異空生物―喰種―イクーセイブツ―グール―   作:中2病人間M

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怪人

数十年後、とある異空。

 

 

この世界では3つの国家がありそれぞれ長期に渡り戦争が繰り広げられていた。

 

 

そして、ある国ではある物質を使い生物兵器を製造していたのだ。

 

 

「これか?」

「はい、こちらが新開発の兵器、怪人です」

「怪人?」

「ええ、あの物質をベースに細胞を造り変えた生物です」

「戦闘力は?」

「さほど高くありませんが銃器等による殺傷が不可能です、唯一の方法として素手による殺害はできますが」

「できるのか?」

「ええ、ですが隣国は兵器に頼り過ぎです、こいつには兵器は通用しません」

「なるほど……で、いつ実用可能だ?」

「すぐには…………安全装置と制御装置が完成すればすぐにでも投入できます」

「だが、こいつ1体か」

「こいつは人間を飲み込み数時間で怪人へと変えてしまうのです」

「……なに」

「制御装置があれば敵国を怪人まみれにし奴隷とすることができるはずです」

「素晴らしい……すぐに制御装置と安全装置に取り掛かれ費用はいくらかかっても構わん」

「ありがとうございます」

 

 

その時

 

 

「なっ……」

 

 

爆発が起き部屋が炎に包まれたのである。

 

 

「ぐぐ……なんだいったい……おいっ!!大丈夫か」

 

 

男は倒れている科学者を起こした。

 

 

「………怪人の……カプセルが……」

「なにっ!?」

「……この国……いや、この世…界は……」

 

 

 

そして、科学者は息絶えたのだった。

 

 

「おいっ!!………なんということだ……」

 

 

その時

 

 

「なっ!?」

 

 

爆発で割れたカプセルから中にいた怪人が出てきたのだ。

 

 

男はすぐに銃で怪人を撃つも全く効いてる様子がなかったのである。

 

 

「……銃は効かない……ならば殴り殺すのみ」

 

 

男は怪人に蹴りを加えた。

 

 

「たしかに効いてるな、安全装置が未完成の以上ここで倒すしかない、怪人の喪失は惜しいが致し方ない」

 

 

男はさらに怪人を蹴り飛ばしたのだ。

 

 

「とどめだっ!!」

 

 

しかし、男は怪人の反撃を受けたのである。

 

 

「なんて力だ、さほど高くないだと、しかし……」

 

 

男は怪人に蹴りを加えようとした。

 

 

その時

 

 

「なっ……」

 

 

怪人は男の足を掴んだのだ。

 

 

「離せっ!!」

 

 

そして、怪人は口を大きく開くと男を飲み込もうとしたのである。

 

 

「やめろぉぉ!!」

 

 

男は怪人に頭から口に入れられるとそのまま丸呑みにされたのだった。

 

 

 

 

 

数時間後、研究所では爆発の影響で起きた火災の鎮火で職員が総動員されていた。

 

 

「おい!!なんで爆発した」

「機器トラブルですよ」

「今はそなことどうでも…………なっ……」

「どうしました?」

「怪人が……」

「何ですか?怪人って」

「あそこにいるやつだ、ここの地下で開発されていた生物兵器だ、まさか爆発で外に……」

「やばいんですか?」

「それより鎮火を……」

「だめだ、ここで止めないとまずい」

「わかりました」

 

 

研究員は銃で怪人を撃ったのだ。

 

 

「無理だ、怪人にその手の武器は通用しない」

「え」

「では、どうすれば」

「素手なら倒せる、総力戦だ」

「私、腕力に自身が……」

「そんなこと言ってる場合じゃない」

 

 

そして、研究員たちは一斉に怪人に襲いかかったのである。

 

 

「よし、もう少しだ」

 

 

その時

 

 

「なっ!?」

 

 

怪人が口から何かを吐き出した。

 

 

「まさか………」

 

 

そして、吐き出された何かは怪人へと変貌したのだ。

 

 

「……しまっ……」

 

 

そのままその研究員は怪人に飲み込まれたのである。

 

 

「きゃぁぁぁぁ!!」

 

 

女性研究員も新たに誕生した怪人に飲み込まれた。

 

 

「嘘だろ……何だよ、怪人って」

 

 

怪人を造り出した研究所は不慮の事故で機能を失いさらにその影響で怪人を解き放ってしまったのだ。

 

 

しかも、その騒動で対応が遅れてしまい数日でその国は怪人まみれになってしまったのである。

 

 

その国は隣国に休戦と助けを求め隣国はその国との国境に壁を作るも結果的に怪人の流失を食い止められず大陸の2/3が人の住める地域ではなくったのだった。

 

 

残った人間たちは科学者を集結するも怪人は死ぬと気化し一切細胞を残さないため全く抵抗出来ず捕獲した怪人を研究するも有効な手段は得られなかった。

 

 

事態を重く見た時空移動の権威である科学者は過去の時間より怪人に抵抗する手段を得るために遥か昔へと時を超えたのだ。

 

 

 

 

 

「万歳!!大日本帝国万歳!!」

 

 

大日本帝国は太平洋戦争で大国アメリカに勝利したのである。

 

 

勝因はアメリカにいた科学者の裏切りであり、大日本帝国でさらなる研究設備の提供と引き換えに長崎、広島へと落とされようとしていた原子力爆弾が偽物へとすり替えられ本物は大日本帝国へと流失していた。

 

 

そして、その原子力爆弾はあろうことか開発したアメリカ本土へと日本軍により投下されアメリカ本土に多大なる被害をもたらしたのだ。

 

 

さらにこの攻撃の犠牲者にはアメリカの大統領を含む多くのアメリカ政府関係者が含まれアメリカは国として機能しなくなり実権が移った副大統領は恐怖により直ぐに大日本帝国へ降伏したのである。

 

 

これにより大日本帝国はさらに領土を拡大し大日本帝国の他国への侵攻は激しくなった。

 

 

さらにアメリカより接収した原子力爆弾の複製及び改良も行われ続々と他国を降伏させたのだ。

 

 

 

 

 

そして、昭和64年、大日本帝国、天皇陛下が亡くなったのだった。

 

 

その頃、大日本帝国国内では複数のテロ組織によるテロが勃発しており天皇陛下の訃報と共にクーデターが起こり大日本帝国は内戦が起きたのである。

 

 

さらにそれに乗じてアメリカやその他の大日本帝国の植民地だった各国が所持していた兵器を使用し大日本帝国本土を攻撃、事実上大日本帝国は消滅し北海道はソ連領土、沖縄は台湾領土となった。

 

 

そして、大日本帝国の墜落により世界のバランスが崩れ第三次世界大戦が勃発しその数十年後にソ連側の勝利により第三次世界大戦は終結し各国での紛争などは残るも戦争は終わったのだ。

 

 

第三次世界大戦の引き金となり第三次世界大戦の勃発と共に崩壊した大日本帝国は荒廃していたがかろうじて人々は生きており2つの国家に分裂し昭和天皇の皇太子であった新天皇陛下率いる東日本国とテロリスト集団の大統領率いる西日本国、第三次世界大戦の最中他国の介入を一切受けずに東と西で戦争を繰り返していたのである。

 

 

西日本国、京都、第三次世界大戦勃発の際の攻撃で殆ど建物が消失しさらに地下にあった大量の核兵器の暴発により現在は荒廃し大きな地割れとその後に建てられた西日本国の軍事施設があった。

 

 

 

 

 

40年前。

 

 

「本当なんだろうな、本当に菌で東を壊滅させるほどの生物兵器が造れるんだろうな」

「もちろんじゃ、東どころか世界征服も夢じゃない」

「そいつは面白い、もう、流石に原子力はもう使いたくないし使うつもりもない、他国の攻撃でここにあった核兵器が爆発し数十年間は防護服なしでは出られなくなってしまったからな、それに大日本帝国、特にこの京都の荒廃ぶりに他国も核兵器の使用を禁止する国際条約を結んだらしいしな」

「そうじゃの、まぁ、これは生物兵器じゃからな、この京都には核兵器の影響で変異した物が多い、この菌のベースのきのこもわしが知ってる物とも異なる物となっておる」

「知っている?どうゆうことだ」

「さぁのぉ……」

 

 

老人は14個のカプセルを並べたのだ。

 

 

「これは?」

「さて、このカプセルにはきのこの菌が入っておりそのうち13個は寄生すると宿主の身体を奪い脳と同化する、そして、13個の細胞を融合させると最強の生物兵器の完成じゃ」

「つまり菌の器を13体用意すればいいってことか」

「そうじゃ、13体の寄生体の細胞を最後の14体目の器に食べさせればよいのじゃ、しかし、注意じゃよ、この14番目の菌は脳を乗っ取る、脳を乗っ取られたら制御がきかなくなる」

「では、14番目のきのこの実験体をNo.0(0号)、その他を順にナンバリングしNo.13(13号)までとしよう」

「なぜじゃ」

「敵を滅ぼす不吉な存在だ、最後は13でいく」

「………なぜ、13が不吉かはわしにはわからんが……まぁ、よかろう」

「…………」

「それにしてもこの世界は本当に荒廃しておるの」

「ここ京都にはかつて核兵器の貯蔵施設があった、太平洋戦争でアメリカに勝利したあとアメリカから空爆の被害がなかった京都に昭和天皇が核施設を作ったが」

「もはや、どこに施設があっても同じことじゃ、クーデターと共にここぞとばかりに各国が日本に向けて攻撃をしたからの、むしろ、この程度で済んで幸運じゃ」

「……たしかにな、ただ、もし、太平洋戦争でアメリカに負けていればどうなっていたことか」

「………少なくともクーデターは起こせなかったの」

「………………まぁいい、再びこの国をひとつにするだけだ、天皇の首を取れば西日本国の勝利だ」

「さて、わしの協力はここまでじゃ」

「ご苦労」

 

 

 

 

 

そして、その後、西日本国は14人の実験台を用意したのである。

 

 

しかし、No.0〜13までの製造中、No.0が暴走したことにより施設に全ての実験台を凍結させ生物兵器計画は停止させた。

 

 

これにより西日本国は生物兵器を使えずにそれからもずっと武力行使による東西戦争は続いていたのだった。

 

 

 

 

 

その老人は今度は別の世界、我々の世界にいたのだ。

 

 

「そのカプセルは?」

「きのこの菌じゃ」

「きのこ?人間が食べる?」

「食用じゃない、このきのこの菌は他者の体に寄生し終いには脳を乗っ取る」

「そんな種類のきのこ聞いたことがない」

「それはそうじゃ、この世界の産物ではない」

「それは喰種(グール)の世界ということか?」

「………いや、喰種(グール)ではない、かといって別の異空でもない」

「それはどういうことだ?」

「…………」

「爺さん、あんたは一体何者なんだ」

 

 

以前、ソラと対峙した喰種(グール)、クローはある場所で老人と話していたのである。

 

 

「この世界と別の歴史を辿った並行世界だ」

「なに、それは……」

「………」

「答えろ」

「……わかった、平行世界はその世界と異なる歴史を刻んだ異世界のことじゃ、その世界では太平洋戦争で日本がアメリカに勝利している、しかし、結果的にそれが後の日本を荒廃させることとなった世界じゃ」

「パラレルワールド……ってやつか」

「そうじゃ、そして、わしの目的じゃが……」

「たしか、異空生物のハイブリッドを造り出すこと……と前に言っていたな」

「そうじゃ、まずはわしのいた世界の話をしよう」

「それが平行世界か?」

「いや、わしの世界はある異空生物がいる世界じゃ、その世界はその異空生物のせいで2/3の領土を隔離することになった」

「何があった?」

「ある組織がある物質で人体実験を繰り返し怪人と呼ばれる異空生物を造り出してしまった」

「怪人?」

「そうじゃ、そして、不慮の事故によりその怪人が外に出てしまった」

「何体だ?」

「1体じゃ」

「なに」

「1体でも怪人は脅威なのじゃ」

「そんなに強いのか」

「個体差はあるが人間とそんなに変わらない」

「まて、個体差だと……その怪人は1体の筈じゃ」

「そうじゃ、怪人は人間を飲み込みその人間を数時間で怪人に変える力がある、おまけに銃等の兵器では死なず肉弾戦での死滅は可能じゃが到底間に合わない」

「では、どうやって排除する?ウイルステロでも起こすのか」

「まず、ウイルスとは何種類かあるがそれはこの世界における異空物質じゃ、異空物質で他の異空物質を破壊することは不可能、お主らもウイルスには感染せんようにな、それに他のテロでも怪人を死滅させることは不可能、怪人のある酵素が破壊エネルギーを無効化してるようじゃ、なぜか人間の肉弾戦による運動エネルギーは殺傷可能じゃがな」

「では、怪人を利用するのは……クインケのように」

「できたらやっている、怪人は死ねば消滅し痕跡を一切残さない、つまり、怪人の死骸を元に兵器を作ることは不可能、生け捕りにし研究してる機関もあるがうまくいかないようじゃ、我々にできることは壁を作り残された土地を守るだけじゃった」

「で、爺さんは色んな世界を回って怪人に対抗する手段を探してると?」

「そうじゃ、わしは数多の研究をしておったがその中でも空間移動と時間移動は専門じゃった、と言っても平行世界で行けたのは1つだけじゃったがな」

「まて、時間だと!?」

「…………そうじゃ、今、この怪人の事件が起きるのは今から数年後じゃ」

「………」

「わしはいくつかの世界の歴史を調べてその世界の歴史に介入した」

「………つまり、爺さんはこの世界の行く末を知っていると?」

「知っていたじゃ」

「なに」

「すでにこの世界の時間はわしの介入により改変されておる」

「………」

「わしが介入した殆どの世界は歴史を改変しすぎたことで滅んでしまった」

「爺さん……あんた」

「だが、この世界と喰種(グール)の世界は既に全く異なる歴史じゃ」

喰種(グール)の世界もだと」

「そうじゃ、まずはわしは多くの世界の過去に介入しあるテクノロジー、その世界ではオーバーテクノロジーな科学力である空間移動の方法を与えたのじゃ、本来の歴史ではこの世界に喰種(グール)はおらずこの世界の異空生物の活動により壊滅するはずじゃった、しかし、いくつかの異空から異空生物が侵攻したことによりこの世界の政府が異空生物への対策が整いそれに伴い侵攻がなくなった」

「じゃ、爺さんは救世主ってわけか?まぁ、たしかに今の話が本当なら自分の世界のために時間を移動するなんて並大抵の覚悟じゃないな、けどな、だったらその怪人が出る前に止められねぇのか、止められなくてもその施設を壁で囲んじまうとか」

「それも考えたのじゃが、危険すぎるのじゃ」

「ん?」

「わしらの世界は3つの国によって成り立っておった、怪人が現れるまでは戦争を繰り返していたのじゃが怪人の事件が起きた国とは文字通り戦争中、それに怪人の研究施設に壁を作れば確実に戦闘になる」

「そうか」

「それに……」

「ん?」

「時間の操作は危険なんじゃ、最悪、自分の存在を消すことになる」

「は?なら、爺さんはなんでここにいる」

「他の世界じゃからな、わしが過去で与えた空間移動の技術は何をどうやってもわしらの世界には移動できまい、それに知る限り他の世界で自力で空間移動の技術を得たものはおらん、少なくともわしが関わった異空にはな」

「時間移動は?」

「空間移動よりも遥かに高度な技術じゃ、他には不可能じゃ、それにわしじゃって自由に時間を移動できるわけじゃない」

「ん?」

「指定の過去まで戻り、自分の来た時間までの道のりを移動できるだけじゃ」

「……つまり」

「例えば10年前に戻ればその10年前から10年後までの時間を移動できるんじゃ、一方通行じゃからな10年前に戻ったら任意でその5年後に移動はできるがその5年後から1年前、つまり、10年前の4年後には戻ったりはできないのじゃ」

「それじゃ、5年後に移動した後にやり残したことを思い出しても戻れないってことだな」

「その通りじゃ」

「しかし、爺さん、自分の世界を救うためとはいえ他の世界をめちゃくちゃにするとは」

「しかし、他はともかくこの世界の人間と喰種(グール)の世界の少なくとも喰種(グール)はわしを批難する資格はない」

「なぜだ?」

「この世界の人間は言った通り異空生物の侵攻がなくなっており崩壊を免れておる、喰種(グール)喰種(グール)の世界で人間によって殆ど駆除され消えた」

「まて、なぜだ、本来は空間移動はできないなら俺らのように他の異空に逃げた喰種(グール)がいなくて喰種(グール)は多いはずだ、なのに」

「簡単なことじゃ、わしが空間移動の知恵を与えた科学者がその開発にのめり込んだことにより本来の時間で開発するはずじゃった対喰種(グール)用の薬品が開発されなかった、その薬品は雨雲に混ぜて雨を降らせるだけでRc細胞を死滅させる」

「じゃ、つまり、その爺さんが入れ知恵した科学者って」

喰種(グール)を開発した科学者じゃ、元々は治療目的で開発してきたRc細胞をあることで心を病み改造人間、すなわち元祖喰種(グール)の開発を行ってしまった、元々は賢明な科学者だけにRc細胞が軍事利用されることを危惧し死滅させる薬品を作っていたが暴走し薬品を処分しようとしていたがその配合方法を当時の助手に裏切られ持ち出されたのじゃ、しかし、歴史が変わって薬品は開発されなかった」

「つまり、本来だったら喰種(グール)は抵抗する余地もなくさよならで人間のパラダイスか」

「そうじゃ、しかし、人間のパラダイスなどではない、喰種(グール)を造った科学者は自分自身も喰種(グール)へと改造しコールドスリープで後の世へと目覚めた」

「薬品は」

「その科学者には効果がない、薬品の安心感により人間は今よりクインケの技術が低く全く抵抗出来ずにほぼ滅ぼされたのじゃ」

「俺たちは爺さんに感謝しないとな」

「まぁ、実際、わしは感謝などいらぬ、それよりハイブリッドを造るのが先じゃ、わしが過去で仕掛けた世界で息があるのはここと喰種(グール)の世界のみ」

「そうだ、ハイブリッドって何だ」

「異空生物のハイブリッド、つまり、2つの異空生物の力を扱える個体を造る事」

「なぜだ?」

「異空生物は別の異空生物の力では攻撃できない、ある異空生物が別の異空生物へと異空生物の力、喰種(グール)で言えば赫子で別の異空生物へ攻撃をすればまるで赫子が透き抜けるようになってしまう、これは異空生物には2つの識別組織がありこれらを仮にAとBとすると同じ異空生物へ攻撃すると必ずどちらかがAならばAで受け、BならばBで相手も受けるため攻撃が可能、しかし、他の異空生物へ攻撃した場合、Aならば相手はBで受ける、逆も同じそのため攻撃が通らないのじゃ」

「………難しいな」

「まぁ、よい、しかし、2つの異空生物の力を同時に使えるのなら相手がA、Bどちらであっても無関係で攻撃できるはすじゃ」

「で、どうなんだ」

「色んな異空生物で実験をしたが拒絶反応を起こし失敗した、最初は混ざり合っても後に双方どちらかの異空生物が暴走し実験台は全て死亡した」

「で、どうするんだ」

「今、頼りにしているのは喰種(グール)の運動能力じゃ」

「ん?」

「人間による肉弾戦の怪人討伐部隊には限界がある、しかし、その中に喰種(グール)を混ぜれば……喰種(グール)なら腕力だけで怪人に対抗できる筈じゃ」

「なら、俺たちを使って怪人討伐部隊か?けど、あの半喰種(グール)が協力的な喰種(グール)、殆ど殺っちまったから頼りにならねぇぜ、俺とあの半喰種(グール)なら結構戦えるけど俺が目の前であいつの仲間殺害したからあった瞬間ドンパチかますぜ」

「それはわかっておる、あの半喰種(グール)は別の実験に使わせてもらう、それに仮にも喰種(グール)と人間の力を持っている、ハイブリッドの研究の手がかりになるかもしれぬ、そして、お主には前にも言った通り、わしのボディガードと実験用にお主のRc細胞を採取されてくれれば構わん」

「俺のRc細胞ってそんなに価値あるのか?」

「ああ、お主が想像している以上にわしの実験に適正じゃ、今回も……」

 

 

老人はカプセルを手にとったのだ。

 

 

「そうだ、忘れてた、そのきのこの菌のカプセルは」

「このきのこは冬虫夏草(とうちゅうかそう)をベースに様々な寄生するきのこの菌を掛け合わせたきのこじゃ、わしが唯一行けた平行世界で開発した菌なのじゃ、所謂、生物兵器じゃな」

「で、何に使う」

「この菌にはお主のRc細胞も掛け合わせておる」

「それは……」

「きのこの菌を撒き散らしそれに寄生された人間及び喰種(グール)はRc細胞により人間は喰種(グール)のようになり喰種(グール)はお主のRc細胞の影響を受け恐らく赫者のようになる……しかし、喰種(グール)は耐えることが出来ずに死滅するはずじゃ」

「……爺さん、爺さんのお陰で俺ら生きてるけどやることえげつないな」

「わしは自分の世界を守るためなら何人でも命を使わせてもらう」

「で、その菌はどこで撒くんだ?まさか、俺に使うのか?」

「Rc細胞のオリジナルに寄生させるのも見てたいが確実にただ赫子が強化されるだけだ、これを撒くのは喰種(グール)の世界の東京……4区のNI(エヌアイ)地区じゃ」

「4区……しかも、繁華街のNI地区か」

「わしらは専用のカメラで高見の見物じゃ」

「なんのために」

喰種(グール)のRc細胞を人間に与えるととうなるのか、そのデータを撮りたいのじゃ、喰種(グール)と人間の細胞が混ざれば全てがあの半喰種(グール)のようになるのか、これがハイブリッドの研究に役に立つデータが取れるかもしれぬ」

「そうか」

「お主の部下をひとり送り込むがいいかの?」

「もちろんだ、ただ……」

「わかっておる、わしがこの時代を出る前にお主の欲する物を用意しよう」

「ああ、俺は目的さえ叶えて貰えばいくらでも協力しよう……珈琲(コーヒー)淹れてやるよ、爺さん」

「ああ、すまぬの」

 

 

クローは珈琲(コーヒー)を淹れるため台所へ向かったのである。

 

 

冗談じゃねぇ、爺さんの話を要約すると本来の未来で喰種(グール)の世界の人間を滅ぼしたっていう科学者がその内目覚めるんだろ、喰種(グール)の世界にそのままいたら俺もその科学者と戦う羽目になるところだったのか、これは暫く爺さんにくっついてたほうが安全だな。

 

 

クローは珈琲(コーヒー)を淹れると老人へと渡したのだった。




今回は初のソラが登場しない回です、怪人とか老人は本当は裏設定のつもりだったんですが自分の中で整理させるために今回こう言う形で投稿させていただきました、老人は今のところはクローの協力者…とだけ覚えておいてください。

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