転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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ドイツ組一斉着任です。
なお、実際にはレーベしか持ってない。(泣)


63 ドイツ組着任

4日後 マルタ島鎮守府

 

 

 

「『3日に及んだアフリカ・中東系難民の動乱もマルタ軍・警察、ドイツ海兵隊の実力行使により解散され、逮捕者が多数出た。なお、拘束された難民は強制送還の予定である』か。ようやく、艦娘達が外出出来る様になるな」

 

滝崎の執務室で新聞を読んでいた高塚がそう言いながら呟いた。

 

 

「仕切り直しだけどな。まあ、エーディトが来てくれなかったら今頃どうなっていたか」

 

 

「で、そのエーディトは?」

 

 

「さあ、多分、後始末で忙しいんだろう」

 

 

「なに? 連絡とって無いのか?」

 

 

「公私混同してどうすんだよ。まあ、終わったら挨拶に来るだろうし」

 

 

「羨ましくて腹立ってきそう」

 

ジト目視線を送りながら言った高塚に苦笑いを浮かべる滝崎。

その時、ドアがノックされた。

 

 

「どうぞ」

 

 

「失礼する。本日からよろしくな、滝崎」

 

そう言いつつ、キッチリと敬礼しながら言うエーディト。

 

 

「此方こそ……松島宮の所には行ったの?」

 

 

「あぁ、我が国の艦娘達を連れてな。だが、私がお前の所に行くと言って退出した直後に工廠の方へ全速力で走っていったが、いったい…」

 

 

「あのバカ! 長門でボーキ以外で6000も使いやがったのにまだ懲りて無いのかよ!? すまん、ちょっと席を外す!」

 

そう言って滝崎は慌てて出て行った。

 

 

「……あー、俺は高塚健治。元砲兵だが、今は派遣の憲兵少佐だ。よろしく」

 

 

「あ、あぁ、よろしく…いつもああなのか?」

 

 

「いや、いつもじゃあない。まあ、月に一度かな? やり過ぎると怒る」

 

 

「な、なるほどな…正義とは親戚だそうだな」

 

 

「あぁ、同郷のな。あっちの事は色々と聞いてるよ。イタリア娘を加えて好い仲だったのも聞いてる」

 

 

「それが良いか、悪いかは微妙なところだが…まあ、仕方ないか」

 

 

「おいおい…あっ、こっちにいるドイツ組…神鷹、シュペー、クイヨには会ったのか?」

 

 

「えぇ、松島宮の執務室でね。今はビスマルク達と話してる」

 

 

「そっか…あと、レキシントンの件は?」

 

 

「松島宮からも聞いてる。まあ、なんとも言えない話だけどな」

 

 

「確かにな……まあ、とりあえず、今日からよろしくな」

 

 

「あぁ、よろしく」

 

こうして、高塚とエーディトは互いに握手を交わした。

ただ、エーディトは1つ気になっていた。

 

 

(高塚健治……? 何処かで聞いた様な……気のせいか??)

 

 

 

その頃……甘味処 間宮

 

 

「さすが、ドイツに噂が流れる程の甘味処、間宮ね」

 

テーブルを占領しているドイツ組の注文した甘味の1つに手をつけたビスマルクが食べながら言った。

 

 

「間宮がキールに居たのも一時的だったものね」

 

隣に座る加賀も間宮羊羹を食べつつ言う。

 

 

「……ありがとう、カガ。マルタに居てくれて」

 

 

「突然どうしたの? 貴方らしくもないわ」

 

 

「正直な気持ちよ。私だけじゃあないわ、プリンツにはモガミ姉妹、グラーフにはシンヨウ、リュウジョウ、ジュンヨウの3人、レーベとマックスにはムツキ達、ユーには同じU954、そして、扶桑やシュペー…知ってる人が居るって安心する事なのよ」

 

コーヒーのカップを持ち、香りを楽しみながらビスマルクが言う。

 

 

「なら、それは提督と副官にも言えるわ。エーディトさんや貴女達が来るのを楽しみにしていたし…なんと言っても、副官が気にしていたわ」

 

 

「タキザキ・マサロウ…いえ、タキザキ・マサヨシ。未来から日本を護る為に命を懸けた若き副官にして、我がアドミラールの好い人」

 

 

「……知ってたのね、副官の秘密」

 

 

「戦争が終わった後にアドミラールとフッドから聞いたわ…フッドが知ってたのは癪にさわったけど」

 

 

「うふふ…でも、よかった。下手に恨まれたりしたら厄介だもの」

 

 

「うーん……沈んだ事が分かると、恨む気なんてないわね。ある意味、生かしてくれた事に感謝するわ」

 

 

「そう……話は変わるけど、イギリス艦やフランス艦は上手くやれそう?」

 

 

「イギリス艦はまだ大丈夫。でも、問題はフランス艦ね。まあ、敵意を向ける気はさらさら無いけど」

 

 

「何かあったら相談して。レキシントンみたいな事は1つで充分よ」

 

 

「……命狙ってるって本当なの?」

 

 

「えぇ、副官は何時もの通り放置してる」

 

 

「レキシントンに史実…事実を話さないの?」

 

 

「私や貴女、フッドみたいに『生き残った』あるいは『良い方に変わった』なら、最低でもまだ冷静を保てるわ。でも、レキシントンは『悪い方に変わった』ならどう? しかも、最終的に結果は真反対…しかも…」

 

 

「しかも…?」

 

 

「『アメリカがやった事』と『妹の最期』、これを下手に知ると自我崩壊をおこすかもしれない…提督達、特に副官の懸念はそこよ」

 

 

「……本当に優し過ぎる副官ね。でも、アドミラールが惚れる理由が解るわ」

 

 

「だからと言って手を出してはダメよ。提督は足柄さんを監視してるから」

 

 

「大丈夫、アドミラール達の邪魔をする気はないわ。でも、あの提督が建造に熱心な理由って、あの副官に構って欲しいからじゃないの?」

 

 

「………それは思ってもみなかったわね」

 

 

「まあ、あの提督の真意は置いとくとして、あの副官のままなら大丈夫ね」

 

 

「それはそうよ、あの大戦に1人で挑む覚悟したのだから」

 

 

「じゃあ、改めて…よろしく、カガ」

 

 

「えぇ、ビスマルク」

 

コーヒーと抹茶で乾杯する2人だった。

 

 

 

「……ところで、ドイツでなにやってたの?」

 

 

「ドイツ海兵隊員に混じって訓練してた」

 

 

「…銃器扱えるの?」

 

 

「えぇ、海兵隊員として一通りの事ならアドミラール達が指導してくれたわ」

 

 

「憲兵さんが喜びそうね」

 

 

 

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