やめろっ!!」

 

 

僕はシオンを赫子で防いだ。

 

 

「眼帯、でかいのは俺たちで何とかする、ナンブ」

「こんなの上等、どうやって」

「いいからやれっ」

 

 

上等とナンブは拳銃で巨人生屍(ゾンビ)に発砲したのだ。

 

 

「あなたは友達を何とかしてあげてください」

 

 

そして、キリタニも発砲したのである。

 

 

「……どうすれば……」

 

 

その時

 

 

「!!」

 

 

シオンから触手のような赫子が現れ僕は突き刺された。

 

 

「ぐっ……」

 

 

もうシオンは生屍(ゾンビ)なのか……だったら殺すしかないのか、シオンを……

 

 

「見るんじゃ、赫子を経由して彼にも菌が入り込んでおるはずじゃ、しかし、彼には何の変化もない」

「あの菌は喰種(グール)には効果がないってことか?」

「いや、あの菌は半喰種(グール)である彼女に効果がある、彼にも効果はでるはずじゃ」

「それじゃ……」

「今後、あの半喰種(グール)である彼から続けてデータを取る必要がありそうじゃ……さて、実検は終了じゃ」

 

 

僕はシオンの首に手をかけていたのだ。

 

 

「…………嫌だ」

 

 

やはり、僕にはできなかったのである。

 

 

シオンの赫子が僕を再び突き刺した。

 

 

「……殺すぐらいならこのまま……」

 

 

その時

 

 

「!!」

 

 

タワーの前にヘリコプターがやって来ていたのだ。

 

 

「クロー……」

 

 

クローと老人はヘリコプターに乗り込んでいたのである。

 

 

「さて、実検は終了じゃ」

「よく頑張ったな、また会う時を楽しみにしてるぜ」

 

 

そして、クローはヘリコプターからこちらにカプセルを投げヘリコプターは去っていった。

 

 

そのカプセルが床に落ちた瞬間に気体が飛び散ったのだ。

 

 

「!!」

 

 

その気体は広がりそれを吸ったシオンは赫子がいつもの状態に戻り巨人生屍(ゾンビ)は普通の大きさに戻り倒れたのである。

 

 

そして、気体は街にもどんどん広がり街にいたそれを吸った生屍(ゾンビ)たちは元の人間に戻っていった。

 

 

「上等、これは……」

「どうやらこの気体を吸うと生屍(ゾンビ)は元に戻るみたいだな」

「!!なら、生屍(ゾンビ)を殺す必要なんてなかったじゃねぇかっ!!」

 

 

キリタニは憤り拳銃を投げ捨てたのだ。

 

 

「……ん?眼帯とその友達がいない」

 

 

キリタニはこの場から眼帯とその友人がいなくなっていることに気が付いたのである。

 

 

「いなくなっちゃいましたね、上等」

「ああ、ことが住んだら駆逐してやろうと思ってたのになっ」

 

 

そして、上等は大笑いをしたのだった。

 

 

 

 

 

その頃、NI地区には生屍(ゾンビ)事件の終息と共にこの世界の軍隊である防衛省の隊員たちが入ってきていた。

 

 

 

 

 

「大丈夫か、シオン?」

「……ソラ」

「よかった……でも、安心はしてられない、NIタワーから逃げる喰種(グール)としてこの姿を見られてる普通に人間のフリをして出ることは無理だ、防衛省の軍隊が入ってきてる」

「どうするの?」

「何とか地下から逃げるしかない、地下からNI地区を抜けて野村珈琲(コーヒー)店までたどり着ければ何とかなる」

「……うん」

 

 

そして、僕とシオンは地下に入るが既に軍隊は地下まで迫ろうとしてきていたのだ。

 

 

「ソラ、どうしよう」

「強行突破するしかない、シオン、マスク取るなよ」

 

 

僕は指を鳴らしたのである。

 

 

「強行突破!?相手は軍だよ」

「けど、このままじゃ、素顔見られて逃げ切れても野村さんたちに迷惑かかるだけだ」

 

 

その時

 

 

「ソラっ!!」

「!!ハヤトっ……」

 

 

僕とシオンの前にはハヤトがいた。

 

 

「よかった、無事だったか」

「どうして?」

「地上が大変なことになってるって聞いたから心配になって来たんだ」

「そんな無茶なことを……軍隊がいるってのに」

「心配するな、地下なら俺の方が詳しい、こっちだ」

 

 

僕とシオンはハヤトに付いて走っていったのだ。

 

 

 

 

 

それから数時間進み僕たちは地下の深くまで来たのである。

 

 

「ずいぶん深くまで来たな」

「ああ、ソラ、この先をまっすぐ進むと地下にある喰種(グール)の地下街にたどり着く、けど、ソラたちや正式な方法で出てない俺が普通に入るのは危険だ」

「じゃどうする?」

「抜け道がある」

「ここに来るのも抜け道じゃないの?」

「まぁな」

「もう疲れた」

「ほら、シオン」

 

 

僕はシオンをおぶった。

 

 

「ありがとうソラ」

「いや、気にするんな」

「仲がよろしいことで……さて、こっちだ」

 

 

 

 

 

その後、さらに抜け道を通り用水路のような場所にたどり着いたのだ。

 

 

「みんな、泳げる?」

「人並みには」

「私も」

「この中に抜け道があるから潜って着いてきてくれ」

「まじで?」

「なんか楽しそう」

「「えっ?」」

 

 

そして、僕らはハヤトに付いて泳ぎ水の中にあった穴に入り別の場所に出たのである。

 

 

「この水の中が俺たちの仲間の抜け道だ」

「普通に出れないの?」

「厳しいんだ、地上に行く理由とかその他諸々、それに俺は反逆者みたいなもんだから今回みたいな理由じゃ無理、マスクも着けるし」

「まぁ、それもそうか」

「ああ……さて、この梯子を登ってくれ」

 

 

ハヤトと共に梯子を登り天井をずらすとある部屋に出た。

 

 

「ここが俺の部屋だ、明日になったらまた抜け出して別の地区の地上に繋がるルートへ案内する、ゆっくりしていけよ」

「「ありがとう」」

「けど、注意しておく、この外は地下の街で殆んど喰種(グール)だ、外へは出るなよ」

「ああ」

「私、匂い人間なんだけど大丈夫かな」

「ああ、人間を飼ってる喰種(グール)もいるから平気だ」

 

 

 

 

 

そして、次の日。

 

 

「これから別のルートの出口に向かうため街へ出る、ソラは片目を隠して喰種(グール)として、シオンちゃんは俺らの連れてる人間として行くよ」

「ああ」

「はい」

「間違えてもソラ、トラブルは起こさないでな」

「わかってる……それよりこの布意味あるのか?」

 

 

僕は赫眼じゃない目を隠すため眼帯として布で結んでいたのだ。

 

 

「この街にはそれの方が不自然ない」

「そうか」

 

 

そして、僕とシオンは普通の服に着替えハヤトと共に外へと出たのである。

 

 

「「「……………」」」

 

 

以外と広く周囲には多くの喰種(グール)がいた。

 

 

そこへ、

 

 

「おい、その人間、くれっ」

 

 

近くにいた喰種(グール)がシオンに近寄ってきたのだ。

 

 

「まてまて、これは俺らのだ」

 

 

その喰種(グール)をハヤトが止めたのである。

 

 

「なに、2人だけで1匹たべるのか?」

「そう言うわけじゃないが……」

「……1匹?」

 

 

1匹だと?殺すぞ。

 

 

そして、その喰種(グール)はシオンに触れようとした。

 

 

「触るな」

 

 

僕はその喰種(グール)の腕を掴んだ。

 

 

「おい!!やめろ、ソラ」

「……………」

「ひと口か、血ぐらいくれよ」

「人から預かってる人間だ、諦めてくれ」

「血ぐらいバレねぇって」

「いや……だから……」

「るせぇ、てめぇ殺すぞ」

「……ちっ、なんだよ」

 

 

そして、その喰種(グール)は去っていったのである。

 

 

 

 

その後、僕たちはとある場所に来た。

 

 

「ここは?」

「知り合い喰種(グール)のバーだ、さぁこの先に外へのルートがある」

 

 

僕たちはマスクを着けて隠し扉を開けるとその先へ向かったのだ。

 

 

 

 

 

そして、ハヤトの案内でさらに先へと進んでいったのである。

 

 

 

 

 

数時間後。

 

 

「よし、ここから進めば地上に出れる、もうソラたちはマスクを外してもいいだろう、俺はここまでだ」

「そうか、ハヤト、本当にありがとう」

「ありがとうございました」

「いや、ソラ、こちらこそソラには救われた、感謝するよ」

「ああ、またいつかどこかで」

「さようなら」

「ああ」

 

 

そして、僕とシオンはマスクを外しハヤトと別れ地上へと出ることができ何とか野村珈琲(コーヒー)店へたどり着き自分たちの世界へ戻ることができたのだった




ゾンビ編ついに終了です。

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