転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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の割には薄い。


81 激戦の始まり

翌日 ギリシャ南岸海域海上 ジュゼッペ・ガリバリディ艦橋

 

 

 

「……なんだか、意外とも取れるし、納得とも言えるし、微妙ね」

 

 

「まあ、高塚は変な誇張は入れる奴じゃあないからな」

 

何時もの様に高塚からの報告について話す松島宮と滝崎。

しかし、艦橋の外では所々で水柱が上がり、双方の火砲の発射光が煌めく。

既に数十分前から深海棲艦と接触、交戦を行いながら前進していた。

 

 

「レ級のフラグがいるのも驚きなのに、なんなの、その人間臭い深海棲艦は?」

 

 

「さぁ…まあ、敵意がないなら、こっちから突っ突かない限り大丈夫でしょう」

 

 

「まったく……上が聞いたらなんと言うかわからんな」

 

 

「個体差だ、とでも言えばいいんじゃあないかな?」

 

 

「それは……通る話なのか?」

 

 

「上の柔軟性の程度による話だね。あと、高塚が食糧の使い過ぎを謝ってた」

 

 

「それは仕方なかろう。それに、それは対価みたいなものだ。気にする事もあるまい。律儀な奴だ」

 

 

「それは、まあ、あれだよ、陸自の人間だから」

 

 

「あぁ、なるほどな。やれやれ、陸自の人間とは言え、何かが違えば私の下に付ける事も出来たのだがな」

 

 

「現状がそれだからいいんでないの? それより…」

 

そう言って滝崎は話を中断し、視線を前に向ける。

ブリッジの外…と言うより海上では艦娘達が深海棲艦と交戦している。

神通や川内を中心に軽巡達の指揮によって巧みに動く水雷戦隊、それを重巡、戦艦、空母が援護し、次々に深海棲艦を撃沈していく。

 

 

「……なんとも言えんな。昔ならば、彼女達の中の一隻に乗って共に戦っていたのにな……今はこうして後ろから指揮するのが精一杯か」

 

 

「あー、いや、その感傷に浸るのもいいけど、問題はこっち」

 

そう言って滝崎が指差す方を見ると………

 

 

「いいか! 1人たりとも、一場面たりとも見逃すな!!」

 

 

「おい! 金剛姉妹達の砲撃シーンをちゃんと撮ったか!?」

 

 

「ポイヌやぬいぬいを忘れてないよな!?」

 

 

「あっ、さっきの羽黒ちゃんの砲撃シーンを見逃した!」

 

 

「大丈夫だ! 後でデータを分けてやるって!」

 

 

「プロマイド撮影と戦闘後の一服の準備を忘れるな! 金剛姉妹達のティータイムの用意は特にな!!」

 

いつもの如く、副司令以下イタリア艦隊首脳陣(野郎共)はカメラやら何やらを引っさげて艦娘達を撮影し、更には戦闘後のオヤツの用意まで指示する始末。

 

 

「あんた達!! いったい何してんのよ!?」

 

 

「「「「「「「彼女達を記録してるんだ!! 文句あるか!?」」」」」」

 

 

「あんた達の場合、ナンパのネタにする気でしょうが!!」

 

そして、この光景にいつもの如くアレッシアがキレて噛み付き、ワアワアと騒がしくなる……戦闘中であるのにだ。

 

 

「……なんだか、こうやってイタリア艦隊首脳陣が騒いでいる方がスムーズに進んでいるような気がするのは慣れが原因か?」

 

 

「うん、慣れが原因だね。まあ、その方がこっちも気兼ね無く戦えるよ。何故なら…」

 

 

「敵艦載機一個小隊低空にて迎撃を突破! 本艦並びに赤城達の側面を取る気です!!」

 

見張りのイタリア水兵の報告に先程まで続いていた騒動(?)がピタリと止み、首脳陣(野郎共)の顔がキリリと鋭くなる。

 

 

「雷撃機が来るぞ! あと、直上にも注意しろ! 低空を囮にした爆撃かもしれん!」

 

 

「対空火器を艦娘の方に向かう奴に向けろ! 本艦は回避運動!」

 

 

「当てるなよ! お嬢様の機嫌を損ねてしまうからな!」

 

先程とはまるで別人かの様にテキパキと指揮を執る首脳陣(野郎共)。

 

 

「何時もこうだと楽なのに…ホント、ウチの野郎共は…」

 

額に手をあて、呆れた様子で呟くアリッシア参謀長。

 

 

「まあ、レナータが任して飛んでるんだから、それなりに能力はあると認めてだと思うけど」

 

 

「私としては全員が貴方やタカツカ少佐ぐらいオンオフをしっかりしてくれると楽なんですが……ウチの野郎には無理ですね」

 

そうアリッシアが言った時、歓声がおこる。

 

 

「敵機迎撃成功!」

 

 

「レーダーに新たな反応! 高高度より敵機一個編隊接近!」

 

 

「やはり、爆撃機もいたか…だが、一足遅い! 迎撃しろ!!」

 

迎撃成功の余韻に浸る暇も無く、次は爆撃機の来襲の報告が入る。

しかし、予測通りとばかりに対処する。

 

 

「ほら、大丈夫じゃないか」

 

 

「それはわかってます」

 

 

 

……後に地中海最大の激戦と言われた『地中海中部奪還作戦』の始まりであった。

 

 

 

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