転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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そのまま……でも、題名より、宴会場準備組の描写が多い様な…。


96 レ級との初顔合わせ

翌日 マルタ鎮守府内

 

 

 

「イヤ〜、ナンカ、噂ハ聞イテイタガ会ウノハ始メテダナ」

 

「えぇ、私もまさかあのレ級とこんな形で話す事になるとは思わなかったわ」

 

件のレ級を中心に松島宮、滝崎、カルメン、シェロン、レナータ、レベッカ、これに山本大佐、エーディット、アレッシア姉妹を囲んでの会談であった。

 

 

「トコロデ、タカツカハ?」

 

 

「高塚は今日の宴会の準備係。まあ、何度も話してるから、内容は宴会の時に聞く、ってさ」

 

レ級の質問に滝崎が答えた。

 

 

「マア、仕方ナイナ」

 

 

 

その頃 宴会会場

 

 

 

「もう、なんで加賀さんは戦艦なんですか!」

 

宴会会場の準備をする中、手を動かしてながら瑞鶴が加賀が話していた。

 

 

「仕方ないでしょう。誰が望んだのかわからないけれど…案外、副官が原因かもしれないわね」

 

 

「むぅ…せっかく、加賀さんを越えてやろう、と思ったのに! 戦艦だと張り合いが無いよ」

 

 

「戦艦になったからって、張り合いを無くす様じゃあ、まだまだね」

 

 

「ムキー!」

 

そんな会話をする中、横で聞いていた高塚が……

 

 

「あれ、でも、滝崎から聞きましたけど、レキシントンにヤイヤイ言われた時に五航戦の事、褒めてましたよね?」

 

 

「……えっ?」

 

 

「……高塚少佐、それは余計です」

 

 

「おっと…でも、事実は事実ですからね」

 

目をキラキラと輝かせる瑞鶴を横目に見ながら高塚が言う。

 

 

「でも、今のところの問題はそのレキシントンなのよね」

 

そう言って机を持ってきたエンタープライズが言った。

 

 

「そう言えば、なんであんなに副官にこだわる訳? 前のヲ級みたいに私達を恨むならまだしも」

 

 

「そうですね。まあ、どの様な理由があろうと、あの空母には天誅が下るべきです」

 

 

「し、不知火ちゃん…」

 

その言葉に瑞鶴が反応し、不知火が物騒な事を言い、羽黒が止める。

 

 

 

「でも、あの副官さんを恨むのは筋違い、だと雪風は思います」

 

 

「そうですね。私もフィンランド派兵でご一緒しましたが…あの副官さんが松島宮提督と一緒に現れてから、色々と変わった様な気がします。でも…」

 

雪風の言葉に続く形で神通は疑問を混ぜた自らの意見言う。

 

 

「でも…なんだい、神通さん?」

 

 

「いえ、なんだか、節々でこの後におきる事がわかったいて行動していた様な気が…多分、気のせいですね」

 

高塚の問いに可愛い苦笑を浮かべながら答える神通。

それに対し、高塚は周囲を見回し、加賀とエンタープライズしか居ないのを確かめてから口を開いた。

 

 

「まあ、なにせ、彼奴は事故で転生した歴史転換者…だからね」

 

 

「「「「「……はい??」」」」」

 

その場に居て、事情を知る加賀とエンタープライズを除いた、瑞鶴、羽黒、神通、不知火、雪風の5人が頭に盛大に?を浮かべながら言った。

 

 

「え、あ、ちょ、ちょっと待って! 確かに神通さんが言ったみたいに怪しいけど…そ、そんな…」

 

 

「……あぁ、でも、そう言われたら、ジブラルタル海峡攻略前に屋上でそんな事を言われた様な気がしますね」

 

 

「「え、そうなの?」」

 

始めに反応した瑞鶴の言葉に雪風が納得した様に反応し、羽黒と神通が問う。

 

 

「……確かに、副官はなんだか深く知ってる様な気がしていましたが、転生者なんて…」

 

 

「あら、不知火、それが落ち度ではなくて?」

 

 

「そうよ、あの副官が考えた策にアメリカは最後まで抜け出す事は出来なかった…歴史を知り、アメリカやソ連の動きを知っていたからこそ、罠も、備えも、策も出来ていた…貴女達も『もう一つの記憶』を思い起こして見れば分かる筈よ。なぜ、あんなに苦戦した戦いをすんなりと勝つ事が出来たのか…鉄底海峡でアメリカ艦しか沈まなかったのか…戦争を僅か1年半程度で勝ち抜いて終わったのか…をね」

 

不知火の言葉に加賀が指摘し、エンタープライズが自らの体験を交えながら話す。

 

 

「…確かに、珊瑚海で加賀さん達と一緒に祥鳳を守ってくれたり、お姉やわたしのパイロットを救助してくれたりしたわね、副官や松島宮提督は」

 

 

「雪風も神通さんや羽黒さん達と一緒に終戦を迎えました」

 

 

「私も敵のレーダーもなにも気にする事なく二水戦と暴れましたね」

 

 

「私も…イギリス艦と戦わずに終わりました」

 

 

「不知火も…ですね」

 

 

「そう言う事よ。だから、わかったでしょう? 滝崎副官が私達に優しいのも、大切に思ってくれるのもね」

 

各々が語り終わった時、加賀はそう言って全員を見回した。

 

 

「んで、目下の問題はレキシントンだな。エンタープライズや雪風は知ってるだろうが…滝崎が黙る理由の最もデカイのが原爆と『アメリカの正義』だ」

 

 

「そうなのよね……あの先輩、なにも知らないで沈んだから…」

 

 

「呉で見た光景、そして、戦争前後の『アメリカの正義』…雪風も台湾に行って色々考えました」

 

高塚の言葉に前後を生きた2人は頷き合いながら肯定した。

 

 

「『知らない』ゆえに怖いんだよな…その反動がさ」

 

高塚は溜め息を吐きながら言った。

 

 

 

暫くして

 

 

 

「ところで…今回の一件は大丈夫なのかな?」

 

 

「ン? ドウ言ウ意味ダ?」

 

皆とレ級の世間話が一段落した時、滝崎はそう言ってレ級に訊いた。

 

 

「いや、いくらこの周辺が君の縄張りと言え、君は味方の攻勢作戦を妨害した訳だし…何か詰問、或いは不利益にならないかと…」

 

 

「アァ、ソノ事ナ。大丈夫、大丈夫。流レダシ、イチイチ私ノ事デ怒ッテイル暇ナンテナイヨ」

 

 

「そ、そんな軽そうな事でも無いような…」

 

 

「マア、最後ハ私ガ暴レルノガ嫌ダカラナ。ソノ場デ」

 

 

「な、なるほど…確かにな…」

 

 

 

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