異空生物―喰種―イクーセイブツ―グール―   作:中2病人間M

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彩乃

「いらっしゃいませ」

「府中駅前警察署のアマタです」

「?はい」

「近くで起きた殺人事件の捜査をしてまして少しよろしいでしょうか?」

「え…えぇ」

 

 

僕はフジさんに内緒でシェフを殺した後、単独で足立区にある精肉店を片っ端から調べていた。

 

 

「犯行に使われた凶器の形状が精肉店などで使用されるミートカッターに酷似していたのでご協力お願いいたします」

「はい…」

 

 

この人は人間だけど中に何かあるかもしれない。

 

 

その後、中を見させて貰うもこれといった物はなかったのだった。

 

 

「こちらの機器は全て犯行の物とは形状が異なりますね、ご協力ありがとうございました」

「はい」

「あ、最後にひとつお聞きしてもよろしいですか?」

「ええ」

「何か些細なことでも構いませんので同業者の中で変な業者はいませんか?」

「変なと申しますと?」

「例えば他人を絶対に中に入れないとか、あとは異常な大きさの機器を揃えているとか…」

「さぁ…」

「そうですか、ありがとうございました」

 

 

僕はその精肉店を後にしたのだ。

 

 

 

その後、僕は数件の精肉店や精肉工場をまわったが特段これと言った情報がなかったが次の精肉工場でようやくある精肉店があのシェフのいた肉バルに肉を卸していたという情報を聞きその精肉店へ向かったのである。

 

 

「あの肉バルですか?」

「はい」

「たしかに卸してましたね、えぇと牛肉と豚肉に鶏肉少々…」

「猪は?」

「猪…ですか?」

「えぇ…僕も一回お邪魔したんですけど猪のハンバーグが絶品で……っと、話がずれましたね猪の仕入れ先にもお話をお聞きしたくて…」

「いや、わからないです、それよりこの近辺で猪の肉なんて卸してる所あるのかな?」

「……そうですか…ご協力ありがとうございました」

 

 

その後も何軒も聞き込みするも情報は得られなかった。

 

 

「こうなったら…」

 

 

僕はあのスナックに向かったのだ。

 

 

スナックの入り口には看板を出しているエリさんの姿があったのである。

 

 

「どうも…」

「あ、また来たんだ」

「えぇ、もう営業時間ですか?」

「ううん、まだだよ」

「ママさんはいますか?」

「中にいるよ、あ、シェフはどうだった?」

「情報ありがとうございました」

 

 

そう言いながら僕は親指で首を切るジェスチャーをした。

 

 

店内に入ると、

 

 

「あ、また来たのか?」

「えぇ、捜査に行き詰まりまして」

「シェフはやったの?」

「えぇ、ありがとうございました」

「で、ペガサスの情報は掴んだ?」

 

 

僕は首を横に動かしたのだ。

 

 

「でも、シェフの店内にパックされた人肉があり恐らくどこかの精肉店か工場に人肉を卸している所があると思って手当たり次第やったのですがどれも外れで、シェフの肉バルに猪以外の肉を卸している精肉店はわかりましたがそれもシロでした」

「猪…か…」

「はい、猪って恐らく人の隠語だと思うんですよ」

「そうだろうね」

「それでご存知ないですか?猪を卸している業者」

「うん…残念ながら足立区には私の知る限りそんな業者はないね、そもそも猪自体狩猟とかで手に入る肉だし」

「……そうですか」

「けど」

「!!」

「猪を専門的に取り扱ってる喫茶店ならあるよん」

「え?」

「ママ、あそこですか?」

「そうそう」

「どこです」

「う~と…」

「たしか区役所の近くにあるboar&coffeeってお店だよ、主に珈琲(コーヒー)と猪の肉を出すお店」

珈琲(コーヒー)があるのか…行ってみるか……ありがとうございました」

「今度、飲みに来てね」

「え…ああ、成人したら来ます」

「あ、未成年!?」

「嘘ぉぉぉ」

「では」

 

 

 

僕は教えてもらったお店へと向かったのである。

 

 

「お店は休みか…」

 

 

僕は裏にまわってインターホンを鳴らした。

 

 

『はい、どちら様』

「府中駅前警察署のアマタと申します」

『!?はい』

「どうかされました?」

『いえいえ…あのご用件は?』

「この近辺で先日、殺人事件がありましてそのための巡回をしています」

『そ…そうなんですか…』

「あの、もし差し支えなければ包丁等を見せていただくわけにはいかないでしょうか?」

『えぇ!?見るって何を…』

「そうですね、主に形状と血液反応を確認します」

『えぇ!?オーナーに確認して来ます』

「はい」

 

 

この建物から人を殺す喰種(グール)の臭いがプンプンだった。

 

 

そして、裏の扉が開いたのだ。

 

 

「オーナーの了承が得られました…どうぞ」

「ご協力感謝いたします」

 

 

僕が中に入った、

 

 

その時

 

 

「……」

 

 

僕は数人に羽交い締めにされ檻のようなところに放り込まれたのである。

 

 

「ペガサス様、いいんですか…警官捕まえて」

「問題ない、ここじゃ無線も繋がらないしな」

 

 

僕の前に白い馬のマスクをつけた喰種(グール)がいたのだ。

 

 

やはり、ここにいた喰種(グール)がペガサスだった。

 

 

そして、ペガサスが奥へと消えると音楽が流れ始めたのである。

 

 

「いやぁぁぁぁぁ!!」

「助けてぇぇぇ!?」

 

 

音楽が流れた途端に檻の中の人々が一斉に騒ぎ始めた。

 

 

「さてさて、今日、ドナドナされるのはだぁれ?」

 

 

そう言いながら喰種(グール)は僕の入っていた檻を開けて隣にいた中学生ぐらいの女の子の手を掴んだのだ。

 

 

「!!」

「本日の注文は若いお肉、君に決定です」

「いやぁぁぁぁ!?ママァァァ!!いやぁぁぁぁ!?」

「…………」

 

 

僕はRcバレットを取りだしその喰種(グール)の顔面を撃ったのである。

 

 

 

数分後

 

 

「抵抗したら駆逐するって言ったのにな…」

 

 

僕はその場にいた喰種(グール)を皆殺しにした。

 

 

「あとはペガサスか…」

 

 

 

屠殺(とさつ)は終わったか?」

「はい」

 

 

そういうペガサスの横に手下の喰種(グール)の生首が転がってきたのだ。

 

 

「!!」

「ペガサスさん…残りは貴方だけだ…さて、てっとり早く屠殺させてもらいますよ」

 

 

僕は指を鳴らして鱗赫をペガサスに向けたのである。

 

 

「対策部だと…チッ…」

 

 

ペガサスは白い羽赫の赫子を出した。

 

 

そして、ペガサスは羽赫を乱射するも僕は鱗赫で羽赫を弾きペガサスに振りかざしたのだ。

 

 

「!!」

 

 

ペガサスは羽赫を固定して鱗赫をガードするとすぐに羽赫を乱射したのである。

 

 

「ぐっ…」

「刻み殺してやる!!」

 

 

ペガサスは羽赫を再び固定し僕に斬りかかろうとした、

 

 

その時

 

 

「!!」

 

 

マスクを着けた甲赫の喰種(グール)が現れペガサスの羽赫をガードしたのだ。

 

 

「!?シオン」

 

 

そうそれはシオンだったのである。

 

 

さらに、

 

 

「!!」

 

 

ペガサスを誰かが鱗赫で攻撃しようとしたがペガサスはそれをよけた。

 

 

「!!アヤノさん」

 

 

シオンに続いて現れたのは野村珈琲(コーヒー)店で働いている喰種(グール)、白石 彩乃だった。

 

 

そして、アヤノさんの口から思わぬ言葉が飛び出したのだ。

 

 

「パパ!!」

 

 

アヤノさんはペガサスをパパと呼んだのである。

 

 

「……………アヤノ…」

「悪い、状況が理解できない、説明してくれないか?シオン」

「うん、あの喰種(グール)はアヤノさんの育て親なんだって」

「育て親………というよりなぜここに?」

「あの…先輩が心配になってどうしようもなくなって…それでアヤノさんとここへ…」

「パパ!!もうこんなことはやめて…」

「………………だまれ、恩を仇で返しやがって…」

「パパ……」

「お前を娘だと思ったことはない」

「え……」

「お前はただのゴミ処理係りだよ……がっ!!」

 

 

僕は鱗赫でペガサスに一撃喰らわした。

 

 

「わりぃ、あまりにも腹立ったんでやっちまった…」

「おのれ……」

「やっぱ状況理解できねぇな」

「あのね、先輩」

 

 

シオンいわく、アヤノさんは幼少期にあっちの世界とこっちの世界を行き来する指輪を持っていたらしい、しかし、その指輪はランダムで決まる場所から異空間に入り本人の希望を叶える場所に指輪を付けた者を送り出す、アヤノさんの場合はどうしようもない空腹になり『とにかく腹を満たしたい』と思いながら異空間に入ったためここへきたそうだ。

 

 

「お前が抜けてから喰種(グール)の死体を処理するやつがいなくて困ったぞ…」

 

 

つまりだ、ペガサスは自分の敵になる喰種(グール)を殺しアヤノさんに喰わせることで処理していたということだ。

 

 

「僕は決めた……」

「は?」

「ペガサス…必ずお前を殺す…」

 

 

僕は指を鳴らし再び鱗赫をペガサスに振りかざしたのだ。

 

 

「!!」

 

 

しかし、僕の鱗赫はペガサスの羽赫に軽く跳ね返されたのである。

 

 

「先輩!!」

「ペガサスめ、さっきは本気を出してなかったな」

「俺を殺すだって?いいだろう、ここにいる全員殺してやろう……悪いな、アヤノ、お前はもう不要なんだよ…」

 

 

しかし、

 

 

「赦さない…」

「ん?」

「私は……パパの期待に答えようとまずい肉を残さず食べたのに……赦さないっ!!」

 

 

アヤノさんの赫眼の色が濃くなっていた。

 

 

「この感じ…まさか…」

「アヤノ……落ち着け…パパはアヤノを愛しているよ…」

「…………お前なんてパパじゃないぃ!!」

 

 

次の瞬間、アヤノさんの身体から黒い赫子が大量に出現し瞬く間に身体を一部を残し覆ったのだ。

 

 

「赫者……」

「アヤノさん……」

 

 

しかも、アヤノさんの赫者の赫子は本来の赫子の数倍大きく巨大だった。

 

 

「パァパァ……シンデェェ!!」

 

 

アヤノさんは鱗赫と赫者の赫子をペガサスに振りかざしたのである。

 

 

「くっ……」

 

 

ペガサスは何とか防ぐも赫者の赫子が甲赫に変化しペガサスは甲赫に叩きつけられた。

 

 

「チッ…」

 

 

ペガサスは不利だと判断したのか扉を開けて逃亡したのだ。

 

 

「パパ~ニゲチャッタァァ………………………オナカフィタァナ……アレレ…イイニォイ……ナンカオイシソウナノガフタツゥゥゥ!!」

「シオン!!」

 

 

僕はシオンを抱えアヤノさんの赫子をかわしたのである。

 

 

「アヤノさん……」

「シオン…下がってろ…」

 

 

僕は手の肉を一口かじり赫者へと変化した。

 

 

「ワダヂィトオンニャヂィィィィィガァァァァァダァァァグルゥゥゥ!!」

 

 

駄目だ、アヤノさんは完全に自我を失ってる……

 

 

「くっ…」

 

 

僕はアヤノさんの赫子を防ぎながらアヤノさんに致命傷にならないように攻撃したのだ。

 

 

しかし、

 

 

「がっ…」

 

 

僕は甲赫を腹に押し付けられたのである。

 

 

「ぐっ……」

「先輩!!」

 

 

シオンは僕を助けようとするも鱗赫に阻まれしまった。

 

 

「シオン!!」

 

 

その時

 

 

「なっ…」

 

 

天窓が割れ何者かが入ってきてアヤノさんを蹴り飛ばしたのだ。

 

 

「フジさん……」

「……なに、単独行動している」

「すいません、でも、殺されるとこだった女の子助けられました」

「……そうか」

 

 

フジさんはアヤノさんを見たのである。

 

 

「……シライシ…」

「フジさん…」

「……ソラ、液体にしたトリカブトを持ってきた、シライシを押さえ込み無理やり飲ませる」

「はい!!」

「フジさん、先輩、私も手伝います」

「シオン……」

「……無茶はするな」

「はい」

 

 

フジさんは羽赫を出してアヤノさんの赫子に向けて羽赫を乱射した。

 

 

「キィィタァァァァ」

 

 

しかし、アヤノさんは甲赫に変化させ羽赫を防いだのだ。

 

 

「ハネェェェェ!!」

 

 

アヤノさんは今度は羽赫に変化させ乱射してきたのである。

 

 

「アヤノさん!!」

 

 

シオンは甲赫で羽赫を防ぎアヤノさんに一撃喰らわした。

 

 

「イッテェェノォォォォッテテテ!!」

 

 

シオンは2つの鱗赫で弾かれたのだ。

 

 

「きゃぁぁぁ!!」

「シオン!!……アヤノさん、ごめん」

 

 

僕は赫者の赫子を甲赫に変化させアヤノさんの腹を突いたのである。

 

 

「ウプッ……」

 

 

そして、フジさんが飛び出しトリカブトをアヤノさんの口に流し込もうと瓶の蓋に手をかけた、

 

 

その時

 

 

「がっ……」

「フジさん!!」

 

 

フジさんは2つの鱗赫に腹を突かれたのだ。

 

 

「……今のうちに…」

「!!」

 

 

僕は赫子を全て鱗赫にしアヤノさんの体を拘束し2本の鱗赫で口を開けさせたのである。

 

 

「……ソラ!!」

 

 

フジさんはトリカブトの瓶を投げ、僕はそれをキャッチすると蓋を開けアヤノさんの口に流し込んだ。

 

 

「ガッガッガッガッ………ギャァァァァァ…」

 

 

僕はアヤノさんの口を上に向けさせ鱗赫で押さえ吐き出さないようにしたのだ。

 

 

そして……

 

 

「パパ……」

 

 

アヤノさんの赫子はみるみる崩壊して行きアヤノさんは元の姿に戻り気を失ったのであった。

 

 

「アヤノさん……よかった…」

「フジさん!!」

「……心配ない、命に別状はない……」

「………………………ペガサス……絶対に許さねぇ!!シオン、フジさんとアヤノさんを頼むよ」

「先輩!!」

 

 

僕はペガサスを探しにこの場を飛び出したのである。

 

 

 

 

「おかげで大損した……ほとぼりが冷めるまで隠れてるか……それにしてもアヤノめ、いずれ殺してやる……」

 

 

その時

 

 

「ペガサスゥゥゥ!!」

「!!」

 

 

僕は全ての赫子でペガサスに攻撃した。

 

 

「ぐっ…赫者だと…貴様…」

「言ったはずだ、てめぇを殺すってな!!」

「チッ…」

 

 

僕の鱗赫に対しペガサスは羽赫を固定したのだ。

 

 

「貴様こそここでしねぇ!!」

「ぐっ…」

 

 

ペガサスが羽赫を乱射し僕はそのまま転がったのである。

 

 

さすがにSSレート他とは一味違う。

 

 

僕はペガサスの乱射してくる羽赫を交わすも、

 

 

「がっ……」

 

 

固定した羽赫で僕は上半身と下半身を分けられた。

 

 

「あーあー、やっぱ弱いな……なぁ、死ぬ前に教えてくれよ、アヤノの家、わかるか?あいつ殺してやりたいんだよ……」

「………………………………………」

 

 

僕は上半身から鱗赫を出してペガサスに振りかざしたのだ。

 

 

「!!」

「さっきから嘗めたことばかり抜かしてんじゃねぇよ…」

 

 

僕は転がっている下半身を赫子で接着し元通りになったのである。

 

 

「てめぇ、なんだその再生力……」

「るせぇ……死ねよ!!」

 

 

僕は全ての赫子をペガサスに何度も振りかざした。

 

 

「くっ…この程度……」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

僕は全ての鱗赫でペガサスを突き刺そうと突っ込んだのだ。

 

 

「嘗めるなっ!!」

 

 

ペガサスは羽赫で鱗赫を防いだのである。

 

 

「絶対にお前は許さなねぇぇ!!うぉぉぉぉぉ!!貫けぇぇぇぇぇ!!」

「なっ……」

 

 

羽赫を砕き僕は鱗赫でペガサスの腹を貫いたのだった。

 

 

 

その後、現場に駆けつけた対策部によって殆ど肉片と化し心臓のなくなったペガサスの遺体がヘリコプターに積まれていったのである。

 

 

駆けつけたミトさんたちによるとフジさんとアヤノさんは対策部で治療を受けているが命に別状はないそうだ。

 

 

「もっと多く助けるにはもっともっと力が必要だ…」

 

 

僕はみんなを助けるにはもっともっと喰種(グール)の力が必要だと思ったのだった。




白石 彩乃は通常Aレートとされていますが赫者になればSSレートになります、因みにこれは特例であり通常喰種は赫者なども含めてレートが決まります、ソラはSSかな?

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