演習準備・演習・その疲れで筆が進みませんでした。
まったくもってすみませんでした。m(_ _)m
そして、題名と中身…
数日後 マルタ島鎮守府
「状況は五分五分か」
「まあ、あの地域はギリシャの担当だからな。サボっていたツケが回ってきた、と言うべきだな」
現場からの通知を読んでいた高塚の言葉にエーディトが反応する。
強行偵察・哨戒・海域確保を兼ねた戦闘は未だに収束へとは向かってはいなかった。
「まあ、向こうも現状を変えようと必死なんだろう。最低限、悪い流れは止めたいだろうけど」
「気が遠くなりそうだな。まあ、仕方ないがな」
「それより、こっちはしっかりと後方を守らないととな。なんせ、マルタに何かあれば最前線で戦う滝崎達の帰る場所が日本本土になっちまうしな」
「この間実施した対潜掃討戦は相当な戦果を上げたな。潜水艦の撃沈確実だけで12はあるしな」
「うん。更に補給部隊も妙高達に捕捉・撃沈されたからな…こうなると、潜水艦部隊も任務続行は困難だろうな」
潜水艦による長期任務はなんと言っても補給等のバックアップがあって成り立つ物である。
また、偵察等の航空支援は民兵隊の手によって潰されたので更に痛手である。
よって、任務続行は不可能であると言っていい。出来るとしたら監視ぐらいだ。
「なら、当分は大丈夫な訳だが…あと、処理する問題と言えば…」
「あぁ、あの事ね……難しいね、これは」
その『問題』に高塚も苦笑いを浮かべた。
その頃 マルタ鎮守府 甘味処間宮店内
「……グス…グス…ワタシのデバン、マダなの〜…」
紅茶のカップを前に机に突っ伏し、涙で顔をグシャグシャにする艦娘…巡洋戦艦レナウンがいた。
それを遠巻きにして見る、伊良湖、高雄、愛宕の3人。
「イギリス艦か同じ艦種が居たなら、話は違ったんだけど…」
「愛宕、それは今の状況で愚問よ」
なにせ、総動員しての作戦にイギリス艦や戦艦は全員出撃している。
そして、レナウンは皮肉にもあのレ級が『代金代わり』に置いていった(と言っていいのか?)為に独りぼっちである。
「これは私達にはどうこう出来る事でもありませんし…」
伊良湖が悲しそうな声で2人の話に入る。
確かに、今のところ、居残り組の艦娘達でどうこう出来るレベルではない。
今のレナウンはホームシックに掛かっている状態…重症な上に更に厄介なのはホームシックの更に上のレベルである事だ。
本来なら、精神科医に診せるか、金剛・鳳翔・ウォースパイトを引っ張って来て対処するのが常道だが……高塚は許可していない。
無論、後者は現在のところ実現不可能である。貴重な正面戦力を抜くにはマルタだけではどうこう出来る訳ではない。
となれば、現実的なのは精神科医だが……高塚は何もしていない。
一度、気になった高雄が高塚に聞いてみたのだが、意外な答えが返ってきた。
高塚曰く『あれは不満をぶち撒けさせておくのが1番』との事だった。
「今回はあの憲兵さんの考えが読めないわ」
「でも、有能なのよね〜、あの憲兵さん」
……やっぱり、高塚は高塚で信頼されていた。
その頃 高塚
ダン!
「…………」
64式小銃(改)から発射音と共に役目を終えた薬莢が排出される。
それを高塚は表情を変えずに見ていた…と言うより、小さい錨によって固定された(しかし、波で揺れる)標的に視線を向けている為に余り気にしていない。
「……当たっているであります」
「淵にな」
的を見て言うあきつ丸と苦笑いを浮かべながら答える高塚。
「まあ、海上の50m先の的だからな…下手くそもいいところか」
「そうでありましょうか? 海上に浮かぶ的に砲では無く、小銃でありますよ?」
「あはは…だから、何とも言えんよ」
「やっているかね、同志よ」
そんなところに山本大佐が来た。
「下手くそが弾代の無駄にならない用に鍛錬してますよ」
「弾代の無駄か…どうかね、向こうは?」
「……何も変わってませんよ。下手したら、戦前の陸軍より質が悪くなってます」
「嘆かわしいね……同志はそんじょそこらにいる自衛官と訳が違うのにな」
「まあ、それは仕方ないですよ。組織に背を向けている人間を重宝する訳にはいきませんし」
「自衛隊は世界から背を向け、対峙している者を『異端だ』と言っているバカだろうに」
ほぼ普段と同じデスリな山本大佐の言葉に苦笑いを浮かべる高塚。
「……それでも変わらないんだな」
「死に場所の枕も日本と決めていますから」
「やれやれ……まあ、私も山口多聞少将が好きだから、人の事は言えないがな」
「あはは、確かに」
そう言うと高塚は64改の引き金を引いた。
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