異空生物―喰種―イクーセイブツ―グール―   作:中2病人間M

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覚醒

「お待たせ致しました、ブレンド2つです」

「ありがとう」

 

 

大阪での出来事から少し経ち僕もようやく立ち直りはじめていた。

 

 

 

 

僕は仕事を終えて休憩室にいるとシオンが話しかけてきたのだ。

 

 

「ナグモ先輩、大丈夫ですか?」

「ん?ああ、もう平気だ、シオン」

「よかった」

「けど、あのクローを殺さないとダメだ、あの喰種(グール)は危険すぎる」

「でも、本当に無茶しないでくださいね、赫者ってあんま良くないイメージがあるから」

「………」

「……シオン」

「!!あ、ごめんなさい、アヤノさん、別にアヤノさんのこと言ったわけじゃ」

「いいのいいの、気にしないで……それより気分転換にふたりで出掛ければ」

「………いくか?」

「うん……あ、私お寿司食べたい!! 」

「回るやつな」

「ケチー」

 

 

 

 

 

そして、次の日。

 

 

「うわ、ソラ、お前、べジータかよ、片手で腕立て伏せとか」

「べジータになれたらクローも他のクソ喰種(グール)も皆殺しにできるのに」

「お前、日に日に過激になってくな」

「当たり前だ、ダイチ、俺は一生をかけてでも人を喰らう喰種(グール)をこの世界……いや、全ての世界から排除する」

「…………」

「ん?どうした」

「殺しても殺してもいくらでも人を殺す喰種(グール)は現れるんだよな」

「ああ、全ての喰種(グール)を殺す以外に完全にこの戦いを終わらせる方法はない」

「でも」

「わかっている、そんなことは出来ないし、するつもりもない…僕にとって人間として生きている喰種(グール)は人間と変わらない」

「それじゃ人を殺す喰種(グール)だけ殺すのか」

「仮にそいつらを根絶やしにしてもいつまた人を喰らう喰種(グール )が現れるかわからない、だから絶対に終わらない、人だって何かの拍子に人を殺めることもある、それと同じように」

「……ソラ」

「けど、今は目の前にいる命を救うこと、そして、現状の喰種(グール)を全て殺れば世界は変わるはずだ」

「ああ」

「さてと、そろそろ行くか」

「ん?シフトか」

「いいや」

「じゃ、捜査か」

「それも違う」

「ん?じゃ、どこ行くんだ」

「………」

「……その顔はつまり、あっちの世界の……」

「そうだ、狩りだ、もし、対策部の緊急出動ならノムラ珈琲(コーヒー)店を通じて僕の向こうの通信端末に連絡が入る」

「そうか、気をつけてな」

「ああ」

 

 

 

 

 

そして、僕はあっちの世界で喰種(グール)と対峙していたのである。

 

 

「あれはまさか……」

「眼帯の喰種(グール)

喰種(グール)を狩り、そして、喰らう喰種(喰種)

「おやおや、歓喜、感激、僕も有名になってきた」

 

 

僕は指を鳴らして鱗赫を出した。

 

 

そして、喰種(グール)たちもそれぞれ赫子を出したのだ。

 

 

「フンフン、匂いを嗅ぐ限り羽赫の君はいいエサになりそうだね、けど、他は雑な魚、所謂、雑・魚(ザ・コ)っ!!」

 

 

喰種(グール)たちは一斉にソラに向かうが数分後には肉片に変わり羽赫の喰種(グール)はソラに喰われていたのである。

 

 

「あー、もっと強い喰種(グール)を喰らわなければ、もっとだ」

 

 

そして、捜査でもソラは優先してレートの高い喰種(グール)の対処をした。

 

 

無論、いくら再生能力の高いソラでも危険な場面はあり命を落としかけたこともあったが日に日に赫子は色を濃くして行き赫者の赫子がソラの体を覆う面積は広がっていったのだ。

 

 

 

 

 

「けど、赫者の赫子が完全に覆う時っていつなんですかね?店長」

 

 

僕は仕事中に野村珈琲(コーヒー)店で店長に赫者の赫子のことを聞いたのである。

 

 

しかし、

 

 

「さぁ、わからないな」

 

 

どうも店長は知っているが教えていないようだった。

 

 

そして、店長が場を外したときアヤノさんが僕に話しかけてきた。

 

 

「あのね、赫者の赫子が全身を覆った状態を完全体って言うの」

「完全体?」

「うん、たしか条件は赫子に精神を狂わされないこと 」

「え、けど、僕は狂ってないですよ、少なくとも赫子の影響では」

「う~ん、そこはわかんない」

「……そうですか、ありがとうございます」

 

 

 

 

 

僕はあのスナックへ向かったのだ。

 

 

「おや、どうしたん?」

「どうも」

「情報かい?」

「ええ、赫者についてです」

「……………」

「………どうしました?」

「私は捜査には惜しげもなく情報を渡しているよ」

「はい?」

「笑っちゃうほど昔にあっちの世界からこっちに紛れ混んでやばかったときに対策部には助けてもらったし、店でたまに暴れる敵性の喰種(グール)には迷惑かけられてるし」

「ん?敵性の喰種(グール)?そういやママさんはお店に来たそいつらを入店拒否しないんですか?」

「あんな、ここは店なんだ、来る客は拒まない、ま、捜査で聞かれたら協力するし本当に暴れる奴は出禁にするけど」

「なるほど」

「で、赫者のことだけど」

「はい!!」

「それはあんた個人が知りたい情報でしょ、だからそう易々と教えることはできないんだよ」

「………そう…ですか」

「教えるにはな、物か情報の交換、場合によっては金も有り得る」

「赫者の情報は金では……」

「無理だね特に喰種(グール)関係では金はあり得ないね、そんな易々と金で取引してたら情報漏洩で私は捕まっちゃうよ、喰種(グール)含む異空生物のことは国家どころか国際機密だからね」

「そうですよね」

「すまんな」

「いいえ、捜査の時はまたよろしくお願いいたします」

「あいよ」

 

 

 

 

 

そして、次の日、僕は学校にいたのである。

 

 

いったい、どうやったら完全体になれるんだろうか。

 

 

その時

 

 

他の教室から悲鳴が聞こえた。

 

 

「なんだ!?」

「先輩っ!!」

「シオン、何事?」

「外に……」

「外………なっ……」

 

 

外を見ると校庭に100を越える喰種(グール)がおり何人かの生徒の死体が転がっていたのだ。

 

 

「先輩!!」

「お前は来るな 、あいつら一人残らずぶち殺してやる」

 

 

僕はマスクも着けずに校庭へ飛び出し赫子を出現させ手当たり次第に喰種(グール)を殺したのである。

 

 

「数が多い……赫者で一気に……」

 

 

その時

 

 

「いやぁ、すごいな、ヘッジホッグを倒しただけのことはある」

「お前は………!!………前に書類で見たことがあるレートSSS喰種(グール)、クラーケン」

「ほう、知っていたか」

 

 

クラーケン、レートは最高ランクのSSS、今、この対策部で一番危険度の高い喰種(グール)だ、そして、赫者。

 

 

「大阪でヘッジホッグを殺した君に挨拶したくて僕の部下を全員連れてきたよ」

「ふざけるな!!こんなことして、罪のない人たちの命を……」

 

 

僕は指を鳴らしクラーケンに向かった。

 

 

しかし、

 

 

「なっ!?」

 

 

クラーケンから現れた8本のまるで吸盤のような赫子のうち4本に僕は拘束されたのだ。

 

 

「!?」

 

 

僕の赫子はクラーケンの赫子に絡まれ動けず口を赫子で塞がれてるため肉を噛めず赫者になれなかったのである。

 

 

「バカだね、通常の状態で攻撃するとは赫者になってからすればまだ少しは善戦できたかもなのに」

「ぐっ……」

 

 

鱗赫に尾赫、こいつ2種持ちだったのか、知らなかった。

 

 

「さてと、君をじわじわと痛めつけてから殺して喰ってやる、隻眼の喰種(グール)、いったいどんな味だろうか」

 

 

その時

 

 

「先輩っ!!」

 

 

甲赫を出現させたシオンがクラーケンに向かってきた。

 

 

ジィオン(シオン)!!」

「はっ、なんだてめぇ」

 

 

シオンは残っていたクラーケンの赫子で弾かれたのだ。

 

 

「俺に攻撃するとはただのバカかな……………ん……!!隻眼……こいつ隻眼だ、隻眼が2体……お前ら隻眼祭りだ!!」

 

 

部下の喰種(グール)たちが一斉に笑い始めたのである。

 

 

「そろそろ対策部が来るだろう、よし、急いで撤収するぞ……その前に」

 

 

クラーケンは赫子でシオンを叩きつけた。

 

 

「うぐっ……」

いゃめろ(やめろ)ぉぉっ!!」

 

 

シオンは吐血しへたりこんだのだ。

 

 

「暴れても無駄無駄、おい、お前、あの隻眼を味見してやれ」

「よろしいのですか?」

「ああ、頭からかぶりついてやれ」

「かしこまりました!!」

 

 

部下の喰種(グール)数名がシオンを押さ指示を受けた喰種(グール)がシオンの頭に噛みついたのである。

 

 

「いやぁぁぁぁぁ!!」

ジィオォォン(シオォォン)ッッ!!」

「だから無駄だよ、さぁ、脳みそまで噛み千切ってやれ!!」

 

 

そして、ブチンという鈍い音が響いたのだった。

 

 

「……………何の音だ」

「………クラーケン様、あれ……」

「ん?………………………………………なっ!?」

 

 

拘束していたソラが赫者となりクラーケンの赫子を破壊していた。

 

 

「なにっ!?何故、赫者に……………!?赫子が全身を覆っている、まさか完全た……」

 

 

言い切る前に赫子でクラーケンは吹っ飛ばされたのだ。

 

 

「…………」

 

 

僕は指を鳴らすとシオンを押さえていた喰種(グール)たちを殺したのである。

 

 

「………完全体だと……まぁいい、俺の方がレートは高い、完全体だろうと俺の方が上だ」

 

 

クラーケンは自身の肉片を飲み込むと赫者になり向かってきた。

 

 

僕は指を鳴らすとクラーケンの赫子を全て防ぎ鱗赫と赫者の赫子で交互に攻撃したのだ。

 

 

「ぐっ……貴様……………………!!……喰ったのか」

 

 

クラーケンはようやく気づいたのである。

 

 

攻撃されている最中に赫者の赫子に覆われていない部分を僕に数ヶ所喰われていたことに。

 

 

「貴様ぁぁぁ死ねぇぇ!!」

 

 

僕は指を鳴らした。

 

 

 

 

1分足らずでその場には身体中を喰い荒らされ手足を全て分断されたクラーケンが転がっていたのだ。

 

 

「………や…めろ……見逃してくれ……」

 

 

僕はニヤリと笑い指を鳴らし赫者の赫子を尾赫にすると奴の胸を切り開き心臓を取り出したのである。

 

 

「がっ……」

 

 

僕はその心臓を頬張るとクラーケンに目をやった。

 

 

「がっ……覚…えて…いろ……呪いごろしてや……」

 

 

僕は赫者の赫子を甲赫にしクラーケンの顔面を潰したのだった。

 

 

「やばいっ、クラーケン様が……」

「まずいぞ」

「逃げろっ!!」

 

 

クラーケンが死んだことにより部下の喰種(グール)たちが逃げ始めるが僕は指を鳴らし殺し回ったのだ。

 

 

「うわぁぁぁ!!」

「押すなよっ!!」

「逃げろ逃げろ!!」

 

 

遠くにいる喰種(グール)は羽赫で殺して近くは他の赫子で殺してひとり残らず殺したのである。

 

 

そして、僕は赫子を全てしまいシオンに駆け寄った。

 

 

「シオン!!」

「せ、先輩……」

「ごめん……俺が弱かったばかりに……痛いよな」

 

 

僕はシオンの頭の傷を撫でたのであった。

 

 

 

 

 

その後、対策部に僕らは回収されシオンは治療、僕は何種類かの検査を軽く受けていたのだ。

 

 

「先輩」

「シオン、大丈夫か?」

 

 

部屋に入ってきたシオンの頭には包帯が巻かれていたのである。

 

 

「痛いけど喰種 (グール)だからすぐ治ります」

「……………」

「先輩?」

「シオン、もう俺学校には行かないや」

「!?どうして」

「今回の襲撃で生徒が何人か犠牲になってる、間違いなくあいつらを引き寄せたのは僕だ、どんな顔して高校へ行けばいい」

「……真顔」

「はっ?」

「たしかに先輩が引き寄せましたけどそれは先輩のせいじゃないです、なんか言ってくる人がいても前に無関係の喰種(グール)が紛れ混んできたことがあったじゃないですか、私と先輩が知り合う前に、それを撃退したのは先輩だぞーってソラ先輩がいなかったらとっくにみんな殺されてるよーって言いましょう!!……て、さすがに大きな声では言えませんけどね」

「いや、それ開き直りじゃん、つか、真顔かんけーねぇな、ん?なんでソラ先輩……」

「……………………………先輩っ……」

 

 

シオンの目から涙が溢れ僕に抱きついてきた。

 

 

「シオン!? 」

「先輩……私、先輩のことが好きです……私、一緒に高校生活送りたいです、お願いです、やめないで……」

「シオン……」

「先輩……」

「………ありがとう……」

「えっ」

 

 

僕はシオンを撫でたのだ。

 

 

「一緒の高校にシオンがいてくれてよかった……わかった、やめないよ、開き直るつもりもないけどちゃんと高校行って今回のことと向き合う」

「先輩……」

 

 

僕はシオンを抱き締めたのである。

 

 

「シオン、これからもよろしくな」

「はい、ソラ先輩……ううん、ソラ」

「ああ」

 

 

きっとひとりではどうにもならなく心が折れてしまっていただろう、赫者の完全体として覚醒しても何も成し遂げられない、でも、シオンと一緒なら……いや、シオンだけじゃない、ダイチやカナさん、そして、対策部のみんな…………僕はひとりじゃない。

 

 

そして、僕はシオンを強く抱き締めたのだった。




ソラが赫者として完全体になりました、そして、シオンと……とまぁ、SSSレートを秒殺したのでソラも文句なしのSSSです、『レートSSSover眼帯』って感じで

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