転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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また、中身と題名があってない。


78 空(から)

翌日 マルタ島鎮守府

 

 

 

「……静かになってしまいましたね」

 

 

「そうだな、同志」

 

 

「……ホント、ウマが合うコンビね」

 

何時もより静かなマルタ島鎮守府。

『クレタ島奪還』に向けた『ギリシャ西方沿岸哨戒』の為、全力出撃し、松島宮、滝崎もこれに同行した為、ほぼ誰も居ない。

居るのは高塚、山本大佐率いる民兵隊、エーディトの海兵隊、派遣されたカラビニエリ、残余の艦娘だけである。

 

 

「しかし、エーディト、大丈夫なのか? 滝崎は半分レナータに盗られたようなもんだぞ?」

 

 

「それを今言うか? まあ、大丈夫だ」

 

本来なら、松島宮・滝崎も鎮守府で指揮を執るつもりだった。

しかし、前々から前線で指揮を執る気もあり、また、レナータが『出撃したら空くから、乗っていいよ』なんて言い出したものだから、2人はイタリア統合打撃艦隊にお邪魔する事になった。

また、なんだか反対しそうな堅物艦隊参謀長…アレッシア・リッツァーニ少佐…は逆に『馬鹿な男供の暴走が少しは減りますし、手不足だったので歓迎します』と言って賛成した。

なお、松島宮に言いよろうとした副司令以下艦隊首脳(男性)陣は滝崎が止める暇も無く、キレたアレッシア少佐によって宙を舞う事になった…のは別話である。

 

 

「問題がおきるとは思えんからな」

 

 

「さよけ」

 

そんな返事を返し、ボーと窓枠に肘を付けて外を眺めていると後ろの扉が開きカラビニエリの隊長…イメルダ・アレッシア少佐…が入ってきた。

 

 

「タカツカ少佐、報告を纏めたので置いておきます」

 

 

「あぁ、すまない……にしても、見事に陸の人間しかいないな」

 

 

「だな、同志。エーディト中佐は海軍だが、海兵隊だからね」

 

 

「私は憲兵です」

 

 

「いや、結局一緒だからな」

 

 

「……まあ、陸の人間だから、こうして指揮権を預けてもらえるのかもしれないがな」

 

 

「そうかもしれませんね。あっ、忘れるところでした」

 

そう言ってイメルダ少佐は胸ポケットを開ける。

すると、ひょっこりと工廠長妖精が顔を出した。

 

 

「アッ、憲兵殿。失礼シマス」

 

 

「どうしたんだ、いったい?」

 

 

「イエ、実ハ民兵隊ノ装備二面白イ物ガアリマシタノデ」

 

 

「「えっ??」」

 

高塚も山本大佐も思わず互いの顔を見た。

 

 

 

暫くして 工廠

 

 

 

「あー、これって…」

 

 

「カチューシャだな…多連装ロケット弾発射機…」

 

工廠に置かれたトラックの荷台を取っ払い、ロケット弾発射レールを取り付けた、正に『カチューシャ』がそこにあった。

 

 

「いやー、自作はしたが……色々と欠陥があってな…特に発射時の電気回路や配線のショートで発射しなかったり、逆に勝手に発射されたり……」

 

 

「「「危な!!」」」

 

山本大佐の言葉にツッコミを入れる3人。

 

 

「で、どうしたいんだ?」

 

 

「ドウセ、通常業務以外ハ手持チ無沙汰二ナルノデコレヲ整備シテモイイデショウカ?」

 

 

「俺は構わないが…山本大佐、どうします?」

 

 

「我々も整備しようと思っていたところだ。別に構わないよ」

 

 

「だ、そうだ。その代わり、大事に扱えよ」

 

 

「ワカッテオリマス」

 

その返事にそれはそれで安心していいのかわからない高塚だった。

 

 

 

 

暫くして 高塚執務室(兼憲兵私室)

 

 

「……この残余組の編成どうするかね」

 

そう呟きながら高塚は頭を掻く。

なお、残余組は以下の通り。

 

空母・水母

飛鷹 瑞鳳 千歳(水母) 千代田(水母)

 

重巡洋艦

古鷹 加古 衣笠 妙高 高雄 愛宕

 

軽巡洋艦

天龍 龍田 球磨 多摩 北上 大井 木曽 那珂

 

練習巡洋艦

香取

 

駆逐艦

潮 曙 朧 漣 子日 若葉 白露 村雨 初風 浜風 野分 舞風 長波 高波

 

揚陸艦

あきつ丸

 

以上である。

一部を除いては吹雪達が着任して以降の最近の建造で着任した者達であり、練度・訓練期間等の問題から後方に残していた。

 

 

「アンバランスなのは仕方ないが…戦艦と正規空母を残してほしかったな……無理だけど」

 

無論、滝崎も戦艦と正規空母は残したかったのだが…投入戦力のバランスを考えた結果、残せなかったと言う事情があった。

 

 

「まあ、陸自の時に比べればまだマシだな……俺は下っ端だったけど」

 

そう呟き、椅子を回して立ち上がる。

 

 

「建造の許可はもらってるからまだいいな。これで制限ありなら積みゲーだな…どうぞ、開いてるよ」

 

そんな呟きをした時、ノックが聞こえた為に入室を促す。

 

 

「高塚殿、本土からの派遣組が来たであります」

 

 

「本土からの派遣? そんな通知受けてないぞ??」

 

 

「それは…多分、いま届いたこれであります」

 

 

「またかよ…向こうは懲りてないな……派遣組、入れていいよ」

 

本土の大雑把過ぎる仕事に呆れつつ、入る様に促すとあきつ丸の後ろから4人入って来た。

 

 

「そのままでいいよ。私はこのマルタ島鎮守府後方業務兼警備担当、並びに現在臨時に指揮代行を務めている憲兵の高塚健治少佐だ。本当の提督と副官は本日より前線指揮の為に不在で、いまは私に任されている。艦名を述べてくれないかな?」

 

 

「伊良湖型給糧艦の伊良湖です。間宮さんの御手伝いに参りました」

 

 

「速吸型給油艦の速吸です。洋上補給能力付与の為に参りました」

 

 

「白露型駆逐艦九番艦、改白露型の江風だ」

 

 

「艦隊型駆逐艦、夕雲型駆逐艦三番艦の風雲よ。よろしく」

 

 

 

「了解、着任を歓迎する。あきつ丸、各人の部屋の手配を頼む。江風は白露や村雨、風雲は長波と高波に手伝ってもらってくれ。伊良湖は間宮さんのところ、速吸は…あきつ丸、特務艦枠で君が世話してくれ」

 

 

「わかりました、高塚殿」

 

 

 

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